「お体に気をつけてください」をビジネスシーン(手紙・メールなど)で目上の人に使うと失礼?
相手を気づかいたいときに使う
「お体に気をつけてください」の目上・ビジネスシーン(手紙・メール)にふさわしい敬語を紹介する記事。
まずは要点のまとめから。
それなら丁寧な敬語のほうを使うよね?という考え
「気をつけて」という言葉にも違和感あり
(くわしくは本文にて)
そこで
「お体に気をつけてください」を丁寧な敬語に言い換えると、好感度UP
ということなので
目上の人やビジネスシーン(手紙・メールなど)で使うときにはもっと丁寧な敬語に言い換えしましょう。
敬語での言い換えにはたとえば…
- 言い換え「お体にお気をつけてお過ごしください」
- 言い換え「お大事になさってください」
- 言い換え「お大事にお過ごしください」
- 言い換え「ご自愛ください(ませ)」
- 言い換え「一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます」
- 言い換え「一日も早く全快されますようお祈り申し上げます」
「どうぞ」「どうか」「くれぐれも」といった言葉を前におくと柔らかい印象になります。たとえば「どうぞお大事にお過ごしください」など
こんな感じのフレーズあり。
例文のような文章にすると目上の人(上司)はもちろんのこと、社外の取引先にたいするビジネスメール・手紙にも使えるすばらしい敬語になります。
ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、
それぞれの言い換え表現について、意味と敬語の解説、注意点を詳しくみていきましょう。
※長文になりますので、時間の無い方は「パッと読むための見出し」より目的部分へお願いします。
お体に気をつけてください の意味ってそもそも?
「お体に気をつけてください」の意味について簡単に。
「気をつけて」という言葉はこのままだと「注意しろ!」みたいな意味になります。
たとえば
「クルマに気をつけて!」
「うしろに気をつけなさい!」
こんな感じで注意をうながすときに使われる言葉ですね。
すると
「お体に気をつけてください」の意味は…
「体に注意してください」
となります。
体に注意するってどういうこと?
ってなりますよね…
日本語をよく知っている私たちは「体を大事にする」の意味としてフツーに使っていますが、本来の意味を考えるとなんともいえな~い、違和感のあるフレーズになります。
そこでやっぱり、
もっと適切な敬語に言い換えすべき言葉だと思われます。
お体に気をつけてください の目上・ビジネスシーンにふさわしい敬語
まず「お体に気をつけてください」は目上の人に使っても敬語としては成り立ちます。
ただ受け手の気持ちの問題で、つかうと失礼に感じられてしまうリスクあり。
なぜかというと
「気をつけて!」という言葉がそもそも「注意しろ!」の意味であって、なんなのかよくわからないし
「お体に気をつけてください」よりも丁寧な敬語フレーズがあるから。
敬語を使うときは、すこしでもリスクのある表現は使わないのが無難。
また友人同士でよく使われる、
「お体に気をつけて!」というフレーズはもっとダメ。
なぜなら動詞を省略した不完全な文章であるから。
ほかにもたとえば、
以下のフレーズもおなじ理由でNGとなるためご注意を。
- NG例文「よいお年を!」
よいお年をお迎えください とする - NG例文「お大事に!」
お大事にお過ごしください
お大事になさってください とする - NG例文「お元気で!」
一日も早いご回復をお祈り申し上げます
したがって目上の人に使うときは完全な文章にするか、
ほかの丁寧な敬語に言い換えをしましょう。
前置きが長くなりましたが、
ビジネスシーン(手紙・メール)にふさわしい「言い換え敬語」を紹介していきます。
言い換え①お体にお気をつけてお過ごしください
「お体に気をつけてください」の目上・ビジネスシーン(手紙・メール)にふさわしい敬語。
まずはフツーに
「お体にお気をつけてお過ごしください」
「お体に気をつけてください」との違いは「過ごす」というフレーズをいれている点。
「気をつけて!」という言葉はこのままだと「注意しろ!」みたいな意味になります。
で、
- お体に気をつけてください = 体に注意してください
だと意味がよくわからないのですが…
- お体にお気をつけてお過ごしください = 体に注意して過ごしてください
だと意味がわかります。
まとめると意味は
「お大事に!」「体に注意して過ごしてね」などいろいろな意味にとれます。
使い方は
相手をきづかうビジネスシーンで使われるフレーズです。
敬語としてみると
尊敬語「お・ご」+尊敬語「くださる」の命令形「ください」で成り立ちます。したがって目上の人やビジネスシーンで使えるすばらしい敬語になります。
尊敬語「くださる」の命令形「ください」は不適切なビジネスシーンもあるので要注意。たとえば何かを依頼やお願いするシーンでは「ご容赦ください」ではなく「ご容赦くださいますようお願いいたします」などとする
「どうか」「くれぐれも」「どうぞ」などを文頭につけると、より柔らかい印象のフレーズになります。
言い換え②お大事になさってください
「お体に気をつけてください」の目上・ビジネスシーン(手紙・メール)にふさわしい敬語。
つづいて
「お大事になさってください」
意味は文字どおり「お大事に!」「体を大切にしてください」
使い方は
相手をきづかうビジネスシーンで使われるフレーズです。
敬語としてみると
尊敬語「お・ご」+「する」の尊敬語「なさる」+尊敬語「くださる」の命令形「ください」で成り立ちます。
したがって目上の人やビジネスシーンで使えるすばらしい敬語になります。
▼「お大事になさってください」の例文
- 例文①風邪をひいた上司への気づかい
目上の人「風邪ひいてたから早退するわ。申し訳ない…」
あなた「それは大変ですねぇ。お大事になさってください」 - 例文②お見舞いメール
