敬語「ご理解」のビジネスに最適な使い方すべて

「ご理解」の意味と敬語の種類、ビジネスに最適な使い方のすべてについて。

① 依頼「理解してください」は敬語でなんて言う?

② お礼「理解してくれてありがとう」を丁寧な敬語にすると?

③ 断り「理解できません」と言いたいのだけど…

④ 催促「理解してくれた?」を丁寧な敬語にすると?

⑤ 自分の行為「理解しました!」の敬語は?

メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職にはどんな敬語が好ましい?

…などなど。

ここでは敬語「ご理解」にまつわる疑問のすべてに答えを示していきます。

※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ。

“ご理解”の意味と敬語の種類

まずは「ご理解」のそもそもの意味と敬語の種類について。

“理解”の意味は「①内容をのみこむこと・②察すること」

「理解」のそもそもの意味は…

  1. 物事の道理や筋道が正しくわかること。意味・内容をのみこむこと
  2. 他人の気持ちや立場を察すること

たとえば、

【例文】プレゼンの内容はご理解いただけましたか?→「内容をのみこむ」の意味

【例文】社長の苦労を理解する→「察する」の意味

のようにして使います。

ちなみに敬語は「理解」に尊敬語or謙譲語「お(ご)」で「ご理解」となります。

「自分がご理解する」あるいは相手に「ご理解いただく」のであれば謙譲語としての使い方。

上司・目上・取引先などの「相手がご理解くださる」のであれば尊敬語としての使い方。

というように2パターンあります。

敬語”お(ご)”の使い方

ややこしいので基本的な敬語の使い方についてくわしく解説を。

じつは尊敬語と謙譲語にはどちらも「お(ご)」の使い方があります。

謙譲語としての「お(ご)」の使い方はたとえば、

  • 会議日程のご連絡
  • 忘年会開催のお知らせ
  • 販売状況のご報告
  • 転勤のご挨拶
  • 貴社ご訪問のお願い

こんな感じのフレーズがあります。よくビジネスメールの件名で目にする表現ですね。

ところが例文は自分が「ご連絡・お知らせ・ご報告・ご挨拶」するため「お(ご)」をつかうのはおかしいと感じるかたもいらっしゃることでしょう。

これは、

謙譲語「お(ご)」の使い方を知らないためにくる勘違いです。

尊敬語の「お(ご)」だと勘違いしているために間違い敬語と感じるのですが、実際にはどれも正しい敬語をつかっています。

いっぽうで尊敬語の「お(ご)」は「部長がお戻りになりました」などのようにして、相手の行為をうやまって使う敬語です。

“理解”の敬語①謙譲語

謙譲語の「お(ご)」は尊敬語の「お(ご)」と勘違いしやすい敬語です。

そこで「理解」とのセットで謙譲語となる形をまとめておきます。

①そもそも謙譲語とは…

敬語の一種であり、

謙譲語Ⅰ:自分側から相手側又は第三者に向かう行為・ものごとなどについて、その向かう先の人物を立てて述べるもの。

謙譲語Ⅱ:自分側の行為・ものごとなどを、話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。

の2種類あり。

  1. ご理解する
    ご理解します
    ※意味は(自分が)理解する
  2. 理解いたす
    理解いたします
    ※意味は(自分が)理解する
  3. ご理解いたす
    ご理解いたします
    ※意味は(自分が)理解する
  4. ご理解申し上げる
    ご理解申し上げます
    ※意味は(自分が)理解する
  5. ご理解いただく
    ご理解いただきます
    ※意味は(自分が相手に)理解してもらう
  6. 理解していただく
    理解していただきます
    ※意味は(自分が相手に)理解してもらう
  7. 理解させていただく
    理解させていただきます
    ※意味は(自分が)理解させてもらう
  8. ご理解させていただく
    ご理解させていただきます
    ※意味は(自分が)理解させてもらう

