「お受け取りの程よろしくお願い致します」は正しい敬語ではあるものの、ビジネスシーンで使うのは一般的ではありません。
そこで…
- 【例文】ご査収の程よろしくお願い致します
- 【例文】ご査収くださいますようお願い申し上げます
- 【例文】ご査収いただきますようお願い申し上げます
- 【例文】ご査収いただければ幸いです
のように「ご査収(読み:ごさしゅう)」をつかったフレーズに言い換えすると丁寧です。
あるいはご祝儀やギフト・贈答品を「お受け取りの程よろしくお願い致します」であれば…
- 【例文】ご笑納の程よろしくお願い致します
- 【例文】ご笑納くださいますようお願い申し上げます
- 【例文】ご笑納いただけましたら幸甚に存じます
- 【例文】ご笑納いただければ幸いです
のように「ご笑納(読み:ごしょうのう)」をつかったフレーズに言い換えすると丁寧です。
それぞれの例文について意味やくわしい解説は本文にて。
それでは、
「お受け取りの程よろしくお願い致します」が正しい敬語である理由と、正しいにもかかわらず使われない理由、より丁寧な「ご査収」のビジネスシーン(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外取引先・目上・就活・転職)での使い方、例文を紹介します。
「お受け取りの程よろしくお願い致します」は敬語として正しい
まずは「お受け取りの程よろしくお願い致します」がなぜ敬語として正しいのかを見ていきます。
敬語としての成り立ちを細かく解説すると…
「お受け取りの程」の敬語
まずは「お受け取りの程」の敬語について。
- もとの単語「受け取り」に尊敬語or謙譲語「お(ご)」で「お受け取り」
- 断定を避ける「~のほど」で「お受け取りのほど」
「お受け取りの程」のように漢字をもちいても「お受け取りのほど」のように平仮名でもOK
ちなみに「お(ご)」には謙譲語・尊敬語の両方の使い方があります
「自分がお受け取りする」のであれば謙譲語としての使い方。
上司・目上・取引先などの「相手がお受け取りくださる」のであれば尊敬語としての使い方。
ここではどちらかハッキリしないため「尊敬語or謙譲語」としました。いずれにせよ正しい敬語の使い方です。
「お(ご)」は尊敬語と謙譲語の使い方があり、ややこしい敬語です。ご注意を
「よろしくお願い致します」の敬語
つづいて「よろしくお願い致します」の敬語について。
- もとになる単語は「願う」
- 謙譲語「お〜いたす」で「お願い致す」
- さらに丁寧語「ます」を使って「お願い致します」
- 人に何かを頼んだりするときに添える語「よろしく」で「よろしくお願い致します」
上記のようにして敬語にしています。
お受け取りのほど〜の「のほど」ってどんな意味?
ここで「お受け取りのほど」の「のほど」は限定を避ける言い方で、とくに深い意味はありません。断定をさけて表現をやわらげるのに用いる語です。
ここでの意味としては「①〜してもらうよう」「②〜してくれるよう」と2通り考えることができます。
すると「お受け取りのほど~」の意味は…
「受け取ってくれるよう~」
「受け取ってもらうよう~」
というように解釈できます。
「●●のほど」の色々な使い方・例文
ちなみに「〜のほど」はたとえば、
- ご査収のほどお願い申し上げます
意味「よく中身をよく調べて受け取って受け取るよう、お願い」 - お取り計らいのほどお願い申し上げます
意味「物事をうまく進めてくれるよう、お願い」 - ご検討のほどお願い申し上げます
意味「検討してくれるよう、お願い」 - ご了承のほどお願い申し上げます
意味「納得・承認してくれるよう、お願い」 - ご理解のほどお願い申し上げます
意味「理解してくれるよう、お願い」
などのようにして使います。
これらはもともと「●●してください」という命令形なのですが、「〜のほど」を使うことによって相手に強制しないやんわ〜りとした表現となっています。
ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。
【補足】敬語の種類(ざっくり復習)
① 尊敬語とは?
相手をうやまって使う敬語の一種。
相手の行為にたいして使い、自分の行為には使わないことが基本。
敬語の種類はほかに②謙譲語、③丁寧語がある
② 謙譲語とは?
