「平素は格別のお引き立てを賜り厚くお礼申し上げます」の意味、ビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい使い方、注意点について。
ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。
この記事の目次
「平素は格別のお引き立てを賜り厚くお礼申し上げます」の意味
まずは意味のまとめから。
「平素は格別の」の意味は「日ごろは特別の」
「平素は格別の」の意味は「日ごろは特別の」
「平素は=日ごろは」
「格別の=特別な、この上ない、これ以上はない」
という2つの語からなります。
直訳するとこんな感じになりますが、要は「平素は格別の=いつも、この上ない」ということですね。
「お引き立て」の意味は「ひいきにすること」「ご愛顧」
「お引き立て」の意味は「ひいきにすること」「引き立てること」「ご愛顧」
「お引き立て」のもととなる単語は「引き立て」であり尊敬語or謙譲語の「お(ご)」をつかって敬語にしています。
「引き立てる」という動詞が元になる語となっており、「自分は引いて」「相手を立てる」つまり、「ひいきにすること」のような意味として考えるのが妥当となります。
「お引き立てを賜り~」の意味は「ひいきにしてもらい~」
「お引き立てをいただき~」の意味は「ひいきにしてもらい~」
「賜る(たまわる)」は「もらう」の謙譲語であり、とくに目上からの厚意を受けるときに使う敬語です。
「ご指導を賜る=指導してもらう」「お力添え賜る=手助けしてもらう」などのようにして使われる語とおなじ意味。上司・目上・ビジネスメールに使うフレーズとしてはとても丁寧で好感がもてますね。
「平素は格別のお引き立てを賜り厚くお礼申し上げます」の意味は「日ごろは特別ひいきにしてもらい、本当にありがとう」
- 平素は格別の = 日ごろは特別の、日ごろはこれ以上ない
- お引き立て = ひいきにすること、ご愛顧
- いただく = 「もらう」の謙譲語
- 誠に = 「本当に」の意味のかしこまった表現
- ありがとうございます = お礼
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「平素は格別のお引き立てを賜り厚くお礼申し上げます」の意味は…
「日ごろは特別にひいきにしてもらい、本当にありがとう」
「日ごろはこれ以上なくひいきにしてもらい、本当にありがとう」
のように解釈できます。
要は「お世話になっててありがとう!」だと覚えておけばよい
「お引き立て」「賜る」「厚く御礼申し上げます」とかイロイロと大げさなフレーズを組み合わせているため、なんだかバカ丁寧な印象になる言葉です。
が、ビジネス文書ではよく登場します。
「平素は格別のお引き立てを賜り厚くお礼申し上げます」までを一つのフレーズとして覚えておくと、ビジネス文書を書くときに役立つでしょう。
で、ビジネスシーンに使われるときはもっとシンプルに意訳して「お世話になっててありがとう!」の意味だと考えればOKです。
次項より使い方についても見ていきましょう。
「平素は格別のお引き立てを賜り厚くお礼申し上げます」の使い方
つづいて「平素は格別のお引き立てを賜り厚くお礼申し上げます」の使い方について。
使い方「ビジネス文書の挨拶文」
ビジネス文書やメールの冒頭挨拶に使います。
といってもほとんど決まりきった使い方しかしません。
たとえば、
- 例文「平素は格別のお引き立てを賜り誠にありがとうございます」
- 例文「平素は格別のお引き立てを賜り厚くお礼申し上げます」
のようにしてビジネス文書やメールの挨拶に使われます。
ここで「平素は格別の~」の意味は「日ごろは特別な~」です。
つまり全文だと「日ごろは特別ひいきにしてもらい、本当にありがとう」という意味になりますね。
ビジネスメールでは「お世話になっております」のほうが一般的ですが、ビジネス文書など公式なシーンでは必ず上記のように「お引き立て」や言い換えできる「ご高配」「ご厚情」をつかって挨拶文をつくりますね。
お引き立てを頂き/お引き立てを賜り〜の違い
ここで少し横道にそれます。
「平素は格別のお引き立てを賜り厚くお礼申し上げます」と似たような表現には「平素は格別のお引き立てをいただき厚くお礼申し上げます」があります。
これって何が違うのでしょうか?
