「拝聴しました」の意味と使い方・ビジネスメール例文

拝聴しました(読み:はいちょうしました)について、意味と上司や目上への正しい使い方、注意点をビジネスメールの例文つきで誰よりもくわしく解説していく記事。

まず簡単にまとめを。

「拝聴しました」の意味は直訳すると「聞いた」。敬語(謙譲語)をつかっているため実際にはもっと丁寧で「つつしんでお聞きしました」という意味になります。

使い方は意味のとおりで上司なり社内目上・取引先を前にして何かしら聞いたと言いたいき。

  • 【例文】ご祝辞を有り難く拝聴しました。
  • 【例文】ご高説を拝聴しました。
  • 【例文】先日xx教授のご講演を拝聴しました。
  • 【例文】コブクロの新しい曲を拝聴しました。
  • 【例文】はい、その曲は以前ラジオで拝聴したことがあります。

たとえば上記のように「何かしら聞きました」という意味でビジネスメールにつかうと丁寧です。どの例文も社内メールで目上(上司や先輩)につかっても、社外のビジネスメールにつかってもよい丁寧な敬語表現。

ざっくりとした解説はこれにて終了。

くわしくは本文中にて意味と使い方、注意点を述べていきます。

※長文になりますので、時間の無い方は「見出し」より目的部分へどうぞ。

“拝聴しました”の意味と使い方

拝聴(読み:はいちょう)の意味は・・・

  • 聴くことの意の謙譲語。つつしんで聞くこと。

つまり「聞くこと」の謙譲語ですね。

「聴く」に謙譲表現「拝」をくっつけているため上記の意味になります。

「拝聴しました」だと「聞きました」の意味となります。

「拝聴した」のより丁寧な敬語

なお「拝聴」の使い方として。

例文にもしましたが「拝聴」を単体でつかうことはほとんどなく。「聞いた」と過去のことを言うケースがほとんど。したがって過去形「拝聴した」をつかい「〜した」の部分を以下のようにもっと丁寧な敬語にしてつかいます。

  • 【丁寧】丁寧語”ます”をくっつけて「拝聴しました
  • 【かなり丁寧】謙譲語”いたす”丁寧語”ます”で「拝聴いたしました
  • 【バカ丁寧】謙譲語”させていただく”丁寧語”ます”で「拝聴させていただきました」※シーンによっては変な日本語となるためご注意を!(後述)

※「拝聴させていただく」は敬語として正しいものの、使い方によっては日本語としておかしくなる。適切なシーンを選んでつかう必要あり。→次項で解説

【注意点】”拝聴しました”はこう使う!

つづいて「拝聴しました」の使い方というか注意点について簡単に。

①”拝聴しました”は二重敬語!

「拝聴しました」をつかうときの注意点その一。

もっとも初歩的な敬語の使い方なのですが…「拝聴しました」はNGです。

「拝聴」はすでに「聞くこと」の敬語(謙譲語)なのに、さらに謙譲語「ご」をくわえてしまっています…

結果として「聞くこと」に①謙譲語「拝聴」+②謙譲語「ご」としており二重敬語になりますね。※二重敬語とはひとつの単語におなじ種類の敬語を2回つかうことでありNGです。

あるいは。

「お(ご)~する」のひとかたまりを謙譲語として見たとき。「ご拝聴しました」でもいいんじゃないのか?とする意見もあります。ただ「~」の謙譲語が「お(ご)~する」だという解釈を適用した場合には「拝聴」が謙譲語であるため、そもそも二重敬語ということになります。

②”拝聴しましたか?””拝聴していただく”は間違い敬語!

