敬語「ご来訪いただく vs くださる」の意味と違い・使い方

① ご来訪いただく

vs.

② ご来訪くださる

の敬語、意味と違い、目上・上司・取引先への使い方、注意点についてビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説していく記事。

まずは基本。

「ご来訪いただく vs ご来訪くださる」の意味はそれぞれ

  1. ご来訪いただく → 来訪してもらう
  2. ご来訪くださる → 来訪してくれる

※来訪のそもそもの意味は「人が訪ねてくること」

どちらも正しい敬語であり使い方はたとえば…

① お礼「来訪ありがとう」

  • 例文「ご来訪いただきありがとうございます」
  • 例文「ご来訪いただけるとのことありがとうございます」
  • 例文「ご来訪くださいましてありがとうございます」

② 希望・依頼・お願い「来訪してほしい」

  • 例文「ご来訪いただきたく存じます」
  • 例文「ご来訪いただければと存じます」
  • 例文「ご来訪いただければ幸いです」
  • 例文「ご来訪くださいますようお願い申し上げます」

※「存じます」は「思う」の謙譲語”存じる”+丁寧語”ます”

※「ますよう」は丁寧語”ます”+「ように」

③ 来訪してもらう●●/来訪してくれる●●

  • 例文「ご来訪いただいく件、4月10日14:00ではいかがでしょうか」
  • 例文「ご来訪いただいく予定は、4月10日14:00でよろしかったでしょうか」
  • 例文「ご来訪くださいます件、4月10日ではいかがでしょうか」

のようにしてメールに使うと、上司・目上やビジネスパートナーに使えるすばらしい敬語フレーズになります。

使い方は依頼・お礼メールなどいろいろあり。

どちらをつかっても丁寧な敬語であり使い分けの必要はありません。

その根拠については本文にて。

ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、本文中ではメール例文をまじえながらくわしく進めていきます。

※長文になりますので時間の無い方は「見出し」より目的部分へどうぞ。

この記事の目次

意味・敬語の違い

まずは「ご来訪いただく vs ご来訪くださる」の意味と敬語における違いについて簡単に。

ようは「来訪してもらう vs 来訪してくれる」ということなのですが、あまりに乱暴なのでもう少しくわしく解説します。

“ご来訪いただく”の意味・敬語

「ご来訪いただく vs ご来訪くださる」の違い

まず

「ご来訪いただく」の辞書的な意味は…

「来訪してもらう」であり、おもにビジネスシーンでなにかしら来訪してほしいとき。依頼・お願いにつかう敬語フレーズです。もちろんお礼などにも使えます。

「ご来訪いただく」の敬語を細かくみていくと、以下のような成り立ちです。

  1. 元になる語は“来訪”
  2. “〜してもらう”の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「ご来訪いただく」

※来訪のそもそもの意味は「人が訪ねてくること」

謙譲語をつかい、この上なく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

こうすると「ありがたくも来訪してもらう」というようなニュアンスになります。

したがって上司・目上やビジネスメールで使うのにふさわしい表現、と言えるでしょう。

ちなみに「ご来訪」の「お(ご)」は謙譲語と尊敬語の使い方があります。ここでは「自分が〜してもらう」というように自分を主語にしているため謙譲語としての使い方です。

“ご来訪くださる”の意味・敬語

「ご来訪いただく vs ご来訪くださる」の違い

つづいて

「ご来訪くださる」の辞書的な意味は…

「来訪してくれる」であり、ビジネスシーンでなにかしら来訪してほしいとき。依頼・お願いにつかう敬語フレーズです。もちろんお礼などにも使えます。

「ご来訪くださる」の敬語を細かくみていくと、以下のような成り立ちです。

  1. 元になる語は“来訪”
  2. “〜してくれる”の尊敬語「お(ご)〜くださる」で「ご来訪くださる」

※来訪のそもそもの意味は「人が訪ねてくること」

尊敬語をうまくつかい、この上なく丁寧な敬語表現となっていることがわかります。

こうすると「ありがたくも来訪してくれる」というようなニュアンスになります。

ちなみに「ご来訪」の「お(ご)」は謙譲語と尊敬語の使い方があります。ここでは「相手が〜してくれる」というように相手を主語にしているため尊敬語としての使い方です。

違いと使い分け

ここまで意味と敬語についてみてきました。

さて「ご来訪いただく vs ご来訪くださる」の違いにお気づきでしょうか?

