「何卒」の意味と正しい使い方【ビジネス敬語】

「何卒(なにとぞ)」について、意味と目上の方への使い方、注意点を例文つきで誰よりも詳しく解説していく記事。

まずは基本として、

「何卒(なにとぞ)」の意味は「どうぞ・どうか・ぜひとも」であり、「お願いメール」「謝罪メール」などのビジネスシーンで使われます。これは敬語ではなく単なる副詞であり、動詞を強調するために使います。使えば丁寧な表現になる、ということはないので注意が必要です(後述)。

使い方としては例えば、

  • 例文①「何卒よろしくお願い申し上げます・何卒よろしくお願いいたします」
  • 例文②「何卒ご了承いただきますよう、お願い申し上げます」
  • 例文③「何卒ご理解いただきますよう、お願いいたします」

などのようにして使うと目上の方やビジネスメールで使う表現として、とても素晴らしい表現になります。詳しくは本文中にて解説していきます。

※長文になりますので、時間の無い方は「パッと読むための見出し」より目的部分へどうぞ。

“何卒”の意味は「どうぞ・どうか・ぜひとも」

「何卒」の読み方は「なにとぞ」。

「何卒」の辞書的な意味は「どうか・どうぞ・ぜひとも」です。

これは敬語ではなく、単なる副詞として使われ、動詞にかかります。相手に自分の「お願いごと」などをしたいとき、後ろにつく動詞を強調します。

つまり「何卒ご了承ください」と使えば「どうか了解してください」の意味になり、「何卒ご理解ください」と使えば「どうか理解してください」という意味になります。

いずれにせよ「何卒」は目上の方やビジネスメールで使う言葉にふさわしい表現になります。

“何卒”の使い方・例文

続いて「何卒」の使い方を、例文つきで解説していきます。注意点は副詞なので、動詞にかかるように使うことです。

ビジネスシーンではとくに「お願いをする」「謝罪をする」ときに、メールの文末に締めくくりとして使われます。

使い方①何卒よろしくお願いいたします・お願い申し上げます

「何卒よろしくお願いいたします」としたときには「どうか、よろしくお願いします」の意味となり、どんな場面でも使えます。とくにビジネスメールの文末に締めくくりとして使われる表現。

例文で示した方が早いため、以下に使い方をまとめます。

「何卒ご了承」を使った例文;

  • 何卒ご了承くださいますよう、お願い申し上げます(謝罪メール・文末)
  • 何卒ご了承いただきますよう、〃同上
  • 何卒ご了承いただけますよう、〃同上

使い方②何卒ご了承ください

「何卒ご了承ください」としたときには「どうか了承ください」の意味となり、謝罪メールや、何かの許可を得るときに使います。就活メールであれば、説明会キャンセルをするときなどに使うとよいでしょう。

※ただし丁寧レベルを上げるためには「ください」ではなく「いただきますよう」を使いましょう。

例文で示した方が早いため、以下に使い方をまとめます。

「何卒ご了承」を使った例文;

  • 何卒ご了承くださいますよう、お願い申し上げます(謝罪メール・文末)
  • 何卒ご了承いただきますよう、〃同上
  • 何卒ご了承いただけますよう、〃同上

参考となる記事;

使い方③何卒ご理解ください

「何卒ご理解ください」としたときには「どうか理解してください」の意味となり、謝罪メールや、何かの許可を得るときに使います。

※ただし丁寧レベルを上げるためには「ください」ではなく「いただきますよう」を使いましょう。

例文で示した方が早いため、以下に使い方をまとめます。

「何卒ご理解」を使った例文;

  • 何卒ご理解くださいますよう、お願い申し上げます(謝罪メール・文末)
  • 何卒ご理解いただきますよう、〃同上
  • 何卒ご理解いただけますよう、

使い方④何卒ご容赦ください

「何卒ご容赦ください」としたときには「どうか、許してください」の意味となり、謝罪メールに使います。

※ただし丁寧レベルを上げるためには「ください」ではなく「いただきますよう」を使いましょう。

例文で示した方が早いため、以下に使い方をまとめます。

「何卒ご理解」を使った例文;

  • 何卒ご容赦くださいますよう、お願い申し上げます(謝罪メール・文末)
  • 何卒ご容赦いただきますよう、〃同上
  • 何卒ご容赦いただけますよう、〃同上

使い方⑤何卒ご自愛ください

「何卒ご自愛ください」としたときには「どうか、健康には気をつけてください」の意味となり、お見舞いメールに使います。ただし、こちらも「ください」ではなく「くださいませ」などを使いましょう。

そして「何卒」よりも「くれぐれも」を使うほうが一般的です。

例文で示した方が早いため、以下に使い方をまとめます。

「何卒ご自愛」を使った例文;

  • 何卒ご自愛くださいませ(お見舞いメール・文末)
    → 「何卒」よりも「くれぐれも」を使うほうが一般的

“何卒”を使うときの注意点

つづいて「何卒(なにとぞ)」を使うときの注意点を解説します。意識せずに使っていると、NG例にひっかかりますので、お気をつけください。

注意①“何卒”は使い過ぎない!

