「末筆ながら〜ご活躍・ご健勝」の意味とビジネスメールでの使い方

「末筆ながら〜」の意味とビジネスメールでの使い方、注意点について、誰よりも親切に解説する記事。まずは基本として「末筆ながら、皆様のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます」などとして、挨拶メールや手紙の結びとして使われます。

その意味と使い方、注意点について記事中にまとめます。

末筆ながら〜の意味は「最後に」

「末筆ながら」の読み方は「まっぴつながら」。

「末筆ながら〜」の意味は「最後に〜を書きます」「これで手紙(またはメール)を終えますが〜」「これで筆を置きますが〜」として使われます。

「12月末」などのように「最後」の意味で使う「末(まつ)」。これに書くことを意味する「筆」を併せて「末筆」ということになり「最後に〜を書きます」となりますね。

ビジネスシーンでは特に、退職の挨拶や転勤の挨拶といった、やや公式なメールで使われます。

末筆ながら〜の使い方は「メールの結び」

「末筆ながら〜」は「最後に〜と書きます」という意味ですから、手紙やメールの文末・結び・締めくくりとして最後の一文に使われます。たとえば「末筆ながら、皆様のご健勝をお祈り申し上げます」とできます。

敬語ではないのですが「急に話が変わって文章の締めくくりに入ります」という意味も含まれていますので、目上 ⇄ 目下の人の両方に使えます。

したがって「末筆ながら〜」を使ったのに、まだ文章が続くのはNGです。

末筆ながら〜の例文(ビジネスシーン別)

続いて、ビジネスシーンごとに使える「末筆ながら〜」の例文をまとめます。くどいですが、全てメールの文末・締めくくり・結びとして使います。

メール例①挨拶(退職・転職・転勤)

ビジネスシーンでは特に、挨拶系のメールをしたいときに「末筆ながら〜」を使います。たとえばあなたが転職して会社の同僚、上司へ「お別れ挨拶メール」をする時のことを考えましょう。メールの結びに「末筆ながら、皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます」を使って締めくくることができます。意味はメール受け手の「健康と幸せを願っていますよ」となります。他にも使えるビジネスメールの例文をまとめておきます。

  • 末筆ながら、◯◯様のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。
  • 末筆ながら、◯◯様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。
  • 末筆ながら、皆様のご健勝をお祈りいたします。
  • 末筆ながら、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。
  • 末筆ながら、皆様のご健勝と、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。
  • 末筆ながら、皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。
  • 末筆ながら、皆様のご健勝とご活躍を、心よりお祈り申し上げます。※末筆ながら〜は手紙やメールの文末・締めくくりのみで使う
    ※ご健勝=健康であること
    ※ご多幸=とても幸せなこと
    ※ご活躍=(仕事での)成果、成功
    ※ご発展=経済的な繁栄

参考 → 「ご健勝」「ご多幸」「ご活躍」の意味と違い・使い方【例文あり】

メール例②入院等のお見舞い

誰かが入院したり怪我をしてしまった際に出す「お見舞いメール」も、やや公式なビジネスシーンと考えられます。文末には「末筆ながら〜」を使い、相手を気遣う一文を添えましょう。

  • 末筆ながら、◯◯様の一日も早いご回復を、心よりお祈り申し上げます。※お見舞いシーンでは結びに「メールにて失礼かとは存じましたが、まずはお見舞い申し上げます」なども使う。

メール例③お見舞い(暑中・寒中・残暑・年末年始など)

もともとハガキや手紙で出していた「お見舞い系(暑中・寒中・残暑・年末年始)」も、最近はメールで出すことが増えてきました。もともとは手紙で出すような公式なものですから、当然、メールでも手紙の書式に従います。

  • 末筆ながら、残暑の折、どうぞご自愛くださいませ。(残暑見舞い)
  • 末筆ながら、酷暑の折から、くれぐれもご自愛のほどお願い申し上げます。(暑中見舞い)
  • 末筆ながら、何かと御多用とは存じますが、何卒お気をつけて年末をお過ごしください。(年末の挨拶)
  • 末筆ながら、本年も変わらぬお付き合いの程、宜しくお願い申し上げます。(新年の挨拶)

