「ご活躍」「ご活躍を期待しております」の意味と使い方、注意点について例文つきで誰よりも詳しく解説していく記事。まずは基本として「ご活躍を期待しております」は目上の人に使うと失礼にあたります。「ご活躍をお祈り申し上げます」などとしましょう。その理由は記事中で解説しています。
異動の挨拶、退職の挨拶など「お別れ」のビジネスシーン(メール・スピーチ)で使われる「ご活躍」「ご活躍を期待しております」ですので、この機会にマスターしておきましょう。
※特に目上の方 ⇄ 目下の人に使えるの?使えないの?という観点を中心に見ていきます。
※長文になりますので、時間の無い方は「パッと読むための見出し」より目的部分へどうぞ。
「ご活躍を期待しております」は目上の方には使わない
「ご活躍を期待しております」は目上の方には使いません。「ご活躍」は後述するとして、ここでの問題は「期待しております」の部分にあります。
「期待する」の意味は「当てにして心待ちにする」
問題部分「期待しております」の意味を考えてみましょう。辞書によると「期待する」の意味は「当てにして心待ちにする、あることが実現するだろうと望みをかけて待ち受ける」とあります。「期待する」を謙譲語「〜おります」を使って「期待しております」となるので、敬語としては成立します。でもでも、敬語にしたからといって誰にでも使える、といことにはならないので要注意です。
ご活躍を期待しております ≒ 仕事の成果を期待してるよ ← どれだけ上からだ?
これらを併せて「ご活躍を期待しております」のビジネスシーンでの意味をわかりやすくすると「あなたの仕事の成果を当てにして待ってますよ」となります。もっと極端に言うのであれば「あなたの仕事の成果、はよ出してくれや!」ということです。※ビジネスシーンでの「ご活躍 」の意味は「仕事での成果」
さて、ここで問題です。部下(目下)が上司(目上)に「仕事の成果を期待してるよ」って言うのは正しいでしょうか?
「お前に言われる筋合いはねぇ!」となることは間違いないでしょう(苦笑)。
ということで、たとえ敬語にしているとはいえ「ご活躍を期待しております」を目上の方に使うのは止めておきましょう。
「ご活躍を期待しております」は目上 → 目下のみに使う
「ご活躍を期待しております」は目上 → 目下に使うのは大丈夫です。なぜなら目上(上司)は目下(部下)の仕事の成果を期待してもよいポジションにいるから。逆はおかしい。
たとえば、部下が転勤することになった際、上司から送るスピーチやメールで「今後のご活躍を期待しております」として使います。
目上 ⇄ 目下どちらも使える表現は「ご活躍を祈念しております」など
前項で「ご活躍を期待しております」が目上 → 目下の人にしか使えないのが分かりました。とすると「目上 ⇄ 目下」のどちらにも使える便利な敬語ってないの?となります。
その答えは「ご活躍を祈念しております」などです。これの意味は「ご活躍 = 仕事での成果」を「祈念する = 祈っている」で、謙譲語「〜おります」を使って敬語にしています。これらを併せると「あなたの仕事の成果を祈っています」となり、素晴らしい敬語表現になりますね。※「ご活躍を祈念しております」の他にも使える敬語の例を下にまとめておきます。
- ○○様の益々のご活躍をお祈りいたします。(メール文末・締め)
- ○○様のご活躍をお祈りいたします。(メール文末・締め)
- ○○様のご活躍を祈念しております。(メール文末・締め)
- ○○様の今後のご活躍を、心よりお祈り申し上げます。(メール文末・締め)
- 皆様のご健勝とご活躍を、心よりお祈り申し上げます。(メール文末・締め)
「期待する」と「祈る」の違い
ここで鋭いあなたは「祈る」って「期待する」と同じ意味じゃないの?と思われることでしょう。残念ながら「期待する」と「祈る」の意味は大きく違います。「期待」はあることに対して、90%くらいの確率でワクワクしています。一方で「祈る」はあることに対して、何もワクワクせずにただ純粋に願っている状況です。
たとえば仕事の成果に「期待する」場合、言葉を発した上司は、あなたの成果をほぼ確実にワクワクして待っています。この言葉を受けるあなたは、上司のワクワクを裏切るわけにはいかず、プレッシャーになるでしょう。
一方で仕事の成果を「祈る」場合、言葉を発した上司は、あなたの成果をただ純粋に願っているだけです。この言葉を受けるあなたは、何もプレッシャーを感じずに済みます(実際にはどちらにせよプレッシャーを感じる)。
相手を思いやるなら「祈る」「祈念する」を使う
ということで、相手への「思いやり」をするのであれば断然「祈る」の方になるわけです。
さて長くなりましたが、すべての疑問がすっきりしたところで「ご活躍」の意味と使い方、注意点を解説します。
「ご活躍」の意味と使い方
「ご活躍(ご活躍)」は「活躍」に「ご」をつけ、尊敬語にしたものです。