※「させていただく」は日本語としておかしい表現になる時もあり、何でもかんでも使える訳ではありません。

※丁寧語「ます」とくみあわせて「〜します」「〜いたします」とするのが丁寧な使い方です。ご留意ください。

ちなみに、これは文化庁の「敬語の指針」においても解説されています。私のような頭の悪い人には難しいのですが、ご興味ありましたら以下のリンクよりどうぞ。

“理解”の敬語②尊敬語

つづいて「理解」とのセットで尊敬語となる形をまとめておきます。

②そもそも尊敬語とは…

敬語の一種であり、相手側又は第三者の行為・ものごと・状態などについて、その人物を立てて述べるもの。

  1. ご理解だ
    ご理解です
    ※意味は(目上なり上司が)理解する
  2. ご理解になる
    ご理解になります
    ※意味は(目上なり上司が)理解する
  3. 理解される
    理解されます
    ※意味は(目上なり上司が)理解する
  4. 理解なさる
    理解なさいます
    ※意味は(目上なり上司が)理解する
  5. ご理解なさる
    ご理解なさいます
    ※意味は(目上なり上司が)理解する
  6. ご理解くださる
    ご理解くださいます
    ※意味は(目上なり上司が)理解してくれる

※丁寧語「ます」とくみあわせて「〜します」「〜いたします」とするのが丁寧な使い方ですのでご留意ください。

以上で基本事項のおさらいは終わり。

あとはビジネスシーンごとに使える敬語フレーズをまとめておきます。

依頼「理解してください」は敬語でなんて言う?

まずは依頼・お願いの敬語フレーズ。

目上や上司・取引先に「理解してください」「理解してほしい」と言いたいときに使える例文をご紹介。

これだけでもかなりのボリュームになるのですが…

①ご理解ください

依頼・お願い「理解してください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご理解ください」

意味は『理解してください』

「理解して」というフレーズを尊敬語「ご理解」に言い換えているため丁寧レベルとしては「理解してください」よりもだいぶマトモ。

ただやはり「〜ください」という命令形である点において、強い口調に感じられてしまうケースあり。

時と場合によっては目上・上司・取引先に不快感をあたえてしまいます。

気になるかたは言い換え例文②以降をつかいましょう。

ちなみに”ご理解ください”の敬語は以下のようになりたちます。

  • もとになる単語「理解」に尊敬語”お(ご)”で「ご理解
  • さらに「くれる」の尊敬語”くださる”で「ご理解くださる
  • さらに命令形にして”ご理解ください”

※ 漢字表記「下さい」vs ひらがな表記「ください」はどちらもOK

このようにして元になる語「理解する」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。

②ご理解くださいませ

依頼・お願い「理解してください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご理解くださいませ」

意味は『理解してください』

尊敬語「ご理解くださる」に丁寧語”ます”の命令形「ませ」をつかい丁寧な敬語フレーズにしています。

命令形である点において「理解してください」とたいして違いはありませんが、丁寧語「ませ」を添えることで、よりやわらかい印象となりますね。

「〜くださいませ」は女性がよくつかうフレーズであるため、女性敬語だと言われることもあります。

ただ実際には男性であろうと女性であろうと違和感なくつかえます。

③ご理解いただければと存じます

依頼・お願い「理解してください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご理解いただければと存じます」

意味は『理解してもらえたらと思います』

「~してもらえたらと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。

「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」を可能形にして「お(ご)~いただける」とし、さらに仮定の「たら・れば」をくっつけています。

「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」

④ご理解いただきたく存じます

依頼・お願い「理解してください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご理解いただきたく存じます」
    意味は『理解してもらいたいと思います』

あるいはシンプルに、

  • 例文「ご理解いただきたく、お願い致します」
  • 例文「ご理解をお願い致します」

としても丁寧です。

「~してもらいたいと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

「いただきたく」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+願望の「~たい」

「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」

というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。

⑤ご理解いただければ幸いです

依頼・お願い「理解してください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご理解いただければ幸いです」