「お引き立てを賜る」「お引き立てをいただく」の意味はどちらも、
「お引き立て=ひいきにすること」を受ける・もらうこと。
※「もらう」の謙譲語が「賜る・いただく」
となり、どれもまったくおなじ意味です。「賜る(たまわる)」と「頂く(いただく)」はどちらも「もらう」の謙譲語。
かしこまったフレーズは「賜る(たまわる)」
「賜る(たまわる)」「いただく」は、いずれを用いても丁寧な敬語フレーズですが強いていうのであれば、どれくらい「かしこまったフレーズであるか」という点でビミョーに違います。
「いただく」よりも「賜る」のほうが、よりかしこまった印象となりますね。まぁどれを使っても丁寧ではありますが…
公式なビジネス文書でよく目にするのは「賜る」のほうです。
「平素は格別のお引き立てを賜り厚くお礼申し上げます」類語と言い換え
「平素は格別のお引き立てを賜り厚くお礼申し上げます」の類語と言い換えについて。
ビジネスシーンでも使える言い換え表現をざっくりまとめておきます。
ご高配(読み:ごこうはい)
ビジネスシーンで使える「お引き立てをいただき誠にありがとうございます」の言い換え・類語
続いてオーソドックスなのが「ご高配を賜り誠にありがとうございます」です。
「ご高配」の意味は「お心配り、お心遣い」であり、「お引き立て」と似たようなシーンで使われます。
すると以下のようなフレーズも同じように使えますね。
- 例文「平素は格別のご高配にあずかり厚くお礼申し上げます」
- 例文「平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます」
- 例文「平素は格別のご高配を頂き誠にありがとうございます」
ご厚情(読み:ごこうじょう)
ビジネスシーンで使える「お引き立てをいただき誠にありがとうございます」の言い換え・類語
続いてオーソドックスなのが「ご厚情にあずかり、ありがとうございます」です。
「ご厚情」の意味は「厚いなさけ。心からの深い思いやりの気持ち」であり、「ご高配」と似たようなシーンで使われます。
すると以下のようなフレーズも同じように使えますね。
- 例文「平素は格別のご厚情にあずかり厚くお礼申し上げます」
- 例文「平素は格別のご厚情を賜り誠にありがとうございます」
- 例文「平素は格別のご厚情を頂き誠にありがとうございます」
ご厚誼(読み:ごこうぎ)
ビジネスシーンで使える「お引き立てをいただき誠にありがとうございます」の言い換え・類語
つづいて「ご厚誼を賜り誠にありがとうございます」
ご厚誼(読み:ごこうぎ)の意味は「親しいお付き合い、親しみ、厚いよしみ」であり、とくにビジネス文書の挨拶文で「お引き立て」と同じくよく使います。
すると以下のようなフレーズも同じように使えますね。
- 例文「平素は格別のご厚誼にあずかり厚くお礼申し上げます」
- 例文「平素は格別のご厚誼を賜り誠にありがとうございます」
- 例文「平素は格別のご厚誼を頂き誠にありがとうございます」
※ただし「ご厚誼」は「今後とも倍旧のご厚誼を賜りますようお願い申し上げます」などとしてメール結び・締めに使うことのほうが多いです
ご愛顧(読み:ごあいこ)
ビジネスシーンで使える「お引き立てをいただき誠にありがとうございます」の言い換え・類語
つづいて「ご厚誼を賜り誠にありがとうございます」
「ご愛顧」の意味は「ひいきにすること、お引き立て」であり、とくにビジネス文書の挨拶文で「お引き立て」と同じくよく使います。
すると以下のようなフレーズも同じように使えますね。
- 例文「平素は格別のご愛顧にあずかり厚くお礼申し上げます」
- 例文「平素は格別のご愛顧を賜り厚くお礼申し上げます」
- 例文「平素は格別のご愛顧を頂き誠にありがとうございます」
その他
ビジネスシーンで使える「お引き立てをいただき誠にありがとうございます」の言い換え・類語
あとは場合によっては使えるであろう言い換え・類語を紹介します。
- お心遣いをいただき、ありがとうございます
意味は「心配り」であり、とくに何かをもらったときのお礼のビジネスシーンで「●●に際してお心遣いを頂き誠にありがとうございました」のようにして使われます。
→「お心遣い」意味と目上・ビジネスメールにふさわしい使い方、例文
- ご配慮いただき、ありがとうございます
意味は「配慮」であり、とくにお礼のビジネスシーンで「ご配慮を頂き誠にありがとうございました」のようにして使われます。
書き出しの挨拶でよく使う「ご高配」「お引き立て」+結び・締めによく使う「ご厚誼」「ご厚情」「ご愛顧」
これだけいろいろな言い換えがあると、一体どれを使ったらいいものか悩んでしまいますね…
