【2019年版】菓子メーカー(チョコレート・アイス・スナック菓子・せんべいなど)売上ランキング国内TOP10。
2019年3月期あるいは同等の決算報告書から最新の売上ランキングを紹介。就職・転職のご参考にどうぞ。
チョコレート、アイスクリーム、スナック菓子、米菓などの製造メーカーを菓子メーカーとしてカウント。
ただし、たとえば明治HDは乳製品が売上の3割弱が乳製品であったりと菓子だけでなく他事業の売上も入れている。純粋に菓子メーカーとしての実力を完全には集計できてない点はご了承を。
また、菓子に菓子パンなどもふくめると今度は山崎製パンが上位にきたりするので、それはちょっとおかしいと思いジャンル分けは結構テキトーに行なった。
※十億円未満は四捨五入
※「ホールディングス=HD」と省略
1位 明治HD 売上1.3兆円 前年比+1.1%
明治ホールディングスは2009年に明治製菓と明治乳業が統合し設立された持株会社。
したがい乳製品と菓子類のどちらも扱っている。
2019年現在のカテゴリー別の売上比率では、
- 乳製品(発酵デイリー、加工食品)>> 菓子 > 栄養 > 医薬品事業
となっている。
なお菓子セグメントのみ実績だと売上1,222億円 (前年比▲9.8%)、営業利益204億円。
したがって菓子だけの売上でみると、カルビーなど下位ランク企業のほうが売上規模が大きい。
ただ明治の場合、海外事業は菓子セグメントに含まれておらず独立していたり、アイスクリームが菓子ではなく加工食品事業に含まれていたりするので国内外を含めた菓子の売上は実際にはもっと大きい。
まぁ細かいことは言い出したらキリが無いのでおいておく。
同社HPによると以下の4品目で国内シェアトップとなっている。
- チョコレート:24%
- ヨーグルト:43%
- 牛乳:22%
- グミ:28%
ヨーグルト製品で圧倒的なシェアを持つほか、チョコレート、牛乳などにおいてもNo.1シェアである。
旧・明治製菓の菓子事業においてはスナックやキシリッシュなどのガムも展開するが、チョコレートの売上は菓子事業の7割と高い。
近年の菓子事業の業績は、ロングセラーブランドに集中するとともに、収益性改善の取り組んだことから増益が続いている。
2018年度実績では「チョコレート効果」をうたった健康志向チョコレートやプレミアムチョコレート「明治ザ・チョコレート」が伸長したほか、収益改善に取り組んだ結果が実を結んで増収増益となった。
【参考】明治ホールディングスの売上・営業利益推移 *同社HPより
【参考】明治の主要品目売上 *明治HD IR資料より
しかし食品事業の海外売上高比率は5%未満と低く、成長の余地あり。
なお海外展開ではシンガポール、インドネシア、中国などに拠点を設立。チョコレート製品やアイスクリーム、粉ミルクなどを中心に販売。またアメリカでは老舗ビスケットメーカーをグループ化しているが、いかんせんどこも売上が小さすぎて話にならない。
同社の2026年度までの経営計画が以下の目標が掲げられている。
- 食品事業の営業利益成長率を年平均6%台
- 海外売上高比率10%以上、とくに中国を2020年度までの再注力地域としている
- 国内ではコア事業のさらなる拡大、成長事業の育成、低収益事業の改善
平均年収996万円(平均43.0歳)
→ 企業HP
2位 江崎グリコ 売上3,500億円 前年比▲0.9%
江崎グリコは1921年創業の老舗菓子メーカー。もうすぐ創業100周年をむかえる。
牡蠣の煮汁に多く含まれるグリコーゲンをキャラメルに入れ、栄養菓子として販売したことが祖業。社名グリコはグリコーゲンに由来する。
また明治製菓や森永製菓に比べると後発であったため、おまけ付き菓子で消費者の注目を集めたほか、大手2社と競合しないスティックタイプのプリッツやポッキーを開発し現在の地位を築いてきた。
主力製品はポッキー、プリッツ、ビスコなど。
ほかに牛乳・乳製品事業、アイスクリームなどの冷菓事業、カレールウなどの食品事業、食品原料などを手がけている。
- 近年は大人向け市場の開拓としてオフィス菓子直販の「オフィスグリコ」を開始。
- 20-30代が好むおつまみ市場を狙った商品では、2006年にクラッツ、2008年にチーザを発売してヒット。
