【2019年版】飲料メーカー(ビール・酒類・清涼飲料メーカーなど)売上ランキング国内TOP10。飲料メーカーは数が少ないため上位10社までとします。
2019年3月期あるいは同等の決算報告書から最新の売上ランキングを紹介。就職・転職のご参考にどうぞ。
※「ホールディングス=HD」と省略しています。
ランキングは表のとおりですが、企業の解説もふくめて紹介していきます。
この記事の目次
売上ランキング第10位-6位
【2019年版】飲料メーカー(ビール・清涼飲料メーカーなど)売上ランキング。まずはランキング10位~6位。
- 10位 キーコーヒー 売上636億円 前年比+0.9%
東京に本社をおくレギュラーコーヒーの製造販売大手。カフェなどの業務用メイン。飲料メーカー向けにも原料コーヒーを販売している。コーヒー市場の拡大とともに売上をジワジワと伸ばしてきたが、ここ数年は横ばい。平均年収534万円 (平均43.6歳)。→企業HP - 9位 オエノン HD 売上771億円 ▲2.0%
焼酎・チューハイの製造販売が主力の飲料メーカー。「元禄美人」で国内トップシェア。柱である酒類事業売上高のうち約4割がPB商品。また酒造でつちかったバイオ技術を活かして乳糖分解酵素やジェネリック医薬品原薬なども手がけており、医薬品事業は同社の第二の柱に成長している。今後も医薬品に力を入れる方針は変わらず、2020年以降に酵素医薬品の新工場建設を計画している。平均年収698万円 (平均47.4歳)。→企業HP
- 8位 ダイドーグループ HD 売上1,715億円 ▲0.7%
飲料メーカー中堅。飲料売上の8割超が自販機販売からくる。ただし自販機チャネルは縮小傾向にあり、同社の業績も冴えない状況がつづいている。平均年収723万円 (平均42.0歳)。→企業HP
- 7位 宝 HD 売上2,774億円 +3.5%
傘下に宝酒造とタカラバイオをおく持株会社。宝酒造が主力を担い、焼酎では国内トップシェア。ほかに清酒、チューハイ、みりんなどにも有力ブランド保有。2018年度は清酒とチューハイが好調で増収増益となった。今後は海外展開に注力。平均年収728万円 (平均47.8歳)。→企業HP
- 6位 伊藤園 売上5,041億円 +1.9%
お茶類を主力とする飲料メーカー。緑茶飲料では国内トップシェア。主力ブランド「お~いお茶」が飲料製品売上の約4割以上を占め、同社の屋台骨となっている。なお清涼飲料トータルでのシェアはキリンビバレッジに次ぐ国内4位である (市場シェア約12%)。2006年にコーヒーチェーン3位のタリーズコーヒーを買収した。2018年度はわずかながらに増収増益となった。今後は既存ブランドの更なる強化と海外展開による拡大を目指す。平均年収563万円 (平均37.7歳)。→企業HP
5位 サッポロ HD 売上5,218億円 前年比▲5.4%
1886年創業、1949年に大日本麦酒の解体によって生まれたビールメーカー。同社は朝日麦酒(現アサヒビール)と日本麦酒(現サッポロビール)に解体された。
解体当時、アサヒ=西日本、サッポロ=東日本、キリン=首都圏中心といったビジネス展開をしており、市場シェアはなんとサッポロビール(当時・日本麦酒)がトップだった。
ところがその後アサヒやキリン、最後発のサントリーにまで抜かれ、2019年現在ではビール市場シェア国内4位である (ビール大手4社のうち最下位ともいう)。
かつて名門企業だったサッポロビールも今は見る影もない。
ビール事業においてはむしろもう撤退した方がいいレベルであり、語るべき点は無い。強いて述べるとしたら「黒ラベル」「エビスビール」のブランド価値、北海道での知名度くらいのものだろうか…
恵比寿ガーデンプレイス(ビール工場跡地を再開発した商業施設)だけ残して、残りの事業はすべて売却し、不動産会社に転身したほうが利益でると思う。決してやらないだろうけど…。
話は逸れたがビール以外にも複数の事業をもち、
- 外食事業は「銀座ライオン」「ヱビスバー」
- 食品・飲料事業は2013年ポッカと経営統合して発足した子会社「ポッカサッポロフード&ビバレッジ」が手がけている。
- 工場跡地を商業施設に転用した恵比寿ガーデンプレイスなどの不動産事業を手がける子会社「サッポロ不動産開発」
