【2019年版】トイレタリー用品メーカー売上ランキング

2019年版トイレタリーメーカーの売上ランキング国内版。

2019年3月期あるいは同等の決算報告書から最新の売上ランキングを紹介。就職・転職のご参考にどうぞ。

なお世界ランキングTOP10も最後にまとめています。

トイレタリー (英:toiletry)とは日用品の一ジャンルであり、オムツ、生理用品、洗剤、消臭剤、医薬部外品など色々ふくまれる。

なおトイレタリーというとトイレを連想するため「パーソナルケア」や「ビューティーケア」「ヘルスケア」という言葉を用いることも多い。

とにかく本ランキングではオムツ、シャンプ、歯磨き、洗剤、生理用品といった製品をあつかう企業を取り上げる。

1位 花王 売上1.5兆円 前年比+1.2%

花王は洗剤、ヘアケア、スキンケア、サニタリー用品、オーラルケアなど全方位で展開するトイレタリーメーカー。

また化粧品などもあつかい、さらには化学品も手がけているため、化粧品メーカーや化学メーカーとも言える。

主要なセグメントおよびブランドは以下のとおり。

  • 化粧品
    ソフィーナ、キュルレ、KATE、プリマヴィスタなどの化粧品を展開する事業。2006年には化粧品メーカーとして当時国内No.3だったカネボウ化粧品を買収し、資生堂に次ぐ国内2位の座をより強固なものにした。
  • スキンケア・ヘアケア
    ビオレ、メリット、ケープ、リーゼなどのスキンケア・ヘアケア商品を展開する事業。ほかに日焼け止めなどあり。
  • ヒューマンヘルスケア
    「メリーズ」を始めとした紙おむつ、大人用おむつ「リリーフ」、生理用品「ロリア」、歯磨き粉「クリアクリーン」、健康飲料「ヘルシア」などの製品をあつかう事業。
  • ファブリック&ホームケア
    洗剤「アタック」、柔軟剤「ハミング」、漂白剤「ハイター」をあつかっている事業。その他にはリセッシュ、クイックルワイパー、マジックリンなどもある。
  • ケミカル
    花王は消費財メーカーとの認識が強いが、界面活性剤などを手がける化学メーカーでもある。彼らのトイレタリー製品の原料となっているほか、社外販売もしている。

というように化粧品〜洗剤〜化学品まで幅広い。

近年の業績はまさに絶好調

過去にはリーマンショックによる一時的な凹みはあったものの、その後は2009年度から10年連続で増収増益を達成

2018年度は過去最高益を更新した。営業利益率もコンスタントに10%を超えており収益性も悪くない。

紙おむつは観光客需要や越境EC (国をまたいだ通販取引)の伸びが鈍化し売上減となったが国内は堅調。

さらに近年、もっとも力を入れている化粧品事業において旧カネボウとのブランドの統合や、そもそものブランディング見直しを進めて成長軌道に乗っている。

▼ 【参考】花王の売上・営業利益推移 (2014年~2019年12月期)

*出所:花王 IR資料

またそれぞれ事業の売上・利益構成は以下のとおり。

▼ 花王のセグメント別売上・利益 (2019年12月期)

*出所:花王 IR資料

なお今後の戦略としては。

同社の2020年度までの中期経営計画によると、

  • 売上拡大と収益性改善を両立。営業利益率15%を目指す。
  • メリーズ、アタック、ビオレについてはそれぞれのブランドごとに売上高1,000億円を目指す。
  • 海外売上高比率35%とユニ・チャームなどと比較して低いため2030年までに海外売上高比率を4割まで引き上げる。とくに中国・東南アジアがポテンシャルの高い重点市場となる。2017年には米国の業務用ヘアケアOribeHairCare(オリベヘアケア)を買収するなど

などが挙げられている。

ぜひとも継続して頑張ってほしい。

平均年収821万円 (平均40.8歳)。

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2位 ユニ・チャーム 売上6,880億円 +7.3%

生理用品、乳幼児・大人用紙おむつ国内トップメーカー。

とくにユニ・チャームはオムツや生理用品といったサニタリー用品に強みをもち、全社売上の9割近くをしめる。

また同社HPによるとカテゴリ別の市場シェアでは、

  • ベビーケア (子供用おむつ) で世界3位、アジア1位
  • フェミニンケア (生理用品) で世界3位、アジア1位
  • ヘルスケア (大人用おむつ) 世界2位、アジア1位