「病院暮らしは何かとご不便もあろうかとお察しいたしますが、この際は、お大事になさって一日も早くご回復されますよう、心よりお祈りいたします」
お大事に! は失礼にあたる
・NGとなる理由は動詞を省略した不完全なフレーズだから
・目上の人に敬語を使うときは、いかなるときにも完全な文章にすることを心がけましょう
言い換え③お大事にお過ごしください
「お体に気をつけてください」の目上・ビジネスシーン(手紙・メール)にふさわしい敬語。
つづいて
「お大事にお過ごしください」
意味は文字どおり「お大事に!」「体を大切に過ごしてください」
使い方は
相手をきづかうビジネスシーンで使われるフレーズです。
敬語としてみると
尊敬語「お・ご」で「お大事に」+「過ごし」の尊敬語「お過ごし」+尊敬語「くださる」の命令形「ください」で成り立ちます。
したがって目上の人やビジネスシーンで使えるすばらしい敬語になります。
▼「お大事にお過ごしください」の例文
- 例文「季節柄 くれぐれもご無理なさらないよう、お大事にお過ごしください」
・お見舞いメール結び挨拶 - 例文「まだまだ暑い日がつづきますが、どうかお大事にお過ごしください」
・お見舞いメール結び挨拶 - 例文「寒さ厳しき折、くれぐれもお大事にお過ごしください」
・寒中見舞いの結び挨拶 - 例文「暑さ厳しき折、くれぐれもお大事にお過ごしください」
・暑中見舞いの結び挨拶
言い換え④ご自愛ください(手紙・メール推奨)
「お体に気をつけてください」の目上・ビジネスシーン(手紙・メール)にふさわしい敬語。
つづいて
「ご自愛ください」
意味は…
「自ら」「愛する」ということですので「自分の体を大切にしてね」の意味となります。
使い方は
相手をきづかうビジネスメールで結びとして使われるフレーズです。
話し言葉でつかうのは一般的ではなく、
お見舞いメールやお見舞い手紙・ハガキといったビジネスシーンで使われます。
こちらも「どうか」「くれぐれも」「どうぞ」などを文頭につけると、より柔らかい表現になります。
▼「ご自愛ください」の例文
- 例文「季節柄 くれぐれもご無理なさらないよう、ご自愛ください」
・お見舞いメール結び挨拶 - 例文「まだまだ暑い日がつづきますが、どうかご自愛ください」
・お見舞いメール結び挨拶 - 例文「寒さ厳しき折、くれぐれもご自愛ください」
・寒中見舞いの結び挨拶 - 例文「暑さ厳しき折、くれぐれもご自愛ください」
・暑中見舞いの結び挨拶
言い換え⑤一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます
「お体に気をつけてください」の目上・ビジネスシーン(手紙・メール)にふさわしい敬語。
つづいて
「一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます」
意味は文字どおり
「一日も早く回復することを願っています」という意味。
使い方は
相手をきづかうビジネスメール、とくにお見舞いメールで結びとして使われるフレーズです。
話し言葉でつかうのは一般的ではなく、
お見舞いメール・手紙・ハガキといったビジネスシーンで使われます。
ご回復=回復+尊敬語「お・ご」
お祈り=祈り+尊敬語「お・ご」
申し上げます=言う の謙譲語「申す」+丁寧語「ます」+丁寧表現「上げる」
言い換え⑥一日も早く全快されますようお祈り申し上げます
「お体に気をつけてください」の目上・ビジネスシーン(手紙・メール)にふさわしい敬語。
つづいて
「一日も早く全快されますようお祈り申し上げます」
意味は文字どおり
「一日も早く全快することを願っています」という意味。
使い方は
相手をきづかうビジネスメール、とくにお見舞いメールで結びとして使われるフレーズです。
全快される=する の尊敬語「なさる・される」
ますよう=丁寧語「ます」+ように
お祈り=祈り+尊敬語「お・ご」
申し上げます=言う の謙譲語「申す」+丁寧語「ます」+丁寧表現「上げる」
言い換え⑦お大事にどうぞ
「お体に気をつけてください」の目上・ビジネスシーン(手紙・メール)にふさわしい敬語。
つづいて
「お大事にどうぞ」
意味は文字どおり
「お大事に!」「体に気をつけてください」という意味。
使い方は
相手をきづかうビジネスメール、とくにお見舞いメールで結びとして使われるフレーズです。
お大事にどうぞ は動詞が省略されており目上の人に使うのはどうかと思うところもありますが…
気にされるかたは「どうぞお大事にお過ごしください」「どうぞお大事になさってください」としましょう。
お大事に の意味と目上への使い方
せっかく登場したので
「お大事に」についてもう少しくわしく解説しておきます。
完全に蛇足になりますので、ご興味ある方だけどうぞ。
お大事に の意味は「体を大切にしてください」
「お大事に」を言葉として考えてみると…
「大事に」の敬語表現ということになります。
「大事」の意味は辞書によるとおおきく2つ。
- 名詞:重大な事柄、非常に心配な事態、大がかりな仕事
- 形容詞:価値あるものとして大切に扱うさま
「お大事になさってください」とすると意味は…
「大事にしてくださいね = 自分自身の事を大切にして、その結果として早くよくなるとよいですね~」という意味になります(意訳)。
お大事に の意味は「早くよくなってください」じゃない!
・よく間違った解説をしているウェブサイトをみかけるため、補足。
・お大事に の正しい意味は「体を大切にしてくださいね、ゆっくり休んでくださいね」であり、その結果として「よくなる、回復する」
・お大事に には「回復する」の意味はありません
お大事に の使い方は「相手の体をいたわる挨拶」
ということで「お大事に」は「相手の体をいたわる挨拶」の意味で使います。
日常のビジネスシーンではおもに「お見舞いメール・手紙」で使われますね。
例文はこれまで散々みてきたため省略します。