「ご愛顧のほどお願い申し上げます」意味と使い方・例文

ここで少し横道にそれます。

「ご愛顧くださいますようお願い申し上げます」と似たような表現には、「ご厚誼」「お引き立て」「ご高配」「ご厚情」があります。

これって何が違うのでしょうか?

意味の違い

まずはそれぞれの意味の違いを簡単に。

  1. ご厚誼 = 親しいお付き合い
  2. ご高配 = お心遣い、お心配り
  3. ご厚情 = 厚い情け、心からの思いやり
  4. お引き立て=ひいきにすること、ご愛顧
  5. ご愛顧=ひいきにすること、お引き立て

「誼=親しみ」をつかった表現が「ご厚誼・ご交誼」

「配=配慮、心遣い、心配り」をつかった表現が「ご高配」

「情=情け、思いやり」をつかった表現が「ご厚情」ということになります。

それぞれ若干ですが違ったニュアンスであることがわかります。

使い分けについても少し考えてみましょう。

「ご厚誼/ご高配/ご厚情/お引き立て」は被らないように使い分け!

「ご厚誼」「ご高配」「ご厚情」「お引き立て」はビジネスシーンにおいてはどれを使っても丁寧です。

が、ひとつだけ注意点を。

ビジネスシーンに限らず年賀状・ハガキなど文章を書くときには、なんども同じ表現を使わないこと。たとえば「お引き立て」を挨拶文で使ったのであれば、結びは「ご厚情」を使うなどして使い分けしましょう

これはどんな文章においても共通のルールです(英語でもおなじ)。

悪い例にはたとえば以下のような文章があります。

  • 悪い例「本年中に賜りましたご厚誼を深謝いたしますとともに 明年も変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます」
  • 悪い例「今年○月 ○○○○が○○歳で永眠いたしました 本年中に賜りましたご厚情を深謝いたしますと共に 明年も変わらぬご厚情のほどお願い申し上げます」
  • 悪い例「拝啓 平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
    (中略)今後とも変わらぬご高配を賜りますようお願い申し上げます。 敬具」

なぜ似たような意味なのにこうも色々なフレーズがあるのかというと…言葉の重複をさけるためなのですよね。

「ご厚誼」「ご厚情」「ご高配」「お引き立て」を絶妙にかぶらないように使い分けすると綺麗な文章になります。

念のため悪い例を修正しておきましょう。

  • 良い例「本年中に賜りましたご厚情を深謝いたしますとともに 明年も変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます」
  • 良い例「今年○月 ○○○○が○○歳で永眠いたしました 本年中に賜りましたご厚情を深謝いたしますと共に 明年も変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます」
  • 良い例「拝啓 平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
    (中略)今後とも変わらぬお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。 敬具」

書き出しの挨拶でよく使う「ご高配」「お引き立て」+結び・締めによく使う「ご厚誼」「ご厚情」「ご愛顧」

これだけいろいろな言い換えがあると、一体どれを使ったらいいものか悩んでしまいますね…

そこでビジネス挨拶によく使われる順にならべておきましょう。

もっとも簡単に使い分けする方法は…

  1. 書き出しの挨拶では「ご高配」「お引き立て」を使うこと
    ※よく目にするのは「ご高配>お引き立て」の順
  2. 結び・締めくくりには「ご厚誼」「ご厚情」「ご愛顧」を使うこと
    ※よく目にするのは「ご厚誼>ご厚情 >ご愛顧」の順

こんな風に使い分けしていればどんなビジネス文書・ビジネスメールにも対応できますね。

すると…

「拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配(お引き立て)を賜り厚く御礼申し上げます。(本文)今後とも倍旧のご厚誼(ご厚情・ご愛顧)を賜りますようお願い申し上げます 敬具」

上記をテンプレート化してしまえばOKです。

ご愛顧のほどお願い申し上げます のビジネスメール

さいごに「ご愛顧のほどお願い申し上げます」を使ったビジネスメールや文書の例文を紹介します。

※「ご愛顧賜りますよう」「ご愛顧のほど」を使うのが一般的です。

社外あて退職報告・挨拶ビジネスメール例文

【to社外取引先・基本テンプレート】
・社外取引先に退職報告/挨拶をするビジネスメール例文
・営業や購買担当が取引先の商社マンに送るメール
・社外に報告するのは退職日や後任者などすべてのことが決まってからにする
・テンプレートとして使えるもっともシンプルな例文にしています

メール件名:退職のご挨拶(転職・ノマド)

のまど商事株式会社
営業部 国内営業課 ●● 様 (社外取引先)

大変ご無沙汰しております。
転職・ノマドでございます。

私事ではございますが、このたび、一身上の都合により×月▲日をもちまして(株)■■■■を退職いたします。

本来であれば直接伺いご挨拶すべきところメールでの連絡となりましたこと、深くお詫び申し上げます。

また、これまで何かとお力添えいただき心より感謝いたしております。今後、何かの縁でご一緒させていただく機会がございましたら、その際には宜しくお願い申し上げます。

なお、後任担当は下記のとおりとなります。
今後とも変わらぬご愛顧のほどお願い申し上げます。

【後任営業担当】

・所属:(株)転職 リテール営業部 国内営業課
・氏名:野間子 オーエル(のまこ おーえる)
・Email:xxx
・電話:xxx

末筆ながら、貴社のますますのご発展と●● 様のご多幸をお祈り申し上げます。

————–
メール署名
————–

社外取引先の挨拶メールには「ご支援ご鞭撻」「ご愛顧」といったフレーズをつかい、社内上司などの挨拶メールには「ご指導ご鞭撻」といったフレーズをつかう。

例文「サービス終了のお知らせ文書」

平成29年8月28日

株式会社ビジネス
ビジネス文書部 ビジネス太郎 様

〒123‐4567
東京都渋谷区○○1-1-1 渋谷ビル13F
株式会社レター文書
営業部
担当:転職 一郎
TEL/FAX:xxx-xxxx-xxxx/oooo
e-mail:shukatsu@shukatsu

●●サービス終了のお知らせ

拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、平成29年12月31日をもちまして下記のとおり●●のサービスを終了とさせて頂きます。お客様には大変ご不便をお掛け致しますが、何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。
より一層のサービス向上を目指しスタッフ一同、尽力して参ります。今後とも変わらぬご愛顧のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

敬具

・終了サービス      : iPhone 5サポート(平成29年12月31日にて終了)
・代替サービス      : iPhone 6以降のバージョンへ移行をお願いいたします

以上

参考記事

➡︎「ご高配」の意味とビジネスにふさわしい使い方・例文
➡︎「ご厚誼」の意味、目上・ビジネスにふさわしい使い方、例文
➡︎「ご厚情」の意味とビジネスにふさわしい使い方・例文
➡︎「ご厚誼」「ご交誼」「ご高配」「ご厚情」の意味と違い、使い分け