「〜したい」の敬語とビジネスメールに最適な使い方、例文

「〜したい」の敬語変換(謙譲語・尊敬語・丁寧語)と、

ビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい使い方、注意点について。ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。

まずは要点のまとめから。

〜したい の謙譲語は

①〜いたしたい
②〜いたしたく(存じる)
③〜したく(存じる)

※「いたす」は「する」の謙譲語、「存じる」は「思う」の謙譲語
※「〜いたしたく存じる」は本来「〜したいと思う」の謙譲語である。

謙譲語は自分の行為につかうことが基本となるため、

  1. 例文「価格改定につきご相談したく、連絡いたしました」
    原文「価格改定について相談したいので連絡した」
  2. 例文「納期につき確認いたしたく存じます」
    原文「納期について確認したいと思う」
  3. 例文「iPhone10の価格につき確認したく、連絡いたしました」
    原文「iPhone10の価格について確認したいので連絡した」
  4. 例文「今週末の試合は延期いたしたく存じます」
    原文「延期したいと思う」
  5. 例文「今回ばかりはどうしても休みをいただきたく存じます」
    原文「休みをもらいたいと思う」

として使います。もっと丁寧にするため丁寧語「ます」と組み合わせて「〜いたしたく存じます」「〜したく存じます」とするのが一般的。

ここで「〜」の部分には「ご相談・ご確認」の他にもいろいろな語がきます。上記は一例。

また、

「いたしたく存じます」を多用すると文章が謙譲語「いたす」ばかりになるため、ひとつの文章で重複するときには「〜したく」「〜したく存じます」として使いましょう。

おなじ表現を多用するのはみっともないですね。

〜したい の尊敬語は「〜なさいたい」「〜されたい」

※「〜したい」のはほとんどの場合に自分であるため尊敬語は使うシーンが本当に限られます。

尊敬語は相手の行為につかうことが基本となるため、「(相手が)〜したい」として使うビジネスシーンであれば使いますが…

そんな場面はほとんどおとずれないため「尊敬語は該当なし」と考えてもいいような気がします。どうしても、というときには「〜なさいたい」「〜されたい」をお使いください。

くわしい解説は本文にて。

〜したい の丁寧語は「〜したいです」

最後に丁寧語。

「〜したいです」として使っても敬語としては成り立ちます。ビジネス会話では「〜したいです」だけで十分に丁寧です。

ただ、かしこまった敬語フレーズが好まれるビジネスメールや手紙、文書では謙譲語「〜いたしたい」「〜いたしたく」「〜いたしたく存じる」を使いましょう。

ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、本文中ではいろいろな例文を紹介しながら使い方、注意点について説明していきます。

〜したい の謙譲語「①〜いたしたい②〜いたしたく存じる③〜したく存じる」使い方と例文

まずは「〜したい」の謙譲語「①〜いたしたい②〜いたしたく(存じる)③〜したく(存じる)」のビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい例文と使い方を紹介します。

そもそも謙譲語とは?

念のため基本となる謙譲語とはなにか?について簡単に復習しておきます。

  • 謙譲語Ⅰ = 自分を低めることで行為のおよぶ先を高めて敬意を表す敬語のこと。
    例文「お伝えします」「お土産をいただく」「貴社へ伺う」
  • 謙譲語Ⅱ = 聞き手に敬意を表す敬語のことで「もうす」「おる」「まいる」「いたす」などがある。
    例文「母に申します」「海へ参ります」

2種類ありややこしく感じるかもしれませんが「①自分側を低めて相手を高める」か「②話し手に敬意を示すために使う」だと理解しておきましょう。

【出典】文化庁「敬語の指針」

使い方

「〜したい」の謙譲語「①〜いたしたい②〜いたしたく(存じる)③〜したく(存じる)」の使い方は先にのべたとおり、

「自分が〜したいと思う」のようにして自分の考え・行為・行動に使う謙譲語です。

自分を低くすることで対象を立てる・うやまう・高める敬語が謙譲語であるため、決して相手の行為にたいして謙譲語を使ってはいけません。

そうすると、

  • 正しい例文「~していただきたく存じます」
  • 正しい例文「価格改定につきご相談いたしたく(存じます)」
  • 正しい例文「iPhone10の価格につき確認いたしたく(存じます)」
  • 正しい例文「今回ばかりはどうしても休みをいただきたく(存じます)」

のような感じで「自分が何かをしたいと思う」ときにつかいます。「~していただきたく存じます」だと「~してほしいと思う」の謙譲語となります。ここで「~していただきたく」は「~してもらいたく」の謙譲語。

