「ご説明申し上げます」意味・敬語・使い方・ビジネスメール例文

「ご説明申し上げます」は間違い敬語?二重敬語?

とご心配のあなたへ。

「ご説明申し上げます」は完璧に正しい敬語であり、ビジネスシーンではよく使われます。

その根拠については本文にて。

それでは、

「ご説明申し上げます」が正しい敬語である理由と、そもそもの意味、敬語の種類、ビジネスシーンでの使い方(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外取引先・目上・就活・転職)、メール例文を紹介します。

「ご説明申し上げます」の意味は「ご説明する」

「ご説明申し上げます」のそもそもの意味は「ご説明する」となります。

敬語にする前のもとになる語「説明」の意味を考えるとわかります。

辞書によると「説明」の意味はざっくり以下のとおり。

  • ある事柄が、よくわかるように述べること。
    【例】●●に代わりまして私からご説明申し上げます
    【例】その件につきましては私よりご説明申し上げます

ちなみに敬語「ご説明申し上げます」は自分が「説明する」ときにつかいます。

相手に「説明してもらう」としたいときには…

「ご説明いただく=説明してもらう」
「ご説明くださる=説明してくれる」

という敬語をつかいます。

「ご説明申し上げます」敬語の種類

「ご説明申し上げます」は二重敬語ではありませんし、間違い敬語でもありません。正しい敬語です。

その根拠についてくわしく解説していきます。

この項目は少しマニアックな敬語の解説になります。敬語について細かく学ぶ必要のないかたは読み飛ばしてください。

「ご説明申し上げます」の敬語

「ご説明申し上げます」を敬語としてみると以下のように成り立ちます。

▼敬語の解釈 ①

  1. もとになる単語「説明」
  2. 「言う」の謙譲語「お(ご)〜申す」で「ご説明申す」
  3. さらに謙りのフレーズ「上げる」で「ご説明申し上げる」
  4. さらに丁寧語「ます」で「ご説明申し上げます」

ここで使う「上げる」は(「申す」「存ずる」などに付いて)へりくだった意味を表す語。たとえば「お願い申し上げます」「存じ上げております」として使います。

あるいはもっと細かくすると以下のような敬語の解釈もできます。

▼敬語の解釈 ②

  1. もとになる単語「説明」に謙譲語「お・ご」で「ご説明」
  2. 「言う」の謙譲語「申す」で「ご説明申す」
  3. さらに謙りのフレーズ「上げる」で「ご説明申し上げる」
  4. さらに丁寧語「ます」で「ご説明申し上げます」

本来あるべきなのは解釈②なのですが…

ややこしくなるため「お(ご)〜申し上げる」のセットで謙譲語とし解釈①で考えたほうがシンプルでわかりやすくなります。

とにかく敬語としては全くおかしいところは見当たりません。間違い敬語でもなく二重敬語でもなく、正しい敬語です。

謙譲語「ご(お)〜申し上げる」の使い方

ちなみに謙譲語の「ご(お)〜申し上げる」はビジネスシーンで本当によく使われる敬語であり、覚えておくと必ず役に立ちます。

以下例文のように使いますのでご参考にどうぞ。

  • 例文「お願い申し上げる」
    ➡︎「お願い申し上げます」
  • 例文「お詫び申し上げる」
    ➡︎「お詫び申し上げます」
  • 例文「お礼申し上げる」
    ➡︎「お礼申し上げます」
  • 例文「感謝申し上げる」
    ➡︎「感謝申し上げます」

こんな感じでつかう敬語です。ちなみに丁寧語「ます」をくっつけて「ご(お)〜申し上げます」とするのが一般的。

補足①敬語の種類(ざっくり復習)