「拝聴」をつかうときの注意点その二。

こちらも初歩的な敬語の使い方なのですが…

×「聞きましたか?」と言いたいときに「拝聴しましたか?」は間違い敬語です。

×「聞いていただけますか?」と言いたいときに「拝聴していただけますか?」も間違い敬語。

「拝聴」は謙譲語であるため自分の行為につかい相手の行為にはつかいません。

たとえば以下の使い方は間違い敬語となりNGです。十分にお気をつけください。

  • NG例×上司なり目上・取引先が拝聴しています「採用戦略にかんする講演を開きますのでよかったら拝聴してください」
  • NG例×上司なり目上・取引先に拝聴いただく「自作した音楽を拝聴していただけますか」

相手の行為には基本的に謙譲語ではなく尊敬語をつかいます。※例外あり

したがって相手に聞いてほしいときには。

聞くことの尊敬語「お聞きくださる」や例外的に謙譲語「お聞きいただく」をつかいます。以下のようにすると正しい敬語になりますね。

  • 正しい例◎「講演を開きますのでよろしければご参加(ご出席・ご臨席)くださいませ」
  • 正しい例◎「自作した音楽をお聞きいただけますか?」

いずれも上司なり目上・取引先に何かしら「聞いてください・聞いてほしい」といいたいときに使える敬語になります。

③”拝聴いたしました”は二重敬語ではない!

あとは注意点というよりもよくある敬語の勘違いについて。

「拝聴いたしました」は二重敬語だから誤りだという意見もあります。ただし答えは二重敬語ではなく100%正しい敬語です。

なぜ「拝聴いたします」「拝聴いたしました」が間違い敬語のように感じてしまうかというと…

「拝聴」はすでに謙譲語であり、さらに「する」の謙譲語「いたす」をつかって「拝聴いたす」としているから…

「拝聴=謙譲語」×「いたす=謙譲語」

「拝聴いたします」は「謙譲語 x 謙譲語」だから二重敬語??

このようなロジックで二重敬語だという意見がでてくるのかと。

ただし答えは…「二重敬語ではない」です。

二重敬語とは「ひとつの語におなじ敬語を二回つかうこと」であり敬語のマナー違反です。

たとえば「お伺いいたす」「お伺いする」などが二重敬語の例。「行く・尋ねる」の謙譲語「伺う」をつかっているのに、さらに「お〜いたす」「お〜する」という謙譲語をつかっているためです。

ところが。

「拝聴いたす」は以下のように「①聞くこと」「②する」という2つの異なる単語にそれぞれ謙譲語を用いているため二重敬語ではなく、正しい敬語の使い方をしているのですね。

①「拝聴」=「聞くこと」の意味の謙譲語(単体では名詞)

②「いたす」=「する」の意味の謙譲語

くわしくは以下の記事にて。

④”拝聴させていただきました”も正しい敬語だが…

あとはこちらもよくある敬語の勘違い。

「拝聴させていただく」「拝聴させて頂きました」は二重敬語だから誤りだという意見もあります。ただし答えは二重敬語ではなく100%正しい敬語です。

「拝聴させていただく」は以下のように「①聞くこと」「②させてもらう」という2つの異なる単語にそれぞれ謙譲語を用いているため二重敬語ではなく、正しい敬語の使い方をしているのですね。

①「拝聴」=「聞くこと」の意味の謙譲語(単体では名詞)

②「させていただく」=「させてもらう」の意味の謙譲語

ただし。

使うシーンによっては日本語としておかしくなるため注意が必要。

「拝聴させていただく」の意味は「聞かせてもらう」ということですから、相手にとって利益がまったくない事にたいして許可を得るようなニュアンスです。

たとえば。

◉上司や社長の講演なり挨拶を聞かなければいけないときに…あいにく出張に出ておりますので、電話会議にて接続し拝聴させていただきます/拝聴させてください」としたとき。社長の講演というのは本来なら出席して聞かなければいけないような重大なイベントです。ところが予定が立て込んでいてどうしても出席できない場合、テレビ会議なり電話会議システムをつかって聞く必要があります。

そこで。対面では出席せず電話会議なりのシステムをつかって聞くことにたいして許しをえるために「恐れ多くも電話会議システムをつかって聞かせてもらいますよ、許してね」というニュアンスで「拝聴させていただく」をつかうのは何ら問題ではありません。正しい日本語の使い方です。

