【2018年版】生命保険会社の売上ランキング①国内

2018年3月期の生命保険会社7社のランキング(保険料等収入、資産運用収益、基礎利益、ソルベンシー・マージン比率)。

この記事では①生命保険会社の保険料等収入(≒売上規模)、②資産運用収益、③基礎利益、④ソルベンシー・マージン比率のランキングを見ていく。

なお。

生命保険会社は国内に41社あるが、弱小もふくめるとキリがないため国内大手4社、外資系生命保険会社2社、インターネット生命保険会社1社の計7社に絞って紹介していく。

就活・転職のご参考にどうぞ。

【2018年版】生命保険会社のランキング(国内)

①保険料等収入(≒売上)ランキング

2018年生命保険会社のランキング(国内)、まずは保険料等収入(≒売上)ランキング。

保険料収入とは生命保険会社の売上のようなもの。

メーカーなら商品を売った金額 = 売上とかんがえるが、生命保険会社はおもに保険を売っているため「保険料収入 ≒ 売上」と言える。

この保険料収入において増収となったのは、明治安田生命、プルデンシャル生命、アクサダイレクト生命。中でもアクサダイレクト生命は、必要な保障に絞ったシンプルな商品構成や、インターネットで手続きが完結する手軽さ、手頃な保険料が顧客に支持され対前年+17%と大幅増収。

ただし、グラフからも分かるように、インターネット生命保険会社を代表するアクサダイレクト生命であっても、その規模は他の生命保険会社と比較して、まだまだ小さい。

一方で、日本生命、住友生命、第一生命、メットライフ生命は減収。住友生命は、国債の運用難のために、円建ての貯蓄性商品の利回りが低下したことで販売に苦戦し、その代替となる商品も無かったことから、対前年-24%と大幅減収。

【用語の補足】保険料等収入とは…

契約者から実際に払い込まれた保険料による収益で、生命保険会社の収益の大半を占める。一般的に生命保険は、10 年や20 年、あるいは生涯といったように、長期にわたって保険料を払い込む契約が多数を占める。

引き受けている契約が多いほど、払い込まれる保険料が増加し、その結果、保険料等収入も増加することから、保険料等収入は、生命保険会社の売上規模をはかる指標であるといえる。

②資産運用収益ランキング

2018年生命保険会社のランキング(国内)、つづいて資産運用収益ランキング。

マイナス金利政策によって国内金利が低位で推移するという運用難の逆風が吹く中で、各社は償還期限を迎えた国債などを少しずつ利回りの高い外国債券に振り向けてきたことが奏功し、各社ともに増収を確保。特に欧州の債券などでは、対ユーロで円安が進んだことで、現地通貨で受け取った利息や償還益が円に換算したときに増えるため、利益に貢献した。

プルデンシャル生命がその最たる例で、国債中心の運用を行なう一方、リスク分散を図りつつ外貨建債券へ投資することによって+47%の大幅進展を実現。

なお、アクサダイレクト生命の運用先は、現金及び預貯金のみで有価証券は保有していないため、利息収入等はない。

【用語の補足】資産運用収益とは…

顧客から集めた保険料を原資に行う資産運用による収益で、具体的には、利息及び配当金等収入や、有価証券(=株や債券等のこと)運用益等から構成される。

  1. 利息及び配当金等収入
    資産運用収益の中心となる収益で、主なものは預貯金利息、有価証券利息・配当金、貸付
  2. 金利息、不動産賃貸料
    (貸付金利息や不動産賃貸料が入ってくる理由は、顧客から集められた保険料が、株式や債券だけではなく、企業・団体に貸し付けられたり、不動産に投資されているため。)
  3. 有価証券運用益
    有価証券に係る売却損益、償還損益、評価損益。

③基礎利益ランキング

2018年生命保険会社のランキング(国内)、つづいて基礎利益収益ランキング。

第一生命と明治安田生命は、基礎利益で過去最高益を更新。明治安田生命は、買収した米国の生命保険会社スタンコープ社が好調で対前年16%増の5,467億円と第一生命を上回った。