そこでビジネス挨拶によく使われる順にならべておきましょう。
もっとも簡単に使い分けする方法は…
- 書き出しの挨拶では「ご高配」「お引き立て」を使うこと
※よく目にするのは「ご高配>お引き立て」の順 - 結び・締めくくりには「ご厚誼」「ご厚情」「ご愛顧」を使うこと
※よく目にするのは「ご厚誼>ご厚情 >ご愛顧」の順
こんな風に使い分けしていればどんなビジネス文書・ビジネスメールにも対応できますね。
すると…
「拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。(本文)今後とも倍旧のご厚誼(ご厚情・ご愛顧)を賜りますようお願い申し上げます 敬具」
上記をテンプレート化してしまえばOKです。
【注意点】お引き立てはこう使う!
つづいて「お引き立て」を使うときの注意点を解説します。
敬語を正しく使うことはもちろん、ふさわしいビジネスシーンを考えて使いましょう。
お引き立てを頂き~よりも「お引き立てを賜り~」を使う
繰り返しにはなりますが、
「平素は格別なお引き立てを頂き誠にありがとうございます」
よりも
「平素は格別なお引き立てを賜り誠にありがとうございます」
「平素は格別なお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます」
といった表現のほうがよく使われます。意味はどれもおなじですが「いただく」よりも「賜る」のほうがかしこまったシーンにおいて好まれるフレーズです。
また「ありがとう」よりも「御礼申し上げます」「お礼申し上げます」のほうが好まれます。
とくに公式なビジネス文書では気をつけましょう。
かしこまった言い方であり、ビジネス文書や手紙でよく使う
「お引き立て」はかなりかしこまった表現であるため、普段のビジネスメールや会話では使いません。
公式な挨拶が必要となるシーン、
たとえば「ビジネス文書」「手紙」「暑中寒中見舞いハガキ」「年賀状」「転勤の挨拶メール」といったビジネスシーンで使われます。
普段のビジネスメール結びや締めくくりに使ったらダメという訳ではないですが、ほとんど目にしたことがありません。
もちろん異動の挨拶・就任の挨拶・転勤の挨拶・赴任の挨拶・退職の挨拶メールなど、公式なビジネスメールではよく使われますが…
あくまでも普段づかいのビジネスメールではあまり目にしないという話。
【参考】「取り急ぎお礼まで」を目上の人に使わない理由・丁寧な言い換え
ビジネスでは何かとお世話になってばかり。だから「お引き立て」を使う
ビジネスは一人では成り立ちません。
私たちは社内の先輩や上司、社外のパートナーなど、まわりの人々にいつも助けてもらいながら仕事をしているのです。
そういう意味でビジネスメールでは誰かにお世話になりっぱなしなのです。
そんなお世話になっている相手に対して「今後もよろしくね!」といった挨拶や「日頃からお世話になっています」などのような挨拶の意味を込めて使うのが「お引き立て」です。
ビジネス文書で使うときは時候の挨拶も入れる!
「お引き立て」をつかうときの、一連の流れとして覚えていただきたいこと。
ビジネス文書で使うとき「平素は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます」の前に時候の挨拶を入れましょう。
そして「拝啓~敬具」もあわせて使います。
すると以下のような感じ。
- 企業向け「拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り厚くお礼申し上げます (本文) 敬具」
- 企業向け「拝啓 ●●の候 貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配にあずかり厚くお礼申し上げます (本文) 敬具」
- 個人向け「拝啓 時下ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます (本文 敬具)」
- 個人向け「拝啓 ●●の候 xx様におかれましては益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配にあずかり厚くお礼申し上げます (本文) 敬具」
かみくだくと「最近どうよ?世話になっててありがとう!」というような意味となります。
季節ごとに「●●の候」というような季語を使うこともありますが…最近では上記のようにオールシーズンで使われる時候の挨拶しか見たことないですね。
➡︎ ビジネス挨拶文の例文50選(文書・メール・年賀状・時候ほか)
「お引き立てしてください」はNG!