メール例④その他、ビジネスメールの結び

例①②と同じといえば同じですが、「末筆ながら〜」は普段のビジネスメール締めとしても使えます。こちらもやや公式な場面、相手に敬意を表したい場合に使われます。

  • 末筆ながら、お二人の未来に幸多きことを心からお祈りしています。(結婚祝い)

末筆ながら〜のよく使われる例文と意味、使い方

つづいて「末筆ながら〜」と一緒に使われる表現ごとに、ビジネスメールでの意味と使い方を整理しておきます。

①末筆ながら、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます

意味は「最後に、相手の会社の経済的な発展を願っています」。使い方は挨拶系のビジネスメールの結びです。たとえば、退職の挨拶や転職メールの文末に使うと良いでしょう。

これは会社の発展を願う文章ですので、個人も同時に気遣いたい場合には「皆様のご健勝と、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます」などとします。

②末筆ながら、◯◯様のご健勝とご多幸を祈念しております

意味は「最後に、◯◯さんの健康と幸せを願っています」。使い方は挨拶系のビジネスメールの結びです。たとえば、退職や転職、転勤といった、別れが発生するビジネスメールの文末に使うと良いでしょう。

「末筆ながら〜」は話し言葉ではありませんので、文章でのみ使い、スピーチなどでは「皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます」だけで使います。

③末筆ながら、◯◯様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。

意味は「最後に、◯◯さんの仕事での成功、成果を願っています」。使い方は挨拶系のビジネスメールの結びです。たとえば、退職や転職、転勤といった、別れが発生するビジネスメールの文末に使うと良いでしょう。

「ご活躍」は「(仕事での)成果」という意味で使われるため、定年退職者に対してふさわしくない、かもしれません。その場合には「末筆ながら、◯◯様の公私にわたるご活躍をお祈り申し上げます」を使うとよいでしょう。

末筆ながら〜を使うときの注意点

つづいて、ビジネスメールで「末筆ながら〜」を使う際の注意点をまとめます。

注意①必ず文末に使い、それ以降には何も書かない

くどいですが「末筆ながら〜」の意味は「最後に〜」です。これが最後の文章ですよ〜、と書くわけですから、それ以降に何か文章がくるのはおかしいです。

×NG例:末筆ながら、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。今後ともよろしくお願い致します。(不要)

注意②文章のみで使い、話し言葉には使わない

「末筆ながら〜」は「筆」という漢字が入っているとおり、書物にしか使われない表現です。したがって使える場面は、メール、手紙などの書面に限定されます。

スピーチなどの場面では「末筆ながら」を除いて使いましょう。

末筆ながら〜を使った例文(全文)

例文①残暑見舞いメール

件名: 残暑お見舞い申し上げます(転職会社・転職)

◯◯株式会社
△△ 部 御中

残暑お見舞い申し上げます。

貴社におかれましては、益々ご盛栄のこととお慶び申し上げます。平素は、格別のご厚情を賜り深く感謝申し上げます。

私どもは、今後とも更なるサービス向上のため努力をしてまいりますので、ご愛顧を賜わりますようお願い申し上げます。

末筆ながら、残暑厳しき折、貴社の皆様方にはくれぐれもご自愛くださいませ。

メール署名

例文②転職による退職メール・手紙

拝啓 ○○○○(季語) 皆様には益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
さて 私こと
○月○日付にて、○○株式会社を退職することになりました。
本来であれば、直接伺いご挨拶すべきところ、メールでのご連絡となりましたことをお詫び申し上げます。○年短い期間ではございましたが、皆様方のご厚情に支えられながら大過なく勤めさせていただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。
また、退職に際しましては、温かい惜別やお励ましのお言葉を頂きまして、本当にありがとうございました。○○株式会社での経験を糧として次の人生へ生かしていきたいと思います。
末筆ながら、改めましてこれまでのご厚情に深謝するとともに、皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。     敬具

まとめ

今回は末筆ながら〜の意味と使いかた、注意点について解説しました。「末筆ながら〜」という表現は普段のビジネスメールではなかなか使わず、挨拶といったやや公式な場面で使われます。これで全て網羅したつもりですが、もしご不明な点がございましたら、コメント欄にお願いいたします。

参考記事 → 「ご健勝」「ご多幸」「ご活躍」の意味と違い・使い方【例文あり】