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リチウムイオン電池材料(セパレータ・電解液・正負極材)の世界シェア

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リチウムイオン電池材料(負極材・正極材・電解液・セパレータ・バインダー)の世界市場シェア・今後の業界動向・メーカーランキング・メーカーの一覧まとめ。ランキングは2013年版、情報ソースはDBJです。就活と転職の業界研究にお役立てください。

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リチウムイオン電池の構造:材料にはどんなものがある?

LIB structure
画像出所:TDK株式会社

まずリチウムイオン電池部材にはどのような材料が使われるのかをざっくりと解説する。画像右がリチウムイオン電池の簡単な構造である。正極材/セパレータ/負極材/セパレータ…という構成がひたすら繰り返される。構造自体はとてもシンプルなもので、パナソニックなど電池メーカーの組立工程では違いを出せない。

では電池メーカーはどこで差別化するか?

材料を工夫することによって電池性能を上げて差別化するのだ。しかしここで問題が…パナソニックは電機メーカーであって素材のことは分からない。素材開発ができない。そこで化学素材メーカーの出番となる。この画像では3種類しか材料が登場していないが、2種類くわえて負極材・正極材・セパレータ・電解液・バインダーの5材料が電池性能を決める重要な材料となる。

その重要5材料について世界シェアとメーカー動向をみていく。

LiB材料①負極材の世界市場シェアランキング

世界No.1 日立化成:32%
世界No.2 BTR(中国):21%
世界No.3 JFEケミカル:15%
世界No.4 三菱化学:14%
世界?? 昭和電工:NA

リチウムイオン電池(LiB)の負極材は黒鉛をベースにしている。

黒鉛は古くから存在する材料だが、LiBの分野では電池の性能を決める重要部材のひとつである。単なる黒鉛にどうやって機能をつけるかが重要で、充放電の特性を上げるために各社がんばっている。

世界No.2の中国BTRは中国政府のEV拡大戦略にうまく乗り成長。電池材料~末端製品~EVまで中国で作って中国で売る、という政府の思惑。輸出むけには使えないだろうが、中国内の需要だけでもいずれは世界の半分くらいになるものと思われる。

LiB材料②正極材の世界市場シェアランキング

世界No.1 日亜化学工業:17%
世界No.2 L&F新素材(韓):14%
世界No.3 ユミコア(ベルギー)13%

世界No.4 戸田工業:6%
世界?? 住友大阪セメント:NA

スマホ用など小型のLiBにはコバルト酸リチウム、車載用など大型のLiBにはリン酸鉄リチウムを使うことがスタンダードになりつつある。車載用はあたらしい分野であるため無機化学の得意なメーカーであれば誰でも参入できる。

市場が成長段階で技術も未成熟のため団子状態。誰が勝ち組になるか、全く読めない状況。

LiB材料③バインダーの世界市場シェアランキング

世界No.1 クレハ:50%
世界No.2 JSR:30%
その他:日本ゼオンなどあり

バインダーとは何かと何かをくっつける接着剤のこと。正極材、負極材ともに粉末状なので形をつくるためには何かしらの接着剤が必要となる。かつてはクレハが正極・負極のバインダーでほぼ100%の市場シェアを有してウハウハ状態だったが、技術が変わり今に至る。

世界No.1のクレハは正極材のバインダーでほぼ100%シェア。PVDF(ポリフッ化ビニリデン)をベースとしている。

世界No.2のJSRは負極材のバインダーで高シェア。中身はSBRとCMCの混ぜ物(エマルジョン)。そんなに大した技術ではない。

電池材料④電解液の世界市場シェアランキング

世界No.1 宇部興産:23%
世界No.2 三菱化学:17%
その他:パナックス(韓)、第一毛織(韓)などあり

電解液はリチウムイオン電池(LiB)だけでなく鉛蓄電池や普通の乾電池にも使われる。それぞれの電池にあわせて電解液の種類がことなるが、ここではLiBだけでなく電池全体のシェアを記した。

世界No.1は宇部興産。車載用での伸びを期待して設備増強を決めている。宇部興産の技術力はよくわからない。誰でも作れそうなのだが…

世界No.2は三菱化学。2012年の古いデータであり、2016年現在は世界No.1になっているものと推測。三菱化学も車載用での伸びを期待して設備増強を進めている。何が強みなのかよくわからない。

電池材料⑤セパレータの世界市場シェアランキング

世界No.1 旭化成:36% → 50%(米ポリポアを買収)
世界No.2 東レ:22%
世界No.3 ポリポア(米):13%(旭化成が買収)

その他:宇部興産、SKイノベーション(韓)、LG Chem(韓)など

セパレータはリチウムイオン電池(LiB)だけでなく鉛蓄電池や普通の乾電池にも使われる。他材料は比較的あたらしい用途であるため技術の移り変わりが激しいが、セパレータは技術的に成熟している分野。

またセパレータ市場は昔からある鉛蓄電池(車載用のバッテリー)がメインであり、リチウムイオン電池むけは大した市場規模ではなかった。ただ、電気自動車EVやプラグイン・ハイブリッド電気自動車PHEVむけのLiBが売れるとなると話は違ってくる。LiBの車載むけが鉛蓄電池市場を上回るとなるとおもしろい。

世界No.1は旭化成。鉛蓄電池の時代から技術ノウハウおよび特許の蓄積があり強い。LiB車載用はイマイチ本気でなかったが2015年に米ポリポア社を買収して本格参戦。

世界No.2は東レ。セパレータは繊維加工、フィルム加工の技術を適用できるため、東レのような繊維・フィルム加工が得意な会社は容易に参入できる。

リチウムイオン電池業界:材料メーカーの一覧と動向

ここまで見てきたようにリチウムイオン電池の重要5部材は日系メーカーが世界トップシェアを独占している。リチウムイオン電池材料に関連するメーカーの動向をまとめる。

東レの動向

東レは大手化学・繊維メーカー。電池材料だけでなく炭素繊維、PETフィルムなどでも高シェアを持つ。

>>2015年に韓国LG化学から電池材料セパレーターの工場を買い取った。旭化成の独走状態に待った!?

日立化成の動向

日立グループ御三家の化学メーカー。負極材の黒鉛で世界トップシェアを持つ。

>>リチウムイオン電池用炭素材料で発明表彰2部門受賞(2015年)

日亜化学工業の動向

青色発光ダイオードを世界で初めて工業化したメーカー。コバルト酸リチウムのメーカーでもあり、正極材で世界トップシェアを持つ。

クレハの動向

クレハは中堅化学メーカー。「クレラップ」などで消費者にもなじみがある。電池材料ではバインダーで世界トップシェアを持つ。

>>クラレとクレハ、ヤシがらを用いた負極材の工場を建設(2012年)

宇部興産の動向

宇部興産は大手セメントメーカーで化学部門もあわせもつ。電池材料では電解液で世界トップシェアを持つ。

>>塗布型乾式セパレータで2018年・売上200億円めざす(2015年実績は75億円)。

>>電解液で2018年・売上170億円めざす(2015年実績は70億円)。

>>宇部興産、リチウムイオン電池用セパレータの生産能力の4割増強を発表、2017年7月完工予定、キャパは2億m2に/2015年9月

>>宇部興産、チタン酸リチウム(LTO)の開発を加速/2015年1月
▼チタン酸リチウム(LTO)は次世代の正極材の候補。発表はしたものの進捗はイマイチ。

旭化成の動向

旭化成は繊維メーカーとして創業したが現在は多角化し、化学品分野が売上の大部分をしめる。電池材料ではセパレータで世界トップシェアを持つ。

>>米ポリポア社を2600億円で買収。車載用のセパレータ事業を強化/2015年2月

三菱化学の動向

三菱ケミカルホールディングスの中核企業。2017年から同じく傘下の三菱樹脂・三菱レイヨンと合併する。負極材、電解液、セパレータを製造・販売している。正極材は撤退した。

>>2020年に電解液の市場シェア40%・負極材の市場シェア20%をめざす(中期経営計画2018年より抜粋)。

住友大阪セメントの動向

住友大阪セメントは中堅のセメントメーカー。LiB電池材料では正極材を製造・販売している。

>>正極材のベトナム工場における生産能力増強、1000 → 2000トン/年に(2017年2月稼動予定)。

昭和電工の動向

昭和電工は大手化学メーカー。LiB電池材料では添加剤と負極材をてがける。

>>昭和電工、リチウムイオン電池材料用カーボン負極材を生産増強…EV需要に対応。1000 → 1500トン/年(2016年末稼動予定)。

まとめ

前回のLiBの世界市場規模と動向の記事で解説したが、LiBはクルマに採用されなければ単なるニッチ市場であり、材料メーカーにはおもしろくないビジネス。ところが最近、電気自動車EV、ハイブリッドHV、プラグイン・ハイブリッド電気自動車PHEVに採用されてきて市場が爆発的に伸びる流れになってきた。

最後に、

クルマ用のLiBがなぜ材料メーカーにとって素晴らしいビジネスか?

なぜ材料メーカーはこんなにも一生懸命になってLiB材料に取り組んでいるのか?

この疑問に対する答えを以下にまとめる。

  1. クルマ用電池は大きいため材料を大量に消費する。いっぽうスマホむけ電池は数は出ても材料は少ししか使わない。クルマ1台に使われる電池の重量はスマホむけ10,000個に相当。つまりスマホと同じくらいEVが売れたら重量ベースでリチウムイオン電池の市場規模は1万倍になる(完全に皮算用)。
    ▼日産リーフの電池重量は294,000グラム vs. スマホの電池重量は30グラム
    ▼トラックやバスなど大型EV車の電池重量は日産リーフの数倍を想定
  2. 材料の性能によって電池性能が大きく変わる。差別化できる方法があるため値崩れしにくい。
  3. 技術が未成熟で課題が多い。どんなメーカーにも等しくチャンスあり
  4. 安全性が重視される、いったんサプライヤーが決まるとなかなか置き換わらない

決定的においしい理由は①の材料を大量に消費すること。LiB搭載のクルマが増えれば能力を倍増したとしても需要にまったく追いつかないだろう。

とはいえ、EVやPHEVはLiB電池性能に課題がありすぎて本当に売れるかどうかなんて分からないのだけど(苦笑)。

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