「お引取り」の意味と敬語の種類、ビジネスシーンに最適な使い方のすべてについて。
ここでは敬語「お引取り」にまつわる疑問のすべてに答えを示していきます。
※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ。
“お引取り”の意味と敬語の種類
まずは「お引取り」のそもそもの意味と敬語の種類について。
“引き取る”の意味
引き取る(ひきとる)の意味は・・・
- その場を立ち去る。退く。【例文】この場はお引き取りください
- 手もとに受け取る。引き受けて手もとに置く。【例文】残り物を引き取る
- 引き受けて世話をする。【例文】ノラ猫を引き取る
- 話のあとを受けて、言葉を続ける。
- 息を引き取る(死ぬの意味)
“お引取り”の敬語の種類
「お引取り」の敬語の種類は・・・
「引き取る」という元の語に①尊敬語あるいは②謙譲語の「お(ご)」をつかって敬語にしています。
- 上司/目上などの相手が「お引取りくださる」「お引取りだ」→①尊敬語“お(ご)”
- 「自分がお引取りする」「相手にお引取りいただく」→②謙譲語“お(ご)”
というように2パターンあります。
敬語”お(ご)”の使い方
ややこしいので基本的な敬語の使い方についてくわしく解説を。
じつは尊敬語と謙譲語にはどちらも「お(ご)」の使い方があります。
謙譲語としての「お(ご)」の使い方はたとえば、
- 会議日程のご連絡
- 会食のお誘い
- 販売状況のご報告
- 転勤のご挨拶
- 貴社ご訪問のお願い
こんな感じのフレーズがあります。よくビジネスメールの件名で目にする表現ですね。
ところが例文は自分が「ご連絡・お誘い・ご報告・ご挨拶」するため「お(ご)」をつかうのはおかしいと感じるかたもいらっしゃることでしょう。
これは、
謙譲語「お(ご)」の使い方を知らないためにくる勘違いです。
尊敬語の「お(ご)」だと勘違いしているために間違い敬語と感じるのですが、実際にはどれも正しい敬語をつかっています。
いっぽうで尊敬語の「お(ご)」は「部長がお戻りになりました」などのようにして、相手の行為をうやまって使う敬語です。
“引き取る”の敬語①謙譲語
「引き取る」とのセットで謙譲語となる形をまとめておきます。
①そもそも謙譲語とは…
敬語の一種であり、
謙譲語Ⅰ:自分側から相手側又は第三者に向かう行為・ものごとなどについて、その向かう先の人物を立てて述べるもの。
謙譲語Ⅱ:自分側の行為・ものごとなどを、話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。
の2種類あり。
- お引取りする
お引取りします
※意味は(自分が)引き取る - お引取りいたす
お引取りいたします
※意味は(自分が)引き取る - お引取り申し上げる
お引取り申し上げます
※意味は(自分が)引き取る - お引取りいただく
お引取りいただきます
※意味は(自分が相手に)引き取ってもらう - 引き取らせていただく
引き取らせていただきます
※意味は「引き取らせてもらう」
※「させていただく」は日本語としておかしい表現になる時もあり、何でもかんでも使える訳ではありません。
※丁寧語「ます」とくみあわせて「〜します」「〜いたします」とするのが丁寧な使い方です。ご留意ください。
ちなみに、これは文化庁の「敬語の指針」においても解説されています。私のような頭の悪い人には難しいのですが、ご興味ありましたら以下のリンクよりどうぞ。
“引き取る”の敬語②尊敬語
「引き取る」の尊敬語をまとめておきます。
②そもそも尊敬語とは…
敬語の一種であり、相手側又は第三者の行為・ものごと・状態などについて、その人物を立てて述べるもの。
- お引取りだ
お引取りです
※意味は(目上なり上司が)引き取る - お引取りになる
お引取りになります
※意味は(目上なり上司が)引き取る - 引き取りなさる
引き取りなさいます
※意味は(目上なり上司が)引き取る - お引取りなさる
お引取りなさいます
※意味は(目上なり上司が)引き取る - お引取りくださる
お引取りくださいます
※意味は(目上なり上司が)引き取ってくれる
※丁寧語「ます」とくみあわせて「〜します」「〜いたします」とするのが丁寧な使い方ですのでご留意ください。
※尊敬語「〜れる・られる」は受け身の用法とごっちゃになる可能性があり、注意が必要。
“引き取る”の敬語③丁寧語
つづいて「引き取る」の丁寧語について。
③そもそも丁寧語とは…
敬語の一種であり、話や文章の相手に対して丁寧に述べるもの。いわゆる「です・ます」口調のこと。
- 引き取ります
※意味は(自分が)引き取る
以上で基本事項のおさらいは終わり。
あとはビジネスシーンごとに使える敬語フレーズをまとめておきます。
