「何卒よろしくお願い申し上げます」「何卒よろしくお願いいたします」の違い、使い分け、目上の方への使い方、注意点について例文つきで誰よりも詳しく解説していく記事。
まずは基本として「申し上げます」「いたします」の意味は「申し上げる=言う」「いたす=する」となります。
敬語のなりたちは「申し上げる」は「言う」の謙譲語、「いたす」は「する」の謙譲語。
そうすると違いは「申す=言う」なのか「いたす=する」なのか、ということになります。果たして「お願い」に使うのは「言う」か「する」かどっちなの?を考えればわかります。
結論としては「どっちを使っても丁寧」ということになり、使い分けする必要はないのですが、詳しくは本文中にて解説していきます。
※長文になりますので、時間の無い方は「パッと読むための見出し」より目的部分へどうぞ。
“何卒宜しくお願い申し上げます・致します”は使い分けする必要なし
「何卒よろしくお願い申し上げます」「何卒よろしくお願いいたします」の使い分けに関して、結論は先に述べた通り「使い分けの必要はなく、どちらを使ってもよい」となります。
その根拠を述べていきます。
“申し上げます”と“致します”の違いは「言う or する」
「何卒よろしくお願い申し上げます」「何卒よろしくお願いいたします」の違いは「いたす」と「申す」の敬語と意味を理解しておくと簡単にわかります。
- 「いたす」は「する」の謙譲語
- 「申す」は「言う」の謙譲語
「何卒よろしくお願いいたします」は直訳すると「お願いをする」という意味になり、
「何卒よろしくお願い申し上げます」は直訳すると「お願いを言う」となります。
お願いは「する」なのか「言う」なのか?
結局のところ、違いを考える上でポイントとなるのは、
お願いは「する」ものなのか?
お願いは「言う」ものなのか?
ということになります。
常識的に考えると、お願いは「する」であって「言う」ではないはず。
ただし、これに関して答えはありません。お願いごとは「言う」ものだ、という人も中にはいらっしゃるでしょう。ということで、ごちゃごちゃと理屈をつけても虚しくなるだけなので省略します。結論としては、どちらも正しくとれます。
「申し上げます・致します」はどちらでも丁寧な敬語表現
結論として、意味としての違いはとくにありません(もちろん敬語の成り立ちは違います)。
「申し上げます」を使っても「いたします」を使っても、どちらでも丁寧な敬語表現です。
ちなみに私は「いたします」をメインで使いますが、メールが「いたします」ばかりになって気持ち悪いときに、「申し上げます」を使います。
「申し上げます」と「致します」の敬語解説
先ほどはシンプルに「申す」と「致す」の違いを比較しましたが、念のため「申し上げます」「致します」の敬語についても解説しておきます。
- 「言う」の謙譲語「申す」
- 敬意を添える補助動詞「上げる」
- 丁寧語「ます」
- 「する」の謙譲語「いたす」
- 丁寧語「ます」
それでもあえて使い分けするとしたら…
どうしても「何卒よろしくお願い申し上げます・いたします」を使い分けしないと気が済まない、というあなたへ。私の考える使い分け方法を解説します。
①「何卒よろしくお願いいたします」を中心に使う
まずは最もシンプルで、使いやすいのが「何卒よろしくお願いいたします」のほうです。いやいや「申し上げます」のほうが丁寧だ!という人もいますが、心底どちらでも構いません。
私がこのように考えるのは、「いたします」がビジネスメール・商談を問わずに使えるオールラウンダーな表現だから。「申し上げます」は商談で使うには少々、おおげさな表現であると考えます。
「何卒よろしくお願い申し上げます」を実際に発音してみるとよいでしょう。まるで時代劇をやってるみたいで、滑稽になりませんか?