- 海外事業は米国、アジアを中心に展開し海外売上比率は約20% (2018年度実績)
などがある。
このうち利益の柱はなんと「恵比寿ガーデンプレイス」「銀座プレイス」などを有する不動産事業であり、本業ではまったく稼げていない。結果として売上にたいする営業利益率は2018年度実績で2.1%と極端に低い数字である。
したがい先ほどの繰り返しになるがもはや飲料メーカー失格である。
平均年収856万円 (平均46.2歳)。→企業HP
4位 コカ・コーラ ボトラーズジャパン HD 売上9,273億円 +6.3%
2017年に当時のコカ・コーライーストジャパンとコカ・コーラウエストが経営統合してできた売上高世界第3位のコカ・コーラボトラー。
🇺🇸Coca-Colaの日本法人である日本コカ・コーラが一部を出資しているが、子会社ではなく上場企業である。
コカ・コーラは世界No.1飲料メーカーであり、日本での飲料市場シェアトップでもある。
ただし日本における市場シェアはジワジワと減少。
2000年には31%だった市場シェアは2018年には26%まで下落。
これはサントリーやアサヒ飲料などにシェアを奪われていることが主要因。
あとは消費者が健康志向になってきてコーラ離れ・炭酸ジュース離れを起こしている点も挙げられる。
したがってすでに経営の効率化やリストラに着手しており、今後はますますの日本法人縮小およびボトラー各社の苦戦が予想される。
注意)なおコカコーラが日本市場で展開している商品は炭酸飲料だけでなく「爽健美茶」「綾鷹」「紅茶花伝」「ジョージア」「アクエリアス」「い・ろ・は・す」などもある。
平均年収886万円 (平均43.9歳)。→企業HP
ボトラーとは何か?
ボトラーとは飲料メーカーの代わりに商品をつくる外注先のことである。たとえばコカ・コーラボトラーズジャパンはコカ・コーラから商品の原液を購入してボトリングし、小売店への販売、物流などを行っている。
3位 サントリー食品インターナショナル 売上1.3兆円 +4.9%
サントリー食品インターナショナルはサントリーGの中核企業である。サントリーGのなかで唯一、上場している。
飲料における市場シェアはコカ・コーラに次ぐ国内No.2 (2018年・推定22%シェア)。
売上規模ではキリンビバレッジを有するキリンHD、アサヒ飲料をもつアサヒグループHDに劣るが、彼らはビールやアルコール類の売上もふくめた数字であり、清涼飲料単独ではサントリーに軍ぱいが上がる。
日本における主力ブランドは「サントリー天然水」「BOSS」「伊右衛門」「サントリー烏龍茶」「なっちゃん」など。
今後は健康志向の新商品や、お茶類の新商品を強化する方針である。
また近年は海外企業のM&Aによるグローバル展開を積極的に推進。2018年度の海外売上高比率は45%となり、売上の半分くらいは海外からくるようになった。
主要な買収案件だけでも以下のとおり。
- 2008年:FrucorGroup買収
- 2009年:🇫🇷OranginaSchweppesGroup (オランジーナ)買収
- 2013年:🇬🇧GlaxoSmithKlineの飲料ブランドLucozade、Ribenaを買収
- 2016年:グラクソ・ スミスクラインナイジェリア社から清涼飲料の事業基盤譲り受け
- 2018年:Pepsi-ColaThai(ペプシコタイ) からタイの飲料事業会社の株式を取得
平均年収1061万円 (平均40.2歳)。→企業HP
2位 キリン HD 売上1.9兆円 +3.6%
キリンビールを中核とした持株会社。1907年に三菱財閥と明治屋の出資による「 麒麟麦酒株式会社」が発祥で三菱グループに数えられる。
ビール・チューハイ・清涼飲料などを手がける総合飲料メーカーであり、売上規模では国内No.2。
おもに以下の企業を傘下におく、
- キリンビール
2019年現在、国内No.2シェアのビールメーカー。1954年にビール年間庫出量でトップシェアを獲得し、国内ビール企業の地位を確固たるものにし、なんと2000年まで47年ものあいだ継続してトップシェアを獲得。一時は市場シェア60%を超える勢いであった。しかし2001年、スーパードライによって猛追していたアサヒビールが課税数量ベースで首位となった。その後も「アサヒvs.キリン」の2強体制で一進一退の攻防がつづけられていたが、2010年以降は9年連続でアサヒにトップシェアを奪われている状況。 - キリンビバレッジ