自分をへりくだって下にすることで、相手への敬意をあらわす敬語。
自分の行為に使い、相手の行為には使わないことが基本(例外あり)。
③ 丁寧語とは?
いわゆる「です・ます」口調のこと。
ビジネスシーンで「お受け取りの程」を使わない理由
ここまでの解説で「お受け取りの程よろしくお願い致します」が正しい敬語であることがわかりました。
ここからは、
なぜ正しいにもかかわらずビジネスシーンではイマイチなのか、その理由を解説します。
「お受け取り」という敬語フレーズがしっくりこない
「お受け取りの程よろしくお願い致します」が上司・目上やビジネスメールにイマイチ使われない理由
「お受け取り」というフレーズがビジネスにおいてはイマイチしっくり来ない表現です。
失礼とまでは言わないものの「お受け取り」という言葉は小学生から大人まで万人がつかうフレーズであり、なんとな~く幼稚な感じがするのですよね。
※ただし本当に「受け取る」がふさわしいビジネスシーンであれば使ってもよい
ビジネスメールには堅苦しい敬語がオススメ
ビジネスメールにおいてはより堅苦しい敬語フレーズが好まれます。
なぜならメールは会話と違い、態度で敬意をしめすことができないから。メールにおいては丁寧な敬語フレーズを使うことが上司や目上のひとにたいする最大限の配慮なのです。
とくに、
あまり親睦のない取引先への社外メールや、きびしい上司・目上へのビジネスメールには言い換えするほうが無難です。
相手に「受け取ってほしい」つまり何かしらのお願い・依頼ビジネスメールに使うフレーズですので、より丁寧な文章を心がけたいものです。
「お受け取りの程」の言い換え敬語「ご査収」の意味
ここまでの解説で「お受け取りの程よろしくお願い致します」が正しい敬語である理由と、正しいにもかかわらずビジネスシーンではイマイチ使われない理由がわかりました。
ここからは、
より丁寧な言い換え敬語「ご査収」の意味とビジネスシーン(メール・手紙・上司・目上など)にふさわしい使い方を、メール例文つきで解説していきます。
ご査収の意味は(金銭・物品・書類などを)受け取ること
「ご査収」のそもそもの意味は「金銭・物品・書類などを、よく調べて受け取ること」
たとえば、
【例文】履歴書を添付ファイルにて送付いたします。ご査収ください
【例文】下記の書類を郵送いたしました。ご査収のほどお願い申し上げます
のようにして使います。
もとになる語「査収」に尊敬語or謙譲語「お(ご)」で「ご査収」という敬語にしています。
「自分がご査収する」のであれば謙譲語としての使い方。
上司・目上・取引先などの「相手がご査収くださる」のであれば尊敬語としての使い方。
ちなみに「ご査収ください」だと…
「相手が受け取ってくださる+命令形」ですので尊敬語「ご」を使っています。
「お(ご)」は尊敬語と謙譲語の使い方があり、ややこしい敬語です。ご注意を
「ご査収の程よろしくお願い致します」の意味は…
「お受け取りの程よろしくお願い致します」を「ご査収」で言い換えると…
「ご査収の程よろしくお願い致します」
意味は「金銭・物品・書類などを、よく調べて受け取ってくれるようお願いします」
まぁようするに「受け取ってください」という意味ですね。
丁寧な「ご査収」の使い方・例文
ここまでの解説で「ご査収」の意味と敬語がわかりました。
ここからは、
もっと実用的に「ご査収」のビジネスメールチックな敬語フレーズ、つまり堅苦しい表現について紹介していきます。
どの例文もビジネスメールに使うのにふさわしいカチッとした敬語にしています。目上・上司はもちろんのこと、社外取引先にも使えますのでご参考にどうぞ。
ご査収いただきたく存じます
目上・ビジネスメールに使える「ご査収ください」の敬語フレーズ
「受け取ってほしい!」と言いたいときに使える敬語
- 例文「ご査収いただきたく存じます」
意味は「よく調べて受け取ってもらいたいと思います」
「ご査収いただきたい」つまり「よく調べて受け取ってもらいたい!」と自分の意思をつよく主張するのではなく「よく調べて受け取ってもらいたいと思うのだけど…」としているため、やんわ〜りとした敬語フレーズになります。
相手への配慮が感じられ、目上・上司・取引先に使える丁寧な敬語であることがわかります。
▼敬語の種類
