目標管理シートの書き方と記入例25選 – 営業職用

目標管理シートの書き方について、記入例をもとに解説していく記事。

今回は②営業職用です。
①事務職用については別の記事にしていますので、こちら(「目標管理シートの書き方と記入例25選 – 事務職用」)をご参考にどうぞ。

まずは基本として
目標管理シートは文字どおり「目標をたて、その達成度を管理するための書類」です。これを作る目的は大きく5つあります。

◎なぜ目標管理シートを作成する?

  1. あなたが組織にどう貢献するのか?目標を「見える化」すること
  2. 目標に対していま自分はどこにいるのか?「見える化」すること
  3. あなたはどうスキルUPしていく?「個人能力開発の目標」
  4. 部下や後輩に対してどう指導していく?「マネジメントの目標」
  5. 実績はどうだったか?上司が部下の実績を「査定(評価)」しやすくすること

また、営業職の目標管理シートの書き方のコツは大きく3つあり、

◎営業職「目標管理シート」書き方のコツ:

  1. 目標を「数値化」すること
  2. 数字を達成するために、あなたは何をするのか?「行動目標」もいれること
  3. 今後の売上増のために、タネまき仕事をどれくらいするのか?「行動目標」をいれること

営業職はともすれば売上・利益の数字ばかりを追いかけがちですが、「数字を達成するためにあなたはどう行動するのか?」「今後のためにどういう行動をするのか?」という点も重要です。

そうでないと数字を達成できなかったときにマイナス評価になってしまいます(理由については本文中に記載)。

目標管理シートの書き方はこんな感じですので、この書き方に沿った内容であれば何でもいい、ということです(ただし書き方には押さえるべきコツがあります)。

それでは目標管理シートの記入例をみながら、書き方を解説していきましょう。

※実際に私や後輩、部下の営業職が書いた内容を含みます。

【営業職の記入例】目標管理シート

記入例は「大まかな目標 → 具体的な行動・数値」という順番に書きます。

また目標管理シートのフォーマットは、

  1. フォーマット「あなたが組織にどう貢献するか?目標設定」
  2. フォーマット「部下や後輩に何を伝えられる?マネジメント目標」
  3. フォーマット「仕事以外の部分であなたはどうスキルUPしていきたい?個人能力開発目標」

となっていることが理想的。これは通常、会社や上司から指定された書式があるのですが、もしフォーマットが与えられていなければ、①②③の順番で自作してください。比率は「①:②:③= 4:2:2」くらいが望ましいです。
フォーマットをテーブルにすると、こんな感じです。

◎「目標管理シート」のフォーマット:

項 目 目 標 難易度 評価
①年度計画の達成 1. 主要顧客でのシェア維持・拡大
【数量1,000t、売上1,000億円、粗利益300億円】
・顧客A:数量500t、売上100億円
・顧客B:数量500t、売上100億円
・顧客C:数量500t、売上100億円
3
②利益率の向上 2.
③新規顧客開拓 3.
④マーケティング 4.
⑤後輩指導・育成 5.
⑥能力開発目標 6.

【営業職・記入例】組織に貢献する目標設定5選

記入例1. 年度計画(予算)の達成
1. 主要顧客でのシェア維持、拡大
 【
数量1,000t、売上1,000億円、粗利益300億円
・三菱化学500t、売上100億円
・三井化学100t、売上50億円
・住友化学100t、売上50億円
・その他200t、売上200億円

icon-hand-o-up 【書き方のコツ】まずは販売ノルマ(販売計画)の達成を目標にする。数字と重要顧客だけをリストアップし、あとはその他とする。大きな目標は「計画の達成」でよく、副題として「シェア拡大」を挙げた。

記入例2. 見込み顧客へのアプローチ
2. 新規顧客獲得:60件/年
・テレアポ:200件/月(通年)
・見込み顧客訪問:50件/月(通年)

icon-hand-o-up 【書き方のコツ】目標はかならず数値化し、それを達成するための「行動目標」も書く

記入例3. 収益性の向上
3. 利益率の高い値品の販売比率を増やす
・商品Aの拡販(売上10億円/年)
・商品Bの拡販(売上5億円/年)
・その他(売上1億円/年)

icon-hand-o-up 【書き方のコツ】目標はかならず数値化する。これは計画に織り込まれている数字でなくても構わない。

記入例4. 新規商品Aの拡販
4. 新規商品Aの売上目標:16億円/年
・顧客Aでの早期実績化(新規売上目標10億円/年)
・顧客Bでの早期実績化(新規売上目標5億円/年)
・その他(新規売上目標1億円/年)

