総合商社とは何か②就活生にもわかりやすく歴史を解説!

「総合商社とは何か?就活生にもわかりやすい4つの特徴まとめ」に続き、総合商社の歴史をひも解いていきます。(前回の記事が長くなりすぎたので2つに分けました。すでに読んで頂いたかた、申し訳ありません…)

総合商社の歴史;トレーディングから事業投資会社へ。その次は?

総合商社の歴史を語るとき、シンプルに彼らのビジネスを表現するのであれば「トレーディングから事業投資会社へ」ということになります。

もう少し具体的にかつ誰にでも分かりやすく、近代の歴史を振り返りながら総合商社ビジネスの歴史について解説していきます。

1.昔はトレーディングだけでも十分に稼げた

その昔、商社と名のつく会社はトレーディングが主体となっていました。メーカーの製造した製品を国内の顧客へ販売したり、海外へ輸出したり、原材料を輸入してメーカーへ売ったりといったビジネス。

日本の製造業が最も伸びた時代には、これだけで商売が成り立っていました。何しろ中間マージン50%など当たり前の時代だったらしいので…儲からないほうがおかしい。

2.メーカーが国内の販売網を整える=商社がいらない?

1970年代、営業はすべて商社まかせだったメーカーがまともになりだして、国内の直接販売網を整備し始めます。これにより「商社不要論」が言われ始めます。

それでも海外輸出や輸入については、まだまだメーカーでは対応できず総合商社はトレーディング機能を発揮。

3.国内人件費の高騰、円高、新興国の台頭…

1980年代に突入すると、国内では人件費の高騰や円高がすすみ、輸出で儲かっていたメーカーの業績は苦しくなっていきます。くわえて中国や韓国・台湾を始めとする途上国の台頭が本格化。

国内の需要が頭打ちになり、さらに円高で苦しくなった日本の製造メーカーは、何とか利益をだすために生産・営業拠点をどんどん海外へ拡大します。そして海外でのビジネス展開を加速。

メーカーのグローバル展開が加速していく中、総合商社は日系メーカーに共同出資して現地生産会社をたちあげたり、その製品を右から左へ流すだけでもそれなりに儲かっていました。

さらにはバブル経済に乗っかり、不動産投資や株式投資までも拡大。

しかし転機が訪れます。

4.バブル経済崩壊で不良債権をかかえる

1990年代に突入すると、バブル経済が崩壊。証券業界や金融業界が不良債権を抱えたのと同様、総合商社もとてつもない被害をうけました。倒産した企業からお金が回収できない、不動産・株の暴落…

ここで経営に行き詰まった商社業界全体の再編・合併がスタート。

でも運の悪いことはさらに重なります。

5.メーカーのグローバル強化で総合商社がますます不要になる

1990年代、メーカーの海外営業機能が強化されていくにつれて、トレーディングに商社を使う必要性がなくなってきます。*その前まで、ドル決済すらできないメーカーが多かった。

メーカーの営業マンが海外にいるのにわざわざ総合商社に製品を売ってもらうというのは、非効率極まりない。商社に対するマージンが発生している以上、お金をドブに捨てる行為と変わらない。それに気づいたメーカーは、商社のマージンをどんどん減らし、最悪の場合には商社をはずします。

くわえて途上国の台頭により世界的な競合が激しくなってきて、メーカー側も「作れば売れる」という時代ではなくなった。

少しでも利益を確保するために「商社カット」が進んだ時代。昔の中間マージン50%とかは夢のまた夢。10%, 5%, 3%…どんどんマージンを減らされます。

6.事業投資会社としての総合商社が成立!

1990年代、総合商社のトレーディングビジネスは完全に頭打ち、もしくは減少します。頭打ちを迎えた総合商社が次に目をつけたのが、資源投資やその他ビジネスへの投資。

このあたりが総合商社の転換期。

7.資源バブルで大儲け

2000年代前半、ちょうど中国経済がグングンと伸びていた時期で、中国は資源の一大消費国になりつつありました。そこで資源確保の重要性を感じた中国共産党は、世界中の資源という資源の権益を買占めに走ります。

その結果、資源価格は高騰(資源価格が高騰していた背景には投機マネー流入のほうが大きいかも)。

総合商社も乗り遅れまいとして、世界中の資源権益を買いまくります。ここで事業投資会社としての総合商社が地盤をかためていきます。

ロジックは「資源(原油・ガス・金属・食料)はいつかなくなる。だから値上がりし続ける。だから権益を買っておけば稼げる」という、小学生でも考え付きそうな単純なもの。

アイディア自体は小学生レベルでも、お金を持っているのが大人の強み。お金を使って拡大した資源ビジネスはもの凄く上手くいき、総合商社はV字回復を達成。

特にリーマンショック前後の当期純利益は4桁億円を越えつづけるなど、絶好調時代をむかえました。

ところがビジネスはそう甘くありません。資源ビジネスなど、ギャンブルと変わらないのですから。

8.資源バブル崩壊2016年

2016年現在、総合商社は再度、転換期にいます。2016年3月期決算では、資源バブルの崩壊で三菱商事と三井物産は創業以来はじめての赤字。

住友商事も大して稼いでいない。伊藤忠商事はなんとか体裁を保っているものの、中国に投資しまくっているため今後どうなるか分かりません。

9.総合商社は次に何する?

先ほども引き合いに出しましたが、

「資源はいつかなくなる。だから値上がりし続ける。だから権益を買っておけば必ず稼げる」

どこかで聴いたことのある言葉です。

「日本は土地が無いのに人は増え続ける。だから値上がりし続ける。だから土地を買っておけば必ず稼げる。」

「上海、香港、ロンドンは土地が無い。マンションは限りがあるのに人は増え続ける。だからマンションを買っておけば必ず儲かる。」

よくある不動産バブルの光景…でもいつかバブルは崩壊する。

これが資源というスケールの大きいビジネスで起きただけの話。

総合商社は将来を語る前にまず、広げまくった海外投資をちゃんと回収できるか、という問題がありますね…

つづく;