意味は『理解してもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ』

つまり『理解してもらえたら嬉しいです』

ようするに「理解してほしい!」「理解してください!」という依頼・お願いをあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。

そこで遠まわしに「理解してもらえたら嬉しいです」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。

「~いただければ幸いです」という敬語フレーズはお願い・依頼のビジネスメールでよく使います。

ほかにも似たような敬語には以下のようなフレーズもあります。

  • 例文「ご理解いただけますと幸いです」
  • 例文「ご理解いただけましたら幸いです」
  • 例文「ご理解いただけますと幸甚に存じます」
  • 例文「ご理解いただけましたら幸甚に存じます」
  • 例文「ご理解いただければ幸甚に存じます」
  • 例文「ご理解いただけますと幸いです」
  • 例文「ご理解いただけますと幸甚に存じます」

補)幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

補)”幸いです”の意味は「嬉しいです、幸せです」

【敬語の補足】

※「お(ご)〜いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にし「いただける」として、さらに仮定「たら・れば」をくっつけた敬語

※「お(ご)〜いただけますと」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にし「いただける」として、さらに丁寧語”ます”をくっつけた敬語

※「お(ご)〜いただけましたら」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にし「いただける」として、さらに丁寧語”ます”をくっつけ、さらに仮定「たら・れば」をくっつけた敬語

⑥ご理解くださいますようお願い申し上げます

依頼・お願い「理解してください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご理解くださいますようお願い申し上げます」
  • 例文「ご理解くださいますようお願い致します」

意味は『理解してくれるようお願いします』

とくにビジネスメール結び・締めにつかわれる敬語です。

※「お願い申し上げます = お願い致します」に言い換えOK

ようするに「理解してほしい!」「理解してください!」という依頼・お願いをあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。

そこで遠まわしに「理解してくれるようにお願い!」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。

ちなみに「ますよう」は「①ます+②よう(様)」という2つの単語からなります。

まず前半部分の「ます」はシンプルに丁寧語の「ます」

つづいて後半の「よう(様)」の意味はいろいろありますが…

ここでは「婉曲 (えんきょく) な命令・希望の意を表す」言葉として使われます。

希望をあらわす「よう(様)」にはたとえば、

  • 【例文】時間に遅れないよう、ご留意ください
  • 【例文】部長に怒られないように気をつける
  • 【例文】風邪などお召しになりませんように

などあり。

ちなみに「ように」でも「よう」でも正しい日本語ですが、「ご理解くださいますようにお願い申し上げます」はあまり一般的ではありません。

また表記は漢字「ます様に」でも平仮名「ますように」でも、どちらも正しい日本語です。

⑦ご理解いただきますよう・賜りますよう〜

依頼・お願い「理解してください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご理解いただきますようお願い申し上げます」
  • 例文「ご理解いただけますようお願い申し上げます」
  • 例文「ご理解賜りますようお願い申し上げます」

意味はどちらも『理解してもらうようお願いします』

とくにビジネスメール結び・締めにつかわれる敬語です。

※「お願い申し上げます」は「お願い致します」に言い換えOK

「~いただきますよう」「~賜りますよう」の意味はどちらも「〜してもらうように」

ようするに「理解してほしい!」「理解してください!」という依頼・お願いをあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。

そこで遠まわしに「理解してもらうようにお願い!」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。

目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なフレーズですね。

ちなみに、

賜る(たまわる)という敬語のほうがよりカチッとした表現になりますので、文書など公式なビジネスシーンではかならず「賜る」を使います。

普段のメールであれば「いただきますよう」でOK。

「くださいますよう」「いただきますよう・いただけますよう・賜りますよう」はニュアンスが違うものの、どれも結局のところ「~してほしい」と言いたいので同じです。

なお「ご了承賜りますよう~」というように「」を入れるケースもあります。どちらを使っても正しい敬語です。

【敬語の補足】

※「お(ご)〜いただきますよう」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」+丁寧語”ます”+”ように(様に)”