▼【参考】江崎グリコの事業別売上比率 (2019年3月期) *出所:IR資料
また海外展開にも積極的に取り組んでおり、海外売上高比率は15% (ただし改善の余地あり)
- 2012年にKinhDo (キンド)に出資
- 2013年にはWINGS Groupとインドネシアにアイスクリーム製造販売の合弁会社を設立
- 欧州では🇫🇷GeneraleBiscuit (ジェネラルビスケット)と提携、その後は同社を買収した🇺🇸KraftFoods (クラフトフーズ) によって一部ブランドが販売されている
平均年収827万円(平均43.6歳)
→ 企業HP
3位 ロッテ 売上3,033億円
※非上場であるため売上は2017年度実績。
在日韓国人の重光武雄が1945年に設立した菓子メーカー。
ガム・チョコレート・アイスなどで消費者にもお馴染みのメーカーである。
非上場であるため開示情報が少ないが国内菓子メーカーでは売上No.3。
あまり知られていないことだが日本で創業した後、韓国に進出し現地で巨大財閥「ロッテ財閥」を形成している。
日本で稼いだお金をつかって韓国でホテルやデパート、小売、石油化学分野などに幅広く展開。
なお今ではロッテグループの売上の9割以上が韓国。菓子と千葉ロッテのイメージが強い日本では想像もつかないほどの巨大財閥となっている。
ただしグループ支配の頂点にあるロッテHDおよび資産管理会社はあくまでも日本法人。
当時ロッテHD副会長に就任した重光昭夫は「グループ売上の95%は韓国でありロッテは韓国企業である」と明言した。でも本当はそうではなく日本ロッテが頂点にいる。
さらにとんでもない問題がもうひとつある。
韓国ロッテは1967年に設立されて以降2004年まで日本のロッテに1円たりとも配当金を支払っていなかった。日本ロッテのお金をつかってスタートアップし、莫大な利益をあげていたにも関わらずだ。
国税庁が日本ロッテに「38年間で2000億円を韓国に投資したのに1銭も日本に配当がない」という趣旨の指摘をし、それから日本側に配当を始めたらしい。
日本ロッテを頂点としているのであれば国税庁の指摘はもっともで、機会損失をさかのぼって請求できるレベルである。明らかにおかしい。
ということで話は逸れたが…
日本のロッテはあくまでも菓子メーカーであり、業界大手との位置づけである。
→ 企業HP
4位 カルビー 2,490億円▲1.2%
カルビーは国内スナック市場シェア約5割、シリアル市場シェア約4割の菓子メーカー。
なお国内スナック市場のうちポテトチップス市場では70%超の市場シェアを占め、圧倒的No.1となっている。
2018年度の実績はこれまで急成長してきたシリアル事業の鈍化により前年比マイナス。2017年度はポテチの原料ジャガイモ不足が主要因でマイナスとなったがが、とにかく2年連続での減収。
▼【参考】カルビーの売上・営業利益率推移 (IR資料より)
またスナック市場においてはすでに高シェアであり、これ以上のシェア獲得はなかなか厳しいものと推察される。
▼【参考】スナック市場におけるカルビーの市場シェア推移 (IR資料より)
そんななか、力を入れたいのがやはり海外展開。海外売上比率はおおよそ13%と、菓子メーカーとしてはそれなりに高い数字ではあるけど、もっと期待したいところ。
いちおう、アメリカでは世界最大の飲料メーカー🇺🇸Pepsico(ペプシコ)と2013年に業務提携し、北米におけるJagabeeの独占販売権を渡した。
ほかに北米、中国、韓国、タイ、香港、台湾、フィリピン、シンガポール、インドネシア、イギリスへ事業を展開している。
平均年収723万円(平均39.5歳)
→ 企業HP
5位 森永製菓 2,050億円+0.2%
森永製菓は渡米して菓子づくりを学んだ創業者がミルクキャラメルを主力製品として事業を開始したことが祖業。
乳製品をあつかう森永乳業とは兄弟会社の関係であり、モリナガグループを形成している。
主力ブランドにはミルクキャラメル、森永ビスケット、チョコボール、小枝、ダース、ハイチュウ、ココア、ウイダーinゼリーなどがあり、ゼリー飲料では国内4割弱でシェアNo.1となっている。
いずれも誰もが口にしたことのある、おなじみのブランドではないだろうか?
