ご健勝/ご清栄/ご盛栄/ご清祥/ご発展/ご隆昌の意味と使い方、違い、使い分け、注意点について例文つきで誰よりも詳しく解説していく記事。
時候の挨拶文、異動の挨拶メール、退職の挨拶メールなど、ビジネスシーンでよく使われるフレーズですので違いをしっかりとマスターしておきたいものです。
※時間の無い方は下の見出しより目的部分へどうぞ。
ご健勝/ご清栄/ご盛栄/ご清祥/ご発展/ご隆昌の違い・使い分け
細かい意味の違いはうしろで解説するとして…
まずはどうやって使い分けしたらよいかについて。
「ご健勝/ご清栄/ご盛栄/ご清祥/ご隆盛/ご隆昌」の違いはざっくり以下2つ。
- 個人に対して使うフレーズ
→ ご健勝、ご清祥 - 企業・団体・組織に対して使うフレーズ
→ ご清栄、ご盛栄、ご隆盛、ご隆昌、ご発展
意味はどれも似たようなものなのですが…
個人むけにつかう表現か、企業・組織・団体むけにつかう表現か、という点に違いあり。
以下のように使い分けをします。
個人に対して使う「ご健勝/ご清祥」
ご健勝 の意味は「健康で元気なこと」
ご清祥 の意味は「相手が幸福に暮らしていることを祝う言葉」
言葉の意味を考えると企業に対して使うのは間違いであることがわかります。
したがって例文にしたように、
- 「○○様におかれましては益々ご健勝(ご清祥)のこととお慶び申し上げます」
などとして使います。
まちがっても
- NG例文×「貴社ますますご健勝(ご清祥)のこととお慶び申し上げます」
のように使わないようにしましょう。
企業・団体・組織に対して使う「ご清栄/ご盛栄/ご隆盛/ご隆昌/ご発展」
ご清栄 の意味は「清く栄える」
ご盛栄・ご隆盛・ご隆昌・ご発展 の意味はどれも似たようなもので「(とくにビジネスが)繁盛すること」
言葉のもつ意味を考えると個人に対して使うには、ちょっと疑問が残るフレーズ。
したがって例文にしたように、
- 「貴社ますますご清栄(ご盛栄/ご隆盛/ご隆昌)のこととお慶び申し上げます」
- 「貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます」
などとして使います。
まちがっても
- NG例文×「○○様におかれましては益々ご盛栄(ご隆盛/ご隆昌/ご発展)のこととお慶び申し上げます」
などとしないようにしましょう。
ご清栄 はどっちでも使える?
個人に対しても企業に対しても使えそうなのが「ご清栄」
ご清栄 は「清く栄える」の意味であり、「相手の無事と繁栄を喜ぶ挨拶’」と辞書にあります。したがって個人に使っても団体に使ってもまぁ大丈夫。
ですが、
清く栄えるのは企業や組織・団体であるハズなので、一般的には企業や団体が主語になる文章で使います。
【総括】意味の違い
つづいて…
意味におけるご健勝/ご清栄/ご盛栄/ご清祥/ご発展/ご隆昌の違いをまとめます。
たくさん挙げた挨拶言葉は、ざっくりと以下2つの意味に分類されます。
- 健康を祝う、願う、気づかう
→ ご健勝、ご清祥 - 商売繁盛を祝う、願う、気づかう
→ ご清栄、ご盛栄、ご隆盛、ご隆昌、ご発展
①健康を祝う・願うの意味でつかう挨拶は…
「企業や団体の健康を祝います、願います」とすると日本語として完全におかしくなります。
健康を気づかうのは「○○さんが健康でありますように!」などと個人にたいする場合だけ使います。
このように使う、
個人の健康を気づかう言葉として「ご健勝・ご清祥」があります。
②商売繁盛を祝う・願うの意味でつかう挨拶は…
「個人の商売繁盛を祝います、願います」とすると日本語として若干おかしくなります。相手が起業家であれば通用しますが、たいていの個人はサラリーマンであるハズ。
商売繁盛を祝ったり気づかうのは「○○さんの勤める企業がますます商売繁盛しますように!」などと企業・団体・組織にたいする場合だけ使います。
このような意味で使う、
相手企業のビジネスを気づかう言葉として「ご清栄・ご盛栄・ご隆昌・ご隆盛・ご発展」があります。
ざっくりとした解説は以上となります。
ここからはそれぞれの言葉の意味と使い方について、例文つきでもっと詳しく見ていきます。
ご健勝 の意味と使い方
「ご健勝」の読みは「ごけんしょう」
「ご健勝」の意味は「健康で元気なこと」
一つずつ分解してみると「ご」は尊敬語。「健」は「健やか(すこやか)で健康である」の意味。「勝」は「勝つ、まさる、すぐれている」の意味。したがって、これらを併せると「すこやかに・すぐれている」という意味になります。
ご健勝 の使い方・例文
「ご健勝」を使うビジネスシーンはおおきく2つ。
- ビジネス文書の冒頭挨拶文・時候の挨拶
- ビジネススピーチ、メールの結び・締めくくり
社交辞令として個人の健康を気づかいたい場面であれば、たいていは使えます。
どこにも属さない個人の○○さん、というように取引先が個人であるときに「ご健勝/ご清祥」を使います。これは接客業など、消費者を直接相手にする業界(BtoC)で使いますね。