- 「お(ご)●●してもらう」の謙譲語「お(ご)●●いただく」
- 願望の「~したい」
- 「思う」の謙譲語+丁寧語「ます」で「存じます」
ご査収いただければと存じます
目上・ビジネスメールに使える「ご査収ください」の敬語フレーズ
「受け取ってほしい!」と言いたいときに使える敬語
- 例文「ご査収いただければと存じます」
意味は『よく調べて受け取ってもらえたらと思います』
目上・取引先・上司などの相手に「よく調べて受け取ってもらえたらなぁ…と思う」というようにやんわ〜りとお願いする敬語フレーズであり、とても丁寧です。
使い方はさきほどの解説とかぶるため省略しておきます。
また敬語の種類は…
- 「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+仮定の「れば」
- 「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」
というように成り立ちます。
ご査収いただければ幸いです
目上・ビジネスメールに使える「ご査収ください」の敬語フレーズ
「受け取ってほしい!」と言いたいときに使える敬語
- 例文「ご査収いただければ幸いです」
意味は『よく調べて受け取ってもらえたら嬉しいです』
目上・取引先・上司などの相手に「よく調べて受け取ってもらえたらなぁ…」というようにやんわ〜りとお願いする敬語フレーズであり、とても丁寧です。
使い方はこれまでと重複するため省きます。
また敬語の種類は…
- 「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+仮定の「~れば」
- 「幸いです」は「幸い」+丁寧語「です」
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
ご査収くださいますようお願い申し上げます
目上・ビジネスメールに使える「ご査収ください」の敬語フレーズ
「受け取ってほしい!」と言いたいときに使える敬語
- 例文「ご査収くださいますようお願い申し上げます」
- 例文「ご査収くださいますようお願い致します」
意味は「よく調べて受け取ってくれるようお願いします」
「ご査収くださいますよう」の「くださいますよう」の敬語はややこしいため、くわしく解説しておきます。
- 「くれる」の尊敬語「くださる」の命令形
- 丁寧語「ます」
- ように
上記のようにして敬語にしています。
「ください」単体としての意味は「〜してくれ」「〜して欲しい」の丁寧な言いまわしと考えることができます。
が、
「ください」は敬語ではあるものの、結局のところ命令形であるために強い口調となります。
そこで「ますようにお願い」と続けることで「お願い」とすり替え、やんわ〜りとした表現にしています。とても丁寧な敬語フレーズと言えますね。
たとえば、
- ご確認くださいますようお願い申し上げます
意味「確認してくれるようお願い!」 - ご了承くださいますようお願い申し上げます
意味「納得しくれるようお願い!」 - ご連絡くださいますようお願い申し上げます
意味「連絡してくれるようお願い!」 - ご検討くださいますようお願い申し上げます
意味「検討してくれるようお願い!」 - ご容赦くださいますようお願い申し上げます
意味「許してくれるようお願い!」
などのようにして使います。
これらはもともと「●●してください」という命令形なのですが、「●●くださいますようお願い〜」を使うことによって相手に強制しないやんわ〜りとした表現となっています。
ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。
ご査収いただきますよう・賜りますよう〜
目上・ビジネスメールに使える「ご査収ください」の敬語フレーズ
「受け取ってほしい!」と言いたいときに使える敬語
- 例文「ご査収いただきますようお願い申し上げます」
- 例文「ご査収賜りますようお願い申し上げます」
意味は「よく調べて受け取ってもらうようお願いします」
「いただきますよう」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+丁寧語の活用形「ますよう」
