「あしからず」目上・ビジネスに使える丁寧な言い換え、例文、使い方

「あしからず」について意味と目上の人への正しい使い方・丁寧な言い換え類語を、ビジネスメールの例文つきで誰よりもわかりやすく解説していく記事。

まずは結論として、

あしからず(悪しからず)の意味は「悪く思わないで」ですが、このままでは丁寧レベルは低く、社内で上司や先輩に使えるていどの言葉です。

「あしからずご了承くださいますようお願い申し上げます」としてお願いメール・許しを得るときなど、いろいろなビジネスシーンで使われてはいますが…

他にもある使い方としては例えば、

  • 例文「あしからずご容赦くださいますよう、お願い申し上げます」
  • 例文「あしからずご承知おきください(ませ)」
  • 例文「あしからずご了承ください(ませ)」
  • 例文「あしからずご容赦ください(ませ)」

【補足】
※ 使うビジネスシーン:謝罪文、クレーム対応、お願いメール、許可をえるときのビジネスメール文末・結び
※ 丁寧語「ます」の命令形「ませ」をつけてもよい(女性敬語といわれるけど…)
※ お願い申し上げます・お願いいたします、はどちらでも使える

というような具合に使います。とくに何かの許しをえたり、お詫び・謝罪・お願いメールでよく目にする言葉。

ただわたしは「あしからず」をビジネスシーンで使うのはどうも納得できません。

悪く思わないで…という前置きにはなんとな~く悪意を感じるのですよね。

そこで「あしからず」をもっと丁寧な敬語に言い換えすると…

  • どうか
  • 何卒(よみ:なにとぞ)

これらの言い換えは目上の人(上司・先輩)に対してはもちろんのこと、社外のビジネスメール(就活・転職メールも含む)にも使える、すばらしい表現になります。

ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、くわしくは本文中にて解説していきます。

※長文になりますので時間の無いかたは「パッと読むための見出し」より目的部分へどうぞ。

「あしからず」意味と語源

あしからず(悪しからず)の意味と語源について少し…

結論としては

  • 悪く思わないでほしい
  • 気を悪くしないで
  • 悪意があるわけじゃないのですけど…
  • どうか…

みたいな意味となりますが、語源をこまかく見ていきます。興味ない方はスキップして構いません。

「あしからず」の語源は「悪し+ず」

あしからず(悪しからず)の語源というか、なりたちについて少し。

  • 悪し(あし)の未然形+打消しの助動詞「ず」

これで、あしからず(悪しからず)となります。

ここで「悪し(あし)」の意味はおおきく以下2つ。

  1. よくない
    例;よしあし(良し悪し)
  2. 不快だ
    例;気分が悪い、気を悪くする

悪しからず=よくない+打消しで、けっきょくは「よい」という意味にもどります。つまり「悪くない」ということですね。

ただ日本語の奥ゆかしいところで「良い・悪くない」ではニュアンスが違っていますね。

良い > 悪くない=悪しからず > 悪い、みたいなイメージでしょうか。

これが語源。

で最初にもどって「悪しからず」の意味は「悪く思わないで」というようになります。なんか語源からは想像もできない意味になっていますが「悪=不快」と考えると、まぁ納得できる範囲ではあります。

「あしからず」の使い方

あしからず(悪しからず)が使えるのは、上司や取引先からの許可を得るとき。または謝罪メール・クレーム対応でなにかしらの申し訳ない気持ちをあらわすとき。

  • 悪く思わないで…
  • 気を悪くしないて…

という意味の言葉ですので、なにかしら許してほしいことがあるときに使う敬語。具体的には「あしからず」のうしろに「ご了承・ご容赦・ご承知」などをつけて使います。

それではビジネスシーンごとに例文でみていきましょう。

【使い方】謝罪・お詫びメール

「謝罪・お詫びメール」のなかには、製品やサービスの欠陥、相手からのクレーム・・・などがあります。

このようなビジネスメールで「あしからずご容赦くださいますようお願いいたします」として許しをえる表現をつかうと好感がもてます。

ただし「あしからず」は「どうか・何卒」に言い換えたほうがより丁寧な印象になります。できるだけ言い換えして使いましょう…

▼「ご容赦」の例文

  • 例文「これらについて、弊社としては一切の責任を負いかねますので、あしからずご容赦くださいますようお願い申し上げます」
  • 例文「お客様には大変ご不便をお掛け致しますが、あしからずご容赦下さいますようお願い申し上げます」

【補足】
※ 許しを得るビジネスメールに使うことを想定しています。いずれもメール文末・結びとして使うと好感度UPします。
※ ご容赦=ご了承、と言い換えOK
※ お願い申し上げます=お願いいたします、と言い換えOK
※ 謝罪文に「ご承知おきください」は不適切