どちらも結局のところ言いたいことは同じ。

「来訪してもらう・来訪してくれる」

と言いたいわけですが…

  • “ご来訪いただく“だと意味は「来訪してもらう」
    →敬語は謙譲語「お(ご)〜いただく」

vs.

  • “ご来訪くださる“だと意味は「来訪してくれる
    →敬語は尊敬語「お(ご)〜くださる」

というように意味と敬語の使い方が違います。

いい加減しつこいのですが、だからといって言いたいことは全く同じなわけです。

したがって、

敬語の使い方には違いはあれど、どちらもひとしく丁寧な敬語であり目上・上司・社外取引先につかえるフレーズです。

ただ少しニュアンスの違いというか敬語の使い方が違うよ、ということですね。

ちなみにビジネスメール結びとして一般的なのは「ご来訪くださる」のほうですが、心底どちらでも差し支えありません。

“ご来訪いただく vs ご来訪くださる”の使い方

つづいて「ご来訪いただく vs ご来訪くださる」の使い方について。

代表的なパターンを表にまとめておきます。

こまかく解説していくとそれだけで記事がおわってしまいますので、目的にあわせてお使いください。

▼「ご来訪いただく」の使い方まとめ(すべて敬語)

①基本 ②+丁寧語”ます” ③その他
現 在  ご来訪いただく  ご来訪いただきます -頂くよう
-頂きますよう
過 去  ご来訪いただいた  ご来訪いただきました ×
進行形  ご来訪いただいている  ご来訪いただいています -頂いております
過去~現在  ご来訪いただいていた  ご来訪いただいていました -頂いておりました
希 望
依 頼
 ご来訪いただきたい
ご来訪いただきたく
ご来訪いただくよう
 ご来訪いただきたいです

ご来訪いただきますよう

-頂きたく思います
-頂きたく存じます
-頂ければと存じます
可 能  ご来訪いただける  ご来訪いただけます -頂けるよう
-頂けますよう
仮 定  ご来訪いただければ  ご来訪いただけましたら ×
疑 問  ご来訪いただけるか?  ご来訪いただけますか? -頂けますでしょうか
否 定  ご来訪いただけない  ご来訪いただけません ×
命 令 × × ×

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。

※「×」としたのは一般的につかわない

▼「ご来訪くださる」の使い方まとめ(すべて敬語)

①基本 ②+丁寧語”ます” ③その他
現 在  ご来訪くださる  ご来訪くださいます -くださるよう
-くださいますよう
過 去  ご来訪くださった  ご来訪くださいました ×
進行形  ご来訪くださっている  ご来訪くださっています -くださっております
過去~現在  ご来訪くださっていた  ご来訪くださっていました -くださっておりました
希 望
 ご来訪くださるよう  ご来訪くださいますよう ×
可 能 × × ×
仮 定 × × ×
疑 問  ご来訪くださるか?  ご来訪くださいますか? -くださいますでしょうか
否 定  ご来訪くださらない  ご来訪くださいません ×
命 令  ご来訪ください  ご来訪くださいませ ×

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。

※「×」としたのは一般的につかわない

敬語”~いただく vs くださる”の違いをもっと!

せっかくですので「~いただく」「~くださる」の違いをもっと考えてみます。

たとえば結び・締めに使う「お願い」するときのシーンを考えましょう

すると…

「ご容赦くださいますようお願い申し上げます」
「ご容赦いただきますようお願い申し上げます」

「ご了承くださいますようお願い申し上げます」
「ご了承いただきますようお願い申し上げます」

「ご連絡くださいますようお願い申し上げます」
「ご連絡いただきますようお願い申し上げます」

こんな敬語フレーズをよく使います。

実はこれらは「くださる」を使うのが一般的です…
「いただく」としても丁寧ではありますが…

ところが、たとえば何かをもらった時のお礼のシーンを考えます。

「たいそうなお品をくださりありがとうございました」
「たいそうなお品をいただきありがとうございました」

もうひとつ、

「いつもご利用くださりありがとうございます」
「いつもご利用いただきありがとうございます」

上記の例文はどれも敬語としては正しい使い方。

ただ圧倒的に「いただき〜」とするほうが多いですね。

結び・締めに使うフレーズとしては「くださる」のほうが一般的で、お礼に使うフレーズとしては「いただきありがとう」を使うのが一般的です。

ただし何度もしつこいのですが…

本来であればどれも丁寧な敬語であり、使い分けする必要はありません。

【補足】敬語の種類(ざっくり復習)