「賜りますよう」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜賜る」+丁寧語「ますよう」
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
賜る(たまわる)という敬語のほうがよりカチッとした表現になりますので、文書など公式なビジネスシーンではかならず「賜る」を使います。
普段のメールであれば「いただきますよう」でOK。
また「くださいますよう」「いただきますよう・賜りますよう」の違いは後ほど。
ご査収のほどお願い申し上げます
目上・ビジネスメールに使える「ご査収ください」の敬語フレーズ
「受け取ってほしい!」と言いたいときに使える敬語
- 例文「ご査収のほどお願い申し上げます」
- 例文「ご査収のほどお願い致します」
意味は「よく調べて受け取ってくれるようお願いします」となります。
ここで「ご査収のほど」の「のほど」は限定を避ける言い方で、意味としては「〜してもらうよう」「〜してくれるよう」と考えることができます。
断定をさけて表現をやわらげるのに用いる語です。
たとえば、
- ご確認のほどお願い申し上げます
意味「確認してくれるよう、お願い」 - お取り計らいのほどお願い申し上げます
意味「物事をうまく進めてくれるよう、お願い」 - ご検討のほどお願い申し上げます
意味「検討してくれるよう、お願い」 - ご了承のほどお願い申し上げます
意味「納得してくれるよう、お願い」
などのようにして使います。
これらはもともと「●●してください」という命令形なのですが、「〜のほど」を使うことによって相手に強制しないやんわ〜りとした表現となっています。
ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。
先ほどとおなじく「お願い申し上げます」は「お願いいたします」「お願い致します」と言い換えできます。
ご査収いただけますでしょうか?いただけますか?
目上・ビジネスメールに使える「ご査収ください」の敬語フレーズ
「受け取ってほしい!」と言いたいときに使える敬語
- 例文「ご査収いただけますでしょうか」
- 例文「ご査収いただけますか」
というように疑問形にして使うこともできます。
「ご査収いただけますか?」で十分に丁寧な敬語ではありますが、より堅苦しい敬語にすると「ご査収いただけますでしょうか?」というようになります。
お礼メールに使う「ご査収いただく」
目上・ビジネスメールに使える「ご査収ください」の敬語フレーズ
「受け取ってくれてありがとう」と言いたいときに使えるお礼。
何かしらによく調べて受け取ってもらったときの、お礼ビジネスメールにも使えます。
たとえば、
- 例文「ご査収いただきありがとうございます」
例文「ご査収いただきましてありがとうございました」
例文「ご査収賜りましてありがとうございました」
例文「ご査収くださいましてありがとうございました」
のようにビジネスメール書き出しの挨拶にお礼として使うと丁寧です。
まぁ、ようするに「よく調べて受け取ってくれてありがとう!」という意味なのです。
ほかにも色々ある「ご査収」の例文
敬語の種類というのは本当にいろいろあります。
ほんの一例ですが他にもある使い方を例文にまとめておきます。
- 例文「ご査収いただけましたら幸いです」
※意味は「(金銭・物品・書類などを)よく調べて受け取ってもらえたら嬉しいです」 - 例文「ご査収いただけましたら幸甚に存じます」
※意味は「よく調べて受け取ってもらえれば嬉しく思います」 - 例文「ご査収いただければ幸甚に存じます」
※意味は「よく調べて受け取ってもらえれば嬉しく思います」 - 例文「ご査収をお願い致します」
※意味は「よく調べて受け取ってほしい、お願いします」 - 例文「ご査収いただけますか?」
※意味は「よく調べて受け取ってもらえるか?」でとくに会話シーンで使われるフレーズ - 例文「ご査収いただけますでしょうか?」
※意味は「よく調べて受け取ってもらえるだろうか?」でとくに会話シーンで使われるフレーズ
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+願望「~たい」
