「略儀ながら」はお詫びメールに使える?使い方と注意点【例文あり】

「略儀ながら」をお詫びメールで使うときの使い方と注意点について、誰よりも親切に解説する記事。

まずは結論として「略儀ながらメールにて」はお詫びメールに使えます。が、使い方をより丁寧な表現に言い換えしましょう。具体的な使い方、注意点については記事中にまとめます。

「略儀ながら」はお詫びメールに使える!

「略儀ながら」は「礼儀を略す」という行為を自覚している言葉だからダメだ!という人がいますが…普通に使えます。

理由を論理立てて解説しましょう。

  1. 「略儀ながら…」は自身が礼儀を欠いていることを認めつつも、メールや書面で連絡をするという意味
  2. お詫びは本来、行って謝罪するべき
  3. でもアポがとれない
  4. 仕方ないので無礼だと知った上でお詫びメールする!
  5. 礼儀を欠いていることを認めた上で謝罪している、と相手にアピール!
  6. 「本来なら伺いお詫びすべきところ」「略儀ながら」を使う

ということで「略儀ながら〜」をお詫びメールに使っても良い、という結論になります。本来であればお詫びは、すぐ相手のところへ行って謝罪するのが礼儀です。

ただビジネスシーンでは、謝罪が必要だけど相手がつかまらない、話すことができない場合もあります。そんなときに、まずはお詫びメールで謝罪をすることになります。

お詫びメールに使うときは、より丁寧に!

「略儀ながら〜」というのは敬語ではなく、手紙を出すときの結びに使う定型文です。お詫びメールは丁寧に謝罪することが最も重要ですから、以下に示す例文のように言い換えしましょう。

略儀ではございますが、まずはメールにてお詫び申し上げます。

意味は「礼儀を略して、とりあえずメールで謝罪します」。

お詫びをしたいけど相手に電話がつながらない、アポイントが取れない、などの理由で、すぐにお詫びできないときに使いますね。

そして、これを更に丁寧な表現にするため「本来であれば直接伺いお詫びすべきところ、甚だ略儀ではございますが、まずは書面にてお詫び申し上げます」などとしましょう。

※ただし、行ってお詫びすべき案件であるため、メールや書中だけで済ませるとイマイチです。フォローをきっちりと行いましょう。

その他にも使えそうな例文を下にまとめます。

  • 本来であれば直接伺いお詫びすべきところ、略儀ではございますが、まずは書面をもってお詫び申し上げます。(結び・締め)
  • 本来であれば直接伺いお詫びすべきところ、甚だ略儀ではございますが、まずは書中をもちましてお詫び申し上げます。※「甚だ=大変、とても、非常に」の意味

略儀ながら〜を使うときの注意点

つづいて、お詫びメールで「略儀ながら〜」を使う際の注意点をまとめます。

注意①必ず文末に使い、それ以降には何も書かない

くどいですが「略儀ながら〜」の意味は「一部の礼儀を略しますが、」として、メールや手紙の締めくくりとして使います。ですから、それ以降に何か文章がくるのはおかしいです。

×NG例:まずは略儀ながら、メールにてご挨拶申し上げます。今後ともよろしくお願い致します。(不要)

注意②文章のみで使い、話し言葉には使わない

「略儀ながら〜」は文章だけで使用し、会話では使いません。なぜなら、ビジネス会話のシーンで礼儀を省略するケースはないから。手紙やメールで使いましょう。

お詫びメールの例文(全文)

以上のことを踏まえて「略儀ながら」を使ったお詫びメールを全文にします。メール署名やメール冒頭の挨拶は省略しています。また、改行は適切に行ってください。

例文①納期遅延のお詫びメール

件名: 納期遅延のお詫び(転職会社・転職)
〜前略〜
このたびは、商品○○○につきまして、納期が遅れましたことを心よりお詫び申し上げます。
原因を調査しましたところ、弊社内における事務手続きの不手際であることが判明いたしました。ご迷惑をおかけしましたこと、重ねてお詫び申し上げます。
再発防止に向け、管理体制の見直しを実施して参りますので、今後とも変わらぬお引き立てのほど、何卒よろしくお願い申し上げます。また、近日中にお詫びに伺いたく存じます。
本来であれば直接伺いお詫びすべきところ、甚だ略儀ではございますが、まずはメールにてお詫び申し上げます。 メール署名

