敬語「ご了解」のビジネスに最適な使い方すべて

「ご了解」の意味と敬語の種類、ビジネスに最適な使い方のすべてについて。

① 依頼「了解してください」は敬語でなんて言う?

② お礼「了解してくれてありがとう」を丁寧な敬語にすると?

③ 断り「了解できません」と言いたいのだけど…

④ 催促「了解してくれた?」を丁寧な敬語にすると?

⑤ 自分の行為「了解しました!」の敬語は?

メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職にはどんな敬語が好ましい?

…などなど。

ここでは敬語「ご了解」にまつわる疑問のすべてに答えを示していきます。

※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ。

“ご了解”の意味と敬語の種類

まずは「ご了解」のそもそもの意味と敬語の種類について。

了解の意味は”承認・了承すること”

了解(読み:りょうかい)の意味は…

「物事の内容や事情を理解して承認すること。了承。」

たとえば、

【例文】アポイントの了解メールを送る →「承認する」の意味

【例文】面談日程の件、了解いたしました →「承認する」の意味

のようにして使います。

ちなみに敬語は「了解」に尊敬語or謙譲語「お(ご)」で「ご了解」となります。

相手に「ご了解いただく」のであれば謙譲語としての使い方。

上司・目上・取引先などの「相手がご了解くださる」のであれば尊敬語としての使い方。

というように2パターンあります。

敬語”お(ご)”の使い方

ややこしいので基本的な敬語の使い方についてくわしく解説を。

じつは尊敬語と謙譲語にはどちらも「お(ご)」の使い方があります。

謙譲語としての「お(ご)」の使い方はたとえば、

  • 会議日程のご連絡
  • 忘年会開催のお知らせ
  • 販売状況のご報告
  • 転勤のご挨拶
  • 貴社ご訪問のお願い

こんな感じのフレーズがあります。よくビジネスメールの件名で目にする表現ですね。

ところが例文は自分が「ご連絡・お知らせ・ご報告・ご挨拶」するため「お(ご)」をつかうのはおかしいと感じるかたもいらっしゃることでしょう。

これは、

謙譲語「お(ご)」の使い方を知らないためにくる勘違いです。

尊敬語の「お(ご)」だと勘違いしているために間違い敬語と感じるのですが、実際にはどれも正しい敬語をつかっています。

いっぽうで尊敬語の「お(ご)」は「部長がお戻りになりました」などのようにして、相手の行為をうやまって使う敬語です。

“了解”の敬語①謙譲語

謙譲語の「お(ご)」は尊敬語の「お(ご)」と勘違いしやすい敬語です。

そこで「了解」とのセットで謙譲語となる形をまとめておきます。

①そもそも謙譲語とは…

敬語の一種であり、

謙譲語Ⅰ:自分側から相手側又は第三者に向かう行為・ものごとなどについて、その向かう先の人物を立てて述べるもの。

謙譲語Ⅱ:自分側の行為・ものごとなどを、話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。

の2種類あり。

  1. ご了解する
    ご了解します
    ※意味は(自分が)了解する
  2. 了解いたす
    了解いたします
    ※意味は(自分が)了解する
  3. ご了解いたす
    ご了解いたします
    ※意味は(自分が)了解する
  4. ご了解申し上げる
    ご了解申し上げます
    ※意味は(自分が)了解する
  5. ご了解いただく
    ご了解いただきます
    ※意味は(自分が相手に)了解してもらう
  6. 了解していただく
    了解していただきます
    ※意味は(自分が相手に)了解してもらう
  7. 了解させていただく
    了解させていただきます
    ※意味は(自分が)了解させてもらう
  8. ご了解させていただく
    ご了解させていただきます
    ※意味は(自分が)了解させてもらう

