かなり引っ張りましたが
ここからいよいよ旅行代理店・旅行会社の世界ランキング売上TOP1~5の紹介です。
日本勢はもう出しつくしましたね…
5位 224億㌦|Carlson Wagonlit Travel (米)
旅行代理店・旅行会社の世界ランキング
第5位はCarlson Wagonlit Travel(カールソン・ワゴンリー・トラベルまたはCWT)。
米国に本拠をもつ外資系旅行会社。
日本ではまったく聞いたことのない会社だけど売上規模はデカイ。
馴染みがないのは個人むけ旅行ではなく、法人むけのビジネストラベルサービスを提供する会社だから。
ビジネストラベル(会社員の出張アレンジ)、旅行コンサルティング、イベントなどを取り扱う。
日本法人にはジェイティービーとの合弁会社「ジェイティービービジネストラベルソリューションズ(JTB-CWT)」がある。
・2016年の売上: 224億ドル
4位 246億㌦|BCD Travel (オランダ)
旅行代理店・旅行会社の世界ランキング
第4位はBCD Travel(BCDトラベル)。
オランダに本拠をもつ外資系旅行会社。
日本ではまったく聞いたことのない会社だけど売上規模はデカイ。
個人むけ旅行ではなく法人むけのサービスのみ提供する会社であるため、消費者にはなじみがない。
旅行関連のマネジメントやコンサルティング、イベント開催をメインとする企業。
いちおう旅行会社としてカウントした。
・2016年の売上: 246億ドル
3位 321億㌦|American Express (米)
旅行代理店・旅行会社の世界ランキング
第3位はAmerican Express(アメリカン・エキスプレス)。
米国に本拠をもつ外資系企業。
日本ではクレジットカード会社と認識されているものの、旅行代理店がメインの事業である。
トラベラーズチェックや旅行代理事業のほか、クレジットカード事業、法人むけ銀行事業、プライベートバンク、投資信託、保険業などいろいろ。
アメリカだけでなく、日本やイタリア、イギリス、メキシコ、カナダ、オーストラリアなどに展開。
世界各国でクレジットカードの発行を行っているほか、世界140カ国に2,200のトラベル・サービスオフィスを展開する。
また全世界のクレジットカード会員数は7800万人に達している。
日本法人ではクレジットカード・旅行代理店業を展開している。
・2016年の売上: 321億ドル (全事業)
2位 681億㌦|The Priceline Group(米)
旅行代理店・旅行会社の世界ランキング
第2位はThe Priceline Group(プライスライン グループ)。
米国に本拠をもつ外資系オンライン旅行会社。1997年創業。
ホテル・旅行・レンタカー・航空券やパッケージツアーなどを総合的に取り扱う。
日本では海外旅行・海外ホテル予約サイトの「アゴダ」が有名。
ほかには以下のオンライン予約サービスをグローバルに展開している。
5年前までは現売上の半分にもみたない規模であったが、買収効果もあってどんどん成長。今後も拡大路線をつづけるものと思われる。
日本円に換算すると2016年の売上は7.3兆円!
でも利益率はひくい。
ザ・薄利多売…
とはいっても売上の考え方がオカシイのですけどね(うしろで詳しく解説)
- ブッキングドットコム
・ホテル宿泊予約ウェブおよびアプリ
・もとはオランダの企業だったが2005年に買収して傘下に納めた - プライスラインドットコム
・オリジナルの航空券予約サイト
・逆オークションモデルという客が航空機チケットの値段を決めるシステムが話題となり一躍有名に。ホテル、レンタカー予約などにも採用して拡大
・そのあと航空機チケットの逆オークションモデルは廃止となるも、ほかのサービスでは続いている - カヤック(KAYAK)
・旅行関連に特化した価格比較サイト。日本でいうところの価格.comみたいなWebサービス。
・2013年に買収しグループ傘下に納めた - アゴダ
・ホテル、航空券など旅行関連の予約サイト
・アジア圏で支持者がおおい
・2007年に買収しグループ傘下に納めた - レンタルカーズドットコム
・レンタカーの比較検索、予約サイト
・2010年に買収しグループ傘下に納めた - オープンテーブル
・レストランのオンライン予約サイトおよびアプリ
・2014年に買収しグループ傘下に納めた
・2016年の売上: 681億ドル
1位 724億㌦|Expedia Inc.(米)
旅行代理店・旅行会社の世界ランキング
第1位はInc.(エクスペディア)。
米国に本拠をもつ外資系オンライン旅行会社。
もともとは米マイクロソフト社のオンライン旅行代理店部門だった。
そのあと独立 → 規模拡大していまや世界中のだれもが知るサービスに成長。
世界No.2のプライスラインと同じく5年前までは現売上の半分にもみたない規模であった。
そのあと買収効果もあってどんどん成長。今後も拡大路線をつづけるものと思われる。
日本円に換算すると2016年の売上は7.8兆円!
