OTC医薬品とは?世界一わかりやすく解説

OTC医薬品ってどんな企業が作ってるの?という疑問を解消するために「OTC医薬品の企業ランキング」をご紹介。数字は売上ベースで2015年度決算期のものです。

ただ注意点としてOTC医薬品だけを作っている企業って、実はほとんど存在しません。

どの企業も、医療用をやりながらOTC医薬品もやる、あるいは日用品をやりながらOTC医薬品もやる、というスタイル。製薬メーカー大手にとってOTC医薬品は「サイドビジネス」との位置づけであり、あくまで中心は医療用の医薬品なのです。

それもそのハズ、市場規模を比べてみるとすぐにわかります。

医療用の医薬品は「国内10兆円」の市場規模。

vs. OTC医薬品は「国内8000億円」の市場規模。

こうなると、どうしても医療用のほうに力を入れるのは企業としてあたり前ですよね…。

なので「OTC医薬品を作っている企業の全体売上ランキングと、おおよその売上比率」をまとめます。

OTC医薬品メーカー企業ランキングTOP20

※売上は会社全体の数字です。2017年4月時点で入手できる限り新しい数字を使っています。

  1. 売上 1.8兆円|武田薬品工業
    ● OTC医薬品の売上は非公開。あくまでメインは医療用の医薬品であり、OTC医薬品はサイドビジネスに過ぎない。
    ● アリナミン・シリーズ、タケダ漢方胃腸薬、ベンザエース、ベンザブロック、
  2. 売上 1.1兆円|大塚HD
    ● 売上のほとんどが新薬であるものの、OTC医薬品も少し手がける。「ポカリスエット」「オロナミンC」などで馴染みのあるメーカー。
    ● オロナインH軟膏
  3. 売上 9864億円|第一三共
    ● 子会社の第一三共ヘルスケアにてOTC医薬品を手がける(←2015年度の売上534億円)
    ● ルル、リゲイン、ガスター10、カロヤン、カコナール、ロキソニンS、ほか多数
  4. 売上 5479億円|エーザイ
    ● 主力となっているのは医療用の医薬品ではあるものの、OTC医薬品もあつかう。「OTC医薬品 + 化粧品」の売上は181億円/2015年度
    ● チョコラBB、サクロン、ナボリン、ハイガード
  5. 売上 4317億円|田辺三菱製薬
    ● 売上の大半は新薬であるものの、OCT医薬品も一部あつかう(38億円/2015年度)
    ● ナンパオ、タナベ胃腸薬、アスパラ目薬
  6. 売上 3786億円|ライオン
    ● 言わずと知れたオーラルケア分野(歯みがき関連)に強みを持つ企業。多角化のひとつとしてOTC医薬品もあつかっている(←中外製薬から譲渡された事業)。
    ● バファリン、スマイル、バルサン、スクラート胃腸薬、ほか多数
  7. 売上 3744億円|興和(非上場)
    ● 本業は商社ではあるが、OTC医薬品も作る企業。
    ● キャベジンコーワ、コルゲンコーワ、バンテリンコーワ、ウナコーワ、ケラチナミンコーワ(商品名にはすべて社名であるコーワがつく)
  8. 売上 3099億円|塩野義製薬
    ● 医療用がメインではあるものの、OTC医薬品も製造・販売している。
    ● シオノギ軟膏・胃腸薬、パイロン、セデス
  9. 売上 2901億円|大正製薬HD
    ● 売上の60%以上が「OTC医薬品」「セルフメディケーション」分野
    ● リポビタンD、パブロン、リアップ、リビタシ、胃腸薬、ヴィックス、ナロン ほか多数
  10. 売上 1952億円|参天製薬
    ● 眼科薬の先発医薬品メーカーであり、一部はOTC医薬品も手がける(売上の6%程度)
    ● サンテ・シリーズ
  11. 売上 1670億円|ロート製薬
    ● 売上の大部分が「OTC医薬品」「スキンケア」分野
    ● 目薬ロートシリーズ、メンソレータム、肌ラボ、白潤、ほか多数
  12. 売上 1618億円|久光製薬
    ● 医療用の医薬品がメインであるものの、OTC医薬品も手がける(売上404億円/2015年度)
    ● サロンパス、サロンシップ、フェイタス、ブテナロック、アレグラ
  13. 売上 1504億円|大鵬薬品工業
    ● チオビタドリンク、ソルマック、ハルンケア、ペレックストローチ、ザハップE、 ゼノールエクサム、ゼノールしっぷぴたっと、新ポリカイン、ペレタック顆粒、塩釜さふらん、ウレパール
  14. 売上 1372億円|小林製薬
    ● OTC医薬品と日用品を主体とするメーカー。「熱さまシート」「ブルーレット」「トイレその後に」などのブランドで有名。
    ● アイボン、ナイシトール、にきび薬ビフナイト、のどぬーる
  15. 売上 1194億円|キョーリン製薬HD
    ● 医療用およびジェネリック医薬品がメイン。OTC医薬品メーカーでもある。
    ● クールワン(かぜ・せき止め・鼻炎・鼻スプレー)、 ミルトン、コルベロン鎮痛薬、エピアマート、ガストリツク、スルール、センモール(せき止め・鼻炎)、トークール、トリベミン、ナチュレア、ハイショット、ルモアしっとりローション
  16. 売上 1126億円|ツムラ
    ● 漢方・生薬の先発医薬品がメインではあるものの、OTC医薬品も手がける。
    ● 葛根湯ほか、ツムラ漢方シリーズ、中将湯
  17. 売上   914億円|クラシエ薬品(親会社クラシエHDはホーユー100%子会社)
    ● 漢方をメインとするOTC医薬品メーカー。といっても生活関連の商品も色々あり。
    ● ロコイダン軟膏、クラシエ漢方シリーズ
  18. 売上   624億円|ゼリア新薬工業
    ● 先発医薬品メーカーであるが、OTC医薬品も手がけている。
    ● アシノン、イレイサ-、ゼリアス、タレント、ドルマイシン軟膏、ハイゼリ-、ヘパリーゼ、コンドロイチン、ドルマイコーチ軟膏、ほか多数
  19. 売上   476億円|ホーユー
    ● 「ビゲン」「シエロ」「ビューティラボ」「レクシィ」など、ヘアカラー分野の商品に定評のある企業。多角化しておりOTC医薬品の製造・販売も行う。
    ● セフールかぜ・せき止め、スズレックス、アセモテーマ
  20. 売上   432億円|あすか製薬
    ● OTC医薬品もやっているがサイドビジネス程度。メインは抗甲状腺剤の新薬開発。抗甲状腺剤「メルカゾール」「プロパジール」が主力商品で、この分野では国内シェア約96%である。
    ● グレラン・ビット、トコロール、グレランエース錠、ドキシン錠