住友生命は前年に他社よりも利率の高い個人年金の販売が急増した反動で増益幅は4%にとどまった。

アクサダイレクト生命は、創業してから日が浅く保険契約の積み上がりが少ないことから、3期連続の赤字で今期は-13%の減益。

【用語の補足】基礎利益とは…

本業で得た利益を示す指標で、一般事業会社の営業利益にあたる。

①保険料収入や保険金・年金・給付金や解約返戻金などの支払い、責任準備金の繰入れ(=将来の保険金や給付金を支払うために積立てること)、事業費の支払いといった保険関係の収支

と、

②資産運用による、利息及び配当金等収入と支払利息などの費用といった資産運用関係の収支。

④ソルベンシー・マージン比率ランキング

2018年生命保険会社のランキング(国内)、つづいてソルベンシー・マージン比率ランキング。

ソルベンシー・マージン比率 FY2017
アクサダイレクト 1723.2%
明治安田生命 937.9%
日本生命 917.9%
メットライフ 883.6%
第一生命 881.8%
住友生命 873.6%
プルデンシャル 817.4%

ソルベンシー・マージン比率に関しては過年度の推移を見る意味はあまりないため、直近の数値のみ載せている。

いずれも健全性を計るうえでの基準である200% を大幅に上回る800%以上であることから、非常にざっくりいえば、平時の8倍のリスクが発生しても支払い能力があるということになる。

ソルベンシー・マージン比率が最も高いのは、アクサダイレクトの1723.2%であるが、同社のように契約高が少ない場合や、ガン保険や変額保険などに特化している生命保険会社の場合、保有しているリスクが少なくなり、ソルベンシー・マージン比率が大きくなる傾向が強い。

なお、話はそれるが、過去に破綻した生命保険会社の破綻直前の決算時のソルベンシー・マージン比率は以下のとおり、いずれも200%を下回っていることがわかる。

第百生命 175.8%
千代田生命 163.6%
協栄生命 98.9%
第一火災 -74.5%
大正生命 -49.9%

そのため、生命保険会社への就職や、生命保険商品への加入を考えている人は、保険料等収入や基礎利益、従業員数等の規模だけではなく、このソルベンシー・マージン比率に注目することをおすすめする。

【用語の補足】ソルベンシー・マージン比率とは…

いざという時の保険会社の保険金支払い能力を示すもので、生命保険会社の健全性を計る指標の一つ。生命保険会社は将来の保険金などの支払いに備えて責任準備金を積み立てており、通常予測できる範囲のリスクについては責任準備金の範囲内で対応できる。

しかし、大幅な環境変化によって、例えば、大災害や株価の大暴落など、予想もしない出来事が起こる場合があるため、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断するための指標の一つがソルベンシー・マージン比率だ。

200% を下回った場合には、監督当局によって早期是正措置がとられ、逆に200% 以上であれば、健全性のひとつの基準を最低限満たしていることになる。

次に、個社ごとの直近の業績について紹介する。

No.1 日本生命

  • 保険料等収入:4兆4,884億円
  • 資産運用収益:1兆6,526億円
  • 基礎利益:6,682億円
  • ソルベンシー・マージン比率:917.9%

1889年創業の日本で3番目に古い生命保険会社。

保険はお互いが助け合う相互扶助の精神に基づくものである、という考えのもと、契約者一人ひとりが会社の持ち主であるとして、「相互会社」という保険会社のみに認められた会社形態を採用している。

主要販売チャネルは5万人の生保レディ。

近年、豪ナショナルオーストラリア銀行傘下の生命保険会社MLC買収や、印リライアンス・グループ傘下の資産運用会社への追加出資、米資産運用会社TCWへの出資、国内で銀行窓販(銀行を通じた保険販売)に強みを持つ三井生命やマスミューチュアル生命の買収

等、積極的なM&Aで地域や事業の分散を図っている。

2018年3月期は、生保レディを通じた三井生命との商品相互供給が販売増につながった。

保険料等収入は、日本生命本体では4兆4,884円だが、三井生命が6,945億円、MLCが2,040億円と、グループ合計では5兆4,220円に達する。

基礎利益は、外国債券の利息や株式の配当金が増加したことによる利差益の増加等を主因に増益。日本生命本体が6,682億円、三井生命が492億円、オーストラリアのMLCが66億円のグループ合計7,227億円。

