履歴書・ESの自己PRとか志望動機の最後に「何卒よろしくお願いいたします・お願い申し上げます」と書くと、通過率が上がるって本当?
まずは結論から述べますが、これは無意味なので止めてください。
もし、文字数を埋めるために何かを書く必要があるとしても「何卒よろしくお願いいたします」はダメです。もっと自己PRや志望動機の中身を充実させましょう。
はい、これにて終了…。
なのですが、あまりに中身のない記事になってしまうため、もう少しいろいろと考えを巡らせてみます。
“何卒よろしくお願いいたします”と履歴書に書いても無意味、なぜ?
誤解の無いように書いておきますが、「何卒よろしくお願いいたします・何卒よろしくお願い申し上げます」はお願いをするときの敬語表現として、とても丁寧です。
ただし、これを履歴書に書いてもムダです。
なぜでしょうか?
履歴書の本来の意味を考えてみましょう。履歴書とは自分の経歴などをアピールするためにあるものであって「採用担当に何かをお願いする」ものでは無い。自己PRしたり、設問に答えることが目的なのです。
したがって、自己PRをするでもなく設問に答えるでもない表現の「何卒よろしくお願いいたします」は蛇足であって、何の意味も持ちません。
“何卒よろしくお願いいたします”と書いて通過しても、それが理由じゃない
履歴書・ESに「何卒よろしくお願いいたします」「何卒よろしくお願い申し上げます」と書いて通過したとします。
この場合、履歴書が通過した理由を「何卒よろしくお願いいたします」を添えたことに求めるのは間違い。別の理由で通過したと考えるのが普通です。この一言を添えるだけで履歴書・ESの通過率がUPするのであれば、みんなやります。
でも私がリクルーター面談をしていたころには、そのような就活生のESを見たことがありません。論より証拠ですね。
“何卒よろしくお願いいたします”によって、貴重な文字数を奪われる
採用活動に使われる履歴書・ESにはたいてい、文字数制限というのが存在します。
たとえば、こんな具合に出題されますよね。
「学生時代にがんばったことは何ですか(300文字以内)」
「当社を志望する理由は何ですか(100文字以内)」
さてここで「何卒よろしくお願いいたします。」を使うと16文字のロスになります。無駄な一言を入れることによって、16文字も自己PRに使えるハズだった文字数を奪われてしまいます。
デメリットはあっても、メリットは何もないですよね?
履歴書・ESの通過率を上げる裏技などない
人が履歴書・ESを読んで、人が面接に呼ぶかどうかをジャッジしているため、裏技など存在しません。丁寧に手書きし、自己PRをしっかりと書き、志望動機をしっかりと書き…としても、落ちる時は落ちます。逆にコピペのような文章を適当に書いても通る時は通ります。
ゲームのように、機械のバグを利用した裏技など存在しないのです。
ただ強いて挙げるとすれば、採用担当の印象に残るよう魅力的に仕上ることだけです。やり方は、いろいろとブログの中で語っていますのでよろしければ、以下のリンクよりご確認ください。
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ここまでで本題は終了しますが「何卒よろしくお願いいたします」の意味と本来の使い方について、念のため解説しておきます。
“何卒よろしくお願いいたします”の意味・敬語の解説
まずは基本となる意味と敬語の解説をしていきます。
“何卒よろしくお願いいたします”意味は「どうかお願いします」
一つ一つの言葉について意味をみていくと、
「何卒(なにとぞ)」の意味は「どうか・どうぞ・ぜひとも」。
「宜しく(よろしく)」の意味はとくに無し、辞書には「人に何かを頼んだりするときに添える言葉」とあります。
「お願いいたします」の意味は文字通り「お願いします」です。
これらの言葉を併せると「どうか、よろしくお願いします」という意味になります。
敬語の解説
つづいて「何卒よろしくお願いいたします」を敬語としてみていきましょう。細かく分解していくと、こんな感じの成り立ちになります。
- 「何卒」は副詞、敬語ではない
- 「よろしく」も副詞、敬語ではない
- 「お願いいたします」は「する」の謙譲語「いたす」+丁寧語「ます」
敬語として目上の方やビジネスメールで使うには、すばらしく丁寧な表現となっています。
“何卒よろしくお願いいたします”の使い方・例文
つづいて「何卒よろしくお願いいたします」の使い方を例文つきで解説します。何かのお願いをするときにはもちろん、他にどんな場面であろうとビジネスメールの文末に締めくくりとして使用できる表現です。とくにビジネスメールで使い、商談で使うときには「よろしくお願いいたします」だけで十分。
使い方①シンプルに「何卒よろしくお願いいたします」
まずは代表的な使い方として、シンプルに「何卒よろしくお願いいたします」とする場合。ビジネスメールでよく使い、話し言葉としては丁寧すぎるため「よろしくお願いいたします」だけで十分です。
「何卒よろしくお願いいたします」はお願いごとをするときに限って使われるような気になるのですが、そうでなくても使用します。理由は不明。
とくにビジネスメールの文末に、締めくくりとして使います。
挨拶みたいな使い方ですね。
使い方②今後とも何卒よろしくお願いいたします
「今後とも何卒よろしくお願いいいたします」も使い方①と同じく挨拶的な要素の多い表現。
ビジネスメールの文末に、締めくくりの挨拶として使います。社交辞令のようなもので、とくに深い意味はありません。
使い方③~のほど、何卒よろしくお願いいたします
つづいて「~のほど、何卒よろしくお願いいたします」をみていきます。お願いメール・謝罪メールでよく使う表現。
ちなみに「~のほど」の部分には結構どんな表現でも使えます。
「ご検討のほど、何卒よろしくお願いいたします」とすれば、「検討してほしい」の意味ですし
「ご査収のほど、」とすれば、「中身をよくチェックしてほしい」の意味ですし
「ご了承のほど、」とすれば、「了承してほしい」の意味です。
とにかく何かお願いしたいことがあれば、何でも適用できます。念のため、例文にまとめておきますね。
「~のほど、何卒よろしくお願いいたします」を使った例文;
- ご検討のほど、何卒よろしくお願いいたします(お願いメールの文末)
- ご査収のほど、〃同上(お願いメールの文末)
- ご了承のほど、〃同上(謝罪メールの文末)
- ご理解のほど、〃同上(お願いメールの文末)
- ご連絡のほど、〃同上(お願いメールの文末)
使い方④~いただきますよう、何卒よろしくお願いいたします
つづいて「〜いただきますよう、何卒よろしくお願いいたします」の意味は「〜してもらいたい」です。
「お願い・許可を求める」ビジネスシーンで活躍する敬語です。特にビジネスメールの文末に締めくくりとして使うと、グッと引き締まったメールになります。
「いただきますよう」を細かくみていくと、
- “もらう”の謙譲語「いただく」
- “するように”の丁寧な表現「ますよう」
からなります。こちらも例文でみていく方がわかりやすいため、まとめておきます。
「〜いただきますよう、何卒よろしくお願いいたします」を使った例文;
- ご検討いただきますよう、何卒よろしくお願いいたします(お願い)
- ご承諾いただけますよう、〃(お願い・許可)
- ご承認いただけますよう、〃(お願い・許可)
- ご了承いただきますよう、〃(お願い・許可)
- お取り計らい頂きますよう、〃(お願い・許可)
▼「頂きますよう・頂けますよう」の違いは、可能形かそうでないか。「頂けますよう」は可能形であり、「いただく=もらう」+「できる」からなります。可能形を使った方が、より丁寧な印象を与えますが、ビジネスシーンではどちらを用いても構いません。