「お尋ねいただきありがとうございます」の意味、敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)、注意点について。
ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。
意味
「お尋ねいただきありがとうございます」は「尋ねてもらいありがとう」という意味。
なぜこのような意味になるのか?
そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。
お尋ねいただき~の意味は「尋ねてもらい~」
「お尋ねいただき~」の意味は「尋ねてもらい~」
※敬語は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を使用。
※平仮名ではなく漢字表記「お尋ね頂き」としてもOK。
すると意味は「尋ねてもらい~」と解釈できます。
「ご連絡いただく=連絡してもらう」「ご指導いただく=指導してもらう」などのようにして使われる語とおなじ意味。
上司・目上・ビジネスメールに使うフレーズとしてはとても丁寧で好感がもてますね。
ここで「お尋ね」の「お(ご)」の部分は向かう先を立てるために使う敬語であり謙譲語の「お(ご)」です。
注意点として尊敬語にも「お(ご)」の使い方があり混同しがち。
難しく感じるかたは「お(ご)●●いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。→︎くわしくは次項の補足①②をご参照ください
あわせると意味は「尋ねてもらい、ありがとう」
- 尋ねる
- お(ご)●●いただく = 「●●してもらう」の謙譲語
- ありがとうございます = お礼
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「お尋ねいただきありがとうございます」の意味は…
「尋ねてもらい、ありがとう」となります。
のように解釈できます。
敬語の種類
つづいて「お尋ねいただきありがとうございます」の敬語の種類について。
この項目は少しマニアックな敬語の解説になります。敬語について細かく学ぶ必要のないかたは読み飛ばしてください。
「お尋ねいただきありがとうございます」の敬語
繰り返しにはなりますが「お尋ねいただきありがとうございます」を敬語としてみると、以下のように成り立ちます。
▼敬語の解釈 ①
- もとになる単語「尋ねる」
- 「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「お尋ねいただく」
- 「ありがとうございます」をくっつけた敬語
あるいはもっと細かくすると以下のような敬語の解釈もできます。
▼敬語の解釈 ②
- もとになる単語「尋ねる」に謙譲語「お・ご」で「お尋ね」
- さらに「〜してもらう」の謙譲語「〜いただく」で「お尋ねいただく」
- 「ありがとうございます」をくっつけた敬語
本来あるべきなのは解釈②なのですが…
ややこしくなるため「お(ご)〜いただく」のセットで謙譲語とし解釈①で考えたほうがシンプルでわかりやすくなります。
とにかく敬語としては全くおかしいところは見当たりません。間違い敬語でもなく二重敬語でもなく、正しい敬語です。
補足①敬語の種類(ざっくり復習)
① 尊敬語とは?
相手をうやまって使う敬語の一種。
相手の行為にたいして使い、自分の行為には使わないことが基本。
敬語の種類はほかに②謙譲語、③丁寧語がある
② 謙譲語とは?
自分をへりくだって下にすることで、相手への敬意をあらわす敬語。
自分の行為に使い、相手の行為には使わないことが基本(例外あり)。
③ 丁寧語とは?