xx会社の△△さん、xx団体の○○さん、というように相手が企業・組織・団体にぞくするひとであったときには「ご清栄/ご盛栄/ご隆昌/ご隆盛」を使います。これは企業がお客さんとなるような業界(BtoB)でおもに使われます。
- 例文「○○の侯、xx様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます」
・ビジネス文書の挨拶文 - 例文「春暖の候、皆様におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます」
・ビジネス文書の挨拶文 - 例文「皆様のご健勝をお祈りいたします」
・ビジネススピーチ、メール締め結び - 例文「皆様のご健勝と、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます」
・ビジネススピーチ、メール締め結び - 例文「皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます」
・ビジネススピーチ、メール締め結び - 例文「皆様のご健勝とご活躍を、心よりお祈り申し上げます」
・ビジネススピーチ、メール締め結び
×「貴社ますますご健勝のこととお慶び申し上げます」
・ご健勝 は個人に対して使い、企業には使いません。
ご清栄 の意味と使い方
「ご清栄」の読みは「ごせいえい」
「ご清栄」の意味は「清く栄える」であり相手の健康や、ビジネスの繁栄などを祝う言葉です。
一つずつ分解してみると「ご」は尊敬語。「清」は「きれいで汚れがなく美しい」の意味。「栄」は「栄える」の意味。したがって、これらを併せると「きよく・さかえる=体も心も商売も上り調子」という意味になります。※無理やり意訳しました。
ご清栄 の使い方・例文
「ご清栄」はビジネス文書の冒頭挨拶文・時候の挨拶に使われます。
xx会社の△△さん、xx団体の○○さん、というように相手が企業・組織・団体にぞくするひとであったときに使います。
個人の○○さん、というように取引先が個人であるときには「ご健勝/ご清祥」を使うとよいでしょう。これは接客業など、消費者を直接相手にする業界で使いますね。
- 例文「○○の候、貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます」
・ビジネス文書の挨拶文 - 例文「貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」
・ビジネス文書の挨拶文 - 例文「時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」
・ビジネス文書の挨拶文
×「○○様におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます」
・完全にアウトではないものの、個人に対して「ご清栄」をつかうのは一般的ではありません。
・挨拶文では「お願い申し上げます」を使う。「お願いいたします」は一般的でない。
ご盛栄 の意味と使い方
「ご盛栄」の読みは「ごせいえい」
「ご盛栄」の意味は「(ビジネスが)盛ん、栄える」であり、(特に商売が)繁栄することを祝う言葉として使われます。
一つずつ分解してみると「ご」は尊敬語。「盛」は「商売が盛ん(さかん)」の意味。「栄」は「栄える(さかえる)」の意味。したがって、これらを併せると「商売が盛んで栄える=商売が絶好調」という意味になります。※無理やり意訳しました。
ご盛栄 の使い方・例文
「ご盛栄」もビジネス文書の冒頭挨拶文・時候の挨拶に使われます。
xx会社の△△さん、xx団体の○○さん、というように相手が企業・組織・団体にぞくするひとであったときに使います。企業がお客さんとなるような業界(BtoB)でおもに使われます。
個人の○○さん、というように取引先が個人であるときには「ご健勝/ご清祥」を使うとよいでしょう。これは接客業など、消費者を直接相手にする業界で使いますね。
- 例文「春暖の候、貴社におかれましては益々ご盛栄のこととお慶び申し上げます」
・ビジネス文書の挨拶文 - 例文「貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます」
・ビジネス文書の挨拶文 - 例文「時下ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます」
・ビジネス文書の挨拶文
×「○○様におかれましては益々ご盛栄のこととお慶び申し上げます」
・個人に対して「ご盛栄」をつかうのは一般的ではありません。
ご清祥 の意味と使い方
「ご清祥」の読みは「ごせいしょう」。
「ご清祥」の意味は「清くあることを喜ぶ」であり、相手が幸福に暮らしていることを祝う言葉として使われます。
