「取り急ぎお礼まで、ご連絡まで」意味と目上の方への正しい使い方

「取り急ぎ」「取り急ぎお礼まで・ご連絡まで」の意味と使い方、違い、注意点について例文つきで誰よりも詳しく解説していく記事。

そもそも「取り急ぎお礼まで・ご連絡まで」は正しい使い方でしょうか?目上の方へ使う時にはどうしたらよいでしょうか?

まずは「取り急ぎお礼まで、ご連絡まで」の要点を以下にまとめます。

●意味:とりあえず急いでお礼(連絡)します

●使い方:何か急ぎの用件があるときに使う

●例文「取り急ぎお礼まで」※一般的ではない使い方です
●例文「取り急ぎご連絡まで」※目上の人に使うと失礼にあたります
●例文「取り急ぎご報告まで」※目上の人に使うと失礼にあたります

●注意点:目上の人には「~まで」を使わない!丁寧な言い換えをする

●言い換え例「取り急ぎご連絡(ご報告)いたします」※上司に使うならこの程度でOK
●言い換え例「取り急ぎお礼申し上げます」※一般的ではない使い方
→ ビジネスメールに使うときにはもっと丁寧な敬語が好ましい。

●注意点:ビジネスメールで使える丁寧な言い換え

●言い換え例「(大変・甚だ)略儀ではございますが、まずはメールにてお礼申し上げます」
●言い換え例「(大変・甚だ)略儀ではございますが、まずはお礼かたがたご挨拶申し上げます」
●言い換え例「(大変・甚だ)略儀ながら、まずは用件のみにて失礼致します」
→ これらはビジネスメールに使えるすばらしく丁寧な敬語表現。

ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、本文中では例文を豊富に使いながら、くわしく説明していきます。急ぎのビジネスメールで使われる「取り急ぎ」ですので、この機会にマスターしておきましょう。

取り急ぎの意味は「とりあえず(かなり)急いで」

「取り急ぎ」の意味を辞書で確認すると「とりあえず(かなり)急いで。多く、手紙文の文尾に用いる」とあり、何か急ぎの用事があるときに使う表現であることが分かります。なぜ「取り急ぎ」が「とりあえず急いで」の意味になるのでしょうか?もっと詳しく考えてみます。

「取り急ぎ」の「取り」の意味を考える

また「取り急ぎ」の原型を考えると「急ぎ」に接頭語「取り(とり)」をつけた言葉です。「急ぎ」はそのままの意味ですので省略し「取り」の意味を考えましょう。

ここで使われている接頭語「取り(とり)」の意味は語勢を強める目的で使われ「取り敢えず」の意味ではありません。「 取りつくろう」「取り決める」「取り調べる」と同じ意味・用法の「取り」です。※語勢とは「言葉の勢い」の意味ですから、言葉を強調したいときに使う「取り」ということですね。

「取り急ぎ」の本来の意味を考えると「急ぐ」を強調して「かなり急ぐよ」ということですね。本来の意味はそういうことですが、手紙やメールで使われているうちに意味が変化して、現在の「形式的なことは色々と省略して、とりあえず、かなり急ぎで!!」の意味となったのでしょう。

ビジネスメールで使う「取り急ぎ」の意味は少し違う

ビジネスメールで使う「取り急ぎ」の意味は「少しでも早く伝えるために急いで書いたから、とにかく内容もまとまってないし、礼儀とかなんとか抜きにするよ」として使われます。

たとえば「取り急ぎご報告まで」とメールにあった場合「とにかく、めっちゃ急いで報告するわ!」ということになりますし、「取り急ぎお礼まで」とあった場合「とにかく、めっちゃ急いでお礼するわ!」ということになります。

「取り急ぎ」には「少しでも早く伝えるため急いで書いたから、内容がまとまっていなくても許してね」という申し訳なさを表すニュアンスが含まれます。

「取り急ぎご報告まで・ご連絡まで」は目上の方には使わない!ビジネスメールでも使わない!

「取り急ぎ」を使った言葉として、ビジネスシーンで最もよくあるのは「取り急ぎご報告まで」「取り急ぎご連絡まで」といった「〜まで」を使う表現です。ただし「取り急ぎ〜まで」は相手が取引先であったり、目上の方であったときには使えません。

なぜ目上の方に使ったらダメ?

まずメールで「取り急ぎ」を使う場合「急いで書いたため、内容がまとまっていません」という申し訳なさを示す意味で使われます。これは問題ないでしょう。

ところが「〜まで」の部分に問題あり。「ご連絡まで」「ご報告まで」といった言葉がよく使われますが、ここがマズイ。理由は文章として成り立っていないから。文章として成り立っていない言葉を取引先や目上の方(上司など)に使うのは基本、NGです。

「お大事に!」「良いお年を!」といった表現を目上の方に使ってはいけないのと同じです。※「お大事になさってください」「良いお年をお迎えください」などとする。

丁寧な言い換え例文

繰り返しにはなりますが、目上の人やビジネスメールで使うのにふさわしい「言い換え表現」を以下にてまとめます。意味や使い方は次項にてくわしく解説します。

  • 言い換え「(大変・甚だ)略儀ではございますが、まずはメールにてお礼申し上げます」
  • 言い換え「(大変・甚だ)略儀ではございますが、まずはお礼かたがたご挨拶申し上げます」
  • 言い換え「(大変・甚だ)略儀ながら、まずは用件のみにて失礼致します」
  • 言い換え「(大変・甚だ)略儀ながら、まずはメールにて報告いたします」
  • 言い換え「(大変・甚だ)略儀ながら、まずはメールにて連絡いたします」

「取り急ぎお礼まで」は使わない

「取り急ぎお礼まで」はどんな場面でも避けた方が無難です。なぜダメかというと、単なる受け手の気持ちの問題です。

「取り急ぎお礼まで」って言われるとなんか、適当な感じでお礼をされたかのように受け取ってしまう人がいるのですよね…。私はこういう使い方をされても気になりませんが、そういう人も多いということです。

そこで、より丁寧な敬語に言い換えが必要になります。–つづく–