目上の人に「お疲れ様・ご苦労様」は失礼?言い換えと正しい使い方

目上の人に「お疲れ様です・ご苦労様です」は失礼?まずは基本として「お疲れ様です/でした」は目上の人に使っても失礼ではありません。一方で「ご苦労様です/でした」は目上の人に使うと失礼にあたりますので、ご注意ください。

その理由と注意点、「お疲れ様・ご苦労様」の意味と言い換え表現を記事中にまとめます。

※繰り返しますが「お疲れ様です/でした」は目上の人に使っても失礼ではありません。取引先(社外・顧客)に使うことが失礼にあたります。

この記事の目次

「お疲れ様」は目上の人に使える、「ご苦労様」は目上の人に使えない

まずは結論ですが「お疲れ様です/でした」は目上の人に使っても失礼ではありません。一方で「ご苦労様です」は目上の人に使うと失礼にあたりますので、ご注意ください。ですから「お疲れ様です/でした」は言い換える必要がありません。

それぞれ、なぜ使えるか、なぜ使えないのかを詳しく見ていきましょう。

意味①「お疲れ様・ご苦労様」の意味は「相手の苦労をねぎらう」

「お疲れ様です/でした」「ご苦労様です/でした」の意味を辞書で調べると、どちらも「相手の労苦をねぎらう意で用いる言葉」とあります。

意味②「お疲れ様」には挨拶の意味もある

くわえて「お疲れ様です/でした」には「職場で、先に帰る人へのあいさつにも使う。『ご苦労様』は目上の人から目下の人に使うのに対し、『お疲れ様』は同僚、目上の人に対して使う」という意味もあります。

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つまり辞書的には目上の人に「お疲れ様です/でした」を使い、「ご苦労様」は目上の人に使わないということになります。たとえば、あなたが上司よりも先に帰るとしましょう。その際に使う言葉として「ご苦労様です/でした」はおかしい。でも「お疲れ様です/でした」は使えます。

「お疲れ様・ご苦労様」の違いまとめ

「お疲れ様」「ご苦労様」は意味と使い方が違います。先ほども記しましたが、違いをまとめておきます。

違い①使い方

  • お疲れ様:仕事の帰りなどで目下 → 目上の人に使う。逆もOK。
  • ご苦労様:目上 → 目下の人のみに使う。
    ※どちらの表現も社内でしか使わない

違い②意味

  • お疲れ様:「ねぎらいの言葉」と「挨拶言葉」の両方の意味を持つ。
    たとえば社内メールの冒頭に「お疲れ様です」とくわえたり、社内電話の相手に「お疲れ様です」と挨拶する。
  • ご苦労様:「ねぎらい言葉」の意味が強い、挨拶としては使わない
    ※どちらの表現も社内でしか使わない

「お疲れ様です・でした」の目上の人への使い方(社内限定)

「お疲れ様です/でした」を社内で目上の人に使うときの使い方、ビジネスシーンを解説します。ちなみに社外に対しては「お疲れ様です/でした」ではなく、別の表現を使います。

使い方①社内メールの冒頭挨拶に使う

「お疲れ様です」の社内メールで目上の人への冒頭挨拶として使います。取引先など社外にビジネスメールをするときには冒頭に「お世話になっております」「平素は大変お世話になっております」を使いますが、社内メールではその代わりに「お疲れ様です」を使います。

たとえば上司にメールをするときなどが当てはまり、目上の人に使えるフレーズです。

社内メールの「お疲れ様です」
  • ◯◯さん
    お疲れ様です。就活部の就活です。
    〜〜
  • ◯◯部長
    お疲れ様です。
    さて首記の件、添付のとおりにご報告を申し上げます。ご査収のほど、何卒よろしくお願いいたします。
    〜〜

※社外メールでは「お世話になっております」などを使います。

使い方②帰宅時の挨拶に使う

これも社内での使い方です。上司や同僚が仕事場に残っていて、あなたが先に帰る場合に「お先に失礼します。お疲れ様です。」などと挨拶をして帰宅します。

帰宅時の「お疲れ様です」

あなた:お先に失礼します!お疲れ様です。

社内の上司・同僚:お疲れ様〜。

※社外では「お先に失礼します」だけを使います。

使い方③すれ違うときの挨拶に使う

「お疲れ様です」はたとえば、目上の人とすれ違ったときの挨拶にも使えます。「こんにちは」「おはようございます」のどちらも使えそうにないシーンで使うと良いでしょう。社外の人には「お世話になっております」を挨拶として使いますが、社内の人にこれを使うのはおかしい。