清涼飲料メーカー。飲料市場でのシェアは国内No.4。2007年に旧・麒麟麦酒が純粋持株会社「キリンホールディングス」に組織変更し、キリンビバレッジは同社の事業子会社となった。主力ブランドには「午後の紅茶」「FIRE」「生茶」「キリンレモン」などがある。 - 協和発酵キリン:医薬品メーカー
- 海外事業:オーストラリアなどで展開し、売上の33%をしめる (2018年度実績)
▼それぞれ事業の売上・収益構造は下図のとおり(出所:IR資料)
2018年度実績はビールが相変わらず苦戦しているが、他製品や他事業でおぎない増収増益。過去最高営業益を更新した。
平均年収1082万円 (平均41.7歳)。→企業HP
1位 アサヒグループ HD 売上2.1兆円 +1.7%
アサヒビールを中核とした持株会社。
ビール・チューハイ・清涼飲料などを手がける総合飲料メーカーであり、売上規模では国内No.1。
おもに以下の企業を傘下におく、
- アサヒビール
ビール国内シェアNo.1メーカー。1980年代中盤には市場占有率10%を割り、4位のサントリーに追い抜かれる寸前となり「 夕日ビール」などと揶揄される状況に陥が1983年にコクとキレを重視した「スーパードライ」を市場に投入し、一気に復活することとなった。そして同商品は現在にいたるまでロングセラー商品となり、同社の業績を支えている。 - アサヒ飲料
清涼飲料メーカー。飲料市場でのシェアは国内No.3。2011年、旧アサヒビール株式会社が「アサヒグループホールディングス」に商号を変更したのに伴い、アサヒ飲料はアサヒグループHDの事業子会社となった。「三ツ矢サイダー」「バヤリースオレンジ」「ウィルキンソン」「WONDA」「十六茶」「カルピス」を主力6ブランドとしている。業績好調でアサヒグループ全体のなかではアサヒビールにつぐ売上規模・利益規模にまで成長した。 - アサヒグループ食品
食品や医薬品などを手がけるメーカー。「ミンティア」「1本満足バー」、和光堂のベビーむけ食品などで知られる。 - 海外事業
とくにビール事業において海外展開を積極化させており、2016年に買収した欧州事業(SABMiller、InBevから買収)が2017・2018年度の大幅な業績改善に貢献した。海外売上比率は34%にまでなった。
2018年度は国内ビール低迷も、海外で伸ばし、また飲料事業において好採算の「カルピス」などが堅調、増収増益を達成した。なお最高純益を2年連続で更新している。
▼それぞれ事業の売上・収益構造は下図のとおり(出所:企業HP)
平均年収1,093万円 (平均43.3歳)。→企業HP
非上場:サントリー HD 売上2.5兆円 (2018年度)
あとは非上場であるためランク外としたが、サントリーホールディングスを忘れてはいけない。
ここまで引っ張っておいて申し訳ないが…
飲料メーカー売上No.1は、じつはサントリーHDである。
同社は非上場であり傘下にはおもに以下の企業をおく。
- サントリー食品インターナショナル:サントリーGにおいて唯一の上場企業であり、サントリーGの中核企業。清涼飲料・食品などを手がけ、清涼飲料分野においてはコカコーラに次ぐ国内市場シェアNo.2。すでに解説したため省略する。
- サントリービール:国内3位のビールメーカー。「ザ・プレミアムモルツ」で知られる。
- サントリー酒類:スピリッツ・ビール・ワインなど酒類の国内販売を手がける。
- サントリースピリッツ:国内のスピリッツ事業
- ビーム サントリー:ウイスキーをはじめとしたスピリッツの製造・販売
- サントリーワインインターナショナル:国内・海外のワイン事業
なおサントリーの社名は太陽「sun」に創業者ファミリーの名字「鳥井”(とりい)」をくっつけたことに由来するとされる。また一説には「鳥井さん」を逆さにしてサントリーとした、という説もある。
とにかく「サントリー」は同社が1929年に初めて発売したウイスキーにつけられ、その後1963年に社名に採用された。
一時はキリンと経営統合するなどの話もあったが破談となり、かたくなに非上場を貫いている。この規模になってくると非上場でも上場でも、もはやどっちでも良い領域になるが…