2015年度実績から総合商社のランキング(収益、純利益、包括利益)をまとめます。就職活動や転職、投資のご参考になりましたら幸いです。
*豊田通商だけは日本式会計方法を使用しているため比較できず。IFRSを採用している大手総合商社6社の決算数字を比較。
総合商社のランキング(当期純利益ベース)
2016年3月期決算IFRS
伊藤忠商事が初のランキングトップ。とはいえ、資源ビジネスにおける特別損失の影響で三井物産と三菱商事が自滅しただけ。
1位;伊藤忠商事 (純利益2,404億円)
2位;住友商事 (純利益745億円)
3位;丸紅 (純利益623億円)
4位;双日 (純利益365億円)
5位;三井物産 (▲834億円)
6位;三菱商事 (▲1,494億円)
総合商社のランキング(収益ベース)
2016年3月期決算IFRS
住友商事をのぞき、2015年3月期と比べると収益は下落。
1位;丸紅 (収益7兆3,003億円)
2位;三菱商事 (収益6兆9,256億円)
3位;伊藤忠商事 (収益5兆835億円)
4位;三井物産 (収益4兆7,597億円)
5位;住友商事 (収益4兆108億円)
6位;双日 (収益1兆6,581億円)
ところで総合商社の業績は、国際会計基準(IFRS)へ移行したため売上でなく収益でみます。日本式を使うと、モノを右から左に流す総合商社は売上規模が20兆円とかになって、完全におかしくなる。
収益がどのように計算されているかを例に出しておきます。
売上と収益の違い
①メーカー → 総合商社(在庫していない。単に仲介するだけ) → お客さん
- 日本会計方式;100万円で買って110万円で売ったとすると、売上110万円。
- 国際会計基準(IFRS);100万円で買って110万円で売ったとすると、収益10万円。
②メーカー → 総合商社(在庫している) → お客さん
- 日本会計方式;100万円で買って110万円で売ったとすると、売上110万円。
- 国際会計基準(IFRS);日本式と同じ
*在庫などのリスクがなく、お客さんからきた注文書をメーカーに横流しするだけの場合は、マージンだけが収益としてカウントされます。
総合商社のランキング(包括利益ベース)
2016年3月期決算IFRS
商社の業績をみるときは包括利益も大事!
商社の業績は収益と当期純利益をみるだけでは不十分、包括利益も見る必要があります。
包括利益は誰にでもわかりやすく説明すると「投資に対する含み損・利益がどれだけあるか?」ということ。←本当はもっとややこしいが仮に今、すべての投資先を売却したとしたら、どれだけの損益がでるか分かる。
実際には以下のように計算する。
包括利益=当期純損益+少数株主損益+その他の包括利益
株、不動産、権益、その他出資先の価値が著しく下がる場合、包括利益は激しくマイナスになります。また投資が上手くいけばその逆もある。
なんと総合商社6社すべてが、莫大な含み損を抱えている。
グラフを見ると一目瞭然なので、解説は省略。
偉そうに「業績トップになった!」と喜んでいる伊藤忠商事も結局、いつ特別損失を計上するかわかりませんね…
決算のまとめと総括(個人の意見ふくむ)
伊藤忠商事は非資源ビジネスの比率が高いため、資源バブル崩壊による影響が少ない。でも資源よりもっと危険な中国への投資が多い…今後、特別損失ラッシュになるのでは?
三菱商事と三井物産は「資源商社」といわれるほど、資源ビジネスの比率が大きい。ここ10年ほど資源高が続いたため、資源ビジネスの好調により会社が支えられていましたが…資源バブル崩壊で一気に低迷。2016年に限らず、総合商社の特別損失ラッシュが続くかもしれません。
住友商事は米国シェールガス投資からの撤退など過去数年で不安要素を出し切り、上昇軌道に乗るか!?と思った矢先に資源バブル崩壊…当面は厳しそう。
丸紅と双日は低位安定、といった感じで特筆すべき点が無い。
総合商社の年収ランキング
まず事実として、三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅・双日の基本給は変わりません。ただ、ボーナスによって年収に差が出てきます。
2016年時点の状況で考えるのであれば、年収ランキングはこんな感じ
- 伊藤忠商事
- 住友商事
- 丸紅
- 双日
- 三井物産 ≒ 三菱商事
- 豊田通商
総合商社のボーナスは業績に連動しており、業績がよいときには12ヶ月分になったり、逆に悪いと4ヶ月分になったりと、振れ幅がとても大きいのが特徴。
したがって平均年収を語るのはバカらしいかもしれません…。
念のため、実際に総合商社で勤めている社員から年収体系を聞いていますので、以下の記事をご参照ください。
総合商社についてもっと詳しく!
総合商社の年収や、総合商社ってそもそも何?という点についてもまとめています。