例文②品質トラブル、欠品のお詫びメール

件名: 商品欠品のお詫び(転職会社・転職)
〜前略〜
このたびは商品の欠品があり、ご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。不良のあったロットに関し、すぐにお取り替えの手配をいたします。日頃より商品の品質管理には細心の注意をはらっておりますが、このたびのことは、弊社の管理体制に不備があると深く反省いたしております。弊社内にて原因究明を早急に行い、再発防止策につき検討して参ります。また、近日中にご報告に伺いたく存じます。
甚だ略儀ではございますが、まずはメールにてお詫びを申しあげます。 メール署名

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参考 → 「お伺いしたい」「伺いたい」「伺いたく存じます」正しい敬語は?

参考 → お伺い致します/お伺いします/お伺いさせて頂きます…正しい敬語は?

ここまでで、お詫びメールに使う「略儀ながら」のポイントは完了です。ここからは、そもそもの意味と使い方を解説していますので、ご興味のある方だけどうぞ。

「略儀ながら」の意味は「礼儀の一部を省略しますが」

「略儀(りゃくぎ)ながら」の意味は「礼儀の一部を省略しますが…」です。「略」は何かを省くことを意味し、「儀」は正式な儀式や礼儀などを意味します。したがって、この2つの漢字を併せると「略儀ながら = 礼儀・儀式の一部を略しますが…」となります。

略儀ながらメールにて…の意味

上記より「略儀ながらメール/書中/書面にて」の意味は「礼儀の一部を略しますが、メール/書中/書面にて失礼します」ということになります。ここで言う礼儀とは、行ってお礼なり、お詫びなり、お見舞いすることで、「本来ならば行ってお礼すべきところ、メールとか書面で失礼します」という意味も含まれます。

略儀ながらにて…は「文末の結び」に使う

つづいて使い方ですが、メールや手紙の文末の結び、締めくくりとして使います。「略儀ながら」を使ったら、それ以降に文章を書いてはいけません。

たとえば、メールの締めとして「まずは略儀ながら、メールにてお悔やみを申し上げます」などと使います。これの意味は「本来であれば行くべきだけど、礼儀を省略してまずはメールでお悔やみします」ということです。

※ただし「お悔み」はメールや書中だけで済ませると相当にイマイチです。本当に仕方ない場合だけにしましょう。

「まずは略儀ながら〜」を使うと、より丁寧

手紙やメールの締めに使われる「まずは = ひとまず、とにかく、とりあえず」を用いて、「まずは略儀ながら〜」を使うとより丁寧な表現になります。意味は「ひとまず、礼儀を省略して〜〜」ですね。

文章の最後になって唐突に「略儀ながら〜」が登場すると、なんとな〜くイマイチですからね。ひとまずこれから結びに入りますよ、というクッション言葉の「まずは」を入れたほうがベターでしょう。

「略儀ではございますが」を使うと、より丁寧

「略儀ながら〜」は敬語ではありませんが、目上 ⇄ 目下の人のどちらにも使える表現です。ただ、より丁寧な敬語にすると「略儀ではございますが、〜〜」となります。

たとえば謝罪をするビジネスメールでは「甚だ略儀ではございますが、まずは書面にてお詫び申し上げます」を結びとして使うと丁寧です。

※ただし「お詫び」はメールや書中だけで済ませると相当にイマイチです。本当に仕方ない場合だけにしましょう。

「甚だ略儀ではございますが」を使うと、より丁寧

「甚だ」の意味は「大変、とっても、非常に」です。「甚だ略儀」で「大変に略儀」という意味です。ちょっとやりすぎ感があるかもしれませんが、本当に「かしこまりたい」ときには使えます。

略儀ながらメールにて…の例文(シーン別)