でも利益率は低い。
結局のところユーザーは最安値もとめているので、薄利多売になるのは旅行代理店の運命かもしれない。
・2016年の売上: 724億ドル
旅行代理店は「売上 = ホテル代など×予約数」としているけど、おかしいよね?
旅行代理店というか、オンライン旅行会社の売上の考え方についてすこし。
たいていの旅行代理店は
- 売上 = ホテル代や飛行機代×予約数
例)1万円のホテルを100人がオンライン予約=売上100万円
としているため売上が天文学的な数字になります。
でも彼らは何もホテルやエアラインを経営しているわけじゃなくて、たんにオンライン予約システムを運営しているだけなのだからホントは…
- 売上 = 手数料の金額
例)1万円のホテルを100人がオンライン予約、手数料を5万円ゲット=売上5万円
※ 旅行代理店への手数料=売上となる
とみるほうがいいような気がします。
そうするとオンライン旅行会社の売上は10分の1以下のスケールになります。
たとえばエクスペディアの場合…
2016年の手数料収入は87億ドルでしたので、これを売上として考えるほうがリーズナブルです。
売上ばかり気にしていると本質を見失ってしまいますね。
新しい国際会計基準IFRSはややこしい
ちなみに新しい国際会計基準IFRSでは通常、代理店などを運営する会社は「売上=手数料の金額」としています。
ただしホントはもっとややこしくて、①ホテル代=売上とできる取引と、②売上=手数料の金額とする取引の両方があります。
むずかしいため省略しますが、オンライン予約のようなシステムを運営しているだけのヒトは②売上=手数料として考え、パッケージツアーを売っているひとは①売上=ホテル代・チケット代・手数料と考えます。
日本の会計基準で運営されているジェイティービーやエイチアイエスもいずれ、このような考え方になり、売上は目減りすることと思われます。
※本質的な部分はなにも変わらず、たんに売上の考え方が変わる
これは旅行代理店だけにかぎらず、商社にも当てはまります。
むかしの会計基準だと売上30兆円とかだった総合商社も、あたらしい国際会計基準IFRSに移行して売上6兆円とかに激減しました。
【参考】総合商社ランキング2017年:三菱・三井はV字回復、伊藤忠は最高益!
他にもある世界の旅行代理店・旅行会社
旅行代理店は非上場企業がおおく、まだまだ規模の大きい会社はあると思われます。
とくに中国やほか途上国の企業にもTOP10に近い規模の会社はかならずあり。わかる範囲で規模の大きい旅行会社を以下にまとめておきます。
- Altour
- Travel & Transport
- Beijing Tourism Group (中国・非上場)
- Shanghai Spring Tour (売上1兆円超?)
- CGZL International Travel Agency
- China CYTS Trous Holding
- China International Travel Service (中国・売上4000億円規模)
- Hogg Robinson Group(英)
コメント失礼します。
売上高ですが、ソースはどこでしょうか?
例えばExpediaですが、annual reportでは一兆円ほどでした(https://ir.expediagroup.com/static-files/965a3092-d2f0-4383-82a4-f27946e379eb)
私の見ているところが間違っているのでしょうか?ご教示いただければと思います。