「頂きます」「頂きたく存じます」意味と違い、目上の方への使い方

「頂きます」「頂きたく存じます」の意味と違い、目上の方への使い方、注意点について例文つきで誰よりも詳しく解説していく記事。

まずは基本として「頂きます・頂きたく存じます」の違いは「存じます=“思う”の謙譲語」が付いているか、そうでないか。「頂きたく存じます=いただきたく思う」として、より丁寧な敬語表現にしています。

また使い方は、

ご了承いただきますよう、お願い申し上げます」

ご承諾いただきたく存じます。何卒よろしくお願いいたします」

などのようにして使うと、目上の方やビジネスパートナーへの敬語として、とても素晴らしい表現になっています。理由については本文中で解説しています。

目上の方や取引先などへ、お礼やお願いをするビジネスシーン(ビジネスメール)で使われる「頂きます・頂きたく存じます」ですので、この機会にマスターしておきましょう。

※長文になりますので、時間の無い方は「パッと読むための見出し」より目的部分へどうぞ。

“頂きます”の意味

「頂きます」の読みは「いただきます」。

「いただきます」の辞書的な意味は「①もらう、②食べる・飲む」 。

「いただきます」は細かく分解すると、

“もらう”の謙譲語「いただく」+丁寧語「ます」からなります。謙譲語を使って敬語にしていますので、目上の方へも使える丁寧な表現。食べる・飲むの意味で使われる「いただきます」も同じく謙譲語です。

“頂きたく存じます”の意味

「頂きたく存じます」の読みは「いただきたく存じます」。

「いただきたく存じます」の辞書的な意味は「もらいたいと思う」 。

「いただきたく存じます」は細かく分解すると、

“もらいたい”の謙譲語「いただきたい」+“思う”の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」からなります。謙譲語を使って敬語にしていますので、目上の方やビジネスメールで使える丁寧な表現。

謙譲語を2回使っているので、二重敬語になるのでは?と思われる方もいらっしゃるでしょう。ここでは「もらう」「思う」と二つの単語にそれぞれ謙譲語を使っているため、二重敬語にはなりません。

※二重敬語とは、一つの単語に同じ種類の敬語を二回つかうことであり、マナー違反。

“頂きます・頂きたく存じます”の使い方

ビジネスシーンにおいて「頂きます・頂きたく存じます」は、相手に何かお願いごとをしたいときや、許可を得たいときに使います。目上の方へのメールや、取引先へのビジネスメールで使われます(例文は後述)。代表的な使い方を整理していきましょう。

使い方①ご了承いただきますよう〜

「いただきます」の最もよくある使い方は、お願いごとをするとき。

「ご了承いただきますよう、よろしくお願い申し上げます」などとして使います。

これの意味はくだけた表現にすると、

「了解してね、お願いしますわ~」という意味。

細かくみていくと、こんな感じの成り立ちです。

  1. “了承をもらう”の謙譲語「了承いただく」+尊敬語「ご」
  2. “するように”の丁寧な表現「ますよう」
  3. “お願いする”の謙譲語「お願い申し上げる」+丁寧語「ます」

謙譲語・尊敬語・丁寧語をうまくつかい、この上なく丁寧な敬語表現となっていることがわかります。したがって目上の方やビジネスメールで使うのにふさわしい表現、と言えるでしょう。

ちなみに「お願い申し上げます」の部分は、「何卒よろしくお願いいたします」「何卒よろしくお願い申し上げます」などと言い換えもできます。

※謙譲語=自分の行為に対して使う敬語。自分をへりくだる(下げる)ことで、相手を敬っている。

“いただきます”を使った例文

他にも「いただきます」を使った例文を挙げておきますね。ビジネスメールの文末に締めくくりとして使うと、グッと引き締まったメールになります。

  • ご検討いただきますよう、お願い申し上げます(お願い)
  • ご承諾いただけますよう、お願い申し上げます(お願い・許可)
  • ご承認いただけますよう、お願い申し上げます(お願い・許可)
  • ご了承いただきますよう、お願い申し上げます(お願い・許可)