※「お(ご)〜賜りますよう」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~賜る」+丁寧語”ます”+”ように(様に)”

⑧ご理解のほどお願い申し上げます

依頼・お願い「理解してください」と言いたいときの敬語フレーズ

  • 例文「ご理解のほどお願い申し上げます」
  • 例文「ご理解のほどお願い致します」

意味は「理解してくれるようお願いします」

とくにビジネスメール結び・締めにつかわれる敬語です。

※「お願い申し上げます」は「お願い致します」に言い換えOK

ここで「ご理解のほど」の「のほど」は限定を避ける言い方で、意味としては「〜してもらうよう」「〜してくれるよう」と考えることができます。

断定をさけて表現をやわらげるのに用いる語です。

たとえば、

  1. ご査収のほどお願い申し上げます
    意味「よく中身を確認して受け取るよう、お願い」
  2. お取り計らいのほどお願い申し上げます
    意味「物事をうまく進めてくれるよう、お願い」
  3. ご連絡のほどお願い申し上げます
    意味「連絡してくれるよう、お願い」
  4. ご了承のほどお願い申し上げます
    意味「納得してくれるよう、お願い」

などのようにして使います。

これらはもともと「●●してください」という命令形なのですが、「〜のほど」を使うことによって相手に強制しないやんわ〜りとした表現となっています。

ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。

先ほどとおなじく「お願い申し上げます」は「お願いいたします」「お願い致します」と言い換えできます。

⑨~その他いろいろな言い換え敬語

敬語の種類というのは本当にいろいろあります。

ほんの一例ですが他にもある使い方を例文にまとめておきます。

  • 例文「ご理解をお願い致します
    ※意味は「理解をお願いする」
  • 例文「ご理解いただきたく、お願い致します
    意味は「理解してほしい、お願いします」
  • 例文「ご理解いただけましたら幸いです
    ※意味は「理解してもらえたら嬉しいです」
  • 例文「ご理解いただけましたら幸甚に存じます
    ※意味は「理解してもらえれば嬉しく思います」
  • 例文「ご理解いただければ幸甚に存じます
    ※意味は「理解してもらえれば嬉しく思います」
  • 例文「ご理解いただけますと幸いです
  • 例文「ご理解いただけますと幸甚に存じます
  • 例文「ご理解賜りますと幸いです
  • 例文「ご理解賜りますと幸甚に存じます
  • 例文「ご理解賜れましたら幸いです
  • 例文「ご理解賜れましたら幸甚に存じます
・「存じる」は「思う」の謙譲語
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+願望「~たい」
・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」
・幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

お礼「理解してくれてありがとう」を敬語で言うと?

つづいてお礼の敬語フレーズ。

目上や社内上司・社外取引先に「理解してくれてありがとう」「ご理解ありがとう」と言いたいときに使える例文をご紹介。

※ あくまでも目安としてお考えください。

『ご理解いただきありがとうございます』

お礼・感謝のビジネス敬語フレーズ(基礎編)

  • 例文『ご理解いただきありがとうございます』
  • 例文『ご理解いただきまして、ありがとうございます』

あるいはシンプルに、

  • 例文『ご理解ありがとうございます』

としてもまぁOKです。

意味はどれも『理解してもらいありがとう』

お礼・感謝の意をあらあわすフレーズとしてはもっともオーソドックスな敬語です。

会話シーンではもちろんのことビジネスメールにもつかえる丁寧なフレーズであり、社内上司・目上・取引先にも丁寧ですね。

【敬語の補足】

※「お(ご)〜いただく」は「〜してもらう」の敬語(謙譲語)

『ご理解くださいましてありがとうございます』

お礼・感謝のビジネス敬語フレーズ(基礎編)

  • 例文『ご理解くださいましてありがとうございます』

あるいはシンプルに、

  • 例文『ご理解くださり、ありがとうございます』

としても丁寧です。

意味はどれも『理解してくれてありがとう』

こちらもビジネスメールでよく目にする敬語フレーズですね。目上や上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語です。