※「させていただく」は日本語としておかしい表現になる時もあり、何でもかんでも使える訳ではありません。

※丁寧語「ます」とくみあわせて「〜します」「〜いたします」とするのが丁寧な使い方です。ご留意ください。

ちなみに、これは文化庁の「敬語の指針」においても解説されています。私のような頭の悪い人には難しいのですが、ご興味ありましたら以下のリンクよりどうぞ。

“了解”の敬語②尊敬語

つづいて「了解」とのセットで尊敬語となる形をまとめておきます。

②そもそも尊敬語とは…

敬語の一種であり、相手側又は第三者の行為・ものごと・状態などについて、その人物を立てて述べるもの。

  1. ご了解だ
    ご了解です
    ※意味は(目上なり上司が)了解する
  2. ご了解になる
    ご了解になります
    ※意味は(目上なり上司が)了解する
  3. 了解される
    了解されます
    ※意味は(目上なり上司が)了解する
  4. 了解なさる
    了解なさいます
    ※意味は(目上なり上司が)了解する
  5. ご了解なさる
    ご了解なさいます
    ※意味は(目上なり上司が)了解する
  6. ご了解くださる
    ご了解くださいます
    ※意味は(目上なり上司が)了解してくれる

※丁寧語「ます」とくみあわせて「〜します」「〜いたします」とするのが丁寧な使い方ですのでご留意ください。

以上で基本事項のおさらいは終わり。

あとはビジネスシーンごとに使える敬語フレーズをまとめておきます。

依頼「了解してください」は敬語でなんて言う?

まずは依頼・お願いの敬語フレーズ。

目上や上司・取引先に「了解してください」「了解してほしい」と言いたいときに使える例文をご紹介。

これだけでもかなりのボリュームになるのですが…

①ご了解ください

依頼・お願い「了解してください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご了解ください」

意味は『了解してください』

「了解して」というフレーズを尊敬語「ご了解」に言い換えているため丁寧レベルとしては「了解してください」よりもだいぶマトモ。

ただやはり「〜ください」という命令形である点において、強い口調に感じられてしまうケースあり。

時と場合によっては目上・上司・取引先に不快感をあたえてしまいます。

気になるかたは言い換え例文②以降をつかいましょう。

ちなみに”ご了解ください”の敬語は以下のようになりたちます。

  • もとになる単語「了解」に尊敬語”お(ご)”で「ご了解
  • さらに「くれる」の尊敬語”くださる”で「ご了解くださる
  • さらに命令形にして”ご了解ください”

※ 漢字表記「下さい」vs ひらがな表記「ください」はどちらもOK

このようにして元になる語「了解する」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。

②ご了解くださいませ

依頼・お願い「了解してください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご了解くださいませ」

意味は『了解してください』

尊敬語「ご了解くださる」に丁寧語”ます”の命令形「ませ」をつかい丁寧な敬語フレーズにしています。

命令形である点において「了解してください」とたいして違いはありませんが、丁寧語「ませ」を添えることで、よりやわらかい印象となりますね。

「〜くださいませ」は女性がよくつかうフレーズであるため、女性敬語だと言われることもあります。

ただ実際には男性であろうと女性であろうと違和感なくつかえます。

③ご了解いただければと存じます

依頼・お願い「了解してください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご了解いただければと存じます」

意味は『了解してもらえたらと思います』

「~してもらえたらと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。

「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」を可能形にして「お(ご)~いただける」とし、さらに仮定の「たら・れば」をくっつけています。

「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」

④ご了解いただきたく存じます

依頼・お願い「了解してください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご了解いただきたく存じます」
    意味は『了解してもらいたいと思います』

あるいはシンプルに、

  • 例文「ご了解いただきたく、お願い致します」
  • 例文「ご了解をお願い致します」

としても丁寧です。

「~してもらいたいと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

「いただきたく」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+願望の「~たい」

「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」

というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。

⑤ご了解いただければ幸いです

依頼・お願い「了解してください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご了解いただければ幸いです」

意味は『了解してもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ』

つまり『了解してもらえたら嬉しいです』

ようするに「了解してほしい!」「了解してください!」という依頼・お願いをあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。