① 尊敬語とは?
相手をうやまって使う敬語の一種。
相手の行為にたいして使い、自分の行為には使わないことが基本。

敬語の種類はほかに②謙譲語、③丁寧語がある

② 謙譲語とは?
自分をへりくだって下にすることで、相手への敬意をあらわす敬語。
自分の行為に使い、相手の行為には使わないことが基本(例外あり)。

③ 丁寧語とは?
いわゆる「です・ます」口調のこと。

補足②謙譲語にも「お・ご+名詞」という使い方がある

ややこしいので基本的な敬語の使い方についてくわしく解説を。

じつは尊敬語と謙譲語にはどちらも「お・ご」の使い方があります。

謙譲語としての「お・ご」の使い方はたとえば、

「会議日程のご連絡
「忘年会開催のお知らせ
「販売状況のご報告
「転勤のご挨拶
「貴社ご訪問のお願い

こんな感じのフレーズがあります。よくビジネスメールの件名で目にする表現ですね。

ところが例文は自分が「ご連絡・お知らせ・ご報告・ご挨拶」するため「お・ご」をつかうのはおかしいと感じるかたもいらっしゃることでしょう。

これは、

謙譲語「お・ご」の使い方を知らないためにくる勘違いです。尊敬語の「お・ご」だと勘違いしているために間違い敬語と感じるのですが、実際にはどれも正しい敬語をつかっています。

いっぽうで尊敬語の「お・ご」は、「●●部長が戻りになりました」などのようにして、相手の行為をうやまって使う敬語です。

ただし謙譲語にも「お・ご」を使い始めると文章が「お・ご」だらけになって読みにくくなります。文章のバランスを考えて使い分けしましょう。

ややこしければ「お・ご〜申し上げる」セットで謙譲語と覚える

謙譲語の「お・ご」は尊敬語の「お・ご」と勘違いしやすい敬語です。

ややこしく感じる方は「お(ご)〜申し上げる」をセットで謙譲語と覚えておくとよいでしょう。

また謙譲語で使われる「お・ご」はパターンが限られます。ざっくりと以下の使い方をマスターしておけばビジネスシーンでは困らないでしょう。

  1. お・ご●●する
    お・ご●●します
  2. (お・ご)●●いたす
    (お・ご)●●いたします
  3. お・ご●●いただく
    お・ご●●いただきます
  4. (お・ご)●●させていただく
    (お・ご)●●させていただきます
    ※ただし「させていただく」は日本語としておかしい表現になる時もあり何でもかんでも使える訳ではない

●●の部分にイロイロな語がきて謙譲語になります。たとえば「了承」「連絡」「確認」「検討」「容赦」「査収」「取り計らい」「説明」など。

ここで(お・ご)と(  )書きにしているフレーズは「お・ご」があってもなくても敬語としては丁寧。

この謙譲語の「お・ご」を使いすぎると文章が「お・ご」ばかりになるため要注意。バランスを考えて使いましょう。

また丁寧語「ます」とくみあわせて「〜します」「〜いたします」とするのが丁寧な使い方ですのでご留意ください。 

「ご説明申し上げます」は二重敬語ではない

「ご説明申し上げます」は二重敬語だという意見があります。

「ご説明する」はすでに謙譲語であり、さらに「言う」の謙譲語「申し上げる」をつかって「ご説明申し上げる」としているから…

「ご説明=謙譲語」×「申し上げる=謙譲語」

「ご説明申し上げる」は「謙譲語 x 謙譲語」だから二重敬語??

このようなロジックで二重敬語だという意見がでてくるのかと。

ただし答えは「二重敬語ではない」です。

二重敬語とは「ひとつの語におなじ敬語を二回つかうこと」であり敬語のマナー違反です。

たとえば「お伺いいたします」「お伺いする」などが二重敬語の例。「行く」の謙譲語「伺う」をつかっているのに、さらに「お〜いたす」「お〜する」という謙譲語をつかっているためです。

説明+言う(する)それぞれに謙譲語を使っているから正しい

ところが、

「ご説明申し上げます」は「説明」+「言う(する)」という2つの単語から成り立ちます。「説明」+「言う(する)」にそれぞれ謙譲語を適用しているため、正しい敬語です。