① 尊敬語とは?
相手をうやまって使う敬語の一種。
相手の行為にたいして使い、自分の行為には使わないことが基本。

敬語の種類はほかに②謙譲語、③丁寧語がある

② 謙譲語とは?
自分をへりくだって下にすることで、相手への敬意をあらわす敬語。
自分の行為に使い、相手の行為には使わないことが基本(例外あり)。

③ 丁寧語とは?
いわゆる「です・ます」口調のこと。

使い方

つづいて「ご来訪くださる vs ご来訪いただく」の使い方を例文で紹介します。

目上・上司にはもちろんのこと、社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズにしています。ご参考にどうぞ。

使い方①相手に来訪してほしい時

相手に「来訪してほしい・来訪してもらいたい」ときは…

  • 【例文】ご来訪いただきたく存じます
  • 【例文】ご来訪いただければと存じます
  • 【例文】ご来訪いただきますようお願い申し上げます
  • 【例文】ご来訪くださいますようお願い申し上げます
  • 【例文】ご来訪のほどお願い申し上げます
  • 【例文】ご来訪いただければ幸いです
  • 【例文】ご来訪いただけましたら幸いです
  • 【例文】ご来訪いただけますか/ますでしょうか?

▼敬語の補足

・「存じる」は「思う」の謙譲語
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+希望「~したい」
・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」
・「いただけましたら」は謙譲語「いただく」+丁寧語「ます」+仮定「たら・れば」
・「幸いです」は「幸い」+丁寧語「です」

使い方②相手に「来訪ありがとう!」とお礼するとき

相手に「来訪ありがとう!」とお礼するときは…

  • 【例文】ご来訪ありがとうございます
  • 【例文】ご来訪いただきありがとうございます
  • 【例文】ご来訪いただきましてありがとうございます
  • 【例文】ご来訪くださいましてありがとうございます

使い方③来訪できません!と断るとき

▼ 上司なり取引先・目上の相手が「来訪できません!」とするときは…

  • 【例文】ご来訪いただけません
  • 【例文】ご来訪いただくことはできません

▼ 自分が「来訪できません!」とするときは…

  • 【例文】(ご)来訪いたしかねます
  • 【例文】ご来訪しかねます
  • 【例文】●●のためご来訪することが叶いません
  • 【例文】ご来訪することが大変困難でございます

無理やり感のある例文になってしまいました…すみません。

こんなときには「ご対応いたしかねます」「お受けいたしかねます」などの敬語をつかいますね。

使い方④来訪してもらう●●/来訪してくれる●●

  • 例文「ご来訪いただいく件、4月10日14:00ではいかがでしょうか」
  • 例文「ご来訪いただいく予定は、4月10日14:00でよろしかったでしょうか」
  • 例文「ご来訪くださいます件、4月10日ではいかがでしょうか」

使い方⑤自分が「来訪します!」とするとき

ついでに自分が「来訪します!」と言いたいときには…

「来訪」は相手が来ることなので自分の行為にはつかいません。

「訪問」あるいは謙譲語「伺う」をつかった敬語フレーズにします。

  • 【現在形】ご訪問します/(ご)訪問いたします
  • 【過去形】ご訪問しました/(ご)訪問いたしました
  • 【進行形】ご訪問しております/(ご)訪問いたしております
  • 【希望①】ご訪問したく思います/(ご)訪問いたしたく思います
  • 【希望②】ご訪問したく存じます/(ご)訪問いたしたく存じます

※すべて「伺う」をつかったフレーズに言い換えできます

▼敬語の補足

・「存じる」は「思う」の謙譲語
・(ご)とした例文は省略可
・「お(ご)~します」は謙譲語「お(ご)~する」+丁寧語”ます”
・「お(ご)~いたします」は謙譲語「お(ご)~いたす」+丁寧語”ます”