略儀ながら〜を使うビジネスシーンは「本当は行くべきところ、メールや書中で済ませている何か」ということになります。結論としては、挨拶・お礼・お詫び・お見舞い・お悔やみ・年末年始などの場面で使えます。

※ただし、本来であれば行くべき案件であるため、メールや書中だけで済ませるとイマイチです。本当に仕方ない場合だけにしましょう。

使えるビジネスシーンごとに例文をまとめます。

例文①お礼をする

ビジネスシーンでは、何かのお礼をしたいけど、すぐには会う機会がないときに「略儀ながら」としてお礼メールなりお礼状を出します。たとえば、取引先から暑中・寒中見舞いを受け取ったときですね。使えるビジネスメールの例文をまとめておきます。

  • 略儀ながら、書中をもってお礼を申し上げます。(結び・締め)
  • まずは略儀ながら、書面にてお礼を申し上げます。(結び・締め)
  • 略儀ではございますが、まずはメールにてお礼を申し上げます。(結び・締め)
  • 略儀ではございますが、御礼かたがたメールにてご挨拶申し上げます。(結び・締め)

例文②お詫び・謝罪をする

重複していますので割愛します。

例文③お悔みをする

ビジネスシーンでは、亡くなった方への「お悔やみ」が必要だけど相手がつかまらない、話すことができないときにお悔みメールや手紙を送ります。使えるビジネスメールの例文をまとめておきます。

  • 甚だ略儀ではございますが、書面をもってお悔やみを申し上げます。(結び・締め)

例文④その他、挨拶や報告など

「略儀ながら〜」は挨拶や報告などのビジネスメール締めとしても使えます。公式〜やや公式な場面で、相手に敬意を表したい場合に使われます。

  • まずは略儀ながら、メールにてご挨拶申し上げます。(挨拶)
  • まずは略儀ながら、書面にて社名変更のご挨拶を申し上げます。(挨拶)
  • まずは略儀ながら、書中をもって創立50周年の御挨拶を申し上げます。(挨拶)
  • 甚だ略儀ではございますが、書面をもって退任のご挨拶を申し上げます。(挨拶)
  • 略儀ながら、書中をもちまして新任のご挨拶とさせていただきます。(挨拶)

 略儀ながら〜の類語・言い換え表現

「略儀ながら」を使うのに抵抗のある方は、以下の類語・言い換え表現をご使用ください。

  • 取り急ぎご報告を申し上げます。(本当に急ぎの場合だけ)
  • まずは御礼かたがたご挨拶を申し上げます。
  • 末筆ながら、書面にて社名変更のご挨拶を申し上げます。

参考 → 「末筆ながら〜ご活躍・ご健勝」の意味とビジネスメールでの使い方

参考 → 「取り急ぎお礼まで/ご連絡まで」意味と目上の方への正しい使い方

略儀ながら〜を使った例文(全文)

メール署名やメール冒頭の挨拶は省略しています。また、改行は適切に行ってください。

例文①お礼メール

件名: お品の御礼(転職会社・転職)
〜前略〜
このたびは、結構なお品物をいただきまして、誠にありがとうございました。
部員一同で、とても美味しくいただきました。温かいお心遣いに、一同感謝申し上げております。来年度も変わらぬお付き合いのほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
寒さ厳しき折、皆様くれぐれもご自愛くださいませ。略儀ではございますが、まずはメールにて御礼申し上げます。 メール署名

例文②お悔みメール

件名: お悔み申し上げます(転職会社・転職)
〜前略〜
このたびはお身内にご不幸があったと伺い、本当に驚いております。
ご尊父様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
心身ともに大変な時期かと存じますが、くれぐれもご自愛くださいませ。
本来であれば直接お目にかかりお悔やみを申し上げたいところではございますが、
まずは略儀ながらメールにて失礼いたします。 メール署名

まとめ

今回は略儀ながら〜のお詫びメールにおける意味と使いかた、注意点について解説しました。これで全て網羅したつもりですが、もしご不明な点がございましたら、コメント欄にお願いいたします。