敬語「承知いただく vs くださる」の意味と違い・使い方

① 承知いただく

vs.

② 承知くださる

の敬語、意味と違い、目上・上司・取引先への使い方、注意点についてビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説していく記事。

まずは基本。

「承知いただく vs 承知くださる」の意味はそれぞれ

1. 承知いただく → 承知してもらう
2. 承知くださる → 承知してくれる

※承知のそもそもの意味は「依頼・要求などを聞き入れること。承諾」

どちらも正しい敬語であり使い方はたとえば…

のようにしてメールに使うと、上司・目上やビジネスパートナーに使えるすばらしい敬語フレーズになります。

使い方は依頼・お礼メールなどいろいろあり。

どちらをつかっても丁寧な敬語であり使い分けの必要はありません。

その根拠については本文にて。

ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、本文中ではメール例文をまじえながらくわしく進めていきます。

※長文になりますので時間の無い方は「見出し」より目的部分へどうぞ。

意味・敬語の違い

まずは「承知いただく vs 承知くださる」の意味と敬語における違いについて簡単に。

ようは「承知してもらう vs 承知してくれる」ということなのですが、あまりに乱暴なのでもう少しくわしく解説します。

承知の意味は「依頼・要求などを聞き入れること。承諾」

たとえば、

【例文】女性トイレは改装のためご利用いただけませんので、予めご承知おきください
【例文】承知しました！

“承知いただく”の意味・敬語

「承知いただく vs 承知くださる」の違い

まず

「承知いただく」の辞書的な意味は…

「承知してもらう」であり、おもにビジネスシーンでなにかしら承知してほしいとき。依頼・お願いにつかう敬語フレーズです。もちろんお礼などにも使えます。

「承知いただく」の敬語を細かくみていくと、以下のような成り立ちです。

謙譲語をつかい、この上なく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

こうすると「ありがたくも承知してもらう」というようなニュアンスになります。

したがって上司・目上やビジネスメールで使うのにふさわしい表現、と言えるでしょう。

ちなみに「承知」の「お（ご）」は謙譲語と尊敬語の使い方があります。ここでは「自分が〜してもらう」というように自分を主語にしているため謙譲語としての使い方です。

蛇足ですが…

“承知くださる”の意味・敬語

「承知いただく vs 承知くださる」の違い

つづいて

「承知くださる」の辞書的な意味は…

「承知してくれる」であり、ビジネスシーンでなにかしら承知してほしいとき。依頼・お願いにつかう敬語フレーズです。もちろんお礼などにも使えます。

「承知くださる」の敬語を細かくみていくと、以下のような成り立ちです。

尊敬語をうまくつかい、この上なく丁寧な敬語表現となっていることがわかります。

こうすると「ありがたくも承知してくれる」というようなニュアンスになります。

ちなみに「承知」の「お（ご）」は謙譲語と尊敬語の使い方があります。ここでは「相手が〜してくれる」というように相手を主語にしているため尊敬語としての使い方です。

違いと使い分け

ここまで意味と敬語についてみてきました。

さて「承知いただく vs 承知くださる」の違いにお気づきでしょうか？

どちらも結局のところ言いたいことは同じ。

「承知してもらう・承知してくれる」

と言いたいわけですが…

というように意味と敬語の使い方が違います。

いい加減しつこいのですが、だからといって言いたいことは全く同じなわけです。

したがって、

敬語の使い方には違いはあれど、どちらもひとしく丁寧な敬語であり目上・上司・社外取引先につかえるフレーズです。

ただ少しニュアンスの違いというか敬語の使い方が違うよ、ということですね。

“承知いただく vs 承知くださる”の使い方

つづいて「承知いただく vs 承知くださる」の使い方について。

代表的なパターンを表にまとめておきます。

こまかく解説していくとそれだけで記事がおわってしまいますので、目的にあわせてお使いください。

▼「承知いただく」の使い方まとめ（すべて敬語）

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。

▼「承知くださる」の使い方まとめ（すべて敬語）

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。

“承知いただく”は間違い敬語？

少し話はそれますが「いただく」が謙譲語として誤りだという指摘があります。

間違いだという指摘の根拠は、

ということです。

正しい敬語である根拠

まずは結論だけ述べますが「承知いただく」は間違った謙譲語ではありません。

「承知いただく」は 「私が相手に承知してもらう」という意味。

もっとかみ砕くと

「ありがたくも私が相手に承知してもらう」というようなニュアンスになります。

自分が上司・目上・取引先など相手に「〜してもらう」の主語は自分であるハズ。したがって自分を低めて上司・目上・取引先をたてる謙譲語「いただく」をつかいます。

ちなみに尊敬語をつかって相手の行為をたてるのであれば…

「承知くださる＝相手が承知してくださる」をつかえばOK。

ちなみに、これは文化庁の「敬語の指針」においても解説されています。私のような頭の悪い人には難しいのですが、ご興味ありましたら以下のリンクよりどうぞ。

• 文化庁より｜敬語の指針

“承知賜る”としても丁寧

「承知いただく vs 承知くださる」と似たような敬語には

「承知賜る（たまわる）」もあります。

言いたいことはどれもおなじく「承知してもらう・承知してくれる」なのですが…

よりかしこまったビジネスシーンでは「賜る」を使います。

賜る（たまわる）という敬語のほうがよりカチッとした表現になりますので、文書など公式なビジネスシーンではかならず「賜る」を使いますね。

ただし普段のビジネスメールでは必要のない敬語フレーズ。

使い方にはたとえば、

などあり。

「お（ご）～賜る」「お（ご）～いただく」はどちらも「〜してもらう」の謙譲語であり、かしこまり度合いが違うだけです。