おもにはこんな感じの使い方があります。

それぞれの意味や敬語の使い方など、くわしい解説は本文の一番最後にあります。

本当はもっといろいろありますが、すべての使い方を例文で紹介しているとそれだけで日が暮れるため、少しだけにしておきますね。

ビジネスメール例文【全文】

ここでは「ご来訪くださる vs ご来訪いただく」のビジネスメール例文を紹介します。

ビジネスメール例文①相手が来訪した後のお礼メール

【to社外ビジネス取引先】
あなたが訪問したときの、お礼ビジネスメール例文No.4。お礼だけをシンプルに述べるビジネスメール。

メール件名①面談のお礼(転職・ノマド)
メール件名②返信Re: 【お礼】貴社訪問のお願い(転職・ノマド)

ビジネス 株式会社
資材部 〇〇 様(社外ビジネス取引先)

いつもお世話になっております。転職・ノマドでございます。

本日はお忙しいところご来訪いただき、誠にありがとうございました。

貴社のご状況などにつき大変勉強になりました。感謝申し上げます。

今後も微力ながら貴社のお役に立てるよう尽力して参りますので、ご愛顧のほど何卒宜しくお願いいたします。

略儀ではございますが、まずはお礼かたがたご挨拶申し上げます。

———–
メール署名
———–

こんなときには…「貴重なお時間をいただきありがとうございました」

「ご足労いただきありがとうございました」

などとするのが一般的

ビジネスメール例文①打ち合わせお礼メールに返信

メール件名①返信Re: 打ち合わせのお礼(転職・ノマド)
メール件名②返信Re:Re:貴社訪問のお願い(転職・ノマド)

転職 株式会社
営業部 ノマド 様(社外ビジネス取引先)

お世話になっております。

こちらこそ先日はご来訪いただき誠にありがとうございました。

またご多忙のところ早々にご報告いただきあわせて感謝申し上げます。

さて、サンプル評価には到着後1ヶ月ほど要する見込みでございます。ラボの状況次第でスケジュールが前後する可能性もございますので、評価結果がでましたら連絡いたします。

今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

*********
メール署名
*********

こんなときには…「ご足労いただきありがとうございました」

などとするのが一般的

ビジネスメール例文②打合せを依頼する

メール件名: 打合せのお願い(転職・ノマド)

株式会社ビジネス
営業部 ○○ 様

いつもお世話になっております。
株式会社転職・ノマドです。

先般は打合せに際して貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。

さてその後、当社の開発に進捗があり、ご報告のため1時間ほど打合せのお時間を頂戴したく、今週〜来週のどこかでいくつか候補日程をいただければと存じます。

また大変申し訳ありませんが、弊社オフィスまでご来訪いただければ幸いです。

なお会議の目的等につきまして下記のとおりご案内申し上げます。

①目的
・弊社より新製品開発状況のご報告
・今後の開発方向性のお打合せ
②場所
・弊社オフィス
③候補日程
・今週〜来週
④参加者
・弊社●●(上司)、のまど、計2名

以上

お忙しいところ大変恐れ入りますが、
ご検討のほど何卒よろしくお願いいたします。

*********
メール署名
*********

こんなときには…「ご足労いただければ幸いです」

などとするのが一般的

“ご来訪いただく”は間違い敬語?

少し話はそれますが「いただく」が謙譲語として誤りだという指摘があります。

間違いだという指摘の根拠は、

  1. “いただく”は「もらう」の謙譲語
  2. 謙譲語は自分の動作を低めて相手を敬うため、基本は自分の行為にしか使えない
  3. “ご来訪する”のは相手だから…
  4. “ご来訪いただく”は相手の行為に謙譲語を使うことになり、おかしい?