あとは許容される使い方として。

講演を拝聴させていただきました」とした場合。講演というのは基本的に参加するためには申し込みあるいは、お金が必要です。つまり講演の主催者なりに許可を得ないと出席できないものがほとんどでしょう。あるいは講演の主催者は別にあなたに聞いてもらいたくて講演している訳じゃないのかもしれません。そんなときに「恐れ多くも講演を聞かせてもらったよ、許してね」というようようなニュアンスとして使うのも何ら問題ではありません。

もし。申し込みも必要なく、誰でもフリーで参加OKな講演会があるとしたらそんなときには不適切な使い方かもしれませんが…常識的には先に述べた解釈でつかえます。

ところが。

×英会話ラジオをいつも拝聴させていただいております」とした場合。ラジオというのは基本的に無料で誰もが聞けるツールですね。いろいろなヒトに聞いてもらいたくてラジオという形にして放送しているハズ。それなのにこの使い方だと「恐れ多くもラジオ番組を聞かせてもらったよ、許してね」というようような許可を得るようなニュアンスになります。

もし、そのラジオが極秘情報やスキャンダルばかりで、ほかの誰にも公開してはいけない、あるいは相手にとってネガティブな要素をふくむとき。「拝聴させていただきました」で問題ありません。

ところがほとんどの場合、常識的にはそうじゃない訳です。

したがってこんな時には「ラジオを拝聴しました/拝聴いたしました」が正しい日本語の使い方ということになります。

【例文】ビジネスメール全文

こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。

ここでは「拝聴しました」の使い方をビジネスメール例文とともにご紹介。

どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。

ビジネスメール例文①講演のお願い(to社外)

メール件名: ご講演のお願い(転職・ノマド)

株式会社ビジネス
営業部 部長 xx 様 (社外取引先)

突然のご連絡、大変失礼いたします。
東京大学にて応用化学研究をしております、ノマドと申します。

さて先般、xx部長のご講演「化学業界の今後」を拝聴しまして、すばらしい内容でしたのでぜひ弊大学でもご講演いただけないかと思い連絡いたしました。

具体的には以下のとおり考えておりますがいかがでしょうか。

目的:
内容:
人数:
謝礼:

以上

不躾なお願いとは存じますが、何卒ご検討いただけますと幸いです。
よろしくお願い申し上げます。

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メール署名
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ビジネスメール例文②開所祝いのお礼(to社外)

メール件名: お礼

株式会社ビジネス
営業部 ○○社長 (社外取引先)

平素はお世話になっております。
(株)転職・ノマドです。

先日は弊社仙台支店の開所式に際してご足労いただき誠にありがとうございました。

スタッフ一同、○○社長のご祝辞を有り難く拝聴いたしました。ご祝辞を賜りましたこと併せてお礼申し上げます。

今後、東北地方の第一号店として東北地方における弊社ビジネス拡大の足がかりとなるべく、スタッフ一同、日々まい進して参ります。

今後ともご支援ご鞭撻を賜りますよう何卒お願い申し上げます。

略儀ながら、まずはメールをもちましてお礼申し上げます。

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メール署名
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ビジネスメール例文③講演のお礼(to社内上司)

メール件名: ご講演のお礼

営業部 ○○部長 (社外取引先)

お疲れ様です。
人事部・ノマドです。

先日は素晴らしいご講演をいただき誠にありがとうございました。

新人社員からも○○部長のご講演を拝聴し、今後の仕事に対するモチベーションが高まったとの感想が多く寄せられました。改めてお礼申し上げます。

今後も新人教育・育成を通じて各事業の発展に微力を尽くして参ります。何かにつけてご相談することもあるかと存じますが、その際にはどうかお力添えいただけますと幸いです。

不躾ながら、まずはメールにてお礼申し上げます。

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メール署名
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