・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」
「ご査収」を使ったビジネスメール例文【全文】
つづいて「ご査収ください」のビジネスメール例文を全文でご紹介。
文字どおり目上・上司や社外取引先からなにかを(金銭・物品・書類などを)受け取ってほしいときのビジネスメールに使います。
上司・目上・取引先にたいして使える丁寧な文章にしていますので、ご参にどうぞ。
①見積もり送付ビジネスメール例文(ビジネス・社外)
メール件名:見積送付の件
転職株式会社
転職 様
平素はお世話になっております。
株式会社就活の就活です。
さて、先ほどお問い合わせ頂きました見積もりの件、
添付ファイルにて送付いたします。
ご査収のほど何卒よろしくお願い致します。
メール署名
②報告メール(社内メール)
メール件名:開発進捗のご報告
○○ 課長
お疲れ様です。
さて首記の件、開発の進捗状況を以下にて報告いたします。
ご査収ください。
- 三菱化学むけ開発品A:ラボ試作完了。4月中に実験データを採り、先方へ報告予定。
- 三井化学むけ開発品B:先方と打ち合わせの結果、スペックの再調整が必要のため、4月中に改良サンプル試作予定。
- 住友化学むけ開発品C:ラボ試作品の評価良好。実機試作の時期を調整し、サンプリング予定(時期調整中)。
なお実験結果等、仔細に関しましては、次月の開発会議に改めて報告いたします。
よろしくお願い致します。
メール署名
▼▼▼▼▼▼
「ご査収願います」「ご査収ください」はやはり、ラフな印象のメールになってしまいますので目上の人に使うには、言い換えが必要かと思われます。※上司のポジションや性格に合わせて使い分けてください。
ご祝儀・ギフト・贈答品を「お受け取りの程」と言いたいときは「ご笑納」
ここまでは「お受け取りの程よろしくお願い致します」の言い換えとしての「ご査収」についてみてきました。
あとは「ご査収」だけでなく、
とくにご祝儀・ギフト・贈答品を「お受け取りの程よろしくお願い致します」と言いたいときの言い換えに使える「ご笑納」の意味や使い方を紹介します。
たとえば…
お中元を「お受け取りの程よろしくお願い致します」
結婚ご祝儀のお返しを「お受け取りの程よろしくお願い致します」
というときに活躍するのが「ご笑納」です。ご参考にどうぞ。
ご笑納の意味は「つまらないものですが…受け取る」
「ご笑納」のそもそもの意味は…
「人に贈り物をするとき、つまらない物ですが笑ってお納めくださいという気持ちを込めて用いる語」
※「納める」は「受け取る」の意味です
たとえば、
【例文】別便にて心ばかりの品を郵送いたしました。どうかご笑納ください
【例文】別便にて返礼の品を郵送いたしました。何卒ご笑納ください
のようにして使います。
意味はいずれも「つまらないものですがお受け取りの程よろしくお願い致します」と謙って使う語です。
もとになる語「笑納」に尊敬語or謙譲語「お(ご)」で「ご笑納」という敬語にしています。
「自分がご笑納する」のであれば謙譲語としての使い方。
上司・目上・取引先などの「相手がご笑納くださる」のであれば尊敬語としての使い方。
ちなみに「ご笑納ください」だと…
「相手が受け取ってくださる+命令形」ですので尊敬語「ご」を使っています。
「お(ご)」は尊敬語と謙譲語の使い方があり、ややこしい敬語です。ご注意を
「ご笑納の程よろしくお願い致します」の意味は…
「お受け取りの程よろしくお願い致します」を「ご笑納」で言い換えると…
「ご笑納の程よろしくお願い致します」
意味は「つまらない物ですが笑ってお納めください、お願いします」になります。
まぁようするに「つまらないものですが受け取ってください」という意味ですね。
「ご笑納」のビジネスメールに使える例文まとめ
つづいて、もっと実用的に「ご笑納」のビジネスメールチックな敬語フレーズ、つまり堅苦しい表現について紹介していきます。
「つまらないものですが受け取ってほしい!」と言いたいときに使う敬語フレーズですね。
どの例文もビジネスメールに使うのにふさわしいカチッとした敬語にしています。目上・上司はもちろんのこと、社外取引先にも使えますのでご参考にどうぞ。
▼基本的な「ご笑納」の例文
- 例文「ご笑納くださいますようお願い申し上げます」