使い方①依頼「引き取ってください」と言いたい時
「お引取り」の使い方。
依頼・お願いの敬語フレーズとして、目上や社内上司・取引先に「引き取ってください」「引き取ってほしい」と言いたいときに使います。
ビジネスシーン(メール・電話・上司・社内目上・社外など)につかえる丁寧な例文は以降よりご紹介。
『お引取りください』
「お引取り」の使い方。
依頼・お願い「引き取ってください」と言いたいときの丁寧な敬語フレーズ。
- 例文「お引取りください」
意味は『引き取ってください』
「引き取って」というフレーズを尊敬語「お引取り」に言い換えているため丁寧レベルとしては「引き取ってください」よりもだいぶマトモ。
ただやはり「〜ください」という命令形である点において、強い口調に感じられてしまうケースあり。
時と場合によっては目上・上司・取引先に不快感をあたえてしまいます。
気になるかたは以降の例文をつかいましょう。
ちなみに”お引取りください”の敬語は以下のようになりたちます。
- もとになる単語「引き取る」に尊敬語”お(ご)”で「お引取り」
- さらに「くれる」の尊敬語”くださる”で「お引取りくださる」
- さらに命令形にして”お引取りください”
※ 漢字表記「下さい」vs ひらがな表記「ください」はどちらもOK
このようにして元になる語「引き取る」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
『お引取りくださいませ』
「お引取り」の使い方。
依頼・お願い「引き取ってください」と言いたいときの丁寧な敬語フレーズ。
- 例文「お引取りくださいませ」
意味は『引き取ってください』
尊敬語「お引取りくださる」に丁寧語”ます”の命令形「ませ」をつかい丁寧な敬語フレーズにしています。
命令形である点において「引き取ってください」とたいして違いはありませんが、丁寧語「ませ」を添えることで、よりやわらかい印象となりますね。
「〜くださいませ」は女性がよくつかうフレーズであるため、女性敬語だと言われることもあります。
ただ実際には男性であろうと女性であろうと違和感なくつかえます。
『お引取りいただければと存じます』
依頼・お願い「引き取ってください」と言いたいときの敬語フレーズ
- 例文「お引取りいただければと存じます」
意味は『引き取ってもらえたらと思います』
「~してもらえたらと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」を可能形にして「お(ご)~いただける」とし、さらに仮定の「たら・れば」をくっつけています。
「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」
『お引取りいただきたく存じます』
依頼・お願い「引き取ってください」と言いたいときの敬語フレーズ
- 【例文】お引取りいただきたく存じます
→ 意味は『引き取ってもらいたいと思います』
あるいはシンプルに、
- 【例文】お引取りいただきたく、お願い致します
→ 意味は『引き取ってもらいたい、お願いします』
としても丁寧です。
「~いただきたく存じます」の意味は「~してもらいたいと思います」。相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
「いただきたく」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+願望の「~たい」
「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
『お引取りいただければ幸いです』
依頼・お願い「引き取ってください」と言いたいときの敬語フレーズ
- 【例文】お引取りいただければ幸いです
意味は『引き取ってもらえたら嬉しいです』
「~いただければ幸いです」の意味は「~してもらえたら嬉しいです・幸せです」
ようするに「引き取ってほしい!」「引き取ってください!」という依頼・お願いをあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。
そこで遠まわしに「引き取ってもらえたら嬉しいです」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。
「~いただければ幸いです」という敬語フレーズはお願い・依頼のビジネスメールでよく使います。以下のフレーズもご参考にどうぞ。
- 例文「お引取りいただけますと幸いです」
- 例文「お引取りいただけましたら幸いです」
- 例文「お引取りいただければ幸甚に存じます」
- 例文「お引取りいただけますと幸甚に存じます」
