敬語「お読みいただく vs くださる」の意味と違い・使い方

① お読みいただく

vs.

② お読みくださる

の敬語、意味と違い、目上・上司・取引先への使い方、注意点についてビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説していく記事。

まずは基本。

「お読みいただく vs お読みくださる」の意味はそれぞれ

お読みいただく → 読んでもらう
お読みくださる → 読んでくれる

どちらも正しい敬語であり使い方はたとえば…

① お礼「読んでくれてありがとう」

例文「お読みいただきありがとうございます」
例文「お読みいただきましてありがとうございます」
例文「お読みくださいましてありがとうございます」

※「ご一読いただく・ご一読くださる」に言い換えもできます

② 希望・依頼・お願い「読んでほしい」

例文「お読みいただきたく存じます」
例文「お読みいただければと存じます」
例文「お読みいただければ幸いです」
例文「お読みくださいますようお願い申し上げます」

※「ご一読いただく・ご一読くださる」に言い換えもできます

③ 読んでもらえる●●

例文「お読みいただける方を募集しております」
例文「お読みいただけるようでしたらお願いいたします」

のようにしてメールに使うと、上司・目上やビジネスパートナーに使えるすばらしい敬語フレーズになります。

使い方は依頼・お礼メールなどいろいろあり。

どちらをつかっても丁寧な敬語であり使い分けの必要はありません。

その根拠については本文にて。

ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、本文中ではメール例文をまじえながらくわしく進めていきます。

※長文になりますので時間の無い方は「見出し」より目的部分へどうぞ。

意味・敬語の違い

まずは「お読みいただく vs お読みくださる」の意味と敬語における違いについて簡単に。

ようは「読んでもらう vs 読んでくれる」ということなのですが、あまりに乱暴なのでもう少しくわしく解説します。

“お読みいただく”の意味・敬語

「お読みいただく vs お読みくださる」の違い

まず

「お読みいただく」の辞書的な意味は…

「読んでもらう」であり、おもにビジネスシーンでなにかしら読んでほしいとき。依頼・お願いにつかう敬語フレーズです。もちろんお礼などにも使えます。

「お読みいただく」の敬語を細かくみていくと、以下のような成り立ちです。

元になる語は“読む”
“〜してもらう”の謙譲語「お（ご）〜いただく」で「お読みいただく」

※「ご一読いただく」に言い換えもできます

謙譲語をつかい、この上なく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

こうすると「ありがたくも読んでもらう」というようなニュアンスになります。

したがって上司・目上やビジネスメールで使うのにふさわしい表現、と言えるでしょう。

ちなみに「お読み」の「お（ご）」は謙譲語と尊敬語の使い方があります。ここでは「自分が〜してもらう」というように自分を主語にしているため謙譲語としての使い方です。

“お読みくださる”の意味・敬語

「お読みいただく vs お読みくださる」の違い

つづいて

「お読みくださる」の辞書的な意味は…

「読んでくれる」であり、ビジネスシーンでなにかしら読んでほしいとき。依頼・お願いにつかう敬語フレーズです。もちろんお礼などにも使えます。

「お読みくださる」の敬語を細かくみていくと、以下のような成り立ちです。

元になる語は“読む”
“〜してくれる”の尊敬語「お（ご）〜くださる」で「お読みくださる」

※「ご一読くださる」に言い換えもできます

尊敬語をうまくつかい、この上なく丁寧な敬語表現となっていることがわかります。

こうすると「ありがたくも読んでくれる」というようなニュアンスになります。

ちなみに「お読み」の「お（ご）」は謙譲語と尊敬語の使い方があります。ここでは「相手が〜してくれる」というように相手を主語にしているため尊敬語としての使い方です。

違いと使い分け

ここまで意味と敬語についてみてきました。

さて「お読みいただく vs お読みくださる」の違いにお気づきでしょうか？

どちらも結局のところ言いたいことは同じ。

「読んでもらう・読んでくれる」

と言いたいわけですが…

“お読みいただく“だと意味は「読んでもらう」
→敬語は謙譲語「お（ご）〜いただく」

vs.