②「いたします」が多すぎてくどいメールになるとき「申し上げます」を使う
先にも述べたとおり、私は「いたします」をメインで使いますが、メールが「いたします」ばかりになって気持ち悪いときに、「申し上げます」を使います。
ビジネスメールって決められた敬語表現ばかり使うため、何か似たような文章がツラツラと並んでしまうことがあるのですよね。こういうときに色々な表現の仕方を知っていると、くどいメールにならずに済みます。
③丁寧にしたい時は「何卒宜しくお願い申し上げます」を使う
これはもう、感覚的な話になるのですが…。
丁寧レベルとしては「何卒宜しくお願い申し上げます」のほうが高いような気がします。
理由はとくにありません。なんとな~く、です。ということで、謝罪メールなど恐縮するときには「何卒よろしくお願い申し上げます」を使うほうが、より丁寧な印象を与えることができるでしょう。
▼▼▼▼▼▼
ここまでで本題は終了。あとは蛇足になりますので、ご興味ある方だけどうぞ。
“何卒よろしくお願い申し上げます・致します”意味は「どうかお願いします」
「何卒よろしくお願い申し上げます」「何卒よろしくお願いいたします」について、一つ一つの言葉について意味をみていくと、
「何卒(なにとぞ)」の意味は「どうか・どうぞ・ぜひとも」。
「宜しく(よろしく)」の意味はとくに無し、辞書には「人に何かを頼んだりするときに添える言葉」とあります。
「お願い申し上げます・お願いいたします」の意味は文字通り「お願いを言う、お願いする」です。
これらの言葉を併せると「どうか、よろしくお願いします」という意味になります。
敬語の解説
つづいて「何卒よろしくお願い申し上げます・致します」を敬語としてみていきましょう。細かく分解していくと、こんな感じの成り立ちになります。
- 「何卒」は副詞、敬語ではない
- 「よろしく」も副詞、敬語ではない
- 「申し上げます」は「言う」の謙譲語「申す」+敬意を添えるための補助動詞丁寧語「上げる」+丁寧語「ます」
- 「致します」は「する」の謙譲語+丁寧語「ます」
これらを元に直訳すると「何卒よろしくお願いを言いいます・お願いをします」となります。
“何卒宜しくお願い申し上げます・致します”を使ったビジネスメール例文【全文】
つづいて「何卒よろしくお願い申し上げます・いたします」を使ったビジネスメールの例文を挙げていきます。どんなメールであれ、文末の締めくくりとして使える、とても便利な表現です。目上の方や取引先に対して使える文章にしていますので、ご参にどうぞ。
例文①送別会の案内メール(社内メール)
メール件名:○○さん送別会のご案内
メール本文:
各位
お疲れさまです。
この度、○○月○○日付けで、
営業部・○○さんが、退職されることとなりました。
つきまして、ささやかではありますが、
以下の要項にて送別会を開催したいと思います。
記
—————————————————————-
■日時:○○月○○日(○曜日)00:00~
■場所:新丸の内ビルディング・〜〜
→18時に東京本社ビル1F集合、徒歩で移動します。
■電話:000-000-0000
※参照URL:http://www.xxxx.com
■会費:男性0,000円/女性0,000円(お花代含む)
→会費は当日お支払いいただきます。
—————————————————————-
なお出欠につきましては、○月○日までに、
メール返信にてお知らせいただければ幸いです。
お忙しい中恐れ入りますが、
何卒よろしくお願い申し上げます。
メール署名
例文②就活の問い合わせメール
メール件名:2018年卒・新卒採用予定の有無(就活大学・就活一郎)
メール本文:
転職株式会社
採用担当者 様
突然のメールにて、大変失礼いたします。
私、現在就職活動をしております、就活大学・就活学科の就活一郎と申します。
この度は、今年度の新卒採用予定の有無について伺いたく、連絡いたしました。
もし貴社にて新卒採用のご予定がおありでしたら、応募したいと考えております。
お忙しい中、大変恐れ入りますが、
ご連絡のほど何卒宜しくお願いいたします。
メール署名
例文③転勤の挨拶(社内メール)
メール件名:転勤のご挨拶
メール本文:
皆さま
お疲れさまです。
さて私こと、
○月○日を持ちまして、○○支社に転勤することとなりました。
本社勤務中は大変お世話になり、誠にありがとうございました。
新天地においても、これまで以上に日々努力を重ねていきたいと思っております。
今後ともご指導、ご鞭撻のほど、
何卒よろしくお願い申し上げます。
メール署名
まとめ
これでもかというくらい「何卒よろしくお願い申し上げます」「何卒よろしくお願いいたします」の違いと使い分けについて語ってみました。
これはとても便利な表現で、「お願い・頼みごと・謝罪」をするシーンだけでなく、どんなビジネスメールの締めくくりにも使えます。
ぜひ、ありとあらゆる場面を経験し、使い倒してください。頭でどうこうなるものではないので、ビジネスシーンで場数を踏んでくださいね。ではでは~~。