① ご厚誼(読み:ごこうぎ)
② ご交誼(読み:ごこうぎ)
③ ご高配(読み:ごこうはい)
④ ご厚情(読み:ごこうじょう)
の意味、違い、使い分け、ビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい使い方について。
ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。
この記事の目次
ご厚誼/ご交誼/ご厚情/ご高配の意味
まずは意味のまとめから。
「ご厚誼」の意味は「心からの親しいお付き合い」
「ご厚誼」の意味は「心のこもった親しい付き合い」「厚いよしみ」「心からの親しみ」
「ご厚誼(読み:ごこうぎ)」のもととなる単語は「厚誼」であり尊敬語「ご」をつかって敬語にしています。
「厚誼」の「誼」は「よしみ、親しみ」の意味であり、「厚い」を使うことで「手厚い、心からの親しみ」として強調しています。
したがって「心のこもった親しい付き合い」「厚いよしみ」「心からの親しみ」のような意味として考えるのが妥当となります。
「ご交誼」の意味は(とくに友人としての)親しいお付き合い
「ご交誼」の意味は「とくに友人としての親しいつきあい」
ご交誼(読み:ごこうぎ)のもととなる単語は「交誼」であり尊敬語「ご」をつかって敬語にしています。
「交誼」の「誼」は「よしみ、親しみ」の意味であり、「交わる」を使うことで「交流する」ことに重きをおいています。
したがって「とくに友人としての親しい付き合い」のような意味として考えるのが妥当となります。
「ご高配」の意味は「お心配り」
「ご高配」の意味は「お心配り」「お心遣い」
ご高配(読み:ごこうはい)のもととなる単語は「高配」であり尊敬語「ご」をつかって敬語にしています。
「高配」の「高」は「高察=察することを敬って言う表現」で使われるように、相手を高める、つまり尊敬の意をこめて使われます。
「配慮・心配り」などで使われる「配」をつけ加え「高配」としています。
したがって「お心配り・ご配慮・お心遣い」のような意味として考えるのが妥当となります。
「ご厚情」の意味は「厚いなさけ」
「ご厚情」の意味は「厚いなさけ。心からの深い思いやりの気持ち」
ご厚情(読み:ごこうじょう)のもととなる単語は「厚情」であり尊敬語「ご」をつかって敬語にしています。
「厚い」をつけることによって単なる「情け、思いやり」ではなくもっと深い、「心からの情け、思いやり」という意味になります。
ご厚誼/ご交誼/ご厚情/ご高配の違いと使い分け
ご厚誼/ご交誼/ご厚情/ご高配の違いと使い分けについても整理しておきましょう。
意味の違い
まずはそれぞれの意味の違いを簡単に。
- ご厚誼 = 親しいお付き合い
- ご交誼 = 友人としての親しいお付き合い
- ご高配 = お心遣い、お心配り
- ご厚情 = 厚い情け、心からの思いやり
「誼=親しみ」をつかった表現が「ご厚誼・ご交誼」
「配=配慮、心遣い、心配り」をつかった表現が「ご高配」
「情=情け、思いやり」をつかった表現が「ご厚情」ということになります。
それぞれ若干ですが違ったニュアンスであることがわかります。
注意点として「ご交誼」だけは目上の人に使わない方が無難なフレーズ。他はどれも目上であろうとビジネスシーンであろうと使えるフレーズです。
使い分けについて少し考えてみましょう。
ビジネスシーンでは「ご交誼」よりも「ご厚誼」を使う
「ご交誼」は目上には使わない方が無難。イコール、ビジネスシーンにおいては相手が目上であろうと目下であろうと避けた方がよい表現です。
なぜなら、
「ご厚誼」というもっと素晴らしいフレーズがあるから(理由になっていないかも)
「交=交わる」「誼=親しみ」というのはどこかカジュアルな感じがするのですよね。気にかける人はほとんどいないものとは思いますけど…
ひょっとしたら失礼と感じる目上の人もいるかもしれません。
いっぽうで「ご厚誼」は「厚い親しみ」ということですから、丁寧であり何ら問題のないフレーズです。
※ ビジネスシーンにおいては相手が誰であろうと敬意を示すべきです
「ご厚誼/ご高配/ご厚情」はどれを使っても丁寧
ということですのでビジネスシーンでは「ご交誼」は使わず「ご厚誼」「ご高配」「ご厚情」を使うとよいでしょう。
これらはどれを使っても丁寧です。
「ご厚誼/ご高配/ご厚情」は被らないように使い分け!