▼「頂きますよう・頂けますよう」の違いは、可能形かそうでないか。「頂けますよう」は可能形であり、「いただく=もらう」+「できる」からなります。可能形を使った方が、より丁寧な印象を与えますが、ビジネスシーンではどちらを用いても構いません。

使い方②ご了承いただきたく存じます

「いただきたく存じます」の最もよくある使い方は、お願いごとをするとき。「いただきます」とほとんど同じ意味ですが丁寧レベルとしては、こちらの方が高いかと存じます。

「ご了承いただきたく存じます」などとして使います。

これの意味はくだけた表現にすると、

「了解しもらいたいねん」という意味。

細かくみていくと、こんな感じの成り立ちです。

  1. “了承をもらいたい”の謙譲語「了承いただきたい」+尊敬語「ご」
  2. “思う”の謙譲語「存じる」
  3. 丁寧語「ます」

謙譲語・尊敬語をうまくつかい、この上なく丁寧な敬語表現となっていることがわかります。したがって目上の方やビジネスメールで使うのにふさわしい表現、と言えるでしょう。

“いただきたく存じます”を使った例文

他にも「いただきたく存じます」を使った例文を挙げておきますね。ビジネスメールの文末に締めくくりとして使うと、グッと引き締まったメールになります。

  • ご検討いただきたく存じます。何卒よろしくお願い申し上げます(お願い)
  • ご承諾いただきたく存じます。〃(お願い・許可)
  • ご承認いただきたく存じます。〃(お願い・許可)
  • ご了承いただきたく存じます。〃(お願い・許可)

“頂きます・頂きたく存じます”を使った例文【全文】

つづいて「頂きます・頂きたく存じます」を使ったビジネスメールの例文を挙げていきます。目上の方や取引先に対して使える文章にしていますので、ご参考にどうぞ。

例文①アポイントをとる(お願いメール)

件名: 貴社訪問のお願い(転職会社・転職太郎)

○○株式会社
ご担当者 様

突然のご連絡、失礼いたします。
転職会社の転職太郎と申します。貴社○○様からのご紹介で連絡をいたしました。

この度は、弊社サービス「スーパー転職」のご紹介に伺いたく存じます。お時間を頂けるのでしたら、以下日程のいずれかで貴社へ伺いますが、ご都合のほど如何でしょうか。

  • 12月21日9:00~12:00
  • 12月22日13:00~18:00

お忙しい中、誠に恐れ入りますが、
ご検討いただきたく存じます。何卒よろしくお願いいたします。

メール署名

例文②キャンセルメール(謝罪まじりのメール)

件名:説明会欠席のご連絡(就活大学・就活)

転職株式会社
人事部
◯◯ 様

お世話になっております。
就活大学の就活太郎です。

さて本日、貴社の会社説明会に参加予定でしたが、体調不良のため欠席をいたしたく存じます。お取り計らいを頂いたにも関わらず、誠に申し訳ございません。

また、本来であれば電話にてお詫びを申し上げるべきところ、メールでのご連絡となりましたこと、重ねてお詫び申し上げます。

次回、会社説明会の機会がございましたら、改めて参加させて頂きたく存じます。

ご了承いただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

メール署名

例文③お願いメール

件名:新入社員研修・講師派遣のお願い

営業部
○○ 部長

お疲れ様です。
人事部の佐藤です。

さて首記の件、○月○日から今年度の新入社員研修を行います。
その際、各部署より講師として1名ずつ派遣していただき新入社員へ向け、
それぞれのテーマでお話いただけないかと考えております。

営業部におきましては「営業の心得」をテーマに
部署内メンバーをご都合いただけないでしょうか?