きわめて初歩的な敬語の使い方なのですが…
「お引き立て」するのはあくまでも相手の厚意であるため、相手に「お引き立てしてください=ひいきにしてください」と要求するのは、なんとも厚かましい感じがします。
これは受け手の感情次第であり、そんなことは考えずに使っているヒトがほとんどだと思いますが…
とくに目上のヒトに何かをお願いするときには「お取り計らい」をつかい、「お取り計らいのほど、何卒よろしくお願いいたします」などのようにするのが無難です。
→「お取り計らい」意味と目上の方への正しい使い方【例文あり】
【シーン別】違いと使い分け
「お引き立て」のビジネスシーン(メール・手紙・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい使い方と、敬語フレーズを使った例文をみてきましたが…
こんなときにはどれを使う?
というビジネスシーンごとの使い分けを整理しておきます。
ビジネス会話なら…
- 例文「お心遣いありがとうございます」
- 例文「ご配慮いただきありがとうございます」
会話で「お引き立て」という表現はなかなか使いません。「お心遣い」あるいは「ご配慮」で十分です。
ビジネスメールなら…
- 例文「いつもお世話になっております」
- 例文「いつもお世話になり、誠にありがとうございます」
- 例文「お心遣いをいただき大変恐縮に存じます」
ビジネスメールの場合、シンプルなフレーズではなくよりかしこまった表現を使うと好感度UP。ただしビジネスメールの挨拶文は「お世話」を使うのが一般的です。
公式な挨拶メール(異動・着任・就任など)では「お引き立て」をつかった挨拶を見かけますが、普段使いのメールには必要ないフレーズ。
ビジネス文書や手紙なら…
- 「拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てを賜り厚くお礼申し上げます。 (本文) 敬具」 - 「拝啓 ●●の候 貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。 (本文) 敬具」
ビジネス文書や手紙ではほんとうに「お引き立て」をよく使います。送り状・添え状から見積もり書にいたるまで、ほとんどすべてのビジネス文書(社外むけのみ)に使われます。
また「ご高配」の代わりに「お引き立て」をもちいてもよいでしょう。
→ビジネス挨拶文の例文50選(文書・メール・年賀状・時候ほか)
「平素は格別のお引き立てを賜り厚くお礼申し上げます」のビジネス文書
さいごに「平素は格別のお引き立てを賜り厚くお礼申し上げます」を使ったビジネスメールや文書の例文を紹介します。
※繰り返しになりますが「いただく」よりも「賜る」を使うほうが好ましいです。
ビジネス送付状の例文
平成29年8月28日
株式会社ビジネス
ビジネス文書部 ビジネス太郎 様
〒123‐4567
東京都渋谷区○○1-1-1 渋谷ビル13F
株式会社レター文書
営業部
担当:転職 一郎
TEL/FAX:xxx-xxxx-xxxx/oooo
e-mail:shukatsu@shukatsu
送付のご案内
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てを賜り厚くお礼申し上げます。
さて、表題の件につき下記のとおり送付いたします。ご査収のほど宜しくお願い申し上げます。
敬具
記
・iPhone6 製品カタログ 3部
・iPhone6 技術資料 3部
・iPhone6 品質規格書 3部
以上
→【ビジネス】送付状の書き方と例文テンプレート(物品・郵送・FAX)
参考記事
➡︎「ご高配」の意味とビジネスにふさわしい使い方・例文
➡︎「ご厚誼」の意味、目上・ビジネスにふさわしい使い方、例文
➡︎「ご厚情」の意味とビジネスにふさわしい使い方・例文
➡︎「ご厚誼」「ご交誼」「ご高配」「ご厚情」の意味と違い、使い分け