“お読みくださる“だと意味は「読んでくれる」
→敬語は尊敬語「お（ご）〜くださる」

というように意味と敬語の使い方が違います。

いい加減しつこいのですが、だからといって言いたいことは全く同じなわけです。

したがって、

敬語の使い方には違いはあれど、どちらもひとしく丁寧な敬語であり目上・上司・社外取引先につかえるフレーズです。

ただ少しニュアンスの違いというか敬語の使い方が違うよ、ということですね。

ちなみにビジネスメール結びとして一般的なのは「お読みくださる」のほうですが、心底どちらでも差し支えありません。

“お読みいただく vs お読みくださる”の使い方

つづいて「お読みいただく vs お読みくださる」の使い方について。

代表的なパターンを表にまとめておきます。

こまかく解説していくとそれだけで記事がおわってしまいますので、目的にあわせてお使いください。

▼「お読みいただく」の使い方まとめ（すべて敬語）

	①基本	②+丁寧語”ます”	③その他
現在	お読みいただく	-いただきます	-頂くよう -頂きますよう
過去	お読みいただいた	-いただきました	×
進行形	お読みいただいている	-いただいています	-頂いております
過去~現在	お読みいただいていた	-いただいていました	-頂いておりました
希望依頼	お読みいただきたいお読みいただきたくお読みいただくよう	-いただきたいです -いただきますよう	-頂きたく思います -頂きたく存じます -頂ければと存じます
可能	お読みいただける	-いただけます	-頂けるよう -頂けますよう
仮定	お読みいただければ	-いただけましたら	×
疑問	お読みいただけるか？	-いただけますか？	-頂けますでしょうか
否定	お読みいただけない	-いただけません	×
命令	×	×	×

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。

※「×」としたのは一般的につかわない

▼「お読みくださる」の使い方まとめ（すべて敬語）

	①基本	②+丁寧語”ます”	③その他
現在	お読みくださる	-くださいます	-くださるよう -くださいますよう
過去	お読みくださった	-くださいました	×
進行形	お読みくださっている	-くださっています	-くださっております
過去~現在	お読みくださっていた	-くださっていました	-くださっておりました
希望	お読みくださるよう	-くださいますよう	×
可能	×	×	×
仮定	×	×	×
疑問	お読みくださるか？	-くださいますか？	×
否定	お読みくださらない	-くださいません	×
命令	お読みください	-くださいませ	×

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。

※「×」としたのは一般的につかわない

敬語”～いただく vs くださる”の違いをもっと！

せっかくですので「～いただく」「～くださる」の違いをもっと考えてみます。

たとえば結び・締めに使う「お願い」するときのシーンを考えましょう

すると…

「ご容赦くださいますようお願い申し上げます」
「ご容赦いただきますようお願い申し上げます」

「ご了承くださいますようお願い申し上げます」
「ご了承いただきますようお願い申し上げます」

「ご連絡くださいますようお願い申し上げます」
「ご連絡いただきますようお願い申し上げます」

こんな敬語フレーズをよく使います。

実はこれらは「くださる」を使うのが一般的です…
「いただく」としても丁寧ではありますが…

ところが、たとえば何かをもらった時のお礼のシーンを考えます。

「たいそうなお品をくださりありがとうございました」
「たいそうなお品をいただきありがとうございました」

もうひとつ、

「いつもご利用くださりありがとうございます」
「いつもご利用いただきありがとうございます」

上記の例文はどれも敬語としては正しい使い方。

ただ圧倒的に「いただき〜」とするほうが多いですね。

結び・締めに使うフレーズとしては「くださる」のほうが一般的で、お礼に使うフレーズとしては「いただきありがとう」を使うのが一般的です。

ただし何度もしつこいのですが…

本来であればどれも丁寧な敬語であり、使い分けする必要はありません。

【補足】敬語の種類（ざっくり復習）

① 尊敬語とは？
相手をうやまって使う敬語の一種。
相手の行為にたいして使い、自分の行為には使わないことが基本。

敬語の種類はほかに②謙譲語、③丁寧語がある

② 謙譲語とは？
自分をへりくだって下にすることで、相手への敬意をあらわす敬語。
自分の行為に使い、相手の行為には使わないことが基本（例外あり）。

③ 丁寧語とは？
いわゆる「です・ます」口調のこと。

使い方

つづいて「お読みくださる vs お読みいただく」の使い方を例文で紹介します。

目上・上司にはもちろんのこと、社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズにしています。ご参考にどうぞ。

使い方①相手に読んでほしい時

相手に「読んでほしい・読んでもらいたい」ときは…

【例文】お読みいただきたく存じます
【例文】お読みいただきたく、お願い致します
【例文】お読みいただければと存じます
【例文】お読みいただきますようお願い申し上げます
【例文】お読みくださいますようお願い申し上げます
【例文】お読みいただければ幸いです
【例文】お読みいただけましたら幸いです
【例文】お読みいただけますか／ますでしょうか？