したがって二重敬語ではありません。

よくよく考えてみると…

「ご説明申し上げます」が二重敬語になるのでしたら、ビジネスメールの結びで必ずといっていいほど使う「お願いいたします」も二重敬語になるはずですよね。

そもそも二重敬語とは?よくある間違い敬語

で先ほど、

よくある二重敬語のたとえとして「お伺いする」「お伺いいたす」があるとしました。

なぜ二重敬語といえるのか?これらのもとになる文章を考えてみましょう。

「伺う」は「行く・聞く・たずねる」の謙譲語ですので、これらが原文となります。

  • 「お伺いする」の元になる文章は「行く・聞く・たずねる」
  • 謙譲語「伺う」
  • さらに謙譲語「お~する」「お~いたす」

もとになる語「行く・聞く・たずねる」に謙譲語を2回つかっていますね。ひとつの語に同じ種類の敬語を2回つかうことが二重敬語であり、敬語のマナー違反になります。

➡︎「お伺いいたします」が間違い敬語である理由、正しい使い方

➡︎「お伺い致します/お伺いします/お伺いさせて頂きます」すべて間違い敬語!

ご説明申し上げます の使い方・例文

より実践的に敬語をまなぶために、ビジネスメールでの「ご説明申し上げます」の使い方を例文でおさらいしておきましょう。

ようは目上や上司・取引先に、あなたがなにかしら「説明します!」などと言いたいきに使います。

ちなみに「ご説明申し上げます」「ご説明いたします」のどちらを用いても丁寧です。

保険の営業メールでの「ご説明申し上げます」

▼「ご説明申し上げます」ビジネスメール例文

たとえば保険セールスの営業メール。返信メールで説明を追加するとき。

-ビジネスメール例文-

メール件名: 返信Re: お得な保険のご紹介(社名・名字)