ちなみに「ご理解くださいましてありがとう」よりも先ほどの例文「ご理解いただき〜」をつかう方が、よりやわらかい印象の敬語になります。

丁寧な対応を心がけたいときには「ご理解いただく」をオススメします。

【敬語の補足】

※「お(ご)〜くださる」は「〜してくれる」の敬語(尊敬語)

『ご理解賜りありがとうございます』

お礼・感謝のビジネス敬語フレーズ(基礎編)

  • 例文『ご理解賜りありがとうございます』
  • 例文『ご理解賜りまして、ありがとうございます』

※「賜り」の読みは「たまわり」

意味はどれも『理解してもらいありがとう』

「いただきありがとう」と「賜りありがとう」は意味としては同じ。

よりカチッとした敬語、堅苦しい敬語は「賜りありがとう」のほうです。

普段のビジネスメールであれば「いただきありがとう」で十分に丁寧。

手紙・年賀状・冠婚葬祭やビジネス文書・公式なビジネスメールのときには「賜る」をよく使います。

【敬語の補足】

※「お(ご)~賜る」は「~してもらう」の謙譲語

“ありがとう”だけじゃないお礼の敬語フレーズ

ここまではビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)でオーソドックスに使えるお礼・感謝の敬語フレーズを紹介しました。

ただ、

お礼するときにいつも「ありがとうございます」を使っていてはビジネス敬語ビギナー。

ここからは「ありがとう」だけじゃないお礼・感謝の敬語フレーズを紹介します。

『感謝申し上げます』など

「ありがとう」だけじゃないお礼・感謝の敬語フレーズ

「感謝」をつかった例文を。

  • 【例文】ご理解いただき感謝申し上げます
  • 【例文】ご理解いただき感謝いたしております
  • 【例文】ご理解いただき感謝いたします

※「ご理解くださり感謝〜」「ご理解くださいまして感謝〜」に言い換えても丁寧

※「ご理解賜り感謝〜」「ご理解賜りまして感謝〜」だとより丁寧

意味はどれも似たようなもの。

ようは「理解してもらいありがとう!」「理解してくれてありがとう!」と言いたいのですが…

丁寧な敬語をつかうとこんな風にややこしい表現になります。

【敬語の補足】

※「お(ご)~いただく」は「~してもらう」の敬語(謙譲語)

※「いたします」は「する」の謙譲語”いたす”+丁寧語”ます”

※「いたしております」は「する」の謙譲語”いたす”+「いる」の謙譲語”おる”+丁寧語”ます”

『深謝いたします』など

「ありがとう」だけじゃないお礼・感謝の敬語フレーズ

「深謝=深く感謝すること」をつかった例文を。

  • 例文「ご理解いただき深謝いたしております」
  • 例文「ご理解いただき深謝いたします」

※「ご理解くださり深謝〜」「ご理解くださいまして深謝〜」に言い換えても丁寧

※「ご理解賜り深謝〜」「ご理解賜りまして深謝〜」だとより丁寧

意味はどれも似たようなも。

ようは「理解してもらい本当にありがとう!」「理解してくれて本当にありがとう!」と言いたいのですが…

丁寧な敬語をつかうとこんな風にややこしい表現になります。

【敬語の補足】

※「いたします」は「する」の謙譲語”いたす”+丁寧語”ます”

※「いたしております」は「する」の謙譲語”いたす”+「いる」の謙譲語”おる”+丁寧語”ます”

『お礼申し上げます』など

「ありがとう」だけじゃないお礼・感謝の敬語フレーズ

「お礼申し上げます」をつかった例文を。

  • 【例文】ご理解いただきお礼申し上げます
  • 【例文】ご理解いただき厚くお礼申し上げます

※「ご理解くださり・ご理解くださいましてお礼〜」に言い換えても丁寧

※「ご理解賜り・ご理解賜りましてお礼〜」だとより丁寧

意味はどれも似たようなもの。

ようは「理解してもらいお礼します!」「理解してくれてお礼します!」と言いたいのですが…丁寧な敬語をつかうとこんな風にややこしい表現になります。

お礼フレーズ参考記事

断り「理解できません」は敬語でなんて言う?

