「取り急ぎお礼まで、ご連絡まで」意味と目上の方への正しい使い方

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【言い換え】略儀ながら、まずはメールにてお礼申し上げます

「取り急ぎお礼まで」をビジネスメールや目上の人に使えるように言い換えるには、以下の表現を使います。

  • 言い換え「略儀ながら、まずはメールにてお礼申し上げます」
  • 言い換え「甚だ略儀ではございますが、まずは書面にてお礼申し上げます」
  • 言い換え「甚だ略儀ではございますが、まずはお礼かたがたご挨拶申し上げます」

ここで「略儀ながら」は「礼儀を略す」という意味。また「甚だ(よみ:はなはだ)」は「とても」の意味であり、「大変」でも言い換えられます。

そうするとこれらの意味は「礼儀を略して(申し訳ないけど)、まずはじめにメールで○○しますよ」となり、とても丁寧な挨拶表現となります

言い換えするとガラッと表現が変わりましたが「取り急ぎお礼まで」は「とりあえず急いでお礼する」ということですので、意味・用法としては成り立ちます。

目上の方には「取り急ぎご報告いたします」とする

そこで「取り急ぎ〜〜まで」を目上の方にも使える文章にしていきましょう。たとえば「取り急ぎご連絡をいたします」「取り急ぎご報告をいたします」とします。

これであれば「取り急ぎ」で「急いで書いたため、内容がまとまっていません」という言い訳をし、続けて「報告をします・連絡をします」となり、ちゃんとした敬語になっています。

「取り急ぎ」目上の方に使える例文;

  • 例文「取り急ぎご報告をいたします」メール結び・締め
    × NG : 取り急ぎご報告まで
  • 例文「略儀ながら、まずはメールにてお礼申し上げます」メール結び・締め
    × NG:取り急ぎお礼まで。取り急ぎお礼を申し上げます。
  • 例文「取り急ぎご連絡をいたします」メール結び・締め
    × NG:取り急ぎご連絡まで

以上がざっくりとした「取り急ぎ」の意味と使い方、注意点となります。ここまで極めれば何も問題ありません。ここからはもう少しマニアックに語りますので、ご興味のある方だけどうぞ。

「取り急ぎ〜まで」の言い換え・類語まとめ

上の例文では「取り急ぎ〜まで」を使った丁寧な言い方を解説しました。他にも「取り急ぎ〜まで」と同じように使える言い換え・類語表現をまとめておきます。人によっては「取り急ぎ」を使われるのを嫌う場合があり、以下の言い換え表現を好みます。

※本当は「取り急ぎ」を使っても何も失礼ではありませんが、受けて側の気持ちの問題です。

略儀ながら、まずはメールにてお礼申し上げます

取り急ぎを「略儀ながら、まずは」「(大変・甚だ)略儀ではございますが、まずは」に言い換えると、やわらかい表現になります。

ここで「略儀ながら」は「礼儀を略す」という意味。また「甚だ(よみ:はなはだ)」は「とても」の意味であり、「大変」でも言い換えられます。

そうするとこれらの意味は「礼儀を略して(申し訳ないけど)、まず始めにメールでお礼しますよ」となり、とても丁寧な挨拶表現となります

※「お礼」は「御礼」でも構いません。

略儀ながら、まずはお礼かたがたご挨拶申し上げます

お礼を伝える時の定型文です。「お礼」は「御礼」でも構いません。

※「略儀ながら」は「(大変・甚だ)略儀ではございますが」に言い換えできる。

略儀ながら、まずはメールにて報告いたします

こちらも取り急ぎを「略儀ながら、まずは」に言い換えただけです。

※「略儀ながら」は「(大変・甚だ)略儀ではございますが」に言い換えできる。

略儀ながら、まずは用件のみにて失礼いたします

こちらも取り急ぎを「略儀ながら、まずは」に言い換え、後半の部分に申し訳ない気持ちが出るよう「失礼いたします」を使います。これは本当に簡潔なメールをした場合に使える表現ですね。

※「略儀ながら」は「(大変・甚だ)略儀ではございますが」に言い換えできる。

だまされるな!「取り急ぎ〜まで」の間違った注意点

ここからは、既存メディアの情報を正す内容になります。誰とは言いませんが、以下に訂正したような「勘違い主張」をする人は自身の経験のなさをアピールしているのと同じことです。

少なくとも営業として現場で10年鍛えられてから「言葉の使い方」を語ってもらいたいものですね…。

【誤】「取り急ぎ〜まで」は緊急のときしか使えない
【正】緊急じゃなくても使えるが、使う相手を考えるべき

至急連絡が必要な場合にしか「取り急ぎ〜まで」は使えない、という人がいますが、間違っています。たとえば、自分が忙しくて連絡が雑になってしまったときなどで使えます。急用じゃなくても使って構いません。ただし使う相手を考えるべきです。

「取り急ぎ〜まで」は社外の取引先やお客さん、目上の方(上司など)ビジネスメールでは使いません。使えるレベルは社内の同僚、同期、後輩くらいの相手で、要は自分と同格の相手にのみ使えます。理由はすでに示した通り「取り急ぎ〜まで」は文章として成立しないからです。

【誤】あとで必ず連絡をとることが前提
【正】そんな決まりはない

「取り急ぎ」って本当に急を要する案件があったときにだけ使う言葉だから、ってことでしょうが…。「取り急ぎご連絡まで」とメールしたら、あとで必ず連絡しなければならないの?

