特許とは?世界一わかりやすく解説

ただ特許を出願するときの注意点としては、バカにならない費用が発生すること。出願料、登録料、維持費用などなど。日本だけ出願する特許の場合でも、20年間維持すると仮定して、特許1件につきおおよそ20万円くらいの費用が発生します。

したがって企業(とくにメーカー)は毎年、とんでもない金額のお金を特許のためだけに使っています。企業によっての違いはありますが、大手メーカーだと数10億円じゃ済まないくらいの金額…。

ちなみに特許にかかる費用は中身によって違うので、くわしくは特許庁のHPをご参照ください。

特許は「異議申し立て」できる

特許はまだ登録されていない段階であれば、「異議申し立て」ができます。

異議申し立てとは、「この特許に書いてあるのは、何も新しい発見じゃないですよ」として特許庁に訴えかけること。ライバル企業の特許を阻止する目的で行われます。

たま~に特許庁のミスというか、企業の書き方がうまいというかで、「とんでもない特許」が成立してしまうのですよね…。

と、ここまでは表向きの「特許の話」。ここからは少しマニアックな情報を提供します。

特許庁のミスをつく特許もある

特許庁は日々、大量に出願される特許の審査をしています。でも最終的にはヒトが審査することなので当然ミスもあります。

「何も新しい発見じゃないのに登録される特許」

って実はたくさんあるのです。これは「特許庁がミスした」というよりも、特許を書いた企業、あるいは弁理士事務所(特許の専門家)が優秀だったともいえます。

たとえば、

「砂糖」という新しい調味料をつくることに成功した!!

みたいな、何も新しくない特許が成立してしまうことがあるのです。

そうすると困るのはライバル企業です。ライバル企業は、特許があるために「砂糖を作って売る」ことができなくなってしまうのですから…。

これは企業の特許があまりに上手に書かれていたり、特許庁のチェックミスにより発生する恐れのある事態。

だからこそ企業は日々、大量の特許を研究員や弁理士事務所に書かせているのです。もはや、本来の「特許制度」の目的を失っていますが…これはこれで、企業が生き残るための戦略なのです(とくにモノづくりメーカー)。

※これはあくまで、たとえ話です。

特許を出願することのデメリット「パクられる」

見落としがちなことですが、特許を出願することによるデメリットも実はあります。

特許化してしまうと誰にでもアクセスできるようになるので、「黙ってパクられる」というデメリットがあります。たとえば一部の中国企業や韓国企業、インド企業などが違法ではあるものの、特許の情報をもとにしてコピー商品を作っています。

違法性を証明できない…

これって本当は違法なのですが、どうやって違法性を実証するのか?とても難しいのです。

要は「パクリっていうなら証拠を見せろよ?」といわれて、見せられるようなものであればいいのですが…たいていの場合は証拠をしめすことができず、無罪放免となってしまいます。

これには過去から現在に至るまで、多くの日系企業が苦しめられています(大きい訴訟がないと表には出ませんが…)。

発明を守るための特許制度だったのに、いつの間にやら海外企業によるパクリを増長させるための特許制度になってしまったのです…。とある韓国企業には、日本語の特許だけを専門的にず~~っと調査している部署すらあるのです。

肝心なところは「特許にしない」

そこで今では、「肝心なところ、もっとも重要な部分は特許にしない = ノウハウとして守る」という戦略が主流です。あえて特許にしないものには、発明品の作り方とか、安く作るための革新的なプロセスとか、そういう類のものが多いですね。

「○○の革新的な作り方」とかって、マネされても相手の工場に入らないとわからないのですよね。でも相手の企業もバカではないので、工場を見せるわけがありません。

結果として証拠の出しようがない、っていう…。

そこで、今もこれからもメーカーは「できるだけ内容の薄い、できるだけ曖昧な、できるだけ幅の広い」特許だけをだす、という戦略ですね。もちろん新しい物質、たとえば炭素繊維とかをつくったら特許化しないと絶対にダメですけどね。

※ただし医薬品メーカーをのぞく