銀行における総合職と一般職の違いは、ざっくりとは窓口の接客業などサポート業務が一般職であり、法人営業や投資銀行など、より多くの知識と責任が求められる仕事をするのが総合職である。
たとえば三井住友銀行の一般職、総合職における違いは以下のとおりに説明がある(2018卒の採用情報を参照し要約)。
【例】三井住友銀行の総合職と一般職の違い
●ビジネスキャリア職(いわゆる一般職・事務職)は以下のような仕事内容である。窓口での接客業だけでなく、いろいろな担当業務がある点に注意。
事務職・一般職の仕事内容(銀行):
- 支店にきたお客さんの対応、窓口業務
・銀行預金口座開設などの事務手続き
・その他のいろいろな手続き - サポート業務
・顧客のサポート(仕事内容は担当業務による)
・社内の従業員のサポート - コンサルティング業務
・個人相手のリテール営業
・窓口での接客、資産運用などの提案を行う - 外貨為替業務
・海外決済の事務手続きアシスタント
・その他
●総合職には以下のような仕事がある。ローテーション(異動・転勤)を通じて、金融のいろいろな仕事に関わることになる。
総合職の仕事内容(銀行):
- 法人営業
・名前のとおり、企業を相手にした営業職
・顧客への融資などの仕事以外にも、経営課題を解決するさまざまな提案をすることが求められる - アナリスト
・業界の分析、経済状況の動向に関する分析をメインとする仕事
・毎月の経済動向レポートを法人・大口顧客に対して行う - アドバイザリー業務
・海外展開支援など、経営課題に対する解決策を企業に提案する仕事
・ほかにも法人顧客にM&A提案などを行う - プロジェクトファイナンス
・横文字でわかりにくいが、投資銀行部門である
・資源開発、インフラプロジェクトに投資する部門である - トレーディング
・株式やコモディティーの売買をして利ざやを稼ぐ、証券会社的な仕事である - リスクマネジメント
・融資の審査をする専門チーム - グローバルビジネス
・グローバルのマーケティング業務 - マーケティング
・いわゆるリテール営業(個人に対する営業)のこと
・他にも商品の売り方を考えたり、マーケティング業務も行う - Innovation
・研究開発部門、あらたな金融商品を模索する仕事 - 新規事業
・新しいことなら何でもありな職種
銀行における一般職と総合職の年収比較など、くわしくは以下の記事をご参照いただきたい。
商社における総合職と一般職の違い
商社における総合職と一般職の違いは、サポート的な業務をするのが一般職であり、営業などの利益の根幹に関わる仕事をするのが総合職である。
たとえば稲畑産業の一般職、総合職における違いは以下のとおりに説明がある(2018卒の採用情報を参照し要約)。
【例】稲畑産業(大手専門商社)における違い
●アシスタント職(事務職・一般職)とは、営業部門・管理部門において、サポート的な業務を担当する職種のこと。
具体的には以下のような仕事内容である。
事務職・一般職の仕事内容(専門商社):
- 営業部門での受発注業務
- 営業部門での物流管理業務
- 取引先や物流業者とコンタクトを取りながら、モノやお金の管理を担当する
- 日々の仕事は主に電話やメール・FAXで行うことが多いが、社内外いろいろな人とのコミュニケーションの多い仕事となる
- 営業部門だけでなく経理など管理部門への配属もある
- 勤務地限定の職種で、入社後の転勤は原則なし
●スタッフ職(総合職)とは、営業部門・管理部門において、基幹的業務を担当する職種。
具体的な仕事内容には、以下のようなものがある。
総合職の仕事内容(専門商社):
- 営業部門の営業担当
- ある商材の仕入れから販売まで一貫して担当し、
モノとお金が円滑に動くよう様々なことに対応する - 取引先との価格等の条件交渉やトラブルへの対応
- 既存ビジネスの維持/新規ビジネスの創造のための情報収集など
- 外勤・出張の多い仕事である
- 経理などの管理部門への配属もある
出所:稲畑産業ホームページ
公務員における総合職と一般職の違い
公務員における総合職と一般職の違いは、事務処理などの業務をするのが一般職、将来の幹部候補となるのが総合職である。ひと昔まえまで一般職はノンキャリア組、総合職はキャリア組などと呼ばれていた。
【例】国家公務員における違い
試験を受ける段階で、一般職と総合職とに分けられている。もちろん、これは試験の難易度による違いである。具体的には以下のような違いがある。
一般職(高卒~大卒程度):
- 総合職のサポート業務がメイン
- 転勤がない、もしくは少ない
- 異動は決められた範囲のなかだけ
- 試験の難易度が低い
- 年収が低い(〜年収600万円)
総合職(大卒~院卒程度):
- 将来の幹部候補、キャリア官僚のこと
- 政策の企画、立案などの仕事がメイン
- 転勤、異動が多い(2~3年毎)
- 試験の難易度が高い
- 年収が高い(40歳・年収900~1000万円が平均値)
メーカーにおける総合職と一般職の違い
メーカーにおける総合職と一般職の違いは、事務処理などの業務や、生産現場・研究開発の実務を担当するのが一般職、将来の幹部候補になるのが総合職である。具体的には以下のような違いがある。
一般職(高卒~短大卒~大卒):
- 総合職のサポート業務がメイン
- 生産現場のワーカー
- 研究職の補助員
- 経理などで実務を担当する事務職
- 営業サポートとして、受発注業務などの実務を担当する事務職
- 異動は決められた範囲のなかだけ
- 転勤は原則なし
- 出世しても課長代理まで
- 年収が低い(〜年収700万円)