記入例5. 値上げの実施
5. 6月出荷分より+10,000円/tの値上げ実施
▼値上げ効果金額:1億円/年
・三菱化学、+50百万円/年
・三井化学、+20百万円/年
・住友化学、+20百万円/年
・その他、+10百万円/年

icon-hand-o-up 【書き方のコツ】どんな目標であれ、むりやりにでも数値化する。そうしないと上司が達成度の判断をできない。どうしても数値化できないような目標であれば、目標期日(例:5月末まで)を書く。

記入例6. 新規用途の開発提案
5. 1件/年の開発案件提案をする
・農業分野への適用検討にむけ顧客ニーズ調査(四半期毎に進捗レポート提出)
・農薬市場のマーケットマップ作成(四半期毎に進捗レポート提出)
・電気自動車部材への適用検討にむけニーズ調査(四半期毎に進捗レポート提出)

icon-hand-o-up 【書き方のコツ】ところで営業職は、既存の商品を売るだけが仕事ではなく「マーケティング機能」も兼ね備えていることが必須。そこで、何かしらのマーケティング案件を入れておくとよいでしょう。もちろん、目標はできるだけ数値化・定量化する。

【営業職・記入例】部下・後輩の育成目標5選

マネージャーかそうでないかで書く内容の質に違いがあります。

単なる「先輩 → 後輩指導」であれば、内容は薄いものでよく、「上司 → 部下指導」であれば、部下のキャリア形成に関する内容までを求められます。あなたの役職に合いそうなものを選択してください。

とくにマネージャークラスになると部下・後輩育成は別紙で「人事育成計画書」の提出をもとめられます。

記入例1. ビジネスマナー指導
・電話対応、メールマナー等、社会人として必要な基礎の指導(気づいた際に指導する)。
・ビジネス敬語の使い方について3ヶ月毎にレクチャーする。
・後輩を営業先に同行させ、交渉スキルを指導する(1顧客/月)。

記入例2. 後輩(部下)のPDCA管理
・PDCAリストの提出を毎月義務づけ、社会人の基礎を指導する(毎月月末)。
・報連相するべきことを整理し、PDCAリストに紐付けする(毎月月末)。

記入例3. 月報・レポート関連のチェック
・後輩の各レポートについて、内容をチェックし添削する(毎回)。

記入例4. 業務に必要な基礎知識の教育
・業務に必要となる商品知識、商品プレゼンのやり方につき教育する(毎月月末)。

記入例5. コミュニケーション能力開発
・後輩に、社会人として必要なコミュニケーション術を指導する(通年)。

icon-hand-o-up 【書き方のコツ①】ここでは決められた期間(1年ないしは半年)で、どのようにあなたが後輩指導できるか?を問われている。したがって、短期間で指導できる程度の内容にとどめておく。

icon-hand-o-up 【書き方のコツ②】これまでは「数値化」を強くおすすめしたが、ここではあまり必要ない。数値化できるのであれば数値化すればいい、という程度。ただし具体性は必要。

【営業職・記入例】個人スキルUPにむけた目標15選

【記入例】資格系の能力開発目標

能力開発1. 英語力の向上
・スカイプ英会話を受講する(目標:1時間/週1回)

能力開発2. TOEICスコア 800点 → 900点
・英会話スクール通学(目標:週2回)

能力開発3. 資格取得(MOS)
・通信講座を受講し年度末までの資格取得を目指す。

能力開発4. 資格取得(秘書検定1級)
・通信講座を受講し年度末までの資格取得を目指す。

能力開発5. 資格取得(簿記3級)
・通信講座を受講し年度末までの資格取得を目指す。

能力開発6. 資格取得(フィナンシャルプランナー)
・通信講座を受講し年度末までの資格取得を目指す。

icon-hand-o-up 【書き方のコツ①】もっともポピュラーな能力開発目標は資格系。このとき、今の業務にまったく役に立たない資格でもよい(上司によるが…)。ただしビジネスに関連する資格であること。プロゴルファー試験に通る、とかではダメ。

icon-hand-o-up 【書き方のコツ②】資格系はできるだけ簡単に達成できるものに設定すること。自分で自分のクビをしめるようなことはしない(意識高い人は実力以上の目標でも構わない)。

icon-hand-o-up 【書き方のコツ③】あくまで個人としてのキャリア形成のため、あなたはどうスキルUPをしますか?という目標を書く。一般的に、ビジネスに役立つことならなんでもよいでもよい(上司によるが…)。