サニタリー用品において国内外で高い市場シェアを持っている。

主要ブランドに子供用おむつ「ムーニー」、生理用品「ソフィ」、大人用おむつ「ライフリー」など。

また同社は海外展開を積極的に進め、海外売上高比率は6割弱 (2018年度)。とくに中国・アジアが4割超と高い。

海外展開では花王よりも先行していると言える

創業よりおおむね右肩上がりで売上成長を遂げており、2018年度は過去最高売上・最高利益を更新するなど好調である。

また近年は営業利益率もコンスタントに10%を超えており収益性の面でも良好。

国内の子供用紙おむつは花王とおなじく越境EC (国を越えた通販) の売上が停滞するも、尿漏れ製品が伸び、また中国での生理用品好調もあって増収増益となった。

▼【参考】ユニ・チャームの売上成長~2018年度

*出所:ユニ・チャーム IR資料

しかし海外市場においてはライバルも強く決して安泰とは言えない

国内は花王とP&Gだけがライバルであるが、世界市場はグローバル大手だけでなくローカル企業との競争も激しい。

そんななか、ローカルでのブランディングおよび差別化製品の投入を継続していくことが成長につながると思われる。

なお同社は海外展開のためM&Aにも積極的で、近年の代表的な案件には以下のものがある。

  • 2011年:ベトナムの乳幼児用紙おむつ大手DianaJointStock(ダイアナ)買収
  • 2013年:ミャンマーのサニタリー用品大手MyanmarCareProducts(ミャンマーケアプロダクツ)買収
  • 2018年:タイのおむつ大手DSG(Cayman)(DSGケイマン)買収

今後は中国向けのフェミニンケア商品の強化や、買収したDSGケイマンを核とした東南アジア市場の拡大を行い「2020年度までに売上高8,000億円を目指す」としている。

3位 ライオン 売上3,490億円 +2.0%

歯ブラシで国内首位、トイレタリー国内3位。

主要ブランドにはオーラルケア「クリニカ」「システマ」、洗剤「トップ」、ボディケア「キレイキレイ」「ハダカラ」などがある。

また「バファリン」等の一般用医薬品や油脂活性剤をはじめとする化学品原料も手掛けている。

競合するほとんどの商品シェアは花王に次ぐ第2位であるが、創業品目の歯磨きは現在でもトップシェアを誇る

そのため花王の劣化版との認識が拭えない。

業績は、国内事業がここ10年ほどほぼ横ばい。いっぽうで海外事業は中国事業の成長とM&Aによって付け足した会社の売上がくわり倍増 (2011年度比)。

結果として全社売上では伸びている。海外売上比率は3割弱 (2018年度実績)。

ただ足元では中国での販売に陰りが見えており、これ以上の急拡大は現状難しい。

オーラルケア以外の分野ではライバル企業が強すぎて維持していくのがやっとだと思われる

▼【参考】過去の売上推移

*出所:ライオン IR資料

2017年度から会計方針をIFRSに変更したため売上が減少しているように見えるが実際にはそうではない。

売上とは何か?という定義の仕方が日本式とIFRSで違うためである (長くなるので詳細は割愛)。

▼【参考】営業利益・利益率の推移。こちらも2017年度以前と以降を単純にくらべることはできない。なぜなら営業利益の定義がIFRSと日本式では異なるから。

なお2020年度までの中期経営計画によると最終年度までに「売上高4,000億円、営業利益率10%」を目指すとしている。

今後の重点施策としては、

  • オーラルヘルスケア分野の拡大
  • 2018年度からの3年間でM&Aや設備投資などに1,000億円規模の投資を行う。

などが挙げられる。

年収708万円 (平均43.4歳)

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4位 エステー 売上480億円▲1.7%

防虫剤・消臭剤などを手がける日用品メーカー。広義の意味でトイレタリー分野にはいるためランキングに入れておいた。

ニッチ分野において高いシェアを持ち、同社報告資料によると以下の商品カテゴリーで高シェアとなっている。

  • 防虫剤: シェア55%、国内1位
  • 消臭芳香剤: 25%、2位
  • 使い捨てカイロ: 21%、2位
  • 家庭用手袋: 24%、2位
  • 除湿剤: 40%、1位
  • 脱臭剤: 82%、1位
  • 食品用防虫剤: 84%、1位