他にも非上場・大手企業ふくめて、かなりのメーカー数があります。

先発医薬品 or ジェネリックに特化しているメーカー

上記以外に売上規模の大きい製薬メーカーもまとめておきます。先発医薬品に特化しているメーカー(=世の中にない新薬を開発するメーカー)になります。

  1. 売上 1.3兆円|アステラス製薬
    ● OTC医薬品も過去に作っていたが撤退し、現在は先発医薬品に特化。
  2. 売上 4032億円|大日本住友製薬
    ● OTC医薬品も過去に作っていたが撤退し
  3. 売上 4917億円|中外製薬
    ● OTC医薬品も過去に作っていたがライオンに売却
  4. 売上 3430億円|協和発酵キリン
  5. 売上 1602億円|小野薬品工業
    ● 医療用メイン
  6. 売上 1435億円|日医工
    ● ジェネリック医薬品の国内最大手。OTC医薬品も過去に作っていたが撤退
  7. 売上 1234億円|沢井製薬
    ● ジェネリック医薬品の国内No.2。
  8. 売上 1097億円|科研製薬
    ● リウマチ薬などの新薬開発が中心

OTC医薬品の医療費控除制度とは?

ところで厚生労働省は、2017年1月から「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」をはじめました。

この医療費控除はどういうものか、わかりやすく要約すると以下のようになります。

  1. 対象のOTC医薬品を年間で12,000円を超えて購入してた場合(扶養家族分を合わせて)
  2. 所得税・住民税を納税している
  3. 1年の間に、特定健診、予防接種、がん検診、健康診断、定期健康診断のいずれかを行っている

この3つを満たす人が受けられる控除です。

※出所:厚生労働省

OTC医薬品の対象は83成分

ところがよくよく中身をみてみると「OTC医薬品の一部」となっていて、すべてのOTC医薬品が対象となるわけではないので注意が必要。

「控除の対象となるのは、83成分をふくむOTC医薬品」※2017年1月13日時点

と決まっています。そうすると、ドラッグストアで買えるOTC医薬品の一部が控除対象となる、ということですね。

計算式は、OTC医薬品購入額から12,000円を引いた金額に、所得税および住民税を掛けるだけです。

どれくらい控除されるか計算してみた

たとえば1年間のOTC医薬品購入額が10万円だったとしたら、以下のような所得税と住民税の控除をうけられます。

● 国税所得税(所得税率30%のケース)
(100,000円ー12,000円)×30%=26,400円

● 住民税10%
(100,000円ー12,000円)×10%=8,800円

【合計】26,400円+8,800円=35,200円
そもそも年間10万円もOTC医薬品を買うかどうかは別として、少しでも家計の足しになれば…。というところでしょうか。

従来の医療費控除制度との違い

– セルフメディケーション税制(OTC医薬品の医療費控除)
● 上限→最高で88,000円
● 対象金額→12,000円を超える金額
● 対象医療費→スイッチOTC医薬品(OTC医薬品の一部)

– 医療費控除
● 上限→最高で200万円
● 対象金額→最低10万円を超える金額
● 対象医療費→治療名目の医療費全般

違いは上でまとめたとおり、

OTC医薬品の医療費控除は「年間合計12,000円を超えたとき」に対象となりますので、低い金額から税金の控除を受けられる、ということになります。

申請には何が必要?

つづいて、このセルフメディケーション税制を申請するために必要な書類なりを、以下にまとめておきます。

  1. 医薬品の名称
  2. 購入金額
  3. セルフメディケーション対象医薬品であるという旨
  4. 販売店の名前
  5. 購入日の明記

この5つはすべて揃っていることが必要です。

ドラッグストアで買い物をする際には、レシートなり領収書の中身をよくチェックしておきましょう。3番はとくに、レシートに記載されない項目になりますので、店員につたえる必要があります。

いろいろとめんどくさいですねぇ~~。

ただ、この書類さえきちっと手元に残しておけばあとの申請は簡単。以下の通りに申請しましょう。

  1. サラリーマン
    → 会社に「セルフメディケーション制度」に申請すると伝え、人事に必要書類をだせばOK(大企業の場合)
  2. 個人・経営者
    → 確定申告の際に記載。項目は「所得から差し引かれる金額」。