2018年度の実績は売上は横ばいであるが、利益では過去最高営業益を更新するなど、好調である。
▼【参考】2015.3月期~2019.3月期の売上・営業利益 *森永製菓HPより
今後の戦略としては、
- 健康カテゴリーの強化
- グローバル強化
- 国内主力8ブランドの強化
をかかげている。
健康カテゴリーの「ウイダーinゼリー」は森永製菓の成長におおきく貢献、現在では同社の利益をささえる主力8ブランドのひとつに存在にまでなっている。
海外展開では、米国・中国・アジア地区を重点エリアとして位置づけハイチュウを中心に展開。2020年度の海外売上高比率10%を目指すとしている。
▼【参考】森永製菓の国内主力8ブランド *同社IR資料より
平均年収784万円(平均41.9歳)
→企業HP
6位 ブルボン 1,180億円▲0.1%
新潟に本社をおく菓子メーカー。
上場企業ではあるが創業家ファミリーの吉田家がいまだに多くの株を持ち、社長も吉田家から選出されるため同族経営と言って良い。
売上1,000億円規模でありながら東証二部上場に留まっている。
なお2019年で創業95年をむかえる老舗企業である。
主力ブランドにはチョコ菓子「アルフォート」「エリーゼ」、米菓「味ごのみ」、スナック菓子「ブルボンプチ シリーズ」などがある。
業績は主力ブランドの売れ行きに左右されるが、同族経営ということもあって堅実経営で他大手と違い無茶な買収をしたりしない。
今後の成長性は乏しいが大きく凹むことも無いだろう。
平均年収460万円(平均38.9歳)
→企業HP
7位 不二家 1,050億円▲0.6%
ケーキなど洋菓子を中心に展開する菓子メーカー。
社名は創業者である藤井家の「藤」と日本のシンボルである「富士山」、そして「二つと無い存在に」(不二)からくる。
ケーキなど洋菓子の店頭販売のほか、チョコ菓子「カントリーマーム」、あめ「ミルキー」、ビスケット「ホームパイ」などが主力ブランド。
2007年に期限切れ原材料を使用していたことが発覚し、経営が一気に傾いた。その後2008年に山崎製パンが救いの手を差し伸べ、同社の傘下となり経営再建をはたした。
ケーキの不採算店閉鎖がだいぶ進み、業績は菓子の主力ブランドの売上にも左右される。2018年度は菓子の量販店・コンビニ向けが伸長し売上は若干の減となったが営業増益を達成した。
平均年収488万円(平均34.8歳)
→ 企業HP
8位 亀田製菓 1,000億円+0.5%
新潟に本社をおく菓子メーカー。せんべい、あられなど米菓の分野では国内トップシェア。
米菓主体でありながら売上1000億円は凄い。
主力ブランドには「柿の種」「ハッピーターン」「うす焼き」「海苔ピー」などがある。
海外はベトナム、タイ、中国、米国などに展開している。
低成長ではあるものの、着実に国内外で売上と利益を伸ばしてきた。
2018年度の業績は前年比で増収増益を達成。
好採算の主力ブランド「柿の種」の集中販促が功を奏したほか、PB (プライベートブランド) の受注で工場稼働率上がり採算が向上した。
今後も業績カギを握るのは「柿の種」であり、亀田工場で新ライン投資が完了し稼働開始する見込み。これによって1割の増産となる。
平均年収532万円 (平均44.1歳)
→ 企業HP
9位 寿スピリッツ 410億円+9.1%
傘下に洋菓子「ケイシイシイ」「シュクレイ」、和菓子「寿製菓」などをおく持株会社。
中小企業の寄せ集めではあるが菓子メーカーとして売上トップ10に入る。
