【2019年版】たばこ業界の国内市場シェアと現状、今後の動向

最新2019年版たばこ業界の国内市場シェア、過去〜現状、JTの概要、今後の動向について。

JTの社員と話せるくらいのレベルまで持っていくための記事です。就活・転職・投資のご参考にどうぞ。

たばこ業界の現状

まずはたばこ業界の現状について整理していく。

1. たばこ国内市場規模とシェア

*出所:日本たばこ協会

2018年の国内市場規模は本数ベースで130億本、売上金額ベースで2.9兆円

そのうち日本たばこ産業(JT)が本数ベースで約62%のシェアを占め国内No.1。

国内のたばこ会社はJTのみなので、残り38%のシェアは外資系メーカーの日本法人が占めているということになる。

外資にはマルボロなどで知られる 🇺🇸フィリップ モリス、KENTやラッキーストライクなどで知られる 🇬🇧ブリティッシュ・アメリカン・タバコなどが日本法人をもち輸入販売している。

日本国内におけるたばこの数量シェアをまとめるとザックリ以下のとおり。

  • 1位 JT・・62%
    → 国内ではメビウス、セブンスターなどが主力 *2018年末
  • 2位 フィリップ モリス・・32%
    → 日本ではマルボロが主力 *2017年末
  • 3位 ブリティッシュ アメリカン タバコ・・13%
    → 日本ではKENTが主力 *2018年末

(各社のHP上にある自己申告データを利用したため合計100%を超えているが…ご容赦を)

ブランド別ではJT製のメビウス(旧・マイルドセブン)が30%超を占めトップシェアとなっている。単純計算で喫煙者のおおよそ3人に1人がメビウスを吸っているということになる。

なおJTはもともと日本専売公社が起源。当時は国内のタバコを独占販売する権利を持っていた。輸入タバコもJT製のタバコもすべて扱っていたのでマーケットシェアは100%だった。

その後、ご存知のとおり日本専売公社は解体されてJTが発足。輸入タバコは製造メーカーが扱うようになり今にいたる。

2. たばこ銘柄別シェア (2018年度実績)

つづいて、たばこの銘柄別の国内シェアも整理しておく。

ブランド別ではメビウスが市場シェアの30%超をもつ一大ブランドとなっているが、銘柄別には異なる傾向となる。

▼下表のようにJTブランドのたばこがシェア1位〜11位までを独占し、12位のKENTになってようやく海外ブランドがランクインしていることが分かる。

3. 国内たばこ需要は減少の一途をたどっている

つづいて国内たばこ需要について。

上のグラフに示したとおり、売上金額・本数のどちらも需要が減退していることが見てとれる。数量の凹みほど金額が落ちていないのは増税および採算是正の値上げによるものである。

需要が減退の一途をたどっている理由はおもに以下5つ。

  1. 増税および値上
  2. 健康志向によるタバコ離れ
  3. 吸える場所が無くなってきている
  4. 電子タバコの登場によるシェア移動
  5. 嫌煙意識の高まり

このうち最も大きな影響が値上および増税である。

タバコ増税&採算是正の値上&消費増税などもあって1985年には1箱200円だったメビウスが、2019年現在では480円となっている。

過去30年で2倍以上もの値上が実施されたことになる。こうなるとユーザーも流石に禁煙するなり本数を減らすなりを考える。

また直近では電子タバコや加熱式タバコへのシェア移動も無視できない。

IQOSなどが本格的に浸透してきた2017年には前年比▲13.4%、2018年は前年比▲10.7%と、減少に歯止めがきかない状況である。ただしシェア移動しているだけでIQOSなども含めた「包括的なタバコ需要」という意味ではそれほど酷くないのかもしれないが…。

ということで。

これら色々なことが重なり、たばこの国内需要は1998年には3,370億本あったのだが、2018年には1,300億本と半分以下になった

また過去20年で前年の販売本数を上まわったのは2013年度と2014年度の2年だけである。

※本レポートでは電子・加熱式タバコは除外している

4. 喫煙率は低位安定だが長期的には減少トレンド

あとはもうひとつ、たばこ業界の現状を知る上で重要なデータを。

喫煙する人の割合がどれくらいか、という喫煙率を男女ごとに下グラスにしめす。

グラフから見てとれるように2018年度の喫煙率は男性28%、女性9%と直近では下げ止まっている。ただ長期的にみると今後、喫煙者が減る方向であることは間違いないだろう。

5.  JTが国内唯一のたばこメーカー、あとは輸入タバコ

冒頭で少し触れたが国内ではJTが唯一のたばこメーカーとなっている。

たばこ業界は世界的にさまざまな規制があり、日本でも「たばこ事業法」によりビジネスの全工程で財務大臣の認可を要する。

なお。

かつて日本ではJTの全身である「日本専売公社」によって塩・たばこの専売制度がとられていた。しかし海外メーカーからの市場開放要請や経営効率化の必要性を背景に1985年に民間企業としてJTが設立され、日本専売公社のたばこ事業を継承。