つづいて断りの敬語フレーズ。

目上や社内上司・社外取引先に「理解できません!」「理解は無理です!」と言いたいときに使える例文をご紹介。

ご理解いたしかねます

断り「理解できません!」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】ご理解いたしかねます

意味は「理解することができません」

ようは「理解できません!」ということなのですが、このままではあまりにストレートすぎて強い口調に感じられてしまいます。上司や目上・取引先につかうにはイマイチですね。

そこで、

「~いたしかねます」という敬語をつかうことで、より丁寧な断りのフレーズにしています

ここで「〜いたしかねる(兼ねる)」は「~することができない」という意味の敬語。否定語であり「〜しかねる」の謙譲語です。

たとえば、

  • 【例文】お受けいたしかねます
    意味は「引き受けることができません」
  • 【例文】出席いたしかねます
    意味は「出席することができません」
  • 【例文】ご対応いたしかねます
    意味は「対応することができません」

などのようにして使います。ビジネスメールでは例文のように丁寧語「ます」をくっつけて「〜いたしかねます」として使うのが一般的。

【敬語の補足】

※「お(ご)~いたしかねます」は「~する」の謙譲語「お(ご)~いたす」に否定語”~かねる”をくっつけ、さらに丁寧語”ます”をくっつけた敬語

ご要望に添いかねます

断り「理解できません!」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】ご要望に添いかねます

意味は「要望に添うことができません」

使い方は「ご理解いたしかねます」と似たようなもの。

ようは「あなたの要望には応えることができません!」ということなのですが、このままだと上司や目上・取引先につかうにはイマイチ。

そこで、

「~いたしかねます=~することができません」という敬語をつかうことで、より丁寧な断りのフレーズにしています

その他「ご理解することが叶いません」など

断り「理解できません!」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】xxにより、ご理解することが叶いません
  • 【例文】xxのため、ご理解することが大変困難な状況でございます

意味は「理解することができない or 難しい」

※「叶いません」は「したいけどできない」のようなニュアンス

使い方は「ご理解いたしかねます」と似たようなもの。

ようは「あなたの要望には応えることができません!」ということなのですが、このままだと上司や目上・取引先につかうにはイマイチ。

そこで直接的ではない、遠まわしに断るためのフレーズをつかっています。

丁寧な断りのフレーズいろいろ

上司や目上・取引先につかえる丁寧な断りの敬語フレーズは他にもいろいろあり。

飲み会の誘いを断るのであれば「~は遠慮させていただきます

仕事の依頼を断るのであれば「~を見送らせていただきます

内定を辞退するのであれば「内定を辞退いたします

・・・などなど

ビジネスシーンごとにふさわしいフレーズがあります。

以下の記事もご参考にどうぞ。

催促「理解してくれた?」を丁寧にすると?

つづいて催促・確認の敬語フレーズ。

目上や社内上司・社外取引先に「理解してくれた?」「理解してもらった?」と言いたいときに使える例文をご紹介。

ご理解いただけましたか?

催促・確認「理解してくれたの?」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】ご理解いただけましたか?

意味は「理解してもらえましたか」

ようするに「すでに理解したのか?」「もう理解したのか?」という催促や確認の意味をあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司・取引先に使うにはイマイチです。

そこで遠まわりに「~していただけましたか?=~してもらえましたか?」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。

そんなに丁寧に催促する必要あるの?って思うくらい。

目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。

敬語について解説していると日がくれるため…

わかりやすく以下の例文をそれぞれ見比べてみましょう。

  • 【例文】すでに返事したのか? vs. お返事いただけましたか?
  • 【例文】すでに対応したのか? vs. ご対応いただけましたか?
  • 【例文】すでに予約したのか? vs. ご予約いただけましたか?