ということです。

正しい敬語である根拠

まずは結論だけ述べますが「ご来訪いただく」は間違った謙譲語ではありません。

「ご来訪いただく」は 「私が相手に来訪してもらう」という意味。

もっとかみ砕くと

「ありがたくも私が相手に来訪してもらう」というようなニュアンスになります。

自分が上司・目上・取引先など相手に「〜してもらう」の主語は自分であるハズ。したがって自分を低めて上司・目上・取引先をたてる謙譲語「いただく」をつかいます。

ちなみに尊敬語をつかって相手の行為をたてるのであれば…

「ご来訪くださる=相手が来訪してくださる」をつかえばOK。

謙譲語にも”お(ご)”という使い方がある

ややこしいので基本的な敬語の使い方についてくわしく解説を。

じつは尊敬語と謙譲語にはどちらも「お(ご)」の使い方があります。

謙譲語としての「お(ご)」の使い方はたとえば、

  • 会議日程のご連絡
  • 忘年会開催のお知らせ
  • 販売状況のご報告
  • 転勤のご挨拶
  • 貴社ご訪問のお願い

こんな感じのフレーズがあります。よくビジネスメールの件名で目にする表現ですね。

ところが例文は自分が「ご連絡・お知らせ・ご報告・ご挨拶」するため「お(ご)」をつかうのはおかしいと感じるかたもいらっしゃることでしょう。

これは、

謙譲語「お(ご)」の使い方を知らないためにくる勘違いです。

尊敬語の「お(ご)」だと勘違いしているために間違い敬語と感じるのですが、実際にはどれも正しい敬語をつかっています。

いっぽうで尊敬語の「お(ご)」は、「部長が戻りになりました」などのようにして、相手の行為をうやまって使う敬語です。

謙譲語の一般形まとめ

謙譲語の「お・ご」は尊敬語の「お・ご」と勘違いしやすい敬語です。

他にもセットで謙譲語として覚えておくと役に立つフレーズを以下にまとめます。

  1. お(ご)〜する
    お(ご)〜します
  2. お(ご)〜いたす
    お(ご)〜いたします
  3. お(ご)〜いただく
    お(ご)〜いただきます
  4. お(ご)〜差し上げる
    お(ご)〜差し上げます
  5. お(ご)〜申し上げる
    お(ご)〜申し上げます
  6. お(ご)〜させていただく
    お(ご)〜させていただきます

※「させていただく」は日本語としておかしい表現になる時もあり何でもかんでも使える訳ではない

「〜」の部分にイロイロな語がきて謙譲語になります。たとえば「了承」「教示」「承諾」「検討」「容赦」「査収」「取り計らい」など。

また丁寧語「ます」とくみあわせて「〜します」「〜いたします」とするのが丁寧な使い方ですのでご留意ください。

ちなみに、これは文化庁の「敬語の指針」においても解説されています。私のような頭の悪い人には難しいのですが、ご興味ありましたら以下のリンクよりどうぞ。

“ご来訪賜る”としても丁寧

「ご来訪いただく vs ご来訪くださる」と似たような敬語には

「ご来訪賜る(たまわる)」もあります。

言いたいことはどれもおなじく「来訪してもらう・来訪してくれる」なのですが…

よりかしこまったビジネスシーンでは「賜る」を使います。

賜る(たまわる)という敬語のほうがよりカチッとした表現になりますので、文書など公式なビジネスシーンではかならず「賜る」を使いますね。

ただし普段のビジネスメールでは必要のない敬語フレーズ。

使い方にはたとえば、

  • 例文「ご来訪賜りますようお願い申し上げます」
  • 例文「ご来訪賜りますようお願い致します」

などあり。

「お(ご)~賜る」「お(ご)~いただく」はどちらも「〜してもらう」の謙譲語であり、かしこまり度合いが違うだけです。

ビジネスメールでは”ご来訪のほど”もよく使う

他にもビジネスメールでよく使う敬語には「ご来訪のほど」もあります。

ビジネスメールではとかく「いただく」「くださる」ばかりになってしまい、文章が気持ち悪くなってしまうのですよね。

そこで活躍するのが「ご来訪のほど~」です。

使い方にはたとえば、

  • 例文「ご来訪のほどお願い申し上げます」
  • 例文「ご来訪のほどお願い致します」

などあり。

“ご来訪のほど”の「ほど」ってどんな意味?