市場開放後もJTが単独でたばこ製造を担うため様々な規制が設定されており、たとえば以下のような市場規制がある。

  • たばこの原料である葉たばこの耕作面積や買付け価格について、JTは葉たばこ審議会の承認を得た上で、あらかじめ農家と契約し、その全量について買取り義務を負う。
  • たばこの設定価格は財務大臣の認可を要する。
  • 小売事業者は規定された価格以外での販売をすることはできない。
  • 日本たばこ産業(JT)のみが製造可能な企業として規定されている。

ようは国に守られた産業であると言える。

たばこ業界の今後の動向

つづいてタバコ業界の今後の動向についてザックリまとめておく。

1. 加熱式タバコ・電子タバコなどの普及が進む

嫌煙意識の高まりによって、煙がでない加熱式タバコや電子タバコの普及が進んでいる。

2019年現在、主要なブランドとしては以下がある。

  • IQOS(アイコス)
    発売元 🇺🇸PhilipMorris(フィリップモリス)
    2015年度に発売された加熱式タバコ、現在シェアNo.1
  • glo(グロー)
    発売元 🇬🇧BritishAmericanTobacco(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)
  • PloomTECH(プルームテック)
    JTが2016年度に発売し、2019年7月にはバージョンアップ版も発売されている。現在シェアNo.3と推測。アイコスを猛追。

なお厳密には電子タバコと加熱式たばこの間には違いがある。

まとめておくとこんな感じ。

  • 紙巻たばこ:燃焼した葉タバコから出る蒸気を吸引する
  • 加熱式たばこ:加熱した葉たばこから出る蒸気を吸引する
  • 電子たばこ:葉たばこを用いずに、電気加熱した液体の蒸気を吸引する

2. さらなる増税による需要減

たばこは健康被害があるのは周知の事実。

したがって政府は増税によって禁煙する人を増やしたい考えで、今後も増税の流れはつづく。このトレンドは日本に限らずどの先進国においても同じである。

今後2018年度から2021年度まで3回に分けて、1本あたり合計3円の増税が予定されている。1箱20本入りのタバコがほとんどなので、1箱あたり60円の増税ということになる。

なお。

▼ 念のためこれまでの増税と値上げの歴史を振り返っておこう (メビウスの例)。

  • 1985/04, 1箱200円 税負担5.7円/本
  • 1986/05, 220円 6.6円/本
  • 1989/04, 220円 6.6円/本
  • 1997/04, 230円 6.8円/本
  • 1998/12, 250円 7.7円/本
  • 2003/07, 270円 8.5円/本
  • 2006/07, 300円 9.5円/本
  • 2010/10, 410円 13.2円/本
  • 2014/04, 430円 13.8円/本
  • 2016/04, 440円 13.9円/本
  • 2018/10, 480円 15.0円/本

これまでも散々増税してきて、さらに増税するのだからホントにエゲツない限りだ。

とはいえ先進国ではタバコが1000円/箱を超える国もあるので、まだ安いとも考えられる。こればかりは国の政策次第なのでなんとも言えない…。

JTの動向

最後に唯一の国内タバコメーカーであるJTの動向についても紹介しておく。

1. 国内需要が激減しているのに業績は絶好調

JTの業績は国内需要の激減で苦しいのか?

と思いきや現在絶好調である。

2015年12月期決算では過去最高純益4,857億円を達成し、その後、最高益は更新せずとも好調を維持している。純利益でJTを超えている企業は日本国内において数えるほどしか存在しない。

なぜ好調なのか?

理由は大きく3つある。

  1. 海外たばこメーカーの積極買収により、海外売上を伸ばしてきた。
  2. 国内は増税に便乗して値上し、数量減による影響を補って余りある利益を出してきた。
  3. 国内工場の閉鎖、構造改革の実施でビジネスを効率化
    2009-12年に4工場を閉鎖、さらに2015年に3工場、2016年に1工場を閉鎖した。また、営業拠点についても25支店から15支社に体制移行した(2017年時点)。

とくに海外M&Aについては特筆すべき点があるため次項にくわしくまとめておく。

2. M&Aにより世界トップ4に躍進

JTは1999年に🇺🇸RJRInternational(RJRインターナショナル)を買収しJTインターナショナルを設立し、買収を加速させた。

2007年には🇬🇧Gallaher(ギャラハー)を買収し、その後も新興国およびロシアを中心に大小のM&Aを繰り返している。

結果として。

海外売上高比率は6割以上になっており、国内での売上よりも海外メインとなった。国内が多少凹んでも海外売上でカバーできるほどにまで成長を遂げている。

▼【参考】世界シェアTOP4企業 (中国のぞく) *JTのIR資料より

▼【参考】JTの世界主要マーケット *JTのIR資料より

3. 世界ブランドを複数もつ

国内では「メビウス」を筆頭に圧倒的シェアをもつJTであるが、グローバルで見たときのプレゼンスはどうだろうか?

下表にグローバル販売量のおおい上位ブランドランキングTOP8 (数量ベース)をまとめておく。

▼【参考】世界の主要たばこブランドランキング *出所 JT

マルボロは別格の存在感でトップブランドであるが。

この表からわかるように、Winston、Camel、メビウスといったJT保有のブランドも上位ランキングに位置している。健闘しているではないか。

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