「ご厚誼」「ご高配」「ご厚情」はビジネスシーンにおいてはどれを使っても丁寧です。
が、ひとつだけ注意点を。
これはどんな文章においても共通のルールです(英語でもおなじ)。
悪い例にはたとえば以下のような文章があります。
- 悪い例「本年中に賜りましたご厚誼を深謝いたしますとともに 明年も変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます」
- 悪い例「今年○月 ○○○○が○○歳で永眠いたしました 本年中に賜りましたご厚情を深謝いたしますと共に 明年も変わらぬご厚情のほどお願い申し上げます」
- 悪い例「拝啓 平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
(中略)今後とも変わらぬご高配を賜りますようお願い申し上げます。 敬具」
なぜ似たような意味なのにこうも色々なフレーズがあるのかというと…言葉の重複をさけるためなのですよね。
「ご厚誼」「ご厚情」「ご高配」を絶妙にかぶらないように使い分けすると綺麗な文章になります。
念のため悪い例を修正しておきましょう。
- 良い例「本年中に賜りましたご厚情を深謝いたしますとともに 明年も変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます」
- 良い例「今年○月 ○○○○が○○歳で永眠いたしました 本年中に賜りましたご厚情を深謝いたしますと共に 明年も変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます」
- 良い例「拝啓 平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
(中略)今後とも変わらぬご厚情を賜りますようお願い申し上げます。 敬具」
書き出しの挨拶でよく使う「ご高配」+結び・締めによく使う「ご厚誼」「ご厚情」
ご厚誼/ご交誼/ご厚情/ご高配の違いと使い分けについて。
ここまでゴチャゴチャと書きましたが、もっとも簡単に使い分けする方法は…
- 書き出しの挨拶では「ご高配」を使うこと
- 結び・締めくくりには「ご厚誼」「ご厚情」を使うこと
こんな風に使い分けしていればどんなビジネス文書・ビジネスメールにも対応できますね。
すると…
「拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。(本文)今後とも倍旧のご厚誼(ご厚情)を賜りますようお願い申し上げます 敬具」
上記をテンプレート化してしまえばOKです。
ご厚誼/ご交誼/ご厚情/ご高配の使い方
ざっくりとした解説はこれにて終了。
あとはご厚誼/ご交誼/ご厚情/ご高配の使い方について見ていきます。3つの使い方をおさえておけば完璧です。
使い方①ビジネス文書の冒頭挨拶
「ご厚誼/ご交誼/ご厚情/ご高配」の使い方その1
ビジネス文書で「平素は格別の●●●を賜り厚くお礼申し上げます」などのようにし、社外のメール挨拶「お世話になっております」と同じような意味で使われます。
ビジネスメールではあまり使われることのない表現であり、ビジネス文書など公式なシーンでよく使います。
また、すでに解説したとおりビジネスシーンにおいては「ご交誼」よりも「ご厚誼」の方がふさわしいためご留意ください。
ビジネス文書の中には「添え状」「見積書」などから「年賀状」「暑中見舞い・寒中見舞い」といった公式なものまですべてを含みます。
ほぼ以下のような例文で使われますね(意味などくわしくは本文にて)
- 例文①平素は格別なご厚誼/ご厚情/ご高配を賜り誠にありがとうございます
- 例文②平素は格別なご厚誼/ご厚情/ご高配にあずかり厚くお礼申し上げます
※ よく使われる順にならべると「ご高配 > ご厚情 > ご厚誼 >>> ご交誼」となります
使い方②何かしらの挨拶ビジネス文書の締め・結び
「ご厚誼/ご交誼/ご厚情/ご高配」の使い方その2
何かしらの挨拶ビジネス文書や挨拶メールの結び・締めとして使います。といってもほとんど決まりきった使い方しかしません。
また、すでに解説したとおりビジネスシーンにおいては「ご交誼」よりも「ご厚誼」の方がふさわしいためご留意ください。
- 例文「今後ともご厚誼/ご厚情/ご高配を賜りますようお願い申し上げます」
- 例文「今後ともご厚誼/ご厚情/ご高配を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます」
- 例文「今後とも倍旧のご厚誼/ご厚情/ご高配を賜りますようお願い申し上げます」
「倍旧の」は「より一層の」という意味
のようにして、挨拶をともなうビジネス文書やビジネスメールで結び・締めくくりとして使われます。
挨拶の中には「就任の挨拶」「着任の挨拶」「退任の挨拶」「本社移転の挨拶(案内)」などがありますね。
具体的にはたとえば、社外にむけて就任の挨拶文書やメールをするとき。
「このたび、執行役員に就任いたしました。(中略)今後とも倍旧のご厚誼を賜りますようお願い申し上げます」
みたいにメール結びとして使えます。
まぁ、ようするに「今後もよろしくね!」という意味なのです。難しいようでしたら「今後もよろしくね!」のカッコつけた表現だということを覚えておけばよいでしょう。
おなじような表現としては、
「今後とも倍旧のご愛顧を賜りますようお願い申し上げます」
「今後とも倍旧のご指導を賜りますようお願い申し上げます」
「ご支援を賜りますよう〜」
「お引き立てを賜りますよう〜」
もあります。
※ それぞれ別の意味ですが言い換えたとしても違和感はありません
※ 結びによく使われる順にならべると「ご厚誼 > ご厚情 > ご高配 >>> ご交誼」となります
使い方③挨拶を伴うビジネスメールにも使える
「ご厚誼/ご交誼/ご厚情/ご高配」の使い方その3
これまではビジネス文書についての使い方を解説しました。これらは普段づかいのビジネスメールでは使う必要のないフレーズです。
ただ、公式な挨拶を伴うようなビジネスメールでは丁寧な印象となりますので、積極的に使っていきましょう。
具体的にはたとえば、
「就任の挨拶」「着任・赴任の挨拶」「異動の挨拶」をともなうビジネスメールで使うと酔いでしょう。