それぞれの傘下企業で扱っているものが違うため何とも散らかっているが、洋菓子・和菓子のギフトなど店頭販売が主体となっている。
有名ブランドにはケイシイシイあつかいの「LeTAO」、シュクレイ「東京ミルクチーズ工場」「築地ちとせ」や、寿製菓あつかいの「印旛の白うさぎ」などがある。
足元では訪日観光客の需要取り込みや首都圏での展開を強化している。
2018年度は5期連続となる2桁営業増益を達成。長かったGWや改元効果が絶大でギフト市場好調であったほか、カフェ併設物販店の積極展開が効いた。
平均年収473万円(平均37.5歳)
→ 企業HP
10位 湖池屋 320億円+6.4%
ポテトチップスなどを製造販売する菓子メーカー。
社名の由来は創業者である小池和夫の出身地にある諏訪湖 (長野県諏訪市) のように会社も大きくさせたいという理由で「小池」の小を湖に変え、湖池屋とした。
一般的には中小サイズにすぎない企業ではあるが、菓子業界という観点においては中堅メーカーとの位置づけである。
じつはスナック菓子No.1のカルビーよりも先にポテチを上市したのだが、その後はご存知のとおりに追い抜かれて今では雲泥の差となった。
主力ブランドは「カラムーチョ」「スコーン」「ポリンキー」。
なお現在はカップヌードルで知られる「日清食品HD」が筆頭株主となっている。
2017年にはじゃがいもの不作で悩まされたが2018年度には解消。高価格ポテチのマーケティングや主力ブランドのひとつである「スコーン」刷新が効き営業増益となった。
海外事業はベトナム拡大およびタイでも販売開始予定。
平均年収571万円(平均40.7歳)
→ 企業HP
11位 モロゾフ 300億円▲0.2%
神戸が本拠のチョコ、洋菓子の老舗。ドイツ菓子メーカーユーハイムと並び、神戸二大ブランドの一つとして知られる。
百貨店内での店舗ギフト販売が中心でカフェ・レストランも併営。
ただし百貨店業界はご存知のとおり調子が悪く、各地で閉鎖が相次ぐなどマイナス要素がつよい。
まぁブランド力さえあれば百貨店でなくても駅構内に出店したりすれば良いだけなのだが…。
平均年収527万円(平均46.3歳)
→ 企業HP
(非上場) ネスレ日本 売上1,995億円
※売上は2017年度実績 (出所:アニュアルレポート、為替は期中平均レートを使用して日本円に変換)
ネスレ日本はスイスに本拠をおく世界最大の食品メーカーであるネスレ (Nestlé S.A.) の日本法人。本社は兵庫県神戸市。
日本ではコーヒー「ネスカフェ」がメインだが、チョコレート菓子「キットカット」をはじめとして菓子やパスタ類なども扱っている。
同社の日本での販売は圧倒的にコーヒ類メインなので、菓子だけの売上で見たら大したことはないと思われるが、ご参考までに入れておいた。
→ 企業HP
カテゴリ別の主要企業
なお菓子メーカーは同族経営の非上場企業も数多く存在するためランキングを作成するのが非常に困難である。
また、菓子に菓子パンなどもふくめると今度は山崎製パンが上位にきたりするので、それはちょっとおかしいと思いジャンル分けも結構テキトーに行なった。
ということで念の為、それぞれのジャンルにおける主要プレイヤーもまとめておく。
- 菓子総合:明治ホールディングス、森永製菓、江崎グリコ、ロッテ、ブルボン等
- スナック類:カルビー、湖池屋等
- 飴:カンロ、春日井製菓、モンデリーズ・ジャパン等
- 米菓:亀田製菓、岩塚製菓等
- 和菓子:中村屋、虎屋、井村屋グループ等
- その他:山崎製パン等
- 外資系:ネスレ日本、など