いわゆる「です・ます」口調のこと。
謙譲語にも”お(ご)”という使い方がある
ややこしいので基本的な敬語の使い方についてくわしく解説を。
じつは尊敬語と謙譲語にはどちらも「お(ご)」の使い方があります。
謙譲語としての「お(ご)」の使い方はたとえば、
- 会議日程のご連絡
- 忘年会開催のお知らせ
- 販売状況のご報告
- 転勤のご挨拶
- 貴社ご訪問のお願い
こんな感じのフレーズがあります。よくビジネスメールの件名で目にする表現ですね。
ところが例文は自分が「ご連絡・お知らせ・ご報告・ご挨拶」するため「お(ご)」をつかうのはおかしいと感じるかたもいらっしゃることでしょう。
これは、
謙譲語「お(ご)」の使い方を知らないためにくる勘違いです。
尊敬語の「お(ご)」だと勘違いしているために間違い敬語と感じるのですが、実際にはどれも正しい敬語をつかっています。
いっぽうで尊敬語の「お(ご)」は、「部長がお戻りになりました」などのようにして、相手の行為をうやまって使う敬語です。
謙譲語の一般形まとめ
謙譲語の「お・ご」は尊敬語の「お・ご」と勘違いしやすい敬語です。
他にもセットで謙譲語として覚えておくと役に立つフレーズを以下にまとめます。
- お(ご)〜する
お(ご)〜します - お(ご)〜いたす
お(ご)〜いたします - お(ご)〜いただく
お(ご)〜いただきます - お(ご)〜差し上げる
お(ご)〜差し上げます - お(ご)〜申し上げる
お(ご)〜申し上げます - お(ご)〜させていただく
お(ご)〜させていただきます
※「させていただく」は日本語としておかしい表現になる時もあり何でもかんでも使える訳ではない
「〜」の部分にイロイロな語がきて謙譲語になります。たとえば「了承」「教示」「承諾」「検討」「容赦」「査収」「取り計らい」など。
また丁寧語「ます」とくみあわせて「〜します」「〜いたします」とするのが丁寧な使い方ですのでご留意ください。
ちなみに、これは文化庁の「敬語の指針」においても解説されています。私のような頭の悪い人には難しいのですが、ご興味ありましたら以下のリンクよりどうぞ。
使い方
つづいて「お尋ねいただきありがとうございます」の使い方について。
文字どおりお尋ねしてもらったときのお礼に使います。
取引先など社外あてに限らず、上司や目上など社内あてのメールにも使える丁寧な敬語フレーズです。
基本の使い方①お礼ビジネスメール
「お尋ねいただきありがとうございます」の使い方
とくに上司や目上・取引先から尋ねてもらったとき。お礼ビジネスメール書き出しの挨拶に使います。
使い方②お尋ねくださいましてありがとう~としても丁寧
「お尋ねいただきありがとうございます」の使い方
ところで「お尋ねいただきありがとうございます」と似たようなフレーズには…
- 例文「お尋ねくださいまして誠にありがとうございます」
- 例文「お尋ねくださり、ありがとうございます」
※「お(ご)~くださる」は「~してくれる」の尊敬語
もあります。
あるいは単に「お尋ねありがとうございます」としてもまぁ問題はありません。
結論としてはどれを使っても丁寧な敬語です。
使い方③お尋ねいただきまして~でも丁寧
「お尋ねいただきありがとうございます」の使い方
「お尋ねいただきありがとうございます」としても十分に丁寧ではありますが…
丁寧語の活用形「~まして」をくみあわせて、
- 例文「お尋ねいただきましてありがとうございます」
とするとなお丁寧な敬語になります。
まぁ「お尋ねありがとうございます」だけでも十分ではありますが…丁重なメールに仕上げたいときにどうぞ。
使い方④お尋ねいただき恐縮です なども丁寧
あるいは「ありがとう」ではなく…
相手に負担をかけて申し訳なくおもう気持ちや、相手を気づかうフレーズをもってきても丁寧です。
とくに上司・目上や取引先にいちじるしく負担をかけたときには以下の例文をつかうと好感度UP。
たとえば、
- お尋ね+恐縮(申し訳なく思うこと)
「お尋ねいただき誠に恐縮です」
「お尋ねいただきまして誠に恐縮でございます」
「お尋ねくださいまして誠に恐縮でございます」 - お尋ね+恐れ入る(申し訳なく思う)
「お尋ねいただき大変恐れ入ります」
「お尋ねいただきまして誠に恐れ入ります」
「お尋ねくださいまして誠に恐れ入ります」
こんな感じでつかうと丁寧なビジネスメールになります。
他にもある丁寧な「お尋ね」の例文
あとは「ありがとう」だけでなく「感謝申し上げます」「深謝いたしております」などとしても丁寧です。
お礼の敬語フレーズは本当にいろいろありますが、代表的な例文だけを紹介しておきます。
- 例文「お尋ね頂き感謝申し上げます」
- 例文「お尋ね頂きお礼申し上げます」
- 例文「お尋ね頂き深謝いたします」
