「お気遣いいただきありがとうございます」の意味、敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)、注意点について。
ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。
意味
「お気遣いいただきありがとうございます」は「気遣いしてもらいありがとう」という意味。
なぜこのような意味になるのか?
そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。
お気遣いの意味は「気をつかうこと」
お気遣い(読み:おきづかい)のそもそもの意味は…
「あれこれと気をつかうこと。気配り」
「気遣い」に尊敬語or謙譲語の「お(ご)」を使うと「お気遣い」という敬語の完成。
「気遣う」の使い方はたとえば、
【例文】親友を気遣う
【例文】お気遣いいただきありがとうございます
のようにして使います。
「自分がお気遣いする」のであれば謙譲語としての使い方。
上司・目上・取引先などの「相手がお気遣いくださる」のであれば尊敬語としての使い方。
というように2パターンあります。
ちなみに似たような語に「お心遣い」もありおなじように使えます。
「お気遣い」は意図しておこなう「気づかい」のこと。
いっぽうで「お心遣い」は意図しない厚意でのおこない。
結論としてはどれを使っても丁寧です。そこまで厳密に使い分けする必要はありません。
お気遣いいただき~の意味は「気遣いしてもらい~」
「お気遣いいただき~」の意味は「気遣いしてもらい~」
敬語は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を使用
すると意味は「気遣いしてもらい~」と解釈できます。
「ご連絡いただく=連絡してもらう」「ご指導いただく=指導してもらう」などのようにして使われる語とおなじ意味。上司・目上・ビジネスメールに使うフレーズとしてはとても丁寧で好感がもてますね。
ここで「お気遣い」の「お(ご)」の部分は向かう先を立てるために使う敬語であり謙譲語の「お(ご)」です。
注意点として尊敬語にも「お(ご)」の使い方があり混同しがち。
難しく感じるかたは「お(ご)●●いただく」のセットで謙譲語とおぼえておきましょう。➡︎くわしくは次項の補足①②をご参照ください
あわせると意味は「気遣いしてもらい、ありがとう」
- 気遣い = 心配り
- お(ご)●●いただく = 「●●してもらう」の謙譲語
- ありがとうございます = お礼
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「お気遣いいただきありがとうございます」の意味は…
「気遣いしてもらい、ありがとう」
のように解釈できます。
敬語の種類
つづいて「お気遣いいただきありがとうございます」の敬語の種類について。
この項目は少しマニアックな敬語の解説になります。敬語について細かく学ぶ必要のないかたは読み飛ばしてください。
「お気遣いいただきありがとうございます」の敬語
繰り返しにはなりますが「お気遣いいただきありがとうございます」を敬語としてみると、以下のように成り立ちます。
▼敬語の解釈 ①
- もとになる単語「気遣い」
- 「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」を使い、
- 「ありがとうございます」をくっつけた敬語
あるいはもっと細かくすると以下のような敬語の解釈もできます。
▼敬語の解釈 ②
- もとになる単語「気遣い」に謙譲語「お・ご」で「お気遣い」
- さらに「〜してもらう」の謙譲語「〜いただく」で「お気遣いいただく」
- 「ありがとうございます」をくっつけた敬語
本来あるべきなのは解釈②なのですが…
ややこしくなるため「お(ご)〜いただく」のセットで謙譲語とし解釈①で考えたほうがシンプルでわかりやすくなります。
とにかく敬語としては全くおかしいところは見当たりません。間違い敬語でもなく二重敬語でもなく、正しい敬語です。
補足①敬語の種類(ざっくり復習)
① 尊敬語とは?
相手をうやまって使う敬語の一種。
相手の行為にたいして使い、自分の行為には使わないことが基本。
敬語の種類はほかに②謙譲語、③丁寧語がある
② 謙譲語とは?
自分をへりくだって下にすることで、相手への敬意をあらわす敬語。
自分の行為に使い、相手の行為には使わないことが基本(例外あり)。
③ 丁寧語とは?