【記入例】読書系の能力開発目標

能力開発7. マーケティングの基礎習得
・マーケティング本「脳科学マーケティング100の心理技術」「ハイパワーマーケティング」を読破し、マーケティングの基礎を身につける

能力開発8. セフルマネジメント方法の確立と実践
・セルフマネジメントに関する本を数冊読破し、自分に合う方法を見つけた上で実践する(前半6ヶ月:選定期間、後半6ヶ月:実践期間)。

能力開発9. マネジメントの基礎習得
・マネジメントに関する本を読破し、基礎を習得する(目標:1冊/月)。

能力開発10. 交渉スキルの向上
・交渉スキル本を読むことを習慣化し、自身のスキルアップに繋げる(目標:12冊/年)。

icon-hand-o-up 【書き方のコツ①】続いて、労力もかからずにそれっぽくなるのが読書系の目標。めんどくさがりなあなたに、最もおすすめ。通勤時間に本を読むだけで完了するし、私のようなおっさんにウケもよい。

icon-hand-o-up 【書き方のコツ②】読書のコツは「習得したいテーマ」をできる限り絞ること。そして、今の仕事にまったく関係なくてもよい(ただし上司による)。

icon-hand-o-up 【書き方のコツ③】他のテーマには「経営」「チームワーク」「組織論」「効果的なプレゼン技術」「ロジカルシンキング」「コミュニケーション」「営業力」とか色々とある。

【記入例】研修系の能力開発目標

能力開発11:ロジカルシンキングの基礎習得
・ロジカルシンキング研修に参加し基礎を習得する(研修1回/半期)

能力開発12:プレゼンテーションの基礎習得
・プレゼンテーション研修に参加し基礎を習得する(研修1回/半期)

能力開発13:PDCAの基礎習得
・仕事の進め方研修に参加し、PDCA強化を学ぶ(研修1回/半期)

能力開発14:タイムマネジメントの基礎習得
・タイムマネジメント研修に参加し、時間管理を学ぶ(研修1回/半期)

能力開発15:ビジネスマナーの基礎習得
・ビジネスマナー研修に参加し、基礎を学ぶ(研修1回/半期)

icon-hand-o-up 【書き方のコツ①】続いてお金はかかるものの、それっぽくなるのが研修系の目標(うまく上司に頼めば、お金は会社から出してもらえる)。めんどくさがりなあなたには、おすすめできない。なぜなら、本で済ませることもできるから。効率を重視するのであれば「読書系」がおすすめ。

icon-hand-o-up 【書き方のコツ②】研修系のコツは「大変そうな研修を選ばない」こと。毎週あるような研修を受けてしまうと、遅かれ早かれ生活が破綻してしまう。半年に一回、3ヶ月に一回くらいの研修ペースが理想的。

icon-hand-o-up 【書き方のコツ③】大前研一氏の「ビジネスブレイクスルー」のように、宿題地獄・論文地獄の研修もうけるべきではない(意識高い系の人はうけてもよい)。

【記入例】目標管理シートの完成版

項 目 目 標 難易度 評価
①年度計画の達成 1. 既存顧客の売上維持・拡大
【売上10億円、粗利益3億円】
・顧客A:売上1億円
・顧客B:売上1億円
・顧客C:売上1億円
4
②新規開拓 2. 新規顧客獲得:60件/年
・テレアポ:200件/月(通年)
・見込み顧客訪問:50件/月(通年)
5
③新商品拡販 3. 新規商品Aの売上目標:1億円/年
・顧客Aでの実績化(売上50百万円/年)
・顧客Bでの実績化(売上50百万円/年)
・その他(売上90百万円/年)
4
④マーケティング 4. 顧客ニーズの調査
(レポート提出/年度末)
・アンケート作成および集計
・ニーズを基に新商品提案(10件/年)
3
⑤後輩指導 5. 後輩(部下)のPDCA管理
・PDCAリストの提出を毎月義務づけ、社会人の基礎を指導する(毎月月末)。
・報連相するべきことを整理し、PDCAリストに紐付けする
(毎月月末)。
3
⑥能力開発 6.1. TOEICスコア 800点 → 900点
・英会話スクール通学(目標:週2回)
6.2. 交渉スキルの向上
・交渉スキル本を読むことを習慣化し、自身のスキルアップに繋げる(目標:12冊/年)
3