ノマド 太郎 様

いつもお世話になっております。
早々にご連絡いただき誠にありがとうございます。

さて、料金プランに関しまして説明不足であったことを深くお詫び申し上げます。ご質問いただきました点につき、下記のとおりご説明申し上げます。

①スーパープランA:料金~
②スーパープランB:料金~
③スーパープランC:料金~

いずれも小額からはじめられ、将来の保証もバッチリ整っております。ぜひこの機会にご検討いただければと存じます。

ご不明な点がございましたら何なりとお申し付けください。

何卒よろしくお願い申し上げます。

******************
メール署名
******************

こんな感じでビジネスメールにつかうと丁寧です。

まぁようは「説明しますよ!!」と言いたいビジネスシーンであればたいていは使えますね。

社外取引先に説明するメールでの「ご説明申し上げます」

▼「ご説明申し上げます」ビジネスメール例文

たとえば社外取引先から問い合わせがあったときに、何かしらの説明をするビジネスメール。

-ビジネスメール例文-

メール件名:返信Re:団体保険に関するお問合せ

株式会社ビジネス
総務部 ●● 様

いつもお世話になっております。
(株)転職・ノマドでございます。

このたびはお問い合わせ頂き誠にありがとうございます。

さてお問い合わせの件、各プランの詳細につきまして下記のとおりご説明申し上げます。

大変お得な価格設定であることはもちろん、損害・生保・積立一体型など、ご家族の状況に応じてお選びできるプランとなっております。

①プランA~
②プランB~
③プランC~
④プランD~

なお、従業員の皆様にもわかりやすいよう、ご案内パンフレットを添付ファイルにて送付いたします。あわせてご確認いただければと存じます。

ご不明な点がございましたら何なりとお申し付けください。

ご査収のうえ、ご検討のほど何卒よろしくお願いいたします。

******************
メール署名
******************

こんな感じでビジネスメールにつかうと丁寧です。

まぁようは「説明しますよ!!」と言いたいビジネスシーンであればたいていは使えますね。

「ご説明いたします」でも十分に丁寧な敬語

じつは「ご説明申し上げます」という謙譲語は「ご説明いたします」としてもOK。

あるいは「ご説明」を使わず「説明いたします」だけでも丁寧です。

ちなみに「(ご)説明いたします」はもとになる単語「説明」に「する」の謙譲語「お(ご)〜いたす」をつかい丁寧語「ます」をくっつけた敬語。

上司・目上にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧な敬語です。

ただしビジネス文書など、よりカチッとした敬語が好まれるシーンでは「申し上げます」をよくつかいます。

「ご説明申し上げます vs ご説明いたします」の違い

さきほど「ご説明申し上げます」は「(ご)説明いたします」に言い換えできるという話をしました。

この2つは何が違うのでしょうか?念のため補足しておきます。

「申し上げます vs いたします」の違いは「言う vs する」

「~申し上げます」「~いたします」の違いは「いたす」と「申す」の敬語と意味を理解しておくと簡単にわかります。

  1. 「いたす」は「する」の謙譲語
  2. 「申す」は「言う」の謙譲語

つまり、動作を表す「する=いたす」なのか、言葉を発する「言う=申す」なのか、という違いになります。

「申し上げます」と「いたします」の敬語解説

先ほどはシンプルに「申す」と「致す」の違いを比較しましたが、念のため「申し上げます」「致します」の敬語についても解説しておきます。

「申し上げます」の敬語解説;

  1. 「言う」の謙譲語「申す」
  2. 敬意を添える補助動詞「上げる」
  3. 丁寧語「ます」

「いたします」の敬語解説;

  1. 「する」の謙譲語「いたす」
  2. 丁寧語「ます」

説明は「言う」なのか「する」なのか?

これまでの解説から「言う=申し上げます」「する=いたします」と敬語にできることがわかりました。

で、

説明は「言う」なのか「する」なのか?を考えればいいのですが…

正直なところ「どっちでもいい」つまり「どちらも使える」が結論です。

「申し上げます・いたします」どちらも使える敬語

ほかにも「申し上げます・いたします」どちらも使える敬語はいろいろあります。

以下に一例として紹介しておきます。

  • 例文「お願い申し上げます」
    ➡︎「お願いいたします」に言い換えできる
  • 例文「ご説明申し上げます」
    ➡︎「ご説明いたします」に言い換えできる
  • 例文「お知らせ申し上げます」
    ➡︎「お知らせいたします」に言い換えできる
  • 例文「連絡申し上げます」
    ➡︎「連絡いたします」に言い換えできる
  • 例文「ご挨拶申し上げます」
    ➡︎「ご挨拶いたします」に言い換えできる
  • 例文「感謝申し上げます」
    ➡︎「感謝いたします」に言い換えできる
「お願い致します」と漢字にしてもOK

“ご説明させていただきます”使い方は合ってるけど…

「(ご)説明させていただきます」という表現を使うビジネスパーソンをよく見かけます。

「〜させていただく」は「させてもらう」の謙譲語なので、敬語としては正しいです。

ちなみに「させてもらう」の意味は辞書によると「相手方の許しを求めて行動する意をこめ、相手への敬意を表す」

つまり、

許しが必要なときにつかう言葉です。

で、

「ご説明させてもらう」だと「ご説明するために相手からの許しを得たい」という感じのニュアンスになります。

ご説明するとき、相手からの許可って要る?

ビジネスシーンで上司・目上や取引先にご説明するとき、はたして相手からの許しが必要でしょうか?

答えは「Yes、場合によっては必要です」

ただまぁ「恐れ多くもご説明させてもらうよ」と解釈するのであれば正しいような気もします。

わたしは必要ないと思いますけど実際によく使われているのは事実。使うかどうかは、あなたの考えにお任せいたします。

これにて全ての疑問を解決しました。

参考記事

➡︎「お伺いいたします」が間違い敬語である理由、正しい使い方
➡︎「お伺い致します/お伺いします/お伺いさせて頂きます」すべて間違い敬語!
➡︎ 誤用の多い「させていただく」症候群には「いたします」が効く!
➡︎「ご連絡差し上げます」は間違い敬語?意味と正しい使いかた

「ご説明」のいろいろな使い方・敬語まとめ

ここまでは自分が「ご説明申し上げます=説明します」の使い方をみてきました。

では…

相手にたいして「説明してほしい」「説明してもらいありがとう」などと言いたいときにはどうしたらよいでしょうか?

あるいは…

謝罪・お詫びとして「説明が足りなくてすみません…」と言いたいときにはどうしたらよいでしょうか?

ということで…

ついでに「ご説明申し上げます」だけじゃない「ご説明」のいろいろな敬語フレーズを例文で紹介しておきます。

どの例文も上司・目上に限らず社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズにしています。ご参考にどうぞ。