どちらが丁寧に感じられるかは一目瞭然ですね。

【敬語の補足】

※「お(ご)~いただけましたか?」は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にして「いただける」とし、丁寧語の過去疑問形”ましたか?”をくっつけた敬語。

※現在形「お(ご)~いただけますか?」をつかうと「~してもらえますか?」というお願い・依頼の敬語フレーズとなる。

ご理解いただけましたでしょうか?

催促・確認「理解してくれたの?」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】ご理解いただけましたでしょうか?

意味は「理解してもらえたでしょうか」

※ “でしょうか?”は「だろうか?」の丁寧語(敬語)

意味や使い方は「ご理解いただけましたか?」と似たようなものなので省略。

「ご理解いただけましたか」よりも「ご理解いただけましたでしょうか」のほうが丁寧。

ただし、結局のところどちらも上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語です。

あまり気にせず、あなたのお好みでお使いください。

【敬語の補足】

※現在形「お(ご)~いただけますでしょうか?」をつかうと「~してもらえるだろうか?」というお願い・依頼の敬語フレーズとなる。

その他「ご理解くださいましたか」など

催促・確認「理解してくれたの?」と言いたいときに使える敬語フレーズ

他にはたとえば、

  • 【例文】ご理解くださいましたか?
  • 【例文】ご理解くださいましたでしょうか?
    → 意味は「理解してくれましたか?/理解してくれたでしょうか?」

あるいは、

  • 【例文】ご理解いただましたか?
  • 【例文】ご理解いただましたでしょうか?
    → 意味は「理解してもらいましたか?/理解してもらったでしょうか?」

としてもまぁOKです。

※ “でしょうか?”は「だろうか?」の丁寧語(敬語)

意味や使い方は「ご理解いただけましたか?」と似たようなものなので省略。

どれもまぁ上司・目上・社外取引先につかえる敬語です。

が、あまり一般的ではなくおとなしく「ご理解いただけましたか?」「ご理解いただけましたでしょうか?」のいずれかを使うことをオススメします。

【敬語の補足】

※「お(ご)~くださいましたか?」は「~してくれる」の尊敬語「お(ご)~くださる」に丁寧語の過去疑問形”ましたか?”をくっつけた敬語。さらに「だろうか」の丁寧語”でしょうか”をくっつけると「お(ご)~くださいましたでしょうか?」という敬語となる。

※「お(ご)~いただきましたか?」は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」に丁寧語の過去疑問形”ましたか?”をくっつけた敬語。さらに「だろうか」の丁寧語”でしょうか”をくっつけると「お(ご)~いただきましたでしょうか?」という敬語となる。

自分の行為「理解しました!」の敬語は?

つづいて自分の行為につかえる敬語フレーズ。

自分が「理解しました!」と言いたいときに使える例文をご紹介。

承知しました/承知いたしました

自分の行為「理解しました」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】承知しました
  • 【例文】承知いたしました