【目標管理シートの書き方】「①数値化」「②実現可能な目標」

目標管理シートにおける書き方のポイントは2つだけです。

一つは、目標を必ず「数値化」すること。

二つめは、実現可能な目標を立てること。

こんな簡単なことなのに実はできてない人が多いです(自分のことは棚に上げます)。私のアシスタント(事務職)もそうですし、部下もそう。

とくに新入社員はひどい。最初に目標管理シートを書かせると、かならずと言っていいほど「具体性がまるでないじゃないか!」となるのです…。

そういう私も新人のときはそうでした…。誰もが通る道なのですよね。先輩に叱られながら身につく技術ですので、最初から完璧である必要はありません。

なぜ書き方はこの2点を押さえるべきなのか?解説していきましょう。

【目標管理シートの書き方】なぜ数値化が必要?

数値化が必要な理由は、上司が目標管理シートの達成度をチェックするために必要だから。あなたがより公正な評価を得るために必要なことです。数字をぼかしてしまうと、高い評価は決してつきません。

評価する側である上司の気持ちになって考えましょう。

たとえば以下2つの記入例をみてあなたなら、どちらが評価しやすいでしょうか?

◎数値のある記入例と、そうでない例の比較:

記入例①「目標:夏の選抜甲子園に出場する」
・行動目標:地区予選で毎試合、1本以上の安打を打つ

記入例②「目標:野球に打ち込む」
・行動目標:試合に勝てるようにベストを尽くす

数値がないと評価のつけようがない

記入例①は具体的かつ、明確に数値化した行動目標があります。これは誰が評価しても、ほとんど同じ結果になると思います。

「甲子園に出場できた、プラス評価。でも行動目標である毎試合安打が達成できてなかったからマイナス評価。総合したらややプラスの評価」

私ならこのように採点します。

※ただし通常はこれに目標の難易度を考えて評価します

ところが記入例②は、人の感じ方によっていろいろな評価のつけ方が存在します。

仮に甲子園に出場できたとしても、厳しい監督であれば「チームに貢献できてない」と判断されてマイナスの評価になることもあり得ます。でも数字がないので、このような評価であっても文句は言えません。誰も公正な評価がつけられないのです。

「まぁ、それなりに頑張ってくれたかなぁ…じゃあ平均くらいの評価でいいだろ」

私ならこのように評価します。

ところが評価される側としては、

「オレは全力でがんばって、チームも甲子園出場を果たした。なのに、なんで平均の評価なんだよ!!」とふてくされてしまいます。

目標があいまいだと、こうなってしまうのですよね…。ですからあなたは、ちゃんと全ての目標に対して数値化しましょう。数値化できない目標であれば極限まで具体化して、上司が評価しやすいようにします。

【目標管理シートの書き方】なぜ実現可能な目標が必要?

いろんな部下や同僚、後輩の目標管理シートをみていると、

できないことが分かっている目標設定をしてくる人がいます。万年地区予選敗退チームが「甲子園で優勝する!!」みたいな目標を立ててくるのです。

これって高校生なら「夢があっていいな!」で済まされますが、目標管理シートの書き方としては失格です。

なぜなら、実現不可能な目標設定をしたら評価ゼロ点になってしまうから(私はさすがにゼロ点にはせず、何かしら評価できるポイントを探しますが…)。

あなたの給料が下がる要因になります。

目標は「あなたの実力を見きわめ、それなりにやれば実現可能となる」くらいのレベルで十分。意識高い系の人は、目標設定を見誤って損します。

営業職は数字がすべて?とは限らない

営業職は「数字がすべて」の世界だと勘違いされている方も多くいます。

たしかに保険のセールスとか、銀行のセールスとか、証券会社のセールスとか、個人向けの営業職であれば「数字がすべて」となるでしょう。

しかし営業職には、メーカー営業のように「法人むけ」のセールスだってあるのです。法人むけの営業はあまり変化のない世界であり、数字を達成するのは当然(なぜなら販売計画は現実的な予算をくんでいるから)と考えられます。

したがって評価のポイントはもっと別のところになりがち。

それが「今後の商売へのタネまき作業をどれだけしたか?」「どんな新しいアイディアを出して、どう行動したか」という点。私は数字よりも、どちらかというとこの点を重視して評価します。

新規顧客へのアプローチ、開発アイディア、新規マーケット調査などなど、やれることはいくらでもあります。数字ばかりにこだわっている方は、ぜひトライしてみてください。

◎参考となる記事:

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