いっぽうでNGとなる使い方にはたとえば、

  • NG例文「部長、○○社との企業合併はどのようにいたしたく存じますか?」

のような例文はダメ。

目上のひとなり第三者が「〜したいと思う」としたいときには謙譲語ではなく尊敬語を使います。

ところが「〜したい」の尊敬語にはあまりいい言葉がありません。

そこで「部長、○○社との企業合併はどのように思われますか?」などとし、相手に意見を求める「思う」を尊敬語にして使います。

丁寧語「です・ます」を組み合わせると、より丁寧な敬語になる

「〜したい」の謙譲語「①〜いたしたい②〜いたしたく(存じる)③〜したく(存じる)」を使うときには、丁寧語「です・ます」を組み合わせるとより素晴らしい敬語になります。

すでに例文にはしていますが…

ビジネスシーンにおいては
「〜したく存じます」「〜いたしたく存じます」として使うとより丁寧です。というより、ほぼ100%こういった使い方をします。

例文

「〜したい」の謙譲語「①〜いたしたい②〜いたしたく(存じる)③〜したく(存じる)」のビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい例文まとめ。

  1. ビジネスメールで「~したい」とするとき
    ・例文「新商品の価格につきご相談いたしたく存じます」
    ・例文「最短納期につきご確認いたしたく存じます」
    ・例文「どうしても出張に行きたく存じます」
    ・例文「ご都合のよろしい日時をご連絡いただきたく存じます」
    ・例文「貴社訪問いたしたく存じます」
    ・例文「契約書の内容につき一点、伺いたく存じます」
【敬語の補足】
・使い方は「~したいと思う」とするときのビジネスメールや会話
・謙譲語を使うことで自分の行為を低くしメールの受け手を高めている
・貴社 は「会社」を丁寧にした言いまわし
・いただく は「もらう」の謙譲語
・伺う は「行く・聞く」の謙譲語。どちらの意味でも使う。

〜したい の尊敬語は「〜なさいたい」「〜されたい」

冒頭でも説明したとおり「〜したい」の尊敬語は「〜なさいたい」「〜されたい」です。

ただし、多くの人にとっては使うシーンが訪れることのない敬語フレーズです。その根拠について理解するためにまず、そもそも尊敬語とはなにかを把握しておきましょう。

【補足】
・〜なさる は「する」の尊敬語
・〜される も「する」の尊敬語

そもそも尊敬語とは?

念のため基本となる尊敬語とはなにか?について簡単に復習しておきます。

尊敬語とは、相手を高めるときに使う敬語のことを言います。敬意を表したい相手の動作や行為を高めて使う敬語ですね。

注意点として、

社外のひとに社内のひとのことを話すときには尊敬語ではなく、謙譲語を使います。このシーンで尊敬語を使うと「社内のひと > 社外のひと」というようになってしまいますね。

社外の人の前で尊敬語「弊社の部長がおっしゃいました」ではおかしくって謙譲語「弊社の○○が申しておりました」とします。

高めるべき順番は「社外 > 社内」であり、この図式を守って使いましょう。

〜したい のは90%が自分であるハズ

上記のとおり尊敬語は相手の行為につかうことが基本となるため、あなたではない目上のヒトや第三者が「〜したい」として使うビジネスシーンであれば尊敬語が必要になります。

ところが、

そんな場面はほとんどおとずれないハズ。ビジネスシーンで「〜したい」のは自分であることが多いです。

強いて使うのであれば、
以下のようなビジネスシーンで「相手が〜したい」を使いますかね。

  • 例文「あなたは一体どうしたいの?」
  • 例文「部長はどうしたいのですか?」
  • 例文「部長がどうしたいのか、全くわからない」

〜したい の尊敬語を使った例文

では、
上記の例文を尊敬語になおしてみましょうか…

  • 例文「あなたは一体どうなさいたいの?」
  • 例文「あなたは一体どうされたいの?」
  • 例文「部長は一体どうされたいのですか?」
  • 例文「部長は一体どうなさいたいのですか?」
  • 例文「部長がどうされたいのか、全くわからない」
  • 例文「部長がどうなさいたいのか、全くわからない」

こんな感じで一応は使えます。

ただし、

これらの例文はそもそも悪口や陰口・ケンカごしで使われることが多く、そんな場面では敬語もへったくれもありません。

〜したい の丁寧語「〜したいです」使い方と例文

最後に「〜したい」の丁寧語「〜したいです」のビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)にふさわしい例文と使い方を紹介します。