※「ご一読いただく・ご一読くださる」に言い換えもできます

▼敬語の補足

・「存じる」は「思う」の謙譲語
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」＋希望”～したい”
・「いただければ」は謙譲語「いただく」＋可能形＋仮定”たら・れば”
・「いただけましたら」は謙譲語「いただく」＋丁寧語”ます”＋仮定”たら・れば”
・「幸いです」は「幸い」＋丁寧語”です”
・「ますよう」は丁寧語”ます”+”ように”

使い方②相手に「読んでくれてありがとう！」とお礼するとき

相手に「読んでくれてありがとう！」とお礼するときは…

【例文】お読みいただきありがとうございます
【例文】お読みいただきましてありがとうございます
【例文】お読みくださいましてありがとうございます

※「ご一読いただく・ご一読くださる」に言い換えもできます

使い方③読むことができません！と断るとき

①上司なり取引先・目上の相手が「読むことができません！」とするときは…

【例文】お読みいただけません
【例文】お読みいただくことはできません

②自分が「読むことができません！」とするときは…

【例文】お読みいたしかねます
【例文】お読みしかねます
【例文】●●のためお読みすることが叶いません
【例文】お読みすることが大変困難でございます

無理やり感のある例文になってしまいました…すみません。

こんなときには「ご対応いたしかねます」「お受けいたしかねます」などの敬語をつかいますね。

使い方④読んでもらえる●●

読んでもらえる●●

例文「お読みいただける方を募集しております」
例文「お読みいただけるようでしたらお願いいたします」

使い方⑤自分が「読みます！」とするとき

ついでに自分が「読みます！」と言いたいときには…

【現在形】お読みします／お読みいたします
【過去形】お読みしました／お読みいたしました
【進行形】お読みしております／お読みいたしております
【希望①】お読みしたく思います／お読みいたしたく思います
【希望②】お読みしたく存じます／お読みいたしたく存じます

▼敬語の補足

・「存じる」は「思う」の謙譲語
・（ご）とした例文は省略可
・「お（ご）～します」は謙譲語「お（ご）～する」＋丁寧語”ます”
・「お（ご）～いたします」は謙譲語「お（ご）～いたす」＋丁寧語”ます”

おもにはこんな感じの使い方があります。

それぞれの意味や敬語の使い方など、くわしい解説は本文の一番最後にあります。

本当はもっといろいろありますが、すべての使い方を例文で紹介しているとそれだけで日が暮れるため、少しだけにしておきますね。

ビジネスメール例文【全文】

ここでは「お読みくださる vs お読みいただく」のビジネスメール例文を紹介します。

目上・上司にはもちろんのこと、社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズにしています。ご参考にどうぞ。

ビジネスメール例文①依頼・お願い

メール件名：書籍ご紹介

営業部　各位

お疲れ様です。
秘書室・ノマドでございます。

さて、本日の朝礼でｘｘ社長よりご紹介いただきました書籍を下記のとおり、共有スペースに完備いたしました。

①人生は山あり谷あり
②営業のすべて
③Oh 社畜！

どれも素晴らしい書籍ですので、ぜひお手すきの際にお読みいただければと存じます。

よろしくお願い致します。

**************
メール署名
**************

ビジネスメール例文②お礼

メール件名：返信Re：書籍ご紹介

○○部長

お疲れ様です。
秘書室・ノマドでございます。

早速お読みいただき誠にありがとうございます。

またご丁寧に感想もいただきあわせて感謝申し上げます。

何かの折にご紹介させていただきたく存じます。

今後ともよろしくお願い致します。

**************
メール署名
**************

“お読みいただく”は間違い敬語？

少し話はそれますが「いただく」が謙譲語として誤りだという指摘があります。

間違いだという指摘の根拠は、

“いただく”は「もらう」の謙譲語
謙譲語は自分の動作を低めて相手を敬うため、基本は自分の行為にしか使えない
“お読みする”のは相手だから…
“お読みいただく”は相手の行為に謙譲語を使うことになり、おかしい？

