日系自動車メーカーは一見すると、どこも優良企業。
でもリコール問題で一気に市場から追い出されるリスクあり。三菱自動車の燃費不正やフォルクスワーゲンの排ガス不正といったことは、問題とは見ていない。なぜなら消費者は5年も経てばすっかり忘れるから。
もっと大きな問題は安全性に関わる部分。たとえばタカタのエアバック問題。人の命に関わる問題を起こせば資金力の無いメーカーはすぐ廃業に追い込まれる。
話は逸れたが以下のような作戦を展開するメーカーが生き残るだろう。
①世界市場でパワーゲームを展開
パワーゲームとはローコストで性能のよい製品を作り、それなりの値段で売りまくること。多売作戦。これに成功しているのがトヨタとホンダ。
ホンダはかつて、おもしろい車を作るのが好きだったがいつの間にか平凡な自動車メーカーになってしまった。
グーグルの下請工場にならないよう自動運転の技術を確立すれば、22世紀まで安泰でしょう。
②国内ガラパゴス市場で稼ぐ
スズキやダイハツ(トヨタ子会社)といった軽自動車メーカーのこと。産業用ではいすゞのトラック。
日本の特殊な市場の中でプレゼンスを発揮できるメーカーは強い。
③品質(安全性・信頼性)は絶対に必要
ホンダの役員に質問した事がある。
なぜ日本の自動車メーカーは生き残っているのですか?自動車なんて部品を組み立てるだけなんですから、コスト高の日系メーカーは今後きびしくなるのでは?
《失礼にあたるので自動車メーカーの最終面接でこんな質問をしてはダメです…》
するとこんな答えが返ってきた。
日系メーカーの優位性は品質、これだけだ。品質管理水準が欧米・中国・韓国メーカーとはまったく違う。このノウハウは過去からの膨大な蓄積であって単純にコピーできるものではない。正直いって某韓国メーカーの車は、品質を除けば同等かそれ以上だ。
ということで日系メーカーの優位性は品質だけなんだとさ…追いつかれるまでにあと20年?50年?それは誰にも分からない。
④とがった製品で勝負
富士重工業(スバル)が代表格。パワーゲームに勝てない弱小メーカーにはこれしか活路なし。
かつてのホンダをみているように、とがった独自路線でコアなファンを獲得している。ぜひ継続して欲しい。
なぜメディアは一瞬の業績しか見ないのか?
2017年3月期の自動車メーカー決算は、どこも2016年と比較して落ち込むことになりそう。唯一、ホンダだけが前年比プラスになりそうだが、これはリコールで今まで凹んでいたからであって「通常時に戻りつつある」というだけ。特別よい材料がある訳ではない。
そんなこんなで2017年決算は落ち込むであろう自動車メーカー。
でも私は「日系自動車メーカーの業績は、円安の追い風で今までがよすぎた。だから業績が悪くなっても問題ない」と考える。
「ビジネスには浮き沈みがあり、想定の範囲内である」ということ。メディアは些細なことで大げさに騒ぎすぎ。別にニュースにするようなことじゃない。
自動車メーカーにとって本当にヤバい状況とはどういうものか?以下にたとえを挙げておく。
「トヨタ(あるいはホンダ、日産)の新車販売台数が3割減になった!!」
「為替80円/1ドルの超円高再来!!」
「1000万台のリコール!!しかも人が亡くなっている」
自動車メーカーにとって重要なのは、いかに多くの新車を売るか?いかに客単価を上げるか(あるいは製造コストを下げるか)?というだけであり、それ以外のことは大して問題じゃない。
EV電気自動車は「中国」の動向に注目
数年前から「次世代の車だ!」と言われ続けている割に、期待はずれに終わっていたEV(電気自動車)。私は「期待する方がおかしい」と思う。
「テスラ自動車のいったい何が革新的なのか?」
何も革新的じゃない…みんな騙されている(くわしくは後述)。
ただそんな中、中国の動向だけは見逃せない。
なぜなら大気汚染対策として、EV電気自動車の導入を進めているから。これは国策なので「あとは誰がEVを作るか?」というだけである。
有力な候補はフォルクスワーゲンなどの外資系企業ではあるが…。もともと、日系メーカーは日産を除いて「中国市場は見ているだけ」に近かった。
だから別に中国市場がどうなろうとあまり関係ないのだけど、エコ方向に動けば日系自動車メーカーの出番も多少はあるかと思われる。でも中国市場に深入りすることは禁物。
米テスラ・モーターズは「なにひとつ革新的じゃない」
あちこちで騒がれている自動車ベンチャーの「テスラ・モーターズ(米国)」。テスラ・モーターズは電気自動車EVの生産・販売だけに特化したベンチャー企業。
ちなみに彼らの2016年、EV販売台数は7万6230台。
数字だけ見ると、まったく大したメーカーじゃない。そもそも彼らの作るEVには、なにひとつ革新的な部分がない。
電池性能がイマイチだから、とにかく大型化して「高級車」に仕上げてみました!それだけじゃあ革新的じゃないから、Google先生に手伝ってもらって「できそこないの自動運転機能」もつけてみました。
というだけのお粗末なアイディア。こんな小学生にでも思いつくアイディアに投資する人の気がしれない。テスラ・モーターズのイケてないアイディアを分かりやすく図式化すると、以下のとおり。
- 電池性能イマイチ
↓ - だったら電池デカくしたらいいじゃん?