「ご活躍」の意味は「相手の活発な行動、それによる成果」のこと。ビジネスシーンにおける「活躍」の意味は当然「仕事での成果」ということになります。
「ご活躍」は目上の人に使ってよいし、目下にも使える
「ご活躍」は目上 → 目下の人へ使う表現で、目下 → 目上の方へ使わないほうがよい、という意見があります。おそらく「活躍 ≒ まぁ頑張ってくれよ!」みたいな意味を連想させるからでしょう。
ただ実際のとことは目上 ⇄ 目下、どちらにも使えます。
理由は尊敬語「ご」をつけているからで、敬語として十分に丁寧な表現になっています。また、よく使う例文「ご活躍をお祈りいたします」の意味を考えると「お仕事での成果を祈っています」ということなので、なんら問題のない敬語です。
いっぽうで「ご活躍」は目上 → 目下(上司→部下など)にも使える表現。私自身、異動の際に上司から「ご活躍」を使ったビジネスメールを貰ったことがあります。
「ご活躍」の使い方・例文
「ご活躍」の使い方は先ほどの「ご健勝」「ご多幸」と同じく、主にメールや手紙の文末で締めくくりとして使われます。「ご活躍」は特にお別れの場面で「これからも仕事で成果をだせるように祈ってますよ、頑張って下さい」の意味で使われます。ビジネスシーンでは退職者へのエール、転勤者へのエールなどで使うことができます。
- ○○様の益々のご活躍をお祈りいたします。(メール文末・締め)
- ○○様のご活躍をお祈りいたします。(メール文末・締め)
- ○○様のご活躍を祈念しております。(メール文末・締め)
- ○○様の今後のご活躍を、心よりお祈り申し上げます。(メール文末・締め)
- 皆様のご健勝とご活躍を、心よりお祈り申し上げます。(メール文末・締め)
「ご活躍」は個人に対して使い、企業や団体へは「ご発展」を使う
「ご活躍」を使うときの注意点を少し。「ご活躍」は「仕事での成果」という意味ですので、個人に対して使います。企業や団体へ「ご活躍」と同じように使う表現には「ご発展」「ご盛栄」「ご隆昌」「ご清栄」があります。たとえば「貴社のますますのご発展を祈念しております」というように使います。
参考 → 「ご健勝」「ご多幸」「ご活躍」の意味と違い・使い方【例文あり】
「ご活躍」を使ったビジネスメールの全文
転勤・異動者から来たメールに返信する際に使う例文となります。
転勤・異動挨拶メールへ返信する(部下→上司)
件名:Re: 転勤のご挨拶
○○課長
異動のご挨拶をいただき、誠にありがとうございます。
これまで5年間お世話になりました。
○○課長のおかげで、厳しい状況の中でも楽しく仕事に打ち込むことができました。
また、仕事に行き詰まったときのご助言と温かい励ましのお言葉があり、ここまで成長することができました。本当にありがとうございました。
新天地におかれましても、益々のご活躍を祈念しております。
今後ともご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
転勤・異動挨拶メールへ返信する(自分→取引先)
件名:Re: 異動のご挨拶(転職会社・転職)
株式会社○○
開発部 ○○様
平素は大変お世話になっております。
転職会社の転職です。
お忙しいところ、異動のご挨拶をいただき誠にありがとうございます。
○○様にご担当いただいたことで、私も滞りなく仕事を進めることができました。
あらためてお礼を申し上げます。
新天地におかれましても、○○様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。
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異動の挨拶メールへ返信する場合には「お礼 → 何か一言、二言 → エールを送る定型文 → メール締めくくり」で構成されていることが理想です。これはあくまでも理想論です。絶対ではないので柔軟にご対応下さい。
これからいなくなる人=異動者に対して、丁寧に挨拶をしても見返りが何もないので虚しいだけ。何か一言〜二言が思いつかなければ、例文をそのまま使ってください。長考するのは時間の無駄です。
ちなみに私は社内の異動者・転勤者からくるメールには「ありがとうございました。今後ともよろしく」的なことしか返信しません。いなくなる人のために時間を使うのが、めんどくさいからです。本当はダメって分かっているのですが…。ただ、取引先へのメール返信はかなりガチでやります。
まとめ
これでもかというくらい「ご活躍」について語ってみました。挨拶で使える言葉というのは、めったに使わないので、使い分けが難しいですね…。
これはもう、ありとあらゆる場面を経験し、分からなかったら都度確認して慣れていくしかないです。一番悪いのは、調べないで適当に挨拶を使ってしまうことです。
頭でどうこうなるものではないので是非、ビジネスシーンで場数を踏んでくださいね。ではでは~~。