いわゆる「です・ます」口調のこと。
謙譲語にも”お(ご)”という使い方がある
ややこしいので基本的な敬語の使い方についてくわしく解説を。
じつは尊敬語と謙譲語にはどちらも「お(ご)」の使い方があります。
謙譲語としての「お(ご)」の使い方はたとえば、
- 会議日程のご連絡
- 忘年会開催のお知らせ
- 販売状況のご報告
- 転勤のご挨拶
- 貴社ご訪問のお願い
こんな感じのフレーズがあります。よくビジネスメールの件名で目にする表現ですね。
ところが例文は自分が「ご連絡・お知らせ・ご報告・ご挨拶」するため「お(ご)」をつかうのはおかしいと感じるかたもいらっしゃることでしょう。
これは、
謙譲語「お(ご)」の使い方を知らないためにくる勘違いです。
尊敬語の「お(ご)」だと勘違いしているために間違い敬語と感じるのですが、実際にはどれも正しい敬語をつかっています。
いっぽうで尊敬語の「お(ご)」は、「部長がお戻りになりました」などのようにして、相手の行為をうやまって使う敬語です。
謙譲語の一般形まとめ
謙譲語の「お・ご」は尊敬語の「お・ご」と勘違いしやすい敬語です。
他にもセットで謙譲語として覚えておくと役に立つフレーズを以下にまとめます。
- お(ご)〜する
お(ご)〜します - お(ご)〜いたす
お(ご)〜いたします - お(ご)〜いただく
お(ご)〜いただきます - お(ご)〜差し上げる
お(ご)〜差し上げます - お(ご)〜申し上げる
お(ご)〜申し上げます - お(ご)〜させていただく
お(ご)〜させていただきます
※「させていただく」は日本語としておかしい表現になる時もあり何でもかんでも使える訳ではない
「〜」の部分にイロイロな語がきて謙譲語になります。たとえば「了承」「教示」「承諾」「検討」「容赦」「査収」「取り計らい」など。
また丁寧語「ます」とくみあわせて「〜します」「〜いたします」とするのが丁寧な使い方ですのでご留意ください。
ちなみに、これは文化庁の「敬語の指針」においても解説されています。私のような頭の悪い人には難しいのですが、ご興味ありましたら以下のリンクよりどうぞ。
使い方
つづいて「お気遣いいただきありがとうございます」の使い方について。
文字どおりお気遣いしてもらったときのお礼に使います。
取引先など社外あてに限らず、上司や目上など社内あてのメールにも使える丁寧な敬語フレーズです。
基本の使い方①お礼ビジネスメール
「お気遣いいただきありがとうございます」の使い方
「お気遣いいただきありがとうございます」はとくに上司や目上・取引先から何かしらのお気遣いをもらったとき。お礼ビジネスメール書き出しの挨拶に使います。
たとえばお祝儀や香典・お歳暮・お中元などなどをもらったとき。
あるいは、相手からのちょっとした配慮などいろいろ。
使い方②お気遣いくださいましてありがとう~としても丁寧
「お気遣いいただきありがとうございます」の使い方
ところで「お気遣いいただきありがとうございます」と似たようなフレーズには…
- 例文「お気遣いくださいまして誠にありがとうございます」
- 例文「お気遣いくださり、ありがとうございます」
※「お(ご)~くださる」は「~してくれる」の尊敬語
もあります。
あるいは単に「お気遣いありがとうございます」としてもまぁ問題はありません。
結論としてはどれを使っても丁寧な敬語です。
使い方③お気遣いいただきまして~でも丁寧
「お気遣いいただきありがとうございます」の使い方
「お気遣いいただきありがとうございます」としても十分に丁寧ではありますが…
丁寧語の活用形「~まして」をくみあわせて、
- 例文「お気遣いいただきましてありがとうございます」
とするとなお丁寧な敬語になります。
まぁ「お気遣いありがとうございます」だけでも十分ではありますが…丁重なメールに仕上げたいときにどうぞ。
使い方④お気遣い賜り・賜りまして~がもっとも丁寧
さらにもう一つ。
謙譲語「いただく」ではなく「賜る(たまわる)」をもちいた例文を。
- 例文「お気遣い賜りありがとうございます」
- 例文「お気遣い賜りましてありがとうございます」
※「お気遣いを賜り」としてもOK
※「お(ご)~賜る」「お(ご)~いただく」はどちらも「~してもらう」の謙譲語
としてもなお丁寧な敬語になります。「いただく」「賜る」はどちらも「もらう」の謙譲語ですが、よりカチッとした言い回しは「賜る」のほうです。
とくにビジネス文書や手紙・公式な挨拶シーンで使われることの多い敬語フレーズ。
丁重なメールに仕上げたいときにどうぞ。
使い方⑤お気遣いいただき恐縮です なども丁寧
あるいは「ありがとう」ではなく…
相手に負担をかけて申し訳なくおもう気持ちや、相手を気づかうフレーズをもってきても丁寧です。
とくに上司・目上や取引先にいちじるしく負担をかけたときには以下の例文をつかうと好感度UP。
たとえば、
- お気遣い+恐縮(申し訳なく思うこと)
「お気遣いいただき誠に恐縮です」
「お気遣いいただきまして誠に恐縮でございます」
「お気遣いくださいまして誠に恐縮でございます」 - お気遣い+恐れ入る(申し訳なく思う)
「お気遣いいただき大変恐れ入ります」
「お気遣いいただきまして誠に恐れ入ります」
「お気遣いくださいまして誠に恐れ入ります」 - お気遣い+(痛み入る=恐れ入る・恐縮)
「いつもながらのお気遣いに痛み入ります」
こんな感じでつかうと丁寧なビジネスメールになります。