いやいや、そんな決まりはなく一旦連絡したのであれば、それで十分です。そもそも「取り急ぎ〜〜まで」は自分と同格、または下の相手にしか使えないフレーズです。気をつけましょう。

【誤】その他の連絡事項は入れない
【正】どんな情報を入れてもいい

「取り急ぎ」は自分のメールが簡略すぎることを申し訳なく思うときにも使います。ですから、どんなメールであっても使えますし、どんな連絡事項を入れても構いません。

多くの人は勘違いしていますが、急ぎで伝えたい内容があった場合にのみ「取り急ぎ」を使うわけではないのですよ。「取り急ぎ」の持つ意味をもっと深く考えましょう。

「取り急ぎ」を使った例文(全文)

例文①会社説明会の案内メールに返信

件名:Re: 会社説明会のご案内

株式会社○○
人事部 ○○様

平素は大変お世話になっております。
就活大学の就活太郎です。

お忙しいところ、ご案内をいただき誠にありがとうございます。日程等の詳細につき、確かに拝受いたしました。当日は何卒よろしくお願いいたします。

取り急ぎ、メール拝受のご報告を申し上げます。

署名

例文②資料送付メールに返信

件名:Re: 資料送付の件

株式会社○○
人事部 ○○様

平素は大変お世話になっております。
転職会社の転職です。

お忙しいところ、資料を送付いただき誠にありがとうございます。

まずは、資料拝受のご報告とお礼を申し上げます。

署名

例文③上司に仕事の進捗報告

件名:三菱化学むけの販売概況報告

◯◯部長

お疲れ様です。
さて首記の件、販売概況を取り急ぎ、ご報告申し上げます。

12月の販売概況報告(三菱化学むけ)

販売数量:1,000トン(計画比▲100トン)
売上:100百万円(計画比▲5百万円)
粗利益:30百万円(計画比+5百万円)
コメント:先方における稼働調整の影響で数量・売上ともに減少しましたが、値上効果により粗利益はプラスとなりました。

来期以降の販売戦略につき後日、打ち合わせをいたしたく存じます。
何卒よろしくお願いいたします。

署名

まとめ:「取り急ぎ」の使い方と全注意点

あまりに長い文章になってしまったので、これまでの事柄を簡潔にまとめます。

①まとまりのないメール、簡潔なメールに「取り急ぎ」を使う

メール内容がまとまっていなかったり、簡潔すぎる場合に「取り急ぎ」を使いましょう。たとえば、あなた自身が忙しすぎて、相手に満足のいくメールを書けなかった場合を考えましょう。そのとき、メールの締めに「取り急ぎご報告をいたします」とすれば「少しでも早く報告するため急いで書いたから、内容がまとまっていなくても許してね」というニュアンスが伝わります。※営業であればよくあります。特にスマホからメールを送る場合。

②「取り急ぎ」の意味には「多少の無礼はお許しを」も含まれる

これは上述した通りになりますが、よく勘違いされる方がいらっしゃるため書いておきました。「取り急ぎ」には「急ぐ」という意味に加えて「急いで書いたので、多少の無礼はお許しを」という申し訳なさを示す意味も含まれます。

③本当に急ぎの場合も「取り急ぎ」を使う

とはいえ、本当に急ぎの場合も当然「取り急ぎ」を使います。

たとえば「前にお願いしてた案件どうなった?」と上司からメールが来た時のことを考えましょう。あなたは1分でも早く報告をしなければいけません。そうすると、メールの構成など二の次になります。そんなときに「取り急ぎご報告をいたします」としておけば「急いで報告をしました」「急いで書いたから多少の無礼は許してね」の意味になり、素晴らしく丁寧なメールになりますね。

④「取り急ぎご連絡まで・ご報告まで」は目上・取引先には使わない

こちらも上述した通りになりますが、念のためまとめておきました。「取り急ぎ〜まで」という表現は相手が同格または下の場合にだけ使います。目上の方、取引先、顧客には使いませんので、ご注意ください。

⑤「取り急ぎお礼まで」は使わない

「まずは、お礼申し上げます」などとします。

⑥「取り急ぎ」を「まずは」に言い換えると柔らかい表現になる

「取り急ぎ」は人によって嫌う場合があります。「まずは」に言い換えると、より柔らかい表現となります。

筆者の小言

これでもかというくらい「取り急ぎ」について語ってみました。

この「取り急ぎ」はとても便利で、ビジネスシーンでは万能に活躍します。

ということで、メール内容が簡潔すぎたり、まとまりがなくなってしまった場合に使ってみてください。ではでは〜〜。