そこで遠まわしに「了解してもらえたら嬉しいです」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。

「~いただければ幸いです」という敬語フレーズはお願い・依頼のビジネスメールでよく使います。

ほかにも似たような敬語には以下のようなフレーズもあります。

  • 例文「ご了解いただけますと幸いです」
  • 例文「ご了解いただけましたら幸いです」
  • 例文「ご了解いただけますと幸甚に存じます」
  • 例文「ご了解いただけましたら幸甚に存じます」
  • 例文「ご了解いただければ幸甚に存じます」
  • 例文「ご了解いただけますと幸いです」
  • 例文「ご了解いただけますと幸甚に存じます」

補)幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

補)”幸いです”の意味は「嬉しいです、幸せです」

【敬語の補足】

※「お(ご)〜いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にし「いただける」として、さらに仮定「たら・れば」をくっつけた敬語

※「お(ご)〜いただけますと」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にし「いただける」として、さらに丁寧語”ます”をくっつけた敬語

※「お(ご)〜いただけましたら」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にし「いただける」として、さらに丁寧語”ます”をくっつけ、さらに仮定「たら・れば」をくっつけた敬語

⑥ご了解くださいますようお願い申し上げます

依頼・お願い「了解してください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご了解くださいますようお願い申し上げます」
  • 例文「ご了解くださいますようお願い致します」

意味は『了解してくれるようお願いします』

とくにビジネスメール結び・締めにつかわれる敬語です。

※「お願い申し上げます = お願い致します」に言い換えOK

ようするに「了解してほしい!」「了解してください!」という依頼・お願いをあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。

そこで遠まわしに「了解してくれるようにお願い!」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。

ちなみに「ますよう」は「①ます+②よう(様)」という2つの単語からなります。

まず前半部分の「ます」はシンプルに丁寧語の「ます」

つづいて後半の「よう(様)」の意味はいろいろありますが…

ここでは「婉曲 (えんきょく) な命令・希望の意を表す」言葉として使われます。

希望をあらわす「よう(様)」にはたとえば、

  • 【例文】時間に遅れないよう、ご留意ください
  • 【例文】部長に怒られないように気をつける
  • 【例文】風邪などお召しになりませんように

などあり。

ちなみに「ように」でも「よう」でも正しい日本語ですが、「ご了解くださいますようにお願い申し上げます」はあまり一般的ではありません。

また表記は漢字「ます様に」でも平仮名「ますように」でも、どちらも正しい日本語です。

⑦ご了解いただきますよう・賜りますよう〜

依頼・お願い「了解してください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご了解いただきますようお願い申し上げます」
  • 例文「ご了解いただけますようお願い申し上げます」
  • 例文「ご了解賜りますようお願い申し上げます」

意味はどちらも『了解してもらうようお願いします』

とくにビジネスメール結び・締めにつかわれる敬語です。

※「お願い申し上げます」は「お願い致します」に言い換えOK

「~いただきますよう」「~賜りますよう」の意味はどちらも「〜してもらうように」

ようするに「了解してほしい!」「了解してください!」という依頼・お願いをあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。

そこで遠まわしに「了解してもらうようにお願い!」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。

目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なフレーズですね。

ちなみに、

賜る(たまわる)という敬語のほうがよりカチッとした表現になりますので、文書など公式なビジネスシーンではかならず「賜る」を使います。

普段のメールであれば「いただきますよう」でOK。

「くださいますよう」「いただきますよう・いただけますよう・賜りますよう」はニュアンスが違うものの、どれも結局のところ「~してほしい」と言いたいので同じです。

なお「ご了承賜りますよう~」というように「」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。

【敬語の補足】

※「お(ご)〜いただきますよう」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」+丁寧語”ます”+”ように(様に)”

※「お(ご)〜賜りますよう」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~賜る」+丁寧語”ます”+”ように(様に)”

⑧ご了解のほどお願い申し上げます

依頼・お願い「了解してください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご了解のほどお願い申し上げます」
  • 例文「ご了解のほどお願い致します」