ということです。

正しい敬語である根拠

まずは結論だけ述べますが「お読みいただく」は間違った謙譲語ではありません。

「お読みいただく」は「私が相手に読んでもらう」という意味。

もっとかみ砕くと

「ありがたくも私が相手に読んでもらう」というようなニュアンスになります。

自分が上司・目上・取引先など相手に「〜してもらう」の主語は自分であるハズ。したがって自分を低めて上司・目上・取引先をたてる謙譲語「いただく」をつかいます。

ちなみに尊敬語をつかって相手の行為をたてるのであれば…

「お読みくださる＝相手が読んでくださる」をつかえばOK。

謙譲語にも”お（ご）”という使い方がある

ややこしいので基本的な敬語の使い方についてくわしく解説を。

じつは尊敬語と謙譲語にはどちらも「お（ご）」の使い方があります。

謙譲語としての「お（ご）」の使い方はたとえば、

会議日程のご連絡
忘年会開催のお知らせ
販売状況のご報告
転勤のご挨拶
貴社ご訪問のお願い

こんな感じのフレーズがあります。よくビジネスメールの件名で目にする表現ですね。

ところが例文は自分が「ご連絡・お知らせ・ご報告・ご挨拶」するため「お（ご）」をつかうのはおかしいと感じるかたもいらっしゃることでしょう。

これは、

謙譲語「お（ご）」の使い方を知らないためにくる勘違いです。

尊敬語の「お（ご）」だと勘違いしているために間違い敬語と感じるのですが、実際にはどれも正しい敬語をつかっています。

いっぽうで尊敬語の「お（ご）」は、「部長がお戻りになりました」などのようにして、相手の行為をうやまって使う敬語です。

謙譲語の一般形まとめ

謙譲語の「お・ご」は尊敬語の「お・ご」と勘違いしやすい敬語です。

他にもセットで謙譲語として覚えておくと役に立つフレーズを以下にまとめます。

お（ご）〜する
お（ご）〜します
お（ご）〜いたす
お（ご）〜いたします
お（ご）〜いただく
お（ご）〜いただきます
お（ご）〜差し上げる
お（ご）〜差し上げます
お（ご）〜申し上げる
お（ご）〜申し上げます
お（ご）〜させていただく
お（ご）〜させていただきます

※「させていただく」は日本語としておかしい表現になる時もあり何でもかんでも使える訳ではない

「〜」の部分にイロイロな語がきて謙譲語になります。たとえば「了承」「教示」「承諾」「検討」「容赦」「査収」「取り計らい」など。

また丁寧語「ます」とくみあわせて「〜します」「〜いたします」とするのが丁寧な使い方ですのでご留意ください。

ちなみに、これは文化庁の「敬語の指針」においても解説されています。私のような頭の悪い人には難しいのですが、ご興味ありましたら以下のリンクよりどうぞ。

文化庁より｜敬語の指針

ビジネスメール結びをより丁寧にするコツ

あまり関係ないのかもしれませんが重要なので念のため。

ビジネスメールの文末・結び・締めとして使うことのおおい「お読みいただく vs お読みくださる」

ここでは、

ビジネスメール結びをより丁寧にするためのコツをご紹介します。

+前置きに添えるフレーズを！

ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。

「お読み」の前置きに添える丁寧なお願いフレーズ「どうか」「何卒（なにとぞ）」を使うとより丁寧な印象のメールとなります。

たとえば以下のようなフレーズがあります。

どうか
例文「どうかお読みくださいますようお願い申し上げます」
例文「どうかお読みくださいますようお願い致します」
例文「どうかお読みいただければ幸いです」
例文「どうかお読みいただければと存じます。何卒よろしくお願い申し上げます」
何卒＝どうか
例文「何卒お読みくださいますようお願い申し上げます」
例文「何卒お読みくださいますようお願い致します」
例文「何卒お読みいただければ幸いです」
例文「何卒お読みいただければと存じます。よろしくお願い申し上げます」

+気づかいの敬語フレーズもGood

ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。

「お読み」の前置きには強調するフレーズ「どうか」「何卒（なにとぞ）」だけでなく、申し訳なく思う気持ちや、相手を気づかうフレーズをもってきても丁寧です。

たとえば「誠に勝手を申し上げますが」などと組み合わせ、以下例文のようにすると好感がもてますね。上司や目上にはもちろんのこと、取引先のメールにも使える丁寧な例文にしています。

恐縮＝申し訳なく思うこと
「お忙しいところ恐縮ではございますがお読み〜」
「お忙しいところ大変恐縮ではございますがお読み〜」
「たびたび恐縮ではございますがお読み〜」
恐れ入る＝申し訳なく思う
「お忙しいところ恐れ入りますがお読み〜」
「お忙しいところ大変恐れ入りますがお読み〜」
「たびたび恐れ入りますがお読み〜」
お手数＝お手間
「お忙しいところお手数お掛けしますがお読み〜」
「お忙しいところ大変お手数ではございますがお読み〜」
勝手を申し上げる＝自分勝手を言う
「誠に勝手を申し上げますがお読み〜」
ご無理申し上げる = 無理を言う
「ご無理申し上げますが、何卒お読みのほどお願い申し上げます」
ご多忙とは存じますが＝忙しいとは思うけど
「ご多忙とは存じますがお読み〜」