一つずつ分解してみると「ご」は尊敬語。「清」は「きれいで汚れがなく美しい」の意味。「祥」は「めでたいこと、よろこぶこと」の意味。したがって、これらを併せると「きよく・めでたい=健康でめでたい」という意味になります。※無理やり意訳しました。
ご清祥 の使い方・例文
「ご清祥」はビジネス文書の冒頭挨拶文・時候の挨拶に使われます。
どこにも属さない個人の○○さん、というように取引先が個人であるときには「ご健勝/ご清祥」を使うとよいでしょう。これは接客業など、消費者を直接相手にする業界(BtoC)で使いますね。
xx会社の△△さん、xx団体の○○さん、というように相手が企業・組織・団体にぞくするひとであったときには「ご清栄/ご盛栄/ご隆昌/ご隆盛」を使います。これは企業がお客さんとなるような業界(BtoB)でおもに使われます。
- 例文「春暖の候、○○様におかれましては、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます」
・ビジネス文書の挨拶文 - 例文「皆様のご清祥とご多幸をお祈り申し上げます」
・ビジネスメールの締め結び
×「貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます」
・ご清祥 は個人に対して使い、企業には使いません。
ご発展 の意味と使い方
「ご発展(ごはってん)」の意味は「(特に商売が)のび広がること、栄えること」
「発展」を丁寧に表現するため尊敬語「ご」をつけた言葉です。
ご発展 の使い方・例文
「ご発展」はビジネスメールの結び締めくくりの挨拶文に使われます。
ビジネス文書の冒頭に使うのは一般的でないためご注意を。
ビジネスメールの結びとしての「ご発展」の使い方は、
xx会社の△△さん、xx団体の○○さん、というように相手が企業・組織・団体にぞくするひとであったときに使います。これは企業がお客さんとなるような業界(BtoB)でおもに使われますね。
一方でどこにも属さない個人の○○さん、というように取引先が個人であるときには「ご健勝/ご清祥/ご多幸」を使うとよいでしょう。これは接客業など、消費者を直接相手にする業界(BtoC)で使いますね。
- 皆様のご健勝と、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます
・ビジネスメールの締め結び挨拶 - 末筆ながら、○○様のご健勝と貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます
・ビジネスメールの締め結び挨拶
×「○○様におかれましては益々ご発展のこととお慶び申し上げます」
・個人に対して「ご発展」をつかうのは一般的ではありません。
×「貴社ますますご発展のこととお慶び申し上げます」
・冒頭の挨拶に「ご発展」を使うのは一般的ではありません。
ご隆昌 の意味と使い方
「ご隆昌」の読みは「ごりゅうしょう」
「ご隆昌」の意味は「(特に国や企業、団体が)非常に栄えていること」
一つずつ分解してみると「ご」は尊敬語。「隆」は「さかえる」の意味。「昌」は「さかん・さかえる」の意味。したがって、これらを併せると「さかえる・さかえる=めちゃくちゃ栄えている」という意味になります。※無理やり意訳しました。
ご隆昌 の使い方・例文
「ご隆昌」もビジネス文書の冒頭挨拶文・時候の挨拶に使われます。
xx会社の△△さん、xx団体の○○さん、というように相手が企業・組織・団体にぞくするひとであったときに使います。企業がお客さんとなるような業界(BtoB)でおもに使われますね。
個人の○○さん、というように取引先が個人であるときには「ご健勝/ご清祥」を使うとよいでしょう。これは接客業など、消費者を直接相手にする業界で使いますね。
- 例文「春暖の候、貴社におかれましては益々ご隆昌のこととお慶び申し上げます」
・ビジネス文書の挨拶文 - 例文「貴社ますますご隆昌のこととお慶び申し上げます」
・ビジネス文書の挨拶文 - 例文「時下ますますご隆昌のこととお慶び申し上げます」
×「○○様におかれましては益々ご隆昌のこととお慶び申し上げます」
・個人に対して「ご隆昌」をつかうのは一般的ではありません。
まとめ
これでもかというくらい「ご健勝/ご清栄/ご盛栄/ご清祥/ご発展/ご隆昌」について語ってみました。挨拶で使える言葉というのは、めったに使わないので、使い分けが難しいですね…。
これはもう、ありとあらゆる場面を経験し、分からなかったら都度確認して慣れていくしかないです。一番悪いのは、調べないで適当に挨拶を使ってしまうことです。
頭でどうこうなるものではないので是非、ビジネスシーンで場数を踏んでくださいね。ではでは~~。
一番最初の部分、
「①健康を祝う・願う」挨拶を企業や団体にするのはおかしいので、個人を主語にする場合だけ使います。これは「ご健勝」「ご清栄」に該当します。
の「ご清栄」は、ご清祥の方ではないでしょうか。