↓ - 電池をデカくしたら普通車じゃサイズ不足だ!
↓
- 大型車(高級車)を作るしかない
↓ - 高級車をムリやりEVにしました
↓ - ちょっとそれだけじゃあインパクトないな…
↓ - だったらGoogle先生に手伝ってもらって自動運転までつけよう!
↓ - こうしてお粗末な「EV+できそこないの自動運転」はできあがった…
EVは電池をでかくすれば、パワーも出るし走行距離もガソリン車なみには稼げる。ところが日産・三菱自動車などのEVは「あくまで大衆車」にこだわった。だから満足のいく性能がでなかった。「EVを高級車に適用した」「できそこないではあるものの、自動運転機能をつけた」という点では、テスラは革新的だったかもしれない。
でも単にそれだけである。派手な見かけに騙されてはいけない。
そもそもテスラごときにまともなEVが作れるとしたら、パナソニックやソニーはもっとまともなEVを作れる。トヨタだってもっとず〜っと、マシな高級車EVを作れる。
EV&自動運転は20年必要な開発テーマ
とにかく、どのみちEVと自動運転はまだまだ課題が多いし、開発競争はまだ始まったばかりである。20年くらいで急拡大するものじゃない、と私は思う(国策でやっている中国を除く)。
そもそも日系メーカーが得意とするのは「技術をコピーし改善して、もっと良いものを作る」。ということだから別に5~10年くらい引き離されていたとしても、すぐに追いつける。
ここだけの話、トヨタはテスラ・モーターズの車を100%完コピできるだろう(おそらく既にもうトヨタ中研にはコピー車が存在している)。トヨタで心配な点があるとすれば、社長のワンマン経営だけだ。
↑ ここだけの話にしてください。
自動車業界の就職偏差値ランキング
自動車業界の年収
●企業ごとの年収
→トヨタ自動車の年収は高い?低い?ランキングからは見れない事実
→ホンダの年収は高い?低い?ランキングからは見れない事実
→日産自動車の年収
→ダイハツ工業の年収
→日野自動車の年収
→三菱自動車工業の年収
→スバルの年収
→マツダの年収
→いすゞ自動車の年収
自動車業界研究
- 自動車メーカーのシェア世界ランキング(売上・純利益・新車販売台数)
- 自動車メーカーのシェア国内ランキング(新車販売台数・売上・純利益)
- トヨタ・ホンダ・日産・マツダ・スバル・スズキ…どう違う?
- 炭素繊維メーカー vs 鉄鋼業界の勝者はどっち?自動車用途の課題と今後
私は17卒の学生です。就活の話や業界の裏事情など、いつも面白く読ませていただいております。
実は、内定先が鉄鋼業界のため、自動車の軽量化のことでお尋ねしたいことがあります。
すでにプラスチック(炭素繊維複合材)は航空機などで使用されているとはいえ、未だ生産性の問題で価格が高いなどと伺ったことがあります。
そこで、東レや帝人などの炭素繊維メーカーがこうした問題を解決するまで、あとどのくらいの年数だとお考えでしょうか?また、自動車における鉄やアルミとの競争はどのような結果になると予想されますか?
面倒な質問だと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。