※「深謝」は「深く感謝すること」の意味
クッション言葉を添えるとなお丁寧
ビジネスメールのお礼をより丁寧にするためのコツ。
「お尋ね」の前置きにはそえるクッション言葉や、相手を気づかうフレーズをもってくるとなお丁寧です。
たとえば「ご多忙にも関わらず」などと組み合わせ、以下例文のようにすると好感がもてますね。上司や目上にはもちろんのこと、取引先のメールにも使える丁寧な例文にしています。
- ご多忙にも関わらず=忙しいにも関わらず
「ご多忙にも関わらずお尋ねいただき誠にありがとうございます」 - ご多用にも関わらず=忙しいにも関わらず
「ご多用にも関わらずお尋ねいただき誠にありがとうございます」 - 勝手を申し上げたにも関わらず=自分勝手を言ったにも関わらず
「勝手を申し上げたにも関わらずお尋ね〜」 - ご無理申し上げたにも関わらず = 無理を言ったにも関わらず
「ご無理申し上げたにも関わらずお尋ね~」
【例文】ビジネスメール全文
つづいて「お尋ね頂きありがとうございます」を使ったビジネスメールの例文を紹介します。
目上・上司にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズにしています。ご参考にどうぞ。
該当なし「お問合せありがとう」をつかう
いろいろと考えてはみましたが…
「お尋ねいただきありがとうございます」をつかうビジネスメールは思いつきませんでした。
ちなみにビジネスメールにおいて「お尋ね=質問」がくるときは「お問合せメール」であるはず。したがって「お問合せいただきありがとう」をつかいます。
使い方はこれから紹介する例文をご参照ください。
ビジネスメール例文①問合せメールに返信する
【to社外・目上・取引先など】
問い合わせメールをもらったあと。
さらに返信メールでお礼するメール例文。
メール件名: 返信Re: 貴社製品に関するお問い合わせ
株式会社ビジネス
営業部 ○○様
お世話になります。
私、ノマド商事にて営業を担当しております、ノマドと申します。
このたびはお問い合わせいただき誠にありがとうございます。
さて、製品Aに関するご質問の件、下記のとおり回答いたします。
ご査収のほどお願い申し上げます。
記
スペック:
納 期:
サンプル:
以上
ご不明な点がございましたら何なりとお申し付けください。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
————-
メール署名
————-
ビジネスメール例文②問合せメールにお礼返信
【to社外・目上・取引先など】
問い合わせメールをもらったあと。
さらに返信メールでお礼するメール例文。
メール件名: 返信Re: 貴社製品に関するお問い合わせ
株式会社ビジネス
営業部 ○○様
お世話になります。
私、ノマド商事にて営業を担当しております、ノマドと申します。
このたびはお問い合わせいただき誠にありがとうございます。
さてお尋ねいただいた件、下記のとおり回答いたします。
ご査収のほどお願い申し上げます。
記
スペック:
納 期:
サンプル:
以上
ご不明な点がございましたら何なりとお申し付けください。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
————-
メール署名
————-
“お尋ね+お礼”の敬語フレーズまとめ
いろいろ散らかってきたので、一旦まとめ。
これまで紹介した例文もつくめ”お尋ね+お礼”の敬語フレーズを表にまとめておきます。
使い方に迷ったときのご参考にどうぞ。
お尋ね+ありがとう
① 意 味 | ② 例 文 | ③ 敬語の種類 | |
---|---|---|---|
いただき ありがとうございます |
してもらい ありがとう |
お尋ねいただき ありがとうございます |
“もらう”の 謙譲語”いただく” |
いただきまして ありがとう~ |
してもらいまして ありがとう |
お尋ね頂きまして ありがとうございます |
いただく +丁寧語”ます” 活用形 |
いただけるとのこと ありがとう~ |
してもらえるとのこと ありがとう |
お尋ね頂けるとのこと ありがとうございます |
いただく +可能”ける” |
くださり ありがとう~ |
してくれて ありがとう |
お尋ねくださり ありがとうございます |
尊敬語”くださる” |
くださいまして ありがとう~ |
してくれまして ありがとう |
お尋ねくださいまして ありがとうございます |
くださる +丁寧語”ます” 活用形 |
※漢字表記「頂く」「下さる」をもちいてもOK
※過去形にしたければ「ありがとうございました」に言い換えする
※クッション言葉「ご多忙にも関わらず~」などを添えるとなお丁寧
お尋ね+いろいろなお礼フレーズ