先にも述べたとおり、「何卒」は副詞であり動詞を強調するための言葉です。敬語でも何でもありませんので、使えば丁寧だ!!という訳ではありません。逆に使いすぎは禁物です。

なぜなら「何卒」は抜いたとしても文章に差支えがないから。

たとえば「何卒よろしくお願いいたします」は、「よろしくお願いいたします」でも十分に丁寧な敬語であり、目上の方やビジネスメールに使うのにふさわしい表現です。

同じように「何卒ご了承いただきますよう、お願い申し上げます」は、「ご了承いただきますよう、お願い申し上げます」でも敬語として十分に丁寧な表現です。

ということで「何卒」は使っても使わなくても、別にどうだっていい表現なのです。必要最小限の使用にとどめましょう。

注意②“何卒”は1文1回にする

「何卒」を使うとき、論外でNGとなるのは1文に2回つかうこと。メールがくどくなりますので、気をつけましょう。

念のためNGとなる例文を挙げておきます。

  • ×NG例|何卒ご了承いただきますよう、何卒よろしくお願いいたします。

注意③“何卒”は「どうか」などと併用しない

「何卒」は「どうか・くれぐれも・どうぞ」など、他の副詞と併用するとNGとなります。そもそも日本語としておかしくなる上にメールがくどくなりますので、気をつけましょう。

  • ×NG例|どうか何卒ご理解いただきますよう、お願い申し上げます(「どうか・何卒」を並列)
  • ×NG例|どうかご理解いただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます(文章がくどい)

注意④“何卒”はメールのみで使用し、商談・電話では使わない

「何卒」はビジネスメールで主に使い、商談や電話といった「話し言葉」としては使わないのが普通。使ってはいけない、というのではないのですが「話し言葉」として使うと耳につきます。

「何卒よろしくお願い申し上げます」を実際に発音してみるとよいでしょう。まるで時代劇をやってるみたいで、滑稽になりませんか?

ということで商談や電話で「お願いごと」をするときには、「宜しくお願いいたします」「どうぞ宜しくお願いいたします」という程度で十分に丁寧な表現です。

電話・商談とビジネスメールは切り離して考えましょう。

“何卒”をシンプルに使うなら「何卒よろしくお願いいたします」だけ

「何卒」を使った例文をいろいろと示しましたが、ここまで多くの表現は、実際のビジネスシーンでは必要ありません。就活・転職メールでも必要ありません。

「何卒」の使い方で私がオススメしたいのは、「何卒よろしくお願いいたします」「何卒よろしくお願い申し上げます」だけを使うこと。

こうすると色々と使い分けに悩む必要がなく、シンプルに使えるようになります。

たとえば、

「何卒ご了承いただきますよう、お願い申し上げます」は、「ご了承いただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます」と言い換えできます。

「何卒ご理解いただきますよう、お願い申し上げます → ご理解いただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます」と言い換えできます。

こんな感じで「何卒よろしくお願いいたします」になるように言い換えると、楽に使いこなせますよ。

つづいて「いただく」を使ったビジネスメールの例文を挙げていきます。とくに何かのお願い・依頼・謝罪をするビジネスメールにおいて活躍する表現です。目上の方や取引先に対して使える文章にしていますので、ご参にどうぞ。

“何卒”を使ったビジネスメール例文【全文】

例文|内定辞退(謝罪メール)

件名:内定辞退のご連絡(就活大学・就活)

転職株式会社
人事部
◯◯ 様

平素は大変お世話になっております。
就活大学の就活太郎です。

さて、先日貴社より内定のご連絡をいただいておりましたが諸事情により、内定を辞退いたします。貴重なお時間をいただいておきながら、このような返事となり誠に申し訳ございません。

また、本来であれば直接伺いお詫びするべきところ、メールでのご連絡となりましたこと、重ねてお詫び申し上げます。

ご了承いただければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。

メール署名

まとめ

これでもかというくらい「何卒」について語ってみました。

これは使っても使わなくてもよい表現に分類されますが、多くのビジネスパーソンが使うのを好みます。とくに「お願い・頼みごと・謝罪」をするシーンであれば、目上の方や取引先に万能に使える表現です。

ぜひ、ありとあらゆる場面を経験し、使い倒してください。頭でどうこうなるものではないので、ビジネスシーンで場数を踏んでくださいね。ではでは~~。

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