○月○日までに、佐藤までお返事いただければ幸いです。

お忙しい中、恐縮ではございますがご査収の上、
お取り計らい頂けますよう、何卒よろしくお願いいたします。

メール署名

▼▼▼▼▼▼

例文にしたように「頂きます・頂きたく存じます」を使うビジネスシーンは、何か依頼やお願い事をしたい時ですね。他には感謝の意を示す時「お取り計らいをいただき、誠にありがとうございました」などとして、メール冒頭に使えます。

“頂きます・頂きたく存じます”の類語・言い換え表現

つづいて「頂きます・頂きたく存じます」の類語・言い換え表現について。

いろいろと考えを巡らせてはみたものの、しっくりとくる言い換えが思いつきませんでした。「〜してください」では命令形なので目上の方へ使ってはダメだし、「〜してほしい」では敬語じゃないし…。

“いただければ幸いです”が最も近い類語

これはもはや類語ではなく、単に言い換えただけで申し訳ありません。本当に思いつきませんでした(汗)。

「〜いただければ幸いです」は「〜いただけますよう、お願い申し上げます」をもっとマイルドにした表現で、丁寧レベルとしては最上です。部下→上司レベルでは使う必要のない表現で、特に重要なビジネスパートナーに対してだけ使いましょう。

意味と使い方は同じなのですが「いただければ幸いです」を細かくみていくと、

  1. “もらいたい”の謙譲語「いただきたい」+可能形「ける・できる」+仮定「〜れば」
  2. “幸い”は「嬉しく思う、幸せに思う、ありがたく思う」の意味。敬語でもなんでもないが、頼みごとをするときに使うと表現がマイルドになる。
  3. 丁寧語「です」

つまり「いただければ幸いです」を直訳すると「もし、〜してもらえるのでしたら嬉く思います、幸せに思います」という意味になります。なんだか遠回しすぎて気持ち悪いのですが、本当に丁寧に頼みごとをしたいときには、必ず使います(私だけか?)。

それでは念のため、例文を以下にまとめます。ビジネスメールの文末に、締めくくりとしてお使いください。

「〜いただければ幸いです」を使った例文;

  • ご検討いただければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます(お願い)
  • ご承諾いただければ幸いです。〃(お願い・許可)
  • ご承認いただければ幸いです。〃(お願い・許可)
  • ご了承いただければ幸いです。〃(お願い・許可)

“いただきます”は間違った謙譲語?

少し話は逸れますが「いただきます」が謙譲語として誤りだという指摘があります。

間違いだという指摘の根拠は、

  1. “いただく”は「もらう」の謙譲語
  2. 謙譲語は自分の動作を低めて相手を敬うため、自分の動作にしか使えない
  3. “了承する”のは相手だから「ご了承いただけますよう〜」は相手の動作に謙譲語を使うことになり、おかしい?

ということです。

まずは結論だけ述べますが「〜いただけます・いただきます」は間違った謙譲語ではありません。

「ご了承いただく」は 「私が了承を(相手に)もらう」からです。いちおう、自分の行動になっていますよね?

言語学者風にややこしく解説するのであれば、

「自分側の立場から相手側や第三者の行為を表現した敬語であり,敬語の慣用的な用法として特に問題があるわけではない」ということになります。

確かに国語学者みたいな人が判定すると、回りくどくて気持ち悪い表現かもしれませんが、ビジネス敬語としてはかなりの頻度で使われます。ご安心ください。

ちなみに、これは文化庁の「敬語の指針」においても解説されています。私のような頭の悪い人には難しいのですが、ご興味ありましたら以下のリンクよりどうぞ。

まとめ

これでもかというくらい「いただきます・いただきたく存じます」について語ってみました。これはとても便利な表現で、「お願い・頼みごと」をするシーンであれば、目上の方や取引先に万能に使える表現です。とくにメールの締めくくりに使うと、グッとメールが引き締まります。

また「いただければ幸いです」も合わせて使い分けできるようになると、営業マンとしてはパーフェクトです。

慣れないうちは、使うのがちょっと気持ち悪く感じますが、慣れると便利すぎてどんどん使っちゃいます。ぜひ、ありとあらゆる場面を経験し、使い倒してください。頭でどうこうなるものではないので、ビジネスシーンで場数を踏んでくださいね。ではでは~~。