意味は「了解してくれるようお願いします」

とくにビジネスメール結び・締めにつかわれる敬語です。

※「お願い申し上げます」は「お願い致します」に言い換えOK

ここで「ご了解のほど」の「のほど」は限定を避ける言い方で、意味としては「〜してもらうよう」「〜してくれるよう」と考えることができます。

断定をさけて表現をやわらげるのに用いる語です。

たとえば、

  1. ご査収のほどお願い申し上げます
    意味「よく中身を確認して受け取るよう、お願い」
  2. お取り計らいのほどお願い申し上げます
    意味「物事をうまく進めてくれるよう、お願い」
  3. ご連絡のほどお願い申し上げます
    意味「連絡してくれるよう、お願い」
  4. ご了承のほどお願い申し上げます
    意味「納得してくれるよう、お願い」

などのようにして使います。

これらはもともと「●●してください」という命令形なのですが、「〜のほど」を使うことによって相手に強制しないやんわ〜りとした表現となっています。

ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。

先ほどとおなじく「お願い申し上げます」は「お願いいたします」「お願い致します」と言い換えできます。

⑨~その他いろいろな言い換え敬語

敬語の種類というのは本当にいろいろあります。

ほんの一例ですが他にもある使い方を例文にまとめておきます。

  • 例文「ご了解をお願い致します
    ※意味は「了解をお願いする」
  • 例文「ご了解いただきたく、お願い致します
    意味は「了解してほしい、お願いします」
  • 例文「ご了解いただけましたら幸いです
    ※意味は「了解してもらえたら嬉しいです」
  • 例文「ご了解いただけましたら幸甚に存じます
    ※意味は「了解してもらえれば嬉しく思います」
  • 例文「ご了解いただければ幸甚に存じます
    ※意味は「了解してもらえれば嬉しく思います」
  • 例文「ご了解いただけますと幸いです
  • 例文「ご了解いただけますと幸甚に存じます
  • 例文「ご了解賜りますと幸いです
  • 例文「ご了解賜りますと幸甚に存じます
  • 例文「ご了解賜れましたら幸いです
  • 例文「ご了解賜れましたら幸甚に存じます
・「存じる」は「思う」の謙譲語
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+願望「~たい」
・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」
・幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

ただし”ご了承・ご容赦・ご承諾”に言い換えるのが普通

ただし冒頭でも述べたとおり、

ビジネスシーンで上司や目上・取引先になにか了解してもらいたいときには、以下のフレーズに言い換えるのが一般的。

  1. ご了承(りょうしょう)= 事情をくんで納得すること
  2. ご承諾(しょうだく)= 受け入れること、認めること
  3. ご承認(しょうにん)= 認めること(公式に認めるの意味がつよい)
  4. ご容赦(ようしゃ)= 許すこと

をつかうのが普通です。

「了解」をつかっても失礼ということでは無いのですが…ほとんど見たことがありませんね。

お礼「了解してくれてありがとう」を敬語で言うと?

つづいてお礼の敬語フレーズ。

目上や社内上司・社外取引先に「了解してくれてありがとう」「ご了解ありがとう」と言いたいときに使える例文をご紹介。

※ あくまでも目安としてお考えください。

『ご了解いただきありがとうございます』

お礼・感謝のビジネス敬語フレーズ(基礎編)

  • 例文『ご了解いただきありがとうございます』
  • 例文『ご了解いただきまして、ありがとうございます』

あるいはシンプルに、

  • 例文『ご了解ありがとうございます』

としてもまぁOKです。

意味はどれも『了解してもらいありがとう』

お礼・感謝の意をあらあわすフレーズとしてはもっともオーソドックスな敬語です。

会話シーンではもちろんのことビジネスメールにもつかえる丁寧なフレーズであり、社内上司・目上・取引先にも丁寧ですね。

【敬語の補足】

※「お(ご)〜いただく」は「〜してもらう」の敬語(謙譲語)

『ご了解くださいましてありがとうございます』

お礼・感謝のビジネス敬語フレーズ(基礎編)