意味はどちらも「わかりました・了解しました」

※ひらがな表記「いたします」vs.漢字表記「致します」はどちらもOK

理解するということはつまり「わかる」ことなので「承知」に言い換えることができます。

「承知」の意味は…

  1. 目上の人の命令などをうけたまわること
  2. 相手の願い、要求などを聞き入れること
  3. わかること、知ること

承知=知る+承る(うけたまわる)でなりたちます。

ご理解しました/理解いたしました

自分の行為「理解しました」と言いたいときに使える敬語フレーズ

  • 【例文】ご理解します
  • 【例文】(ご)理解いたします

意味はどちらも「理解します」

※ひらがな表記「いたします」vs.漢字表記「致します」はどちらもOK

謙譲語の基本形「お(ご)~する」「お(ご)~いたす」に丁寧語”ます”をくっつけて敬語にしています。

ようするに「理解するよ!」という自分の行為をしめす敬語ですね。

どちらも目上・社内上司・社外取引先につかえるフレーズですが「ご理解します」よりも「(ご)理解いたします」のほうが丁寧な敬語となります。

また「ご理解いたします」は「お(ご)」をのぞいて「理解いたします」としても正しい敬語です。

【敬語の補足】

※「お(ご)~します」は謙譲語の基本形「お(ご)~する」に丁寧語”ます”をくっつけた敬語

※「お(ご)~いたします」は謙譲語の基本形「お(ご)~いたす」に丁寧語”ます”をくっつけた敬語。

まとめ表

①基本 ②+丁寧語”ます”
現 在 ご理解する
ご理解いたす
ご理解させて頂く
ご理解申し上げる
ご理解します
ご理解いたします
ご理解させて頂きます
ご理解申し上げます
過 去 ご理解した
ご理解いたした
ご理解させて頂いた
ご理解しました
ご理解いたしました
ご理解させて頂きました
進行形 ご理解している
ご理解いたしている
ご理解させて頂いている
ご理解しています
ご理解いたしています
ご理解させて頂いています
過去~現在 ご理解していた
ご理解いたしていた
ご理解させて頂いていた
ご理解していました
ご理解いたしていました
ご理解させて頂いていました

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります

※ 「致します」「いたします」は漢字でも平仮名でもOK

※「させて頂く」「させて下さい」はふさわしいシーンとそうでないシーンあり。

※「しています」は「しております」としても丁寧

“ご理解いただく vs ご理解くださる”の使い方

ややこしいので「ご理解いただく vs ご理解くださる」の使い方について。

代表的なパターンを表にまとめておきます。

こまかく解説していくとそれだけで記事がおわってしまいますので、目的にあわせてお使いください。

“ご理解いただく”の使い方まとめ(すべて敬語)

①基本 ②+丁寧語”ます” ③その他
現 在 ご理解いただく ご理解いただきます -頂くよう
-頂きますよう
過 去 ご理解いただいた ご理解いただきました ×
進行形 ご理解いただいている ご理解いただいています -頂いております
過去~現在 ご理解いただいていた ご理解いただいていました -頂いておりました
希 望
依 頼
ご理解いただきたい
ご理解いただきたく
ご理解いただくよう
ご理解いただけるよう
ご理解いただきたいです
×
ご理解いただきますよう
ご理解いただけますよう
-頂きたく思います
-頂きたくお願いします
-頂きたく存じます
-頂ければと存じます
可 能 ご理解いただける ご理解いただけます -頂けるよう
-頂けますよう
①仮定
②仮定+可能
①ご理解いただいたら
②ご理解いただければ
①ご理解いただきましたら
②ご理解いただけましたら
×
①疑問+過去
②疑問+可能
③疑+
可+過
①ご理解いただいたか?
②ご理解いただけるか?
③ご理解いただけたか?
ご理解いただきましたか?
ご理解いただけますか?
ご理解いただけましたか?
-頂きましたでしょうか
-頂けますでしょうか
-頂けましたでしょうか
禁 止 ご理解いただけない ご理解いただけません ×
命 令 × × ×

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。

※ 「頂く」「いただく」は漢字でも平仮名でもOK

※「×」としたのは一般的につかわない

“ご理解くださる”の使い方まとめ(すべて敬語)

①基本 ②+丁寧語”ます” ③その他
現 在 ご理解くださる ご理解くださいます -くださるよう
-くださいますよう
過 去 ご理解くださった ご理解くださいました ×
進行形 ご理解くださっている ご理解くださっています -くださっております
過去~現在 ご理解くださっていた ご理解くださっていました -くださっておりました
希 望
ご理解くださるよう ご理解くださいますよう ×
可 能 × × ×
仮 定 × × ×
疑 問 ご理解くださるか? ご理解くださいますか? ×
否 定 ご理解くださらない ご理解くださいません ×
命 令 ご理解ください ご理解くださいませ ×

※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります

※ 「下さる」「くださる」は漢字でも平仮名でもOK

※「×」としたのは一般的につかわない