意味は「つまらないものですが受け取ってくれるようお願いします」 - 例文「ご笑納のほどお願い申し上げます」
意味は「つまらないものですが受け取ってくれるよう、どうかお願いします」 - 例文「ご笑納いただきますようお願い申し上げます」
意味は「つまらないものですが受け取ってもらうよう、お願いします」 - 例文「ご笑納賜りますようお願い申し上げます」
意味は「つまらないものですが受け取ってもらうよう、お願いします」 - 例文「ご笑納いただければ幸いです」
意味は「つまらないものですが受け取ってもらえたら嬉しいです」 - 例文「ご笑納いただけましたら幸甚に存じます」
意味は「つまらないものですが受け取ってもらえたら嬉しく思います」 - 例文「ご笑納賜りたく存じます。何卒よろしくお願い致します」
意味は「つまらないものですが受け取ってもらいたいと思います」 - 例文「ご笑納いただければと存じます。何卒よろしくお願い致します」
意味は「つまらないものですが受け取ってもらえたらと思います」
のようにすると丁寧です。
「ご笑納いただければ幸いです」「ご笑納賜りますようお願い申し上げます」がもっとも丁寧な敬語であり、あとはほぼ等しいレベル。
まぁ、ようするに「つまらないものですが受け取ってね!よろしく」という意味なのです。
▼その他「ご笑納」の例文
敬語の種類というのは本当にいろいろあります。
ほんの一例ですが他にもある使い方を例文にまとめておきます。
- 例文「ご笑納いただけましたら幸いです」
※意味は「つまらないものですが受け取ってもらえたら嬉しいです」 - 例文「ご笑納いただけましたら幸甚に存じます」
※意味は「つまらないものですが受け取ってもらえれば嬉しく思います」 - 例文「ご笑納いただければ幸甚に存じます」
※意味は「つまらないものですが受け取ってもらえれば嬉しく思います」 - 例文「ご笑納をお願い致します」
※意味は「承諾してほしい、お願いします」 - 例文「ご笑納いただけますか?」
※意味は「つまらないものですが受け取ってもらえるか?」でとくに会話シーンで使われるフレーズ - 例文「ご笑納いただけますでしょうか?」
※意味は「つまらないものですが受け取ってもらえるだろうか?」でとくに会話シーンで使われるフレーズ
自分が「受け取った」ときの敬語フレーズ
さてここで問題です。
ここまでは相手に対して「お受け取りください」や「お受け取りしてもらいありがとう」のような敬語フレーズを紹介しました。
では…
「自分が受け取る・受け取りました」と言いたいときにはどんな敬語をつかうでしょう?
「ご笑納しました??」
「ご笑納いたしました??」
「ご査収しました??」
「ご査収いたしました??」
残念ながらハズレ…上記はいずれもビジネスシーンでは使わない敬語です。
自分が受け取ったときは「拝受・受理・受領・領収」を使う
先ほどの問題の答え。
自分が受け取ったときは「拝受・受理・受領・領収」を使います。
以下のように使い分けするとよいでしょう。
- ビジネス書類・メールや添付ファイルを「受け取った」と報告したいとき…拝受(はいじゅ)
- 金品やギフト・贈答品を「受け取った」とき…拝受(はいじゅ)
- 役所の申請書などを「受け取った」とき…受理(じゅり)
- 会費などのお金を「受け取った」とき…受領(じゅりょう)
- 製品・サービスの代金を「受け取った」とき…領収(りょうしゅう)
いずれの単語も謙譲語「いたす」+丁寧語「ます」をくっつけた敬語「いたします・いたしました」を使うと丁寧です。
【例文】拝受/受領/受理/領収いたしました
のように使うことが多いですね。
参考記事
➡︎「教えてください」の代わりに使えるビジネス敬語、メール電話の例文
➡︎「ご教示」「ご教授」の意味と違い、使い方・メール例文
➡︎上司へお願いするときに使える敬語10の言葉と、例文50選
➡︎「いただくことは可能でしょうか?」の敬語、目上の人への使い方
➡︎「ご連絡差し上げます」は間違い敬語?意味と正しい使いかた
➡︎【完全版】ビジネスメール締め・結びの例文50選
➡︎︎ビジネスシーンでの「お願い・依頼」敬語フレーズのすべて
➡︎︎ビジネスシーンでの『お礼・感謝』敬語フレーズのすべて
➡︎︎ビジネスメールにおける断り方のすべて