  • 例文『ご了解くださいましてありがとうございます』

あるいはシンプルに、

  • 例文『ご了解くださり、ありがとうございます』

としても丁寧です。

意味はどれも『了解してくれてありがとう』

こちらもビジネスメールでよく目にする敬語フレーズですね。目上や上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語です。

ちなみに「ご了解くださいましてありがとう」よりも先ほどの例文「ご了解いただき〜」をつかう方が、よりやわらかい印象の敬語になります。

丁寧な対応を心がけたいときには「ご了解いただく」をオススメします。

【敬語の補足】

※「お(ご)〜くださる」は「〜してくれる」の敬語(尊敬語)

『ご了解賜りありがとうございます』

お礼・感謝のビジネス敬語フレーズ(基礎編)

  • 例文『ご了解賜りありがとうございます』
  • 例文『ご了解賜りまして、ありがとうございます』

※「賜り」の読みは「たまわり」

意味はどれも『了解してもらいありがとう』

「いただきありがとう」と「賜りありがとう」は意味としては同じ。

よりカチッとした敬語、堅苦しい敬語は「賜りありがとう」のほうです。

普段のビジネスメールであれば「いただきありがとう」で十分に丁寧。

手紙・年賀状・冠婚葬祭やビジネス文書・公式なビジネスメールのときには「賜る」をよく使います。

【敬語の補足】

※「お(ご)~賜る」は「~してもらう」の謙譲語

“ありがとう”だけじゃないお礼の敬語フレーズ

ここまではビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)でオーソドックスに使えるお礼・感謝の敬語フレーズを紹介しました。

ただ、

お礼するときにいつも「ありがとうございます」を使っていてはビジネス敬語ビギナー。

ここからは「ありがとう」だけじゃないお礼・感謝の敬語フレーズを紹介します。

『感謝申し上げます』など

「ありがとう」だけじゃないお礼・感謝の敬語フレーズ

「感謝」をつかった例文を。

  • 【例文】ご了解いただき感謝申し上げます
  • 【例文】ご了解いただき感謝いたしております
  • 【例文】ご了解いただき感謝いたします

※「ご了解くださり感謝〜」「ご了解くださいまして感謝〜」に言い換えても丁寧

※「ご了解賜り感謝〜」「ご了解賜りまして感謝〜」だとより丁寧

意味はどれも似たようなもの。

ようは「了解してもらいありがとう!」「了解してくれてありがとう!」と言いたいのですが…

丁寧な敬語をつかうとこんな風にややこしい表現になります。

【敬語の補足】

※「お(ご)~いただく」は「~してもらう」の敬語(謙譲語)

※「いたします」は「する」の謙譲語”いたす”+丁寧語”ます”

※「いたしております」は「する」の謙譲語”いたす”+「いる」の謙譲語”おる”+丁寧語”ます”

『深謝いたします』など

「ありがとう」だけじゃないお礼・感謝の敬語フレーズ

「深謝=深く感謝すること」をつかった例文を。

  • 例文「ご了解いただき深謝いたしております」
  • 例文「ご了解いただき深謝いたします」

※「ご了解くださり深謝〜」「ご了解くださいまして深謝〜」に言い換えても丁寧

※「ご了解賜り深謝〜」「ご了解賜りまして深謝〜」だとより丁寧

意味はどれも似たようなも。

ようは「了解してもらい本当にありがとう!」「了解してくれて本当にありがとう!」と言いたいのですが…

丁寧な敬語をつかうとこんな風にややこしい表現になります。

【敬語の補足】

※「いたします」は「する」の謙譲語”いたす”+丁寧語”ます”

※「いたしております」は「する」の謙譲語”いたす”+「いる」の謙譲語”おる”+丁寧語”ます”