① 深謝 | ② 感謝 | ③ お礼申し上げる | |
---|---|---|---|
お尋ねいただき | -深謝いたします
-深謝いたしております -深謝申し上げます |
-感謝いたします
-感謝いたしております -感謝申し上げます |
-お礼申し上げます |
お尋ね いただきまして |
|||
お尋ね いただけるとのこと |
|||
お尋ねくださり | -深謝いたします
-深謝いたしております -深謝申し上げます |
-感謝いたします
-感謝いたしております -感謝申し上げます |
-お礼申し上げます |
お尋ね くださいまして |
※漢字表記「頂く」「下さる」をもちいてもOK
※強調するフレーズ「誠に」「大変」などをくわえてもOK
※クッション言葉「ご多忙にも関わらず~」などを添えるとなお丁寧
お尋ね+申し訳なく思うフレーズ
① 恐縮 | ② 恐れ入る | |
---|---|---|
お尋ねいただき | -恐縮です
-恐縮でございます -恐縮に存じます |
-恐れ入ります |
お尋ね いただきまして |
||
お尋ね いただけるとのこと |
||
お尋ねくださり | -恐縮です
-恐縮でございます -恐縮に存じます |
-恐れ入ります |
お尋ね くださいまして |
※漢字表記「頂く」「下さる」をもちいてもOK
※強調するフレーズ「誠に」「大変」などをくわえてもOK
※クッション言葉「ご多忙にも関わらず~」などを添えるとなお丁寧
“お尋ねいただき vs お尋ねくださいまして”の違い
ここで少し横道にそれます。
「お尋ねいただきありがとうございます」と似たような表現には
「お尋ねくださいましてありがとうございます」
これって何が違うのでしょうか?
結論としてはどちらも上司や目上・取引先などに使える丁寧な敬語フレーズです。ここではその根拠について順を追って解説していきます。
敬語・意味の違い
まずは敬語と意味の違いについて。とくに色づけした部分についてよくご確認。
- お尋ねいただきありがとうございます
意味は「尋ねてもらいありがとう」
敬語は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を使用。
- お尋ねくださいましてありがとうございます
意味は「尋ねてくれてありがとう」
敬語は「~してくれる」の尊敬語「お(ご)~くださる」を使用。
「まして」の部分は丁寧語「ます」の活用形
色づけしたところが主に違います。
どちらも同じように使える
ということで、
「お尋ねいただく=尋ねていただく」なのか「お尋ねくださる=尋ねてくださる」なのか、という点において違いますが丁寧さとしてはまったく同じです。
また、
「お尋ねいただきありがとうございます」「お尋ねくださいましてありがとうございます」はどちらも結局のところ、お礼を述べているわけであってどちらも同じように使います。
お礼を述べるときは「お尋ねいただき」が一般的
わたしの経験上ではお礼のビジネスシーンにおいては「お(ご)●●いただきありがとう」という敬語フレーズを使うことが多いです。
おっさん営業マンの経験値であり、本来でしたらどちらも同じように使えます。
「いただく」vs「くださる」の使い分け
せっかくですので「いただく」「くださる」の違いを例文で考えてみます。
たとえば結び・締めに使う「お願い」するときのシーンを考えましょう
すると…
「ご容赦くださいますようお願い致します」
「ご容赦いただきますようお願い致します」
「ご了承くださいますようお願い致します」
「ご了承いただきますようお願い致します」
「ご検討くださいますようお願い致します」
「ご検討いただきますようお願い致します」
こんな敬語フレーズをよく使います。
実はこれらは「くださる」を使うのが一般的です…
「いただく」としても丁寧ではありますが…
ところが、たとえば何かをもらった時のお礼のシーンを考えます。
「たいそうなお品をくださりありがとうございました」
「たいそうなお品をいただきありがとうございました」
もうひとつ、
「ご利用くださりありがとうございます」
「ご利用いただきありがとうございます」
上記の例文はどれも敬語としては正しい使い方。
ただ圧倒的に「いただき〜」とするほうが多いですね。
参考記事
➡︎ ビジネス挨拶文の例文50選(文書・メール・年賀状・時候ほか)
➡︎ ビジネスメールでの「拝啓・敬具」の書き方と位置
➡︎「ご厚誼」「ご交誼」「ご高配」「ご厚情」の意味と違い、使い分け
➡︎「教えてください」の代わりに使えるビジネス敬語、メール電話の例文
➡︎「ご教示」「ご教授」の意味と違い、使い方・メール例文
➡︎上司へお願いするときに使える敬語10の言葉と、例文50選
➡︎「いただくことは可能でしょうか?」の敬語、目上の人への使い方