No.2 第一生命

  • 保険料等収入:2兆3,220億円
  • 資産運用収益:9,124億円
  • 基礎利益:4,291億円
  • ソルベンシー・マージン比率:881.8%

1902年に日本初の相互会社として創業。

元々は日本生命同様、相互会社であったが、2010年に株式会社化し、2016年には持株会社体制を発足させる。

また、2016年には、業務提携をしているみずほフィナンシャルグループと第一生命系列の資産運用会社を経営統合させ、アジアで最大規模の運用残高を誇るアセットマネジメントOneを発足させている。

主要販売チャネルは約4.5万人の生保レディ。2006年に設立した銀行窓販の第一フロンティア生命や、買収したネオファースト生命を通じて保険ショップや銀行にも積極的に商品を供給している。

2018年3月期は、国債の運用難のために円建ての貯蓄性商品の販売に苦戦し対前年-9%の減収も、アセットマネジメントOneを通じた外国債券の運用の好調により、資産運用収益は対前年+5%を達成。

No.3 明治安田生命

  • 保険料等収入:2兆7,194億円
  • 資産運用収益:8,901億円
  • 基礎利益:5,467億円
  • ソルベンシー・マージン比率:937.9%

同社の前身となる旧安田財閥系の安田生命が1880年、旧三菱財閥系の明治生命が1881年に創業。2004年に両社が財閥の垣根を越えて合併し発足した相互会社。

その成り立ちから、旧安田財閥系のみずほフィナンシャルグループと、旧三菱財閥系の三菱UFJフィナンシャル・グループの両方に結び付きを持つため、両行において同社の保険商品が販売されている。

また、同社と同じく、三菱グループの東京海上火災と芙蓉グループの日動火災海上が合併してできた損害保険会社である東京海上とも業務提携をしており、2011年から東京海上の保険商品を同社でも取り扱っている。

主要販売チャネルは約3.2万人の生保レディ。

2018年3月期の保険料等収入は、明治安田生命本体では2兆7,194億円であったが、2015年に買収した米スタンコープ社の分も合わせると3兆243億円に達する。

基礎利益は、米スタンコープ社が好調であったことや、外国債券の利息・株式の配当金が伸びたことで、対前年+16%となる5,467億円となり、過去最高益を達成した。

保険料等収入や資産運用収益は、他社と比較して飛び抜けているわけではないが、基礎利益の水準は業界2位と、稼ぐ力の強い会社である。

No.4 住友生命

  • 保険料等収入:2兆5,086億円
  • 資産運用収益:7,587億円
  • 基礎利益:3,526億円
  • ソルベンシー・マージン比率:873.6%

住友グループに属する1907年創業の相互会社。

住友グループであることから、三井グループとの関係も強く、三井住友銀行・三井住友海上・三井生命と提携し、2002年には運用子会社5社の統合によって三井住友アセットマネジメント、2010年には三井生命との共同出資による生命保険子会社 メディケア生命を設立。2014年にはメディケア生命を完全子会社化し、2016年には、米シメトラ社を買収。

銀行や損保では三井グループとの合併が行われたものの、生保に関しては、ビジネスモデルが似ており、営業拠点も重なることから統合によるシナジー、メリットが少ないとされ、「三井住友生命」の誕生には至らなかった。2016年に三井生命が日本生命に買収されたことで、同社との合併は無くなった。

主要販売チャネルは約3.2万人の生保レディだが、三井住友銀行などの銀行を通じた銀行窓販や子会社である「ほけん百花」等の保険代理店を通じた商品販売に注力している。

2018年3月期の保険料等収入は、前年に好調であった貯蓄性商品販売の反動により対前年-24%の減少。明治安田生命本体で2兆5,086億円、メディケア生命が293億円、米シメトラ社が1,510億円のグループ合計2兆5,086億円。