『お礼申し上げます』など

「ありがとう」だけじゃないお礼・感謝の敬語フレーズ

「お礼申し上げます」をつかった例文を。

  • 【例文】ご了解いただきお礼申し上げます
  • 【例文】ご了解いただき厚くお礼申し上げます

※「ご了解くださり・ご了解くださいましてお礼〜」に言い換えても丁寧

※「ご了解賜り・ご了解賜りましてお礼〜」だとより丁寧

意味はどれも似たようなもの。

ようは「了解してもらいお礼します!」「了解してくれてお礼します!」と言いたいのですが…丁寧な敬語をつかうとこんな風にややこしい表現になります。

お礼フレーズ参考記事

ただし”ご了承・ご容赦・ご承諾”に言い換えるのが普通

ただし冒頭でも述べたとおり、

ビジネスシーンで上司や目上・取引先になにか了解してもらったお礼には、以下のフレーズに言い換えるのが一般的。

  1. ご了承(りょうしょう)= 事情をくんで納得すること
  2. ご承諾(しょうだく)= 受け入れること、認めること
  3. ご承認(しょうにん)= 認めること(公式に認めるの意味がつよい)
  4. ご容赦(ようしゃ)= 許すこと

をつかうのが普通です。

「了解」をつかっても失礼ということでは無いのですが…ほとんど見たことがありませんね。

断り「了解できません」は敬語でなんて言う?

つづいて断りの敬語フレーズ。

目上や社内上司・社外取引先に「了解できません!」「了解は無理です!」と言いたいときに使える例文をご紹介。

ご了解いたしかねます

断り「了解できません!」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】ご了解いたしかねます

意味は「了解することができません」

ようは「了解できません!」ということなのですが、このままではあまりにストレートすぎて強い口調に感じられてしまいます。上司や目上・取引先につかうにはイマイチですね。

そこで、

「~いたしかねます」という敬語をつかうことで、より丁寧な断りのフレーズにしています

ここで「〜いたしかねる(兼ねる)」は「~することができない」という意味の敬語。否定語であり「〜しかねる」の謙譲語です。

たとえば、

  • 【例文】お受けいたしかねます
    意味は「引き受けることができません」
  • 【例文】出席いたしかねます
    意味は「出席することができません」
  • 【例文】ご対応いたしかねます
    意味は「対応することができません」

などのようにして使います。ビジネスメールでは例文のように丁寧語「ます」をくっつけて「〜いたしかねます」として使うのが一般的。

【敬語の補足】

※「お(ご)~いたしかねます」は「~する」の謙譲語「お(ご)~いたす」に否定語”~かねる”をくっつけ、さらに丁寧語”ます”をくっつけた敬語

ご要望に添いかねます

断り「了解できません!」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】ご要望に添いかねます

意味は「要望に添うことができません」

使い方は「ご了解いたしかねます」と似たようなもの。

ようは「あなたの要望には応えることができません!」ということなのですが、このままだと上司や目上・取引先につかうにはイマイチ。

そこで、

「~いたしかねます=~することができません」という敬語をつかうことで、より丁寧な断りのフレーズにしています

その他「ご了解することが叶いません」など

断り「了解できません!」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】xxにより、ご了解することが叶いません
  • 【例文】xxのため、ご了解することが大変困難な状況でございます

意味は「了解することができない or 難しい」

※「叶いません」は「したいけどできない」のようなニュアンス

使い方は「ご了解いたしかねます」と似たようなもの。

ようは「あなたの要望には応えることができません!」ということなのですが、このままだと上司や目上・取引先につかうにはイマイチ。

そこで直接的ではない、遠まわしに断るためのフレーズをつかっています。

ただし”ご了承・ご容赦・ご承諾”に言い換えるのが普通

ただし・・・

ビジネスシーンでは「了解」ではなく以下のフレーズに言い換えるのが一般的。

  1. ご了承(りょうしょう)= 事情をくんで納得すること
  2. ご承諾(しょうだく)= 受け入れること、認めること
  3. ご承認(しょうにん)= 認めること(公式に認めるの意味がつよい)
  4. ご容赦(ようしゃ)= 許すこと

をつかうのが普通です。

「了解」をつかっても失礼ということでは無いのですが…ほとんど見たことがありませんね。

丁寧な断りのフレーズいろいろ

上司や目上・取引先につかえる丁寧な断りの敬語フレーズは他にもいろいろあり。

飲み会の誘いを断るのであれば「~は遠慮させていただきます

仕事の依頼を断るのであれば「~を見送らせていただきます

内定を辞退するのであれば「内定を辞退いたします

・・・などなど

ビジネスシーンごとにふさわしいフレーズがあります。

以下の記事もご参考にどうぞ。

催促「了解してくれた?」を丁寧にすると?