- 例文「お引取りいただけましたら幸甚に存じます」
補)幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
補)”幸いです”の意味は「嬉しいです、幸せです」
【敬語の補足】
※「お(ご)〜いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にし「いただける」として、さらに仮定「たら・れば」をくっつけた敬語
※「お(ご)〜いただけますと」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にし「いただける」として、さらに丁寧語”ます”をくっつけた敬語
※「お(ご)〜いただけましたら」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にし「いただける」として、さらに丁寧語”ます”をくっつけ、さらに仮定「たら・れば」をくっつけた敬語
『お引取りくださいますようお願い申し上げます』
依頼・お願い「引き取ってください」と言いたいときの敬語フレーズ
- 例文「お引取りくださいますようお願い申し上げます」
- 例文「お引取りくださいますようお願い致します」
意味は『引き取ってくれるようお願いします』
とくにビジネスメール結び・締めにつかわれる敬語です。
※「お願い申し上げます = お願い致します」に言い換えOK
ようするに「引き取ってほしい!」「引き取ってください!」という依頼・お願いをあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。
そこで遠まわしに「引き取ってくれるようにお願い!」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。
ちなみに「ますよう」は「①ます+②よう(様)」という2つの単語からなります。
まず前半部分の「ます」はシンプルに丁寧語の「ます」
つづいて後半の「よう(様)」の意味はいろいろありますが…
ここでは「婉曲 (えんきょく) な命令・希望の意を表す」言葉として使われます。
希望をあらわす「よう(様)」にはたとえば、
- 【例文】時間に遅れないよう、ご留意ください
- 【例文】部長に怒られないように気をつける
- 【例文】風邪などお召しになりませんように
などあり。
ちなみに「ように」でも「よう」でも正しい日本語ですが、「お引取りくださいますようにお願い申し上げます」はあまり一般的ではありません。
また表記は漢字「ます様に」でも平仮名「ますように」でも、どちらも正しい日本語です。
『お引取りいただきますようお願い致します』
依頼・お願い「引き取ってください」と言いたいときの敬語フレーズ
- 【例文】お引取りいただきますようお願い申し上げます
→ 意味は『引き取ってもらうようお願いします』
あるいは可能形「いただける」をつかい、
- 【例文】お引取りいただけますようお願い申し上げます
→ 意味は『引き取ってもらえるようお願いします』
としても丁寧。
とくにビジネスメール結び・締めにつかわれる敬語です。
※「お願い申し上げます」は「お願い致します」に言い換えOK
「~いただきますよう」の意味は「〜してもらうように」
ようするに「引き取ってほしい!」「引き取ってください!」という依頼・お願いをあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。
そこで遠まわしに「引き取ってもらうようにお願い!」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。
目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なフレーズですね。
ちなみに、
「くださいますよう」「いただきますよう・いただけますよう」はニュアンスが違うものの、どれも結局のところ「~してほしい」と言いたいので同じです。
メール結び・文末では「~くださいますよう」を使うことが多いのですが、心底どれをつかっても構いません。
【敬語の補足】
※「お(ご)〜いただきますよう」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」+丁寧語”ます”+”ように(様に)”
※「お(ご)〜賜りますよう」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~賜る」+丁寧語”ます”+”ように(様に)”
その他いろいろな言い換え敬語
敬語の種類というのは本当にいろいろあります。
ほんの一例ですが他にもある使い方を例文にまとめておきます。
- 例文「お引取りいただきたく