挨拶時の「お疲れ様です」

あなた:◯◯さん、こんにちは!お疲れ様です。

社内の上司:お疲れ様〜。

※社外では「こんにちは。お世話になっております」などを使います。

使い方④社内電話の挨拶に使う

「お疲れ様です」は社内からの電話を取ったときに挨拶として使います。

社内電話の「お疲れ様です」

あなた:はい、就活部(部署名)です。

社内の相手:転職部の転職です。お疲れ様です。

あなた:こんにちは、お疲れ様です。

社内の相手:◯◯部長はいらっしゃいますか?

使い方⑤本来のねぎらい言葉として使う

これまで見てきた「お疲れ様です」は挨拶としての役割を持っていましたが、本来の「労い言葉」としても使えます。

労いの「お疲れ様です」

あなた:◯◯部長、ご出張いかがでしたか?

上司:いや〜、12時間のフライトに疲れたよ…。

あなた:大変でしたねぇ、お疲れ様でした。何か私にお手伝いできることはありますでしょうか?

上司:今回、すべて丸く収まったから、とりあえず必要ないよ。

あなた:承知しました、何か必要事項がございましたらお申し付けください。

もう一つ例文、こちらは上司におごってもらったとき、お礼するために使います。

労いの「お疲れ様です」

あなた:◯◯部長、昨日はご馳走になり、ありがとうございました。お疲れ様でした。

上司:遅くまでお疲れ様でした。(遅くまでご苦労様でした)

「お疲れ様・ご苦労様」を使うときの注意点

注意①「お疲れ様・ご苦労様」は社外の相手には使わない

「お疲れ様」は社外の相手には使いません。というより、正しくは使う場面が思いつきません。先に挙げた「お疲れ様」を使うビジネスシーンはいずれも社内限定であり、社外でのビジネスシーンでは別の表現に言い換えることができるからです。

たとえばビジネスメールでしたら「お世話になっております」を使いますし、すれ違うときの挨拶も「こんにちは。お世話になります」などとします。また、先に帰宅する場面なんて社内だから発生するシーンですよね。

注意②「お疲れ様」は目上の人にも使えるが、嫌う人もいる

日本語の使い方として「お疲れ様です」は目上の人にも使えることがわかりました。ところが、日本語が難しいのは人によって感じ方が違う点。芸能界で子役が「お疲れ様です」を連呼することにキレた某おっさんのように、人の感覚によるのです。

ですから念のため、そういう“勘違いしたおっさん”に対しても「お疲れ様です」を使えるように、より丁寧な表現に言い換えしてみましょう。

目上の人に使える「お疲れ様・ご苦労様」の言い換え

「お疲れ様です」は目上の人に使っても何も失礼ではありません。ただし、これは社内(上司・同僚・先輩)に対しての話であり、社外(取引先・顧客)では使いません。

社内のコミュニケーションで「お疲れ様」を使うのに抵抗のある方は、言い換え表現を使いましょう。

言い換え①お先に失礼します!お疲れ様です。

これは上司より先に帰宅するときの鉄板フレーズですね。「お先に失礼します」の意味は「申し訳ありませんが先に帰ります」です。先に帰るけど許してね、という意味の謝罪が込められています。そして続けて「お疲れ様です」を使います。

帰社時に「お疲れ様です」単体を使うと、挨拶なのか、帰りたいのか、意味がよくわからなくなります。

言い換え②「こんにちは」などの挨拶言葉をくわえる

「お疲れ様です」単体だと、何となく事務的な感じになってしまいがち。そこで「こんにちは、お疲れ様です」などと、挨拶言葉をくわえて使ってみてはいかがでしょうか?

言い換え③お世話になります・お世話になっております

「お疲れ様です」はもともと、「お世話になります」の社内バージョンとして定着している挨拶言葉です。したがって「お世話になります」と言い換えることもできます。ただ、社内の人に「お世話になります」を使うのは一般的ではありません。社外の人にだけ使いましょう。

お疲れ様・ご苦労様はどっちが多く使われている?