つづいて催促・確認の敬語フレーズ。

目上や社内上司・社外取引先に「了解してくれた?」「了解してもらった?」と言いたいときに使える例文をご紹介。

ご了解いただけましたか?

催促・確認「了解してくれたの?」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】ご了解いただけましたか?

意味は「了解してもらえましたか」

ようするに「すでに了解したのか?」「もう了解したのか?」という催促や確認の意味をあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司・取引先に使うにはイマイチです。

そこで遠まわりに「~していただけましたか?=~してもらえましたか?」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。

そんなに丁寧に催促する必要あるの?って思うくらい。

目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。

敬語について解説していると日がくれるため…

わかりやすく以下の例文をそれぞれ見比べてみましょう。

  • 【例文】すでに返事したのか? vs. お返事いただけましたか?
  • 【例文】すでに対応したのか? vs. ご対応いただけましたか?
  • 【例文】すでに予約したのか? vs. ご予約いただけましたか?

どちらが丁寧に感じられるかは一目瞭然ですね。

【敬語の補足】

※「お(ご)~いただけましたか?」は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にして「いただける」とし、丁寧語の過去疑問形”ましたか?”をくっつけた敬語。

※現在形「お(ご)~いただけますか?」をつかうと「~してもらえますか?」というお願い・依頼の敬語フレーズとなる。

ご了解いただけましたでしょうか?

催促・確認「了解してくれたの?」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】ご了解いただけましたでしょうか?

意味は「了解してもらえたでしょうか」

※ “でしょうか?”は「だろうか?」の丁寧語(敬語)

意味や使い方は「ご了解いただけましたか?」と似たようなものなので省略。

「ご了解いただけましたか」よりも「ご了解いただけましたでしょうか」のほうが丁寧。

ただし、結局のところどちらも上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語です。

あまり気にせず、あなたのお好みでお使いください。

【敬語の補足】

※現在形「お(ご)~いただけますでしょうか?」をつかうと「~してもらえるだろうか?」というお願い・依頼の敬語フレーズとなる。

その他「ご了解くださいましたか」など

催促・確認「了解してくれたの?」と言いたいときに使える敬語フレーズ

他にはたとえば、

  • 【例文】ご了解くださいましたか?
  • 【例文】ご了解くださいましたでしょうか?
    → 意味は「了解してくれましたか?/了解してくれたでしょうか?」

あるいは、

  • 【例文】ご了解いただましたか?
  • 【例文】ご了解いただましたでしょうか?
    → 意味は「了解してもらいましたか?/了解してもらったでしょうか?」

としてもまぁOKです。

※ “でしょうか?”は「だろうか?」の丁寧語(敬語)

意味や使い方は「ご了解いただけましたか?」と似たようなものなので省略。

どれもまぁ上司・目上・社外取引先につかえる敬語です。

が、あまり一般的ではなくおとなしく「ご了解いただけましたか?」「ご了解いただけましたでしょうか?」のいずれかを使うことをオススメします。

【敬語の補足】

※「お(ご)~くださいましたか?」は「~してくれる」の尊敬語「お(ご)~くださる」に丁寧語の過去疑問形”ましたか?”をくっつけた敬語。さらに「だろうか」の丁寧語”でしょうか”をくっつけると「お(ご)~くださいましたでしょうか?」という敬語となる。

※「お(ご)~いただきましたか?」は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」に丁寧語の過去疑問形”ましたか?”をくっつけた敬語。さらに「だろうか」の丁寧語”でしょうか”をくっつけると「お(ご)~いただきましたでしょうか?」という敬語となる。