【使い方】あらかじめ知っておいてほしいこと・お願いごと

「あらかじめ知っておいてほしいこと・お願いごと」のなかには、休みのこと、何かのアナウンス、許しを得るための注意書き・・・などがあります。

このようなビジネスメールで「あしからずご容赦くださいますようお願いいたします」として許しをえると好感がもてます。

ただし「あしからず」は「どうか・何卒」に言い換えたほうが丁寧な印象になります。できるだけ言い換えして使いましょう…

▼「あしからず」の例文

  • 例文「8月14~18日の5日間、休みをいただきます。その間、お問い合わせには対応しておりません。休み期間中、皆さまには大変ご迷惑をおかけしますが、あしからずご容赦くださいますようお願い申し上げます」
  • 例文「これらについて弊社としては一切の責任を負いかねますので、あしからずご容赦くださいますようお願い申し上げます」
  • 例文「お客様には大変ご不便をお掛け致しますが、あしからずご容赦下さいますようお願い申し上げます」
  • 例文「あしからずご容赦いただければ幸いです」

【補足】
※ 許しを得るビジネスメールに使うことを想定しています。いずれもメール文末・結びとして使うと好感度UPします。
※ ご容赦=ご了承、と言い換えできます。

【注意点】「あしからず」はこう使う!

つづいて「あしからず(悪しからず)」を使うときの注意点を解説します。

クレームがあったからといって謝罪メールにホイホイと使ってしまわないよう、十分にご注意ください。

【注意】「あしからず」は目上の人に使わないほうが無難

繰り返しにはなりますが…

あしからず(悪しからず)はできるだけ使わないほうが丁寧な印象のビジネスメールになります。とくに目上の人にメールする際には気をつけましょう。

なぜかというと、
悪しからず~してください = 悪く思わないで~してください

という意味なので、なんだか一方できであり反論することを許されないような雰囲気になるのですよねぇ。

たとえば…

「あしからずご容赦ください」は「悪く思わないでお許しください!」という意味になるのですけど、許しをお願いする立場としては完全に上からすぎるような…

論理的に語るのはむずかしいのですが、とにかくもっと素晴らしい表現があるのですから、それを使ったほうが無難です。

とくに気難しい目上の人(上司)を相手にするときには「どうかご容赦ください・何卒ご容赦ください」といった敬語をつかうと好感度UPします。

【注意】あしからずご承知おきください、は目上の人には使わない

目上の人(上司)や取引先など社外のひとにお願いごと・許しを得るとき。

「あしからずご承知おきください」という表現を目にします。

たしかに命令形「くれ」の尊敬語「ください」を使っているので敬語としては成り立ちます。ただし「了解しておいてください」という意味になりますので、目上の人に使うにはイマイチな敬語。

せめて「ご承知おきくださいますようお願い申し上げます」くらいにしておきましょう。あなたに悪気はなくても、受け手にとっては上から目線にとられてしまうリスクがあります。

私の主張としては、

そういうややこしい敬語を使うのはやめてシンプルに「ご容赦くださいますようお願いいたします」「ご了承のほどお願い申し上げます」とかを使うことをオススメします。

【丁寧度UP】「あしからず」よりも丁寧な言い換え・類語

ホントにしつこいくらい繰り返しますが、あしからず(悪しからず)は目上の人に使うと地雷をふむリスクがあります。

そこで、もっと丁寧に言い換えしましょう。

もっと丁寧な敬語にはたとえば「どうか・何卒」などがあります。そうすると以下のような例文で使えます。

  • 例文「何卒ご容赦いただければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます」
  • 例文「どうかご容赦いただきたく存じます。~後略」
  • 例文「どうかご容赦いただけますようお願い申し上げます」
  • 例文「どうかご了承くださいますようお願い申し上げます」
  • 例文「どうかご容赦ください(ませ)」
  • 例文「どうかご承知おきください(ませ)」

【補足】
※ 許しを得るビジネスメールに使うことを想定しています。いずれもメール文末・結びとして使うと好感度UPします。
※ ご容赦=ご了承、と言い換えできる
※ お願い申し上げます=お願いいたします、と言い換えできる
※ 謝罪文に「ご承知おきください」は不適切
※ 
「~ください」は命令形「くれ」の尊敬語。「いただく」は「もらう」の謙譲語。つまり「いただく」のほうがより丁寧な敬語となる

▼ 参考になる記事

他にも使える謝罪のフレーズ

謝罪や許しを得るときに使える敬語を例文でまとめます。

ビジネスメールではこれらの表現に言い換えすることもできますので、お好みの表現を用いてください。

もちろん目上の人(上司・先輩)にも使えますし取引先など社外メールにも使えます。

謝罪のフレーズ

  • 言い換え「どうかお許しください」
    ・ご容赦=お許し、はおなじ意味であり言い換えできる
  • 言い換え「ご了承くださいますようお願い申し上げます」
    ・ご容赦=ご了承に言い換えできる
    ・類語であり同じようにつかえる
  • 言い換え「ご理解とご了承のほど何卒よろしくお願い申し上げます」
    ・謝罪のてっぱんフレーズ
    ・謝罪メールの結びにつかうと好感度UP
  • 言い換え「ご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます」
    ・謝罪のてっぱんフレーズ
  • 言い換え「日ごろの管理体制に問題があったことと猛省しております」
    ・猛省=ものすごく反省する
    ・おります=「いる」の謙譲語

▼参考になる記事:

【例文】謝罪文・メール全文