ビジネスメールで「ご検討くださいませ」は使ってもOKです。意味は伝わりますし敬語としても正しいからです。ただ、人によっては命令形「〜ください」という表現を嫌いますので、ビジネスではより丁寧な敬語を使ったほうが無難です。また「くださいませ」は女性言葉で、男性が使うと気持ち悪い、という意見もあります。
そこで「ご検討くださいませ」のより丁寧な敬語、言い換え表現について解説していきます。
「ご検討くださいませ」の意味・敬語・言い換え
意味は?「考えてください」
「ご検討くださいませ」の辞書的な意味は「提案に対して、どうするかを考えてください」で、ビジネスでは何か「お願い」をする場面でよく使います。
「検討する」に命令形「くれ」の尊敬語「ください」を使って「ご検討ください」としているため、敬語として使える表現です。
ただ、人によっては命令形「〜ください」という表現を嫌います。また、「〜くださいませ」は女性が多く使う言葉で、男性が使うと気持ち悪い、という意見もあります。
そこでビジネスや目上の人に使う際には、より丁寧な表現を使う方が無難でしょう。
より丁寧な敬語は?ビジネスで使うなら違う表現に!
「ご検討くださいませ」を、より丁寧な敬語に言い換えしていきましょう。言い換え例文を基に解説していきます(どんなビジネスシーンでも使える汎用性の高いフレーズほど上にしています)。
- 例文①)ご検討のほど、何卒よろしくお願い申し上げます(よろしくお願いいたします)
▼意味としては「検討してください」なのですが、命令形「ください」ではなく願望「お願い」を使うと丁寧です。これはビジネスメールの結びによく使うフレーズですので、ぜひマスターしてください。
- 例文②)ご検討いただければ幸いです。何卒よろしくお願いいたします。
▼こちらも意味としては同じです。原文は「検討してもらう」で、「もらう」の謙譲語「いただく」を使って敬語にしています。さらに「幸いです = 〜してくれたら嬉しいなぁ」を使い、お願いするときの丁寧な敬語にしています。ビジネスメールの結びによく使うフレーズでとなります。
- 例文③)ご検討いただきたく存じます。何卒よろしくお願いいたします。
▼原文は「検討してもらいたく思う」で、「もらう」の謙譲語「いただく」、「思う」の謙譲語「存じます」を使い、丁寧な敬語表現にしています。「いただきたく存じます」は社内の上司や先輩に使うには丁寧過ぎますので、相手が取引先などのビジネスメールで使うと良いでしょう。
- 例文④)ご検討くださいますようお願い申し上げます。
▼原文は「検討してくれるように、お願いをする」で、敬語「ご検討ください」に「お願いする」の謙譲語「お願い申し上げる」、丁寧語「ます」を使い、丁寧な敬語表現にしています。「〜くださいますようお願い申し上げます」は社内の上司や先輩に使うには丁寧過ぎますので、相手が取引先などのビジネスメールで使うと良いでしょう。
「ご検討くださいませ」が敬語として正しい理由
これまで言い換え表現を解説しましたが「ご検討くださいませ」は、そのままでも目上の人に使えます。
念のため「ご検討くださいませ」が敬語として正しい理由を整理しておきましょう。
- 原文は「検討してくれ」
- 「検討」に尊敬語「ご」をつけ「ご検討」とする
- 命令形「してくれ」の尊敬語「くださる」を使う
- 丁寧語「ます」の命令形「ませ」を使う
- 「ご検討くださりませ」が音変化し「ご検討くださいませ」となる
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ここまでで「ご検討くださいませ」のより丁寧な敬語への言い換えは完了です。ここからは「検討します」のもっと基礎的な部分について解説していきます。ご興味のある方だけどうぞ。
「検討する」の意味
「検討します」は辞書的には「考えます」という意味です。
「考えます」が本来の使い方なのですが、ビジネスで使われる時には以下3つの意味があります。
- 本当にじっくりと考えたい
- 何かしらの問題があり、即決できない
- やんわりと断りたい(断ると気まずい)
ということで、ビジネスでは「断りたいとき」「考えたいとき」のケースではどちらも「検討します」を使います。
たとえば、こんなビジネス会話で使われます。
●あなた)今なら特別に、機種代1万円で法人契約できますが、いかがでしょうか?
●顧客)前向きに検討いたします。
この場面で「検討いたします」を使う側の意図は、
- いろいろな会社のスマホ価格を見比べたい。とりあえず回答を保留しよう。
- 今の携帯電話で満足しているから、あまり興味ないなぁ。でも「ノー」とは言いづらい雰囲気だし…。
- 上司からの決済が必要だから、ひとまず時間を置こう。
というパターンが想定されます。
「検討いたします」を使うビジネスシーンでは、「何かしらの問題があり、即決できない」事情があったり、普通に断りたいだけだったり、いろいろと意図があるのです。
普通に必要ないなら「いえ、結構です」を使えばいいのに、なぜ「検討いたします」を使うのでしょうか?
ビジネスでは相手の「拒否」を嫌う
ビジネスでは相手に直接「ノー」と言うことは、なんとなく気まずく感じます。
特に私のような古い業界に勤めていると、色々なしがらみがあって…。とてもじゃないけど、せっかく来てくれた人に「必要ないです」とは言えなくなってしまうのです。
そんなときに「前向きに検討します」を使うと、「イエスでも、ノーでもない回答」ということで、万事OK。実際にはかなり「ノー」に近い回答なので、政治家みたいで嫌なのですけどね…。
今のは、私が言われるほうの立場。
逆に私が営業で顧客から「前向きに検討します」とビジネスメールを受け取ったら、「どうせやらないんだろうなぁ…期待しないで返事を待とう」と思ってしまいますね。
「検討する」を敬語にすると?
つづいて、自分が相手に対して「検討する」を使いたいときの敬語表現です。こちらも例文を基に解説しましょう。
- 例文)前向きに検討いたします。
▼「検討します」の敬語には「検討いたします」を使います。敬語を使う前の原文は「検討する」。「する」の謙譲語「〜いたします」を使い敬語にしています。
- 例文)前向きに検討
させていただきます。
▼「検討いたします」以外に使われる敬語表現には、「検討させていただきます」があります。ところが、これはNGではないですが使わない方が良いです。なぜなら「させていただく」はサ行の発音が多くて何回も聞いていると耳につくから。
※「検討させていただきます」は敬語としては正しいです。
詳しくは別の記事にて解説していますので、ご参考にどうぞ。