丁寧語はとても簡単で「です・ます」をつけるだけで完成します。

したがって使い方を例文でみていくと、

  • 例文「安西先生、バスケがしたいです」
  • 例文「私はどうしても営業がしたいです」
  • 例文「どうしても〇〇の担当がしたいです」
  • 例文「どうしても海外駐在したいです」

のように使います。

ビジネス会話であれば、これくらいの敬語レベルで差し支えありません。

ただし、

ビジネスメールや文書・手紙ではかしこまった敬語が好まれるため謙譲語「〜したく存じます」「〜いたしたく存じます」を使いましょう。

他にもよく使う敬語のまとめ表

「〜したい」の敬語変換(謙譲語・尊敬語・丁寧語)のほかにもビジネスシーンでよく使う敬語をまとめておきます。これを機にマスターしておきましょう。

謙譲語 尊敬語 丁寧語
受け取る  拝受する
拝受いたす
 お受け取りになる  受け取ります
見る  拝見する  ご覧になる
見られる
見ます
言う  申す
申し上げる
 おっしゃる
言われる
 言います
会う  お会いする
お目にかかる
 お会いになる
会われる
 会います
する  致す
(いたす)
 なさる  します
伝える  お伝えする
申し伝える
 お伝えになる
伝えられる
 伝えます
思う  存じる  お思いになる
思われる
 思います
行く  伺う
参る
参上する
 お行きになる
行かれる
 行きます
もらう  いただく  くださる  もらいます
いる  おる  いらっしゃる  います
読む  拝読する  お読みになる
読まれる
 読みます
考える  該当なし  お考えになる
考えられる
 考えます
送る  お送りする
お送りいたす
送付いたす
 お送りになる
送られる
 送ります
「~れる」という尊敬語は受身や可能の「れる・られる」と混同しやすいため「お~なる」を使うほうがベター。

〜したい の謙譲語・尊敬語はこう使う!

つづいて「〜したい」の敬語変換(謙譲語・尊敬語・丁寧語)を使うときの注意点を解説します。

敬語を正しく使うことはもちろん、
ふさわしいビジネスシーンを考えて使いましょう。

×部長、定年後はいかがいたしたく存じますか?

「〜したい」の敬語変換(謙譲語・尊敬語・丁寧語)を使うときの注意点。

きわめて初歩的ではありますが…

謙譲語を使うべき対象がおかしいのはダメ。「いたしたく存じます」は謙譲語であるため、自分の行為にたいして使います。

したがって、

  • NG例文「部長、定年後はいかがいたしたく存じますか?」

は間違い敬語です。

上司や目上のヒトが何かを思うのであれば、

  • 正しい例文「部長、定年後はいかがされたいですか?」
  • 正しい例文「部長、定年後はいかがなさいたいですか?」

とするのが正解。

ただ、この例文は「〜したい」を使うのが無理やりであるため、普通に「定年後はいかがなさいますか?」とした方がベター。

×私はどうしても営業がなさいたいです

「〜したい」の敬語変換(謙譲語・尊敬語・丁寧語)を使うときの注意点。

こちらもきわめて初歩的ではありますが…

尊敬語を使うべき対象がおかしいのはダメ。「なさいたい」は尊敬語であるため、相手の行為にたいして使います。

したがって、

  • NG例文「私はどうしても営業がなさいたいです」

は間違い敬語です。

こうすると、あなたが自分で自分のことを高めてしまっています。あなたが「したい」であれば、

  • 正しい例文「私はどうしても営業がいたしたく存じます」
  • 正しい例文「私はどうしても営業がしたいです」
  • 正しい例文「私はどうしても営業がしたく存じます」

とするのが正解。

丁寧語「です・ます」を組み合わせると、より丁寧な敬語になる

「〜したい」の敬語変換(謙譲語・尊敬語・丁寧語)を使うときの注意点。

何度もしつこいですが…

丁寧語「です・ます」を謙譲語や尊敬語と組み合わせると、より丁寧な敬語フレーズになります。むしろビジネスシーンでは必ずといっていいほど組み合わせて使いますね。

たとえば、

  • 〜したい の謙譲語「〜いたしたく(存じる)」「〜したく存じる」は「存じます」
  • 〜したい の尊敬語「〜なさいたい」「〜されたい」は「〜なさいたいです」「〜されたいです」

のようにするとより丁寧な敬語となります。

〜したい の謙譲語・尊敬語を使ったビジネスメール全文