ただし”ご了承・ご容赦・ご承諾”に言い換えるのが普通

ただし・・・

ビジネスシーンでは「了解」ではなく以下のフレーズに言い換えるのが一般的。

  1. ご了承(りょうしょう)= 事情をくんで納得すること
  2. ご承諾(しょうだく)= 受け入れること、認めること
  3. ご承認(しょうにん)= 認めること(公式に認めるの意味がつよい)
  4. ご容赦(ようしゃ)= 許すこと

をつかうのが普通です。

「了解」をつかっても失礼ということでは無いのですが…ほとんど見たことがありませんね。

自分の行為「了解しました!」の敬語は?

つづいて自分の行為につかえる敬語フレーズ。

自分が「了解しました!」と言いたいときに使える例文をご紹介。

承知しました/承知いたしました

自分の行為「了解しました」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】承知しました
  • 【例文】承知いたしました

意味はどちらも「わかりました・了解しました」

※ひらがな表記「いたします」vs.漢字表記「致します」はどちらもOK

了解するということはつまり「承知する」ことなので言い換えることができます。

「承知」の意味は…

  1. 目上の人の命令などをうけたまわること
  2. 相手の願い、要求などを聞き入れること
  3. わかること、知ること

承知=知る+承る(うけたまわる)でなりたちます。

「了解」をつかっても失礼ということでは無いのですが…ほとんど見たことがありませんね。

“ご了解いただく vs ご了解くださる”の使い方

ややこしいので「ご了解いただく vs ご了解くださる」の使い方について。

代表的なパターンを表にまとめておきます。

こまかく解説していくとそれだけで記事がおわってしまいますので、目的にあわせてお使いください。

“ご了解いただく”の使い方まとめ(すべて敬語)

①基本 ②+丁寧語”ます” ③その他
現 在 ご了解いただく ご了解いただきます -頂くよう
-頂きますよう
過 去 ご了解いただいた ご了解いただきました ×
進行形 ご了解いただいている ご了解いただいています -頂いております
過去~現在 ご了解いただいていた ご了解いただいていました -頂いておりました
希 望
依 頼
ご了解いただきたい
ご了解いただきたく
ご了解いただくよう
ご了解いただけるよう
ご了解いただきたいです
×
ご了解いただきますよう
ご了解いただけますよう
-頂きたく思います
-頂きたくお願いします
-頂きたく存じます
-頂ければと存じます
可 能 ご了解いただける ご了解いただけます -頂けるよう
-頂けますよう
①仮定
②仮定+可能
①ご了解いただいたら
②ご了解いただければ
①ご了解いただきましたら
②ご了解いただけましたら
×
①疑問+過去
②疑問+可能
③疑+
可+過
①ご了解いただいたか?
②ご了解いただけるか?
③ご了解いただけたか?
ご了解いただきましたか?
ご了解いただけますか?
ご了解いただけましたか?
-頂きましたでしょうか
-頂けますでしょうか
-頂けましたでしょうか
禁 止 ご了解いただけない ご了解いただけません ×
命 令 × × ×

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。

※ 「頂く」「いただく」は漢字でも平仮名でもOK

※「×」としたのは一般的につかわない

“ご了解くださる”の使い方まとめ(すべて敬語)

①基本 ②+丁寧語”ます” ③その他
現 在 ご了解くださる ご了解くださいます -くださるよう
-くださいますよう
過 去 ご了解くださった ご了解くださいました ×
進行形 ご了解くださっている ご了解くださっています -くださっております
過去~現在 ご了解くださっていた ご了解くださっていました -くださっておりました
希 望
ご了解くださるよう ご了解くださいますよう ×
可 能 × × ×
仮 定 × × ×
疑 問 ご了解くださるか? ご了解くださいますか? ×
否 定 ご了解くださらない ご了解くださいません ×
命 令 ご了解ください ご了解くださいませ ×

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります

※ 「下さる」「くださる」は漢字でも平仮名でもOK

※「×」としたのは一般的につかわない