主力ブランドには防虫剤「ムシューダ」、消臭剤「消臭力」「消臭ポット」などがある。

ただ、いかんせんどの商品もニッチ分野すぎて市場規模が小さい。したがい、それらをかき集めても売上500億円程度にしかならない。

近年の売上は横ばいだが、高単価製品 (高付加価値製品) の販売が好調で利益率は改善傾向にある。

▼【参考】エステーの売上・利益推移

*出所:エステー HPより

今後はホテル向け「エアケア」を成長領域と位置づけ、詰め替え用消臭剤を発売開始。高級ホテルからの引き合いが多く出足好調となっている。

また介護用消臭剤「エールズ」の立ち上げなど高齢化社会への対応も進めている。

中長期では「消臭力」「ムシューダ」に次ぐ看板新製品の育成が急務。

平均年収665万円 (平均42.5歳)

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(非上場) P&Gジャパン:日本での売上不明

日用品およびトイレタリー世界大手の米P&Gの日本法人 (非上場)。

全世界での売上は7.4兆円 (2018年度実績)。J&Jにつぐ世界No.2。

日本法人の売上は公表されていないが、おそらく3,000億円程度だと思われる (完全に筆者の推測)

公表するレベルにないほど、どうでも良い市場ということか?

あるいは国内No.1の花王に負けを認めるようで悔しいのかもしれない。

話は逸れたが…

日本では家庭用洗剤「ジョイ」、紙おむつ「パンパース」、洗剤「アリエール」、消臭剤「ファブリーズ」などのブランドで消費者にもお馴染みの企業である。

が、日本での展開は決して成功しているとは言えず、トイレタリー全体で花王の足元にもおよんでいない。

またカテゴリー別のマーケットシェアでは、

  • オーラルケアではNo.1のライオンに劣り、
  • 紙おむつ・生理用品でNo.1ユニ・チャームに劣っている。

そんなこんなで「P&Gのブランドとマーケは世界最高峰、ただし日本を除いては…」と裏ではささやかれている。

ところがさらに都合の悪いことに…

実際のところP&Gが強いのは北米&EUだけで、アジア圏全体においてマーケティングが機能しているとは言えない

さらにさらに。

かつての日本法人はアジア統括拠点としての機能ももっていたが、日本市場で思うように成果をあげられなかったことなど色々あって2009年にシンガポールへ移管された。

したがい彼らは「日本市場で成功できなかった数多くの外資系企業のひとつ」との位置づけに過ぎない。

なおP&Gはなぜか知らないけど「マーケティングの最高峰」と言われているが、実際には彼らのマーケはアジアでは通用していない。

トイレタリー世界ランキングTOP10

あとは目安として世界のトイレタリー、売上TOP10企業をまとめておく。日系企業は花王がかろうじて9位にランクインする。

*トイレタリーの定義は曖昧であるため必ずしも正確ではない。

*為替はそれぞれ企業の決算期における期中平均レートを使用。

  1. 🇺🇸 Johnson & Johnson 売上9.0兆円 前年比+6.7%
    純利益1兆7,690億円
  2. 🇺🇸 Procter & Gamble 7.4兆円 +2.7%
    純利益1兆470億円
  3. 🇬🇧/🇳🇱 Unilever 6.6兆円 ▲5.1%
    純利益1兆2,240億円
  4. 🇫🇷 L’Oreal 3.5兆円 +3.5%
    純利益5,080億円
  5. 🇩🇪 Henkel AG & Co KGaA 2.5兆円 ▲0.6%
    純利益3,010億円
  6. 🇺🇸 Kimberly-Clark 2.0兆円 +0.8%
    純利益1560億円
  7. 🇬🇧 Reckitt Benckiser Group 1.9兆円 +10.0%
    純利益3,190億円
  8. 🇺🇸 Colgate-Palmolive 1.7兆円 +0.6%
    純利益2,650億円
  9. 🇯🇵 花王 1.5兆円 +1.2%
    純利益1,540億円
  10. 🇸🇪 Essity AB 1.5兆円 +8.5%
    純利益1,000億円

参考記事