総合職(大卒~院卒~博士):
- 将来の幹部候補
- 研究職、営業職、生産現場の幹部候補
- 管理部門の幹部候補
- 転勤、異動が多い(3年毎くらいが目安)
- 管理職には普通にやっていれば昇格する
- 年収が高い(40歳・年収900~1000万円が大手の平均値、独自調査)
総合職に向いている人、一般職に向いている人
総合職は男性、一般職は女性だったが…
ひと昔まえまで、総合職といえば男性の職種、一般職といえば女性のための職種であった。しかし今ではその概念はとくにない。理由は女性の社会進出がすすみ「働きウーマン」になりたい女性が増えたからである。
内閣府の調査によると、平成26年の総合職における女性比率は22%となっている。
一般職は高卒・短大卒だったが…
学歴のめんでも総合職、一般職の位置づけは変わってきている。
以前は一般職といえば高卒・短大卒の女性がメインで採用されていたが、最近の大企業の傾向として少なくとも大卒以上でないと、就職はきびしくなってきている。
理由は昔であれば一般職のやっていた仕事が、派遣にシフトしているから。結果として、一般職はより高度な仕事を求められるようになってきている。
※メーカーの製造現場、研究補助員の仕事はこの限りではない。
ストレス耐性の低い人は一般職がベター
総合職と一般職の違いをみたときに、総合職は明らかにストレスの多い仕事である。したがって、ストレス耐性の低い人に総合職はおすすめできない。
とくに女性は総合職として入社してはみたものの、結婚や出産を気に退職してしまう人が後をたたない。私の勤める大企業では同期の総合職女性は10年以内にみんな退職し、ゼロとなった。昔よりはだいぶ改善されてきているが、今でも女性総合職にとっては辛い仕事環境である。
転勤したくない人は一般職がベター
一般職のもっとも大きなメリットは「転勤なし」という点に尽きる。地元で両親が近い方が安心、あちこちに移り住むのが苦手だという人は、一般職を選ぶのが正解である。
出張したくない人は一般職がベター
あちこち動きまわって仕事をするのが嫌いだ、という人には一般職を選ぶのがおすすめである。総合職だと転勤だけでなく、出張する機会も多くなる。会議で出張する機会が増えたり、営業であれば常にどこかに行っている。土日は家に帰れるものの、ホテル住まいばかりでは歳とともに体への負担が増える。
大卒のペイペイが上司になっても耐えられる人は一般職
これはプライドの問題であるが、新卒の若造が上司になっても問題なければ、一般職を選ぶことをオススメする。先輩・後輩の上下関係を気にするのであれば、一般職は向かない。
20代・新卒の部下が、50歳のおっさん(おばちゃん)一般職…なんてことは日常的におきる世界であることは心得ておこう。
年収さえ高ければいい、という人は総合職
総合職はいろいろなストレスが多い分、一般職よりも年収が高い。
20代のうちはほとんど違いを実感できないかもしれないが、30代になると格差がでてくる。そして管理職になると、同じ年齢の一般職の2倍以上の年収になる企業もある。
多少のストレスには目をつぶっても年収を第一とするのであれば、総合職しか選択肢はない。
私なら総合職と一般職どっちにする?
私は総合職として入社したので、もはや変えられないことであるのだが…。最近の女性進出とか、一般職の高学歴化などを踏まえて考えてみる。
女性であれば一般職
まず私が女性だった場合、
確実に一般職を第一志望とする。
なぜなら女性の総合職は結婚・出産すると、かなりきつい状態になるから。結婚なら退職する必要ないが出産すると本当に厳しい。
総合職でも出産後、産休を明けて時短勤務などしてムリに働いている人もいるにはいるが…。仕事が楽だといわれている化学メーカーですら、みていてかなり辛そう。そもそも時短勤務をすると年収は7割くらいにダウンするため、一般職であろうと総合職であろうと年収は低い。
そしてどんな人と結婚するか、によっても変わる。
総合職だと転勤があるし、勤務地も選べない。ダンナがついて来れればよいものの、大抵はそうはならない。
逆にダンナが転勤になったらどうするか?女性で総合職だとダンナの転勤で勤務地を変えてもらうわけにはいかない。一般職であれば、ある程度の融通はきく。
これらのことを総合して考えると、女性で総合職はあまりよい決断とは言えない。
男性であれば…今はどっちでもいいと思える
私が就職先を選ぶ基準は、ワークライフバランスに優れること、および年収が高いこと、の2つである。それを基準にし、よくよく考えてみると総合職ほど罰ゲームな仕事はない。
会社の言いなりになる必要があるし、総合職で管理職になっても年収1000万円程度しかもらえない(企業によるが…)。そもそも管理職になんかなるべきじゃない、とすら最近思えてくる。
仕事が楽だと言われている化学素材メーカーですらこのような状況なので、仕事の厳しい業界や中小企業になると、もはやストレスしか感じない職種なのでは?と思われる。
したがって私は、今となっては総合職であろうと現場ワーカーであろうと、どっちでもいいかなぁと思うようになってきた…。
でもやっぱり、日本のモノづくりを代表する企業の総合職に就職したことに、後悔はない。一般人の知り得ない情報がたくさん入るし、一般職では絶対に手に入らなかった人脈も築くことができるからである(そんなことに興味がなければ総合職になる必要はない)。
あなたの決断がもっとも正しい
結局は、
「自分で下した決断がもっとも正しかった」
と思い込むことができれば、それでいいんじゃないかなぁ、と思われる。どんなときにも、後悔を後悔にしているのはあなた自身である。