基礎利益は、外国債券の積増しや国内株式の増配等による利息収入の増加のほか、事業費支出の減少等により、対前年4%の増加。

No.5 プルデンシャル生命

  • 保険料等収入:8,591億円
  • 資産運用収益:1,575億円
  • 基礎利益:373億円
  • ソルベンシー・マージン比率:817.4%

1987年にアメリカ最大級の金融グループであるプルデンシャル・ファイナンシャルの日本現地法人として創業。

主要チャネルは国内生保とは異なり、ライフプランナーという、異業種からのヘッドハンティングによって構成された部隊によるコンサルティング・セールス。

このライフプランナーの営業レベルは高く、卓越した生命保険営業スキルを持つ者しか加入できない国際組織Million Dollar Round Table (MDRT) の日本における会員数が20年連続で日本第1位と、他の生命保険会社を圧倒。

2018年3月期は、ライフプランナーによるコンサルティング・セールスが好調で、保険料等収入は対前年+7%、基礎利益は同+13%を達成。

No.6 メットライフ生命

  • 保険料等収入:1兆7,868億円
  • 資産運用収益:3,755億円
  • 基礎利益:1,324億円
  • ソルベンシー・マージン比率:883.6%

米国最大の生命保険会社であるメットライフの日本法人。

1954年にアメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー(以下、アリコ)の日本支社として創業。その後、アリコがメットライフの傘下になったことを受けて、2014年に「メットライフ生命」に改称。元々のアリコは日本国内での外資系生命保険会社第1号。

メットライフ生命は、約5,000名のコンサルタント社員、約1万店の保険代理店、テレビや新聞広告等による通信販売、100以上の金融機関を通じた販売という、アリコの販売チャネルをそのまま活用している。

2018年3月期は、販売の重点を外貨建ての死亡保障および年金商品、終身医療保険に移した戦略が着実に進展し、販売が順調に増加。これにより保険料等収入は対前年+7%の増加。また、基礎利益は、上記に加えメットライフのグローバルな規模を生かした資産運用力や、事業費の効率化に向けた取り組みが奏功し、対前年+20%の増加となった。

No.7 アクサダイレクト生命

  • 保険料等収入:43億円
  • 資産運用収益:-
  • 基礎利益:-31億円
  • ソルベンシー・マージン比率:1723.2

世界最大級の保険・資産運用グループである仏アクサの日本法人。

2008年に営業を開始した日本初のインターネット専業生命保険会社で、アクサ生命の100%子会社。自社に加え、アクサ生命とアクサ損害保険の保険商品をインターネットを通じて販売。先述の通り、インターネット販売の好調により保険料等収入は対前年+17%と大幅進展も、基礎利益は-13%の減益。

まとめ

最後に、2018年3月期の業績をまとめておく。

会社名 保険料等収入

(億円)

資産運用収益

(億円)

基礎利益

(億円)

ソルベンシー・マージン比率
日本生命 44,884 16,526 6,682 917.9%
第一生命 23,220 9,124 4,291 881.8%
明治安田 27,194 8,901 5,467 937.9%
住友生命 25,086 7,587 3,526 873.6%
プルデンシャル 8,591 1,575 373 817.4%
メットライフ 17,868 3,755 1,324 883.6%
アクサダイレクト 43 0 -31 1723.2%

2019年3月期の業績は不透明な市況環境が続くことや、円安などの利益押し上げ要因がなくなるとの判断から、各社とも減収や減益を見込む。

長期の保険契約と長期投資を基本とする生命保険会社は、マイナス金利政策による運用難の影響により、償還期限を迎えた債券の入れ替えなどの対応に追われる。

出資先への運用資産の委託などを通じて相乗効果を高めていくことも行われるだろうが、運用で安定的な収益を得るのには限界があり、各社は「保険を売る力」が問われることになると思われる。

また、長らく生命保険会社は、メガバンクや大手損保に比べて海外展開に慎重だったが、マイナス金利や国内市場の縮小に備え、国内外での出資や買収を進めており、今後もこの流れは変わらないだろう。

グループ全体で収益源を多角化し稼ぐ力を持続的に高める取り組みを各社とも行っていくことが予想される。