【2016年】リチウムイオン電池の世界シェア・市場規模・今後の動向

動向①小型リチウムイオン電池は競合激化

2008年には日系メーカーが世界市場の約60%を占め、まさに独壇場であった。

しかしその後、中国・韓国メーカーの台頭で競争激化。2015年には日系メーカーのシェアは約30%にまで半減。

市場は伸びるものの、LiB電池の製造は特に技術を必要とせず誰にでも作れてしまうため「価格」が最も重要なファクター。もちろんそれ以前の問題としてGalaxy Note発火事件で再認識したように安全性も重要。その点、中国勢はまだ信頼性に欠ける。サムソンSDIもやらかしてはいるが中国勢よりはだいぶマシ。

ということで、ばらくはパナソニックと韓国勢を中心に業界が動いていくだろう。ただし中国勢が追いついてくるのは時間の問題だと思われる。

動向②大型リチウムイオン電池はまだこれから

大型リチウムイオン電池の大部分を占める車載用。

現時点では世界シェアトップのパナソニック。でもパナソニックが何か特別な技術を持っているという訳ではない。単に安全性と信頼性を評価され、テスラモーターズのEVに搭載されているにすぎない。

そして自動車メーカーをみても誰がEVを初めとするエコカーの「勝ち組」になるのか分からない状況。テスラなのか、日産なのか、トヨタなのか?電機メーカーがクルマを作り始めダークホースとなるのか?

くわえて、

LiBで本当にいいの?

電気自動車EVやプラグイン・ハイブリット電気自動車PHEVが本当に次のトレンドになるの?

という課題もある。

これから徐々に勝ち組と負け組みに分かれていくのであろう。パナソニックも現時点で圧倒的シェアを持つとはいえ、テスラがこければ瞬時に終わる。日系メーカーはこれから20年後にむけてどう差別化するのか?よく考えるべきだ。

動向③LiB関連材料メーカーもイケイケ

LiBで特に重要な材料は、①負極材、②正極材、③バインダー、④セパレータ、⑤電解液の5種類。

世界で高シェアを持つ化学素材メーカーには日立化成(負極材)、日亜化学(正極材)、住友大阪セメント(負極材)、クレハ(バインダー)、旭化成(セパレータ)、東レ(セパレータ)、宇部興産(電解液)、三菱化学(電解液)などあり。

クルマむけが本格的に動き出したため各社イケイケで、能力の増強ラッシュがつづく。設備投資に極めて慎重な化学素材メーカーが本気になっているということは、それなりに勝算あり。詳しくはLiB材料メーカー編でまとめる。

>>リチウムイオン電池材料(セパレータ・電解液・正負極材)の世界シェア

リチウムイオン電池(LiB)は大学の研究にも期待

あちこちで企業が「お金」を大学にバラまいたお陰で、リチウムイオン電池の大学からの成果もチラホラと出てきている。大半はゴミのような研究成果であり、「とりあえず特許を出して論文書いとけ」みたいなものも多い。

しかし私は多少なりとも期待している。

あと10年くらいすれば、何かしら革新的な技術が生まれるハズだ。それはもはや、リチウムイオン電池ではなく、何かまったく別のものかもしれない。むしろ、そうあって欲しいと願っている。

まとめ

これまでも散々と伸びる、伸びる、といわれ続けてきて不発だったリチウムイオン電池(LiB)業界。かれこれ10年以上が経つのではないだろうか…

スマホが開発されたときには、LiBがスマホむけで爆発的に伸びる!!

電気自動車がリリースされたときには、LiBが車載用で爆発的に伸びる!!

東日本大震災があったあとには、LiBが家庭用の蓄電池として爆発的に伸びる!!

ことごとく期待はずれに終わってきたが、ここにきてようやく本当に伸びそうな流れになっている。

LiBの恩恵を受けるのは化学素材メーカー

私の考えではLiBの恩恵を受けるのはパナソニックでもなく、韓国サムソンSDIでもなく、LG Chemでもなく、化学素材メーカーだと考える。理由はLiBは材料の技術が最も重要だから。電池の性能を上げようとすると素材開発からやる必要がある。だが、パナソニックには素材開発はできない。そこで化学素材メーカーの出番となる。←すでになっている。

材料特許を抑えてしまい中国メーカーも含めて世界中の電池メーカーに材料を供給すれば、トヨタが勝とうが、日産が勝とうが、パナソニックが勝とうが、中国・韓国メーカーが勝とうが関係ない。いつの時代もそうだが消費者を相手にしていると、良いときはとことん良いが、悪いときにはとことん悪くなってしまう。

それを面白いと感じるか不安に感じるか、あなたの価値観なので何ともいえないが…私は消費者を相手にビジネスを展開するのは「めんどくさい」と感じる。

いっぽうで化学素材メーカーは大きく稼げる可能性も少ないが、大きくへこむことも想定できない。

そこで次回は安定志向の就活・転職者のために、LiB材料で勝ち組になるであろう化学素材メーカーについてまとめていく。

>>リチウムイオン電池材料(セパレータ・電解液・正負極材)の世界シェア

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『【2016年】リチウムイオン電池の世界シェア・市場規模・今後の動向』へのコメント

  1. 名前:Nero 投稿日:2017/05/02(火) 21:12:47 ID:ba4fdfa8c 返信

    リチウム電池とリチウムイオン二次電池は一応異なるものとして区別されてますね。
    世界で初めてリチウムイオン電池の量産化に成功して商品化したのはソニーですが、「発明した」とはみなされてないのでは?
    旭化成の吉野彰が両極の材料の組み合わせや電極構造などの現在のリチウムイオン二次電池の基本原理を確立した(発明した)と認識してます。
    リチウムイオン電池の特許についてはソニーの強みが量産化の為の技術だとしたらそれを特許で守るのは難しいですね。材料の組み合わせや電極構造などの「もの特許」でないと侵害を証明するのが困難で権利行使できないですから。むしろ単に他社にノウハウを公開するようなもん。
    逆に上記のような関所特許は前述の通り旭化成が抑えてます。と言っても関所特許が成立してから、モバイル端末が普及してリチウムイオン電池がビジネスとして成立するまでにはかなりの時間差がありましたから、そういった特許はもうとっくに切れてますが。
    旭化成自身は途中でバッテリー事業自体は自社で実施せず、素材(セパレータ)事業に専念すると判断しましたから、バッテリーメーカーとライセンス契約を締結して、使用料収入を得るビジネスをしてましたね。
    たしかピーク時には年数百億くらいの収入になってたような(といっても10年以上前のことなのでうろ覚えですが)

    • 名前:のまどサラリーマン 投稿日:2017/05/03(水) 23:22:05 ID:8c058f6e5 返信

      補足いただき誠にありがとうございます。
      リチウムイオン二次電池の基本原理、旭化成の発明だったのですね…。
      ありがとうございます、大変勉強になりました。

      管理人

  2. 名前:福谷 投稿日:2017/10/25(水) 10:48:41 ID:86779bade 返信

    リチュームイオン電地はソニーが発明したのではありません、青色発光ダイオードも同じで発明ではりません、どちらも安価に初めて大量生産に成功したけです、市場に一清販売できました、 リチュームも青LEDも、高価ですがアメリカで当時は受注生産しかしていませんでした。