ここで「ご来訪のほど」の「のほど」は限定を避ける言い方で、意味としては「〜してもらうよう」「〜してくれるよう」と考えることができます。

断定をさけて表現をやわらげるのに用いる語です。

もともと、とくに深い意味はありません。

ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。

ちなみに「ご来訪の程」というように漢字をもちいてもOK。あなたのお好みでお使いください。

ビジネスメール結びをより丁寧にするコツ

あまり関係ないのかもしれませんが重要なので念のため。

ビジネスメールの文末・結び・締めとして使うことのおおい「ご来訪いただく vs ご来訪くださる

ここでは、

ビジネスメール結びをより丁寧にするためのコツをご紹介します。

+前置きに添えるフレーズを!

ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。

「ご来訪」の前置きに添える丁寧なお願いフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」を使うとより丁寧な印象のメールとなります。

たとえば以下のようなフレーズがあります。

  • どうか
    例文「どうかご来訪くださいますようお願い申し上げます」
    例文「どうかご来訪くださいますようお願い致します」
    例文「どうかご来訪いただければ幸いです」
    例文「どうかご来訪いただければと存じます。何卒よろしくお願い申し上げます」
  • 何卒=どうか
    例文「何卒ご来訪くださいますようお願い申し上げます」
    例文「何卒ご来訪くださいますようお願い致します」
    例文「何卒ご来訪いただければ幸いです」
    例文「何卒ご来訪いただければと存じます。よろしくお願い申し上げます」

+気づかいの敬語フレーズもGood

ビジネスメールの文末・結び・締めをより丁寧にするためのコツ。

「ご来訪」の前置きには強調するフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」だけでなく、申し訳なく思う気持ちや、相手を気づかうフレーズをもってきても丁寧です。

たとえば「誠に勝手を申し上げますが」などと組み合わせ、以下例文のようにすると好感がもてますね。上司や目上にはもちろんのこと、取引先のメールにも使える丁寧な例文にしています。

  • 恐縮=申し訳なく思うこと
    「お忙しいところ恐縮ではございますがご来訪〜」
    「お忙しいところ大変恐縮ではございますがご来訪〜」
    「たびたび恐縮ではございますがご来訪〜」
  • 恐れ入る=申し訳なく思う
    「お忙しいところ恐れ入りますがご来訪〜」
    「お忙しいところ大変恐れ入りますがご来訪〜」
    「たびたび恐れ入りますがご来訪〜」
  • お手数=お手間
    「お忙しいところお手数お掛けしますがご来訪〜」
    「お忙しいところ大変お手数ではございますがご来訪〜」
  • 勝手を申し上げる=自分勝手を言う
    「誠に勝手を申し上げますがご来訪〜」
  • ご無理申し上げる = 無理を言う
    「ご無理申し上げますが、何卒ご来訪のほどお願い申し上げます」
  • ご多忙とは存じますが=忙しいとは思うけど
    「ご多忙とは存じますがご来訪〜」

ビジネス会話・電話では”ご来訪いただけますか?”

ビジネスメールではなく会話や電話シーンであれば…

「ご来訪くださいますようお願い申し上げます」などは絶対につかいません。

長いうえに丁寧すぎて気持ち悪いですからね。

そこでビジネス会話・電話では…

  • 【例文】ご来訪いただけますか?
  • 【例文】ご来訪いただけますでしょうか?
  • 【例文】ご来訪願えますでしょうか?

※もちろん「ご来訪ください」としてもOK

といった質問フレーズをつかいましょう。

意味としては「来訪してもらえますか?」であり、敬語をつかって丁寧な表現にしています。

「〜いただけますか?」サラッと言えるためビジネスシーンで重宝するフレーズです。

敬語の解説

ご来訪いただけますか?」「ご来訪いただけますでしょうか?

の敬語の成り立ちとしては…

  • “来訪”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「ご来訪いただく」
  • 可能形にして「ご来訪いただける」
  • さらに丁寧語”ます”で「ご来訪いただけます」
  • 疑問形にして「ご来訪いただけますか?」

“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「ご来訪いただけますでしょうか?」

どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。

どちらかというと「〜いただけますでしょうか?」のほうが丁寧なのですが…バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか?」を使うのをオススメします。

参考記事

ビジネスシーン別”ご来訪”の使い方・例文