社会人は「お疲れ様・ご苦労様」のどちらを使っているのか?暇な文部科学省が取ったデータを(国語に関する世論調査)から紹介します。

目上の人に使う場合(部下→上司など)

  • お疲れ様(でした):69%
  • ご苦労様(でした):15%

目下の人に使う場合(上司→部下など)

  • お疲れ様(でした):53%
  • ご苦労様(でした):36%

ということで、目上の人に使う場合も目下の人に使う場合も、「お疲れ様」が支持を得ていることがわかります。あ、目上の人に「ご苦労様」を使っている人が15%もいるようですが、これは論外でNG。気をつけましょう。

まとめ

ここからはまとめと、世間一般の勘違い、誤解を解くコラムになります。

①「お疲れ様」は社内で使える万能の挨拶言葉

これまでの例文で見てきたとおり「お疲れ様」は社内の挨拶言葉に使える、万能の表現となります。たとえば社内メールの冒頭挨拶、社内電話を取ったときの挨拶、すれ違いざまの挨拶、帰社時の挨拶…。他にもたくさん使える場面があります。

②「お疲れ様」を目上の人に使うと失礼だ!と主張する人は勘違いしている

「お疲れ様です」を目上の人には使えない!と主張する人は正直、かなり勘違いしています。「お疲れ様です」の意味を「ねぎらい言葉」としか考えていない“勘違いおっさん”ですね…。ですから、そのような“おっさん”は無視して構いません(最初と言っていることが違いますが…)。

あなたが目上の人に「お疲れ様です」を使って怒られたら、「お疲れ様」の意味を論理的に説明してあげましょう。

③帰社時に「お疲れ様です」だけを使うと何が言いたいのか分からない

「お疲れ様です」には「これから帰ります」というニュアンスも含まれているために、帰社時の挨拶として使われていますが…。一般的に帰社時に「お疲れ様です」だけでは、説明が足りていません。

学生でしたら部活の帰り、サークルの帰り、アルバイトの帰りに「お疲れ様です」だけでも済まされるでしょう。

ただ、社会人になったら「お先に失礼します、お疲れ様です」「先に帰ります。お疲れ様です」としましょう。「お疲れ様です」だけだと「帰宅すること」が伝わらない可能性があります。

『目上の人に「お疲れ様・ご苦労様」は失礼?言い換えと正しい使い方』へのコメント

  1. 名前:d-dish 投稿日:2017/09/23(土) 09:42:14 ID:4e6d84f95 返信

    結論ありきのような気がしてならない。
    なぜ「ご苦労様」が目下だけに使う言葉として使われているか知りたいのにその理由がない。
    どこを調べてもそう。
    本当はどっちでもいいのではないか?

  2. 名前:BENO 投稿日:2017/12/28(木) 14:14:19 ID:86f36c06e 返信

    ご苦労様は本来丁寧語や謙譲語と併用して目上に対して使う言葉。
    使われ方としては
    子が仕事から返ってきた親に「お父様、本日もお勤めご苦労様でございました」
    「兄上、お勤め誠に御苦労に存じます」(八重の桜 NHK大河ドラマ)
    など。

    目下に対しては古くは「大儀であった」時代が下がるにしたがって
    大儀という言葉が廃れるとともに「苦労をかけた」「御苦労であった」という使い方がされるようになった。これが昭和40年代に突如ビジネスマナー講師なる職業の者が根拠無く、目下限定の言葉と言い出した。

     また、本来目上に対して使う言葉である証拠に派生語で「御足労」という言葉があるが、こちらは目上限定の言葉として今でも普通に使われる。
    (用例:「本日は御足労いただきましてありがとうございます」等)

    いい加減間違った用法を垂れ流すのは止めてほしいものである。

  3. 名前:ひつまぶ 投稿日:2018/04/12(木) 23:43:39 ID:412dc42ee 返信

    そもそも目下とか目上など上下関係で使う言葉まで限定する姿勢は社会人としていただけない。

    仕事の役に立たない変なルールを押し付けて、仕事の生産性を下げるひどい記事だ。

  4. 名前:エンジニア 投稿日:2018/04/18(水) 07:29:30 ID:594b3d5ce 返信

    記事もコメントもとても勉強になる内容でした。主さんもコメントさんも素晴らしいです。正しい日本語が消えつつある今、こういう学びの場はとても有り難いです。