目上の人に「頑張ってください」を使うと失礼?
まずは要点のまとめから。
・まだまだ頑張る余地がある、もっとやれ! と言われているように感じるため
▼「頑張ってください」の言い換え例
- 言い換え「○○様の今後のご活躍をお祈り申し上げます」
- 言い換え「陰ながら応援しております」
- 言い換え「ご健闘をお祈り申し上げます」
- 言い換え「くれぐれもご自愛くださいませ」
- 言い換え「お大事になさってください」
- 言い換え「ご健勝ご活躍をお祈り申し上げます」
- 言い換え「ご健勝とご多幸をお祈り申し上げます」
ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、
それぞれの言い換え表現について、意味と敬語の解説、注意点を詳しくみていきましょう。また「頑張ってください」が失礼にあたる理由も記事中にまとめます。
この記事の目次
「頑張ってください」を丁寧な敬語に言い換えるには?
目上の人に「頑張ってください」を使うと、上から目線の発言に聞こえますよね?そもそも、友人同士であっても「頑張ってね」は地雷ワードになってしまう危険があります。
なぜなら「頑張ってください」は「まだまだ頑張る余地がある、もっとやれ!」の意味だと理解されてしまうから。
「すでに頑張ってるんですけど…」「これ以上、何を頑張ればいいの?」となります。ということで「頑張ってね!」「頑張ってください!」を多用すると非常にマズイです。特にこれが目上の人だったりしたら、目も当てられない状況になりますので要注意。
そこで「頑張ってください」を使わず、だけどエールを送れるような、丁寧な敬語表現に言い換えしましょう。
※丁寧な敬語はありませんので、言葉の言い換えが必要です。
言い換え①ご活躍を心よりお祈り申し上げます
「ご活躍をお祈り申し上げます」の意味は「仕事での成果を願っているよ」です。「ご活躍 = 仕事での成果」を謙譲語「〜申し上げます」を使って、とても素晴らしい敬語にしています。これを使うビジネスシーンは目上の人が転勤、転職したり「別れ」が発生する場面です。スピーチやビジネスメールに使えます。
※その他にも使える、似たような敬語の例を下にまとめておきます。また「心より〜」「益々の(ますます)」を使うとより丁寧な表現になります。
- 例文「○○様のご活躍をお祈りいたします」ビジネスメール締め・結び
- 例文「益々のご活躍をお祈りいたします」メール締め・結び
- 例文「益々のご活躍を、心よりお祈りいたします」メール締め・結び
- 例文「○○様の今後のご活躍を祈念しております」メール締め・結び
- 例文「益々のご活躍を心より祈念しております」メール締め・結び
- 例文「○○様のご健勝とご活躍を、心よりお祈り申し上げます」メール締め・結び
- 例文「公私にわたりご活躍されますよう、心よりお祈り申し上げます」メール締め・結び
×NG 頑張ってください。
×NG ご活躍を期待しております。
参考 → 「ご健勝」「ご多幸」「ご活躍」の意味と違い・使い方【例文あり】
言い換え②陰ながら応援しております
「陰ながら応援しております」の意味は「見えないところから応援している」です。「応援する」を謙譲語「〜おります」を使って、とても素晴らしい敬語にしています。これを使うビジネスシーンは目上の人が転勤、転職したり「別れ」が発生する場面です。スピーチやビジネスメールに使えます。
※その他にも使える、似たような敬語の例を下にまとめておきます。また「ささやかながら」「微力ながら」を使うとより丁寧な表現になります。
- 「目上の人」様を微力ながら応援させていただきます。(メール文末・締め)
- ささやかながら応援させていただきます。(メール文末・締め)
- 心より応援しております。(メール文末・締め)
×NG 頑張ってください。
×NG 応援します。
言い換え③ご健闘をお祈りしております
「ご健闘」の意味は辞書を調べると「不利な条件があるのによく努力すること」とあります。つまり「ご健闘をお祈りしております」の意味は「頑張ってください」です。ところが、使えます。その理由は謙譲語「お祈りしております=願っています」を使っているから。丁寧で素晴らしい敬語です。
「頑張ってください」も「頑張りをお祈り申し上げます」とかで使えればNGワードにならずに済むのですが、実際にはそんな使い方は存在しません(苦笑)。
これを使うビジネスシーンは目上の人が転勤、転職したり「別れ」が発生する場面です。スピーチやビジネスメールに使えます。
- 「目上の人」様のご健闘をお祈り申し上げます。(メール文末・締め)
- ご健闘をお祈りいたします。(メール文末・締め)
- ご健闘を心よりお祈り申し上げます。(メール文末・締め)
×NG 頑張ってください。
×NG ご健闘してください。
言い換え④くれぐれもご自愛くださいませ
「ご自愛ください」は「自ら」「愛する」ということですので、意味は「体を大切にしてね」の敬語表現です。話し言葉で使うのは一般的ではなく、お見舞いメールやお見舞い手紙・ハガキでよく使われます。これを使うビジネスシーンは目上の人が転勤、転職したり「別れ」が発生する場面と、お見舞いシーンです。スピーチやビジネスメールに使えます。
※その他にも使える、似たような敬語の例を下にまとめておきます。また「どうぞ」「くれぐれも」を使うとより丁寧な表現になります。
- お忙しいでしょうから、どうぞご自愛くださいませ。(メール文末・締め)
- お忙しいでしょうから、どうぞご自愛ください。(メール文末・締め)
×NG 頑張ってください。
×NG ご自愛してください。
※「ご自愛ください」はメールや手紙で使うこと推奨、会話シーンでは「お大事になさってください」のほうが適切です。
参考 → 目上の人に「お大事に」は失礼?丁寧な言い換えと正しい使い方
言い換え⑤お大事になさってください
「お大事になさってください」は先ほどの「ご自愛ください」と同じ意味を持ちます。相手の体をいたわる敬語ですので「頑張ってください」よりは適切でしょう。
- くれぐれもお大事にお過ごしください。(メール文末・締め)
- ご無理なさらず、どうぞお大事にお過ごしください。(メール文末・締め)
- どうぞ、お大事になさってください。(メール文末・締め)
×NG 頑張ってください。
×NG お大事に〜。
※「ご自愛ください」はメールや手紙で使うこと推奨、会話シーンでは「お大事になさってください」のほうが適切です。
言い換え⑥ご健勝をお祈り申し上げます
「ご健勝(ごけんしょう)」の意味は「健康で元気なこと」 。つまり「ご健勝をお祈り申し上げます」は「健康を願っていますよ」という意味ですね。
一つずつ分解してみると「ご」は尊敬語。「健」は「健やか(すこやか)で健康である」の意味。「勝」は「勝つ、まさる、すぐれている」の意味。したがって、これらを併せると「すこやかに・すぐれている = とっても健康」という意味になります。
これを使うビジネスシーンは目上の人が転勤、転職したり「別れ」が発生する場面です。スピーチやビジネスメールに使えます。
※「ご健勝をお祈り申し上げます」の他にも使える、似たような敬語の例を下にまとめておきます。また「心より」「ご多幸」「ご活躍」を使うとより丁寧な表現になります。
- 「目上の人」様のご健勝をお祈りいたします。(メール文末・締め)
- ご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。(メール文末・締め)
- ご健勝とご活躍を、心よりお祈り申し上げます。(メール文末・締め)
×NG 頑張ってください。
×NG ご健勝してください。
参考 → 「ご健勝」「ご多幸」「ご活躍」の意味と違い・使い方【例文あり】
言い換え⑦ご健勝とご多幸をお祈り申し上げます
「ご多幸(ごたこう)」の意味は「とても幸せであること」。つまり「ご健勝とご多幸をお祈り申し上げます」は「幸せと健康を願っていますよ」という意味ですね。
一つずつ分解してみると「ご」は尊敬語。「多」は「多い」の意味。「幸」は「しあわせ」の意味。したがって、これらを併せると「しあわせが多い=とても幸せである」という意味になります。
これを使うビジネスシーンは目上の人が転勤、転職したり「別れ」が発生する場面です。スピーチやビジネスメールに使えます。
※その他にも使える、似たような敬語の例を下にまとめておきます。また「心より」「ご健勝」「ご活躍」を使うとより丁寧な表現になります。
◎ご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。(メール文末・締め)
◎ご健勝とご多幸を、心よりお祈り申し上げます。(メール文末・締め)
◎「目上の人」様とご家族の、ますますのご多幸をお祈り申し上げます。(メール文末・締め)×NG 頑張ってください。
×NG ご多幸してください。
参考 → 「ご健勝」「ご多幸」「ご活躍」の意味と違い・使い方【例文あり】
そもそも「頑張ってください」の正しい意味とは?
辞書を調べると「頑張ってください」の意味は「困難にめげないで我慢してやり抜く」とあります。日本語としては違和感のない言葉です。ただ、最近の「頑張って」の解釈は少し違うように思いますので、意訳をしてみます。–つづく–