他にもある丁寧な「お気遣い」の例文
あとは「ありがとう」だけでなく「感謝申し上げます」「深謝いたしております」などとしても丁寧です。
お礼の敬語フレーズは本当にいろいろありますが、代表的な例文だけを紹介しておきます。
- 例文「お気遣いに感謝申し上げます」
- 例文「お気遣いに深謝いたします」
- 例文「お気遣い頂きお礼申し上げます」
- 例文「お気遣い頂き深謝いたします」
※「深謝」は「深く感謝すること」の意味
【例文】ビジネスメール全文
つづいて「お気遣い頂きありがとうございます」を使ったビジネスメールの例文を紹介します。
目上・上司にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズにしています。ご参考にどうぞ。
※「お気遣い」を「お心遣い」と言い換えできます。
ビジネスメール例文①お土産のお礼
件名:お品の御礼
就活株式会社
営業部 ○○様
お世話になっております。
転職株式会社の転職です。
昨日はお忙しい中、ご足労いただきありがとうございました。
また、たいそうなお品までいただき、お心遣い痛み入ります。
別件の打ち合わせのため
ご挨拶もできず大変失礼いたしました。
お土産の和菓子、
社内でおいしくいただきました。
同僚女子社員にも好評で
いつもながらお気遣いに感謝しております。
大変略儀ではございますが、
まずはお礼かたがたメールにてご挨拶申し上げます。
メール署名
・略儀ではございますが の意味は「礼儀を省略して申し訳ありませんが~」
・まずは の意味は「まずはじめに」
・言う の謙譲語「申す」
・たいそうな=結構な で言い換えできる
ビジネスメール例文②お礼
メール件名:返信Re:懇親会のご案内
株式会社ビジネス
営業部 ○○ 様 (社外取引先)
お世話になっております。
ご案内いただき誠にありがとうございます。
またレストランの選定など、いろいろとお気遣いいただき感謝申し上げます。
こちらこそ当日は何卒よろしくお願い申し上げます。
************
メール署名
************
“お気遣いいただき vs お気遣いくださいまして”の違い
ここで少し横道にそれます。
「お気遣いいただきありがとうございます」と似たような表現には
「お気遣いくださいましてありがとうございます」
これって何が違うのでしょうか?
結論としてはどちらも上司や目上・取引先などに使える丁寧な敬語フレーズです。ここではその根拠について順を追って解説していきます。
敬語・意味の違い
まずは敬語と意味の違いについて。とくに色づけした部分についてよくご確認。
- お気遣いいただきありがとうございます
意味は「気遣いしてもらいありがとう」
敬語は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を使用。
- お気遣いくださいましてありがとうございます
意味は「気遣いしてくれてありがとう」
敬語は「~してくれる」の尊敬語「お(ご)~くださる」を使用。
「まして」の部分は丁寧語「ます」の活用形
色づけしたところが主に違います。
どちらも同じように使える
ということで、
「お気遣いいただく=気遣いしていただく」なのか「お気遣いくださる=気遣いしてくださる」なのか、という点において違いますが丁寧さとしてはまったく同じです。
また、
「お気遣いいただきありがとうございます」「お気遣いくださいましてありがとうございます」はどちらも結局のところ、お礼を述べているわけであってどちらも同じように使います。
お礼を述べるときは「お気遣いいただき」が一般的
わたしの経験上ではお礼のビジネスシーンにおいては「お(ご)●●いただきありがとう」という敬語フレーズを使うことが多いです。
おっさん営業マンの経験値であり、本来でしたらどちらも同じように使えます。
「いただく」vs「くださる」の使い分け
せっかくですので「いただく」「くださる」の違いを例文で考えてみます。
たとえば結び・締めに使う「お願い」するときのシーンを考えましょう
すると…
「ご容赦くださいますようお願い致します」
「ご容赦いただきますようお願い致します」
「ご了承くださいますようお願い致します」
「ご了承いただきますようお願い致します」
「ご検討くださいますようお願い致します」
「ご検討いただきますようお願い致します」
こんな敬語フレーズをよく使います。
実はこれらは「くださる」を使うのが一般的です…
「いただく」としても丁寧ではありますが…
ところが、たとえば何かをもらった時のお礼のシーンを考えます。
「たいそうなお品をくださりありがとうございました」
「たいそうなお品をいただきありがとうございました」
もうひとつ、
「ご利用くださりありがとうございます」
「ご利用いただきありがとうございます」
上記の例文はどれも敬語としては正しい使い方。
ただ圧倒的に「いただき〜」とするほうが多いですね。
参考記事
➡︎ ビジネス挨拶文の例文50選(文書・メール・年賀状・時候ほか)
➡︎ ビジネスメールでの「拝啓・敬具」の書き方と位置
➡︎「ご厚誼」「ご交誼」「ご高配」「ご厚情」の意味と違い、使い分け
➡︎「教えてください」の代わりに使えるビジネス敬語、メール電話の例文
➡︎「ご教示」「ご教授」の意味と違い、使い方・メール例文
➡︎上司へお願いするときに使える敬語10の言葉と、例文50選
➡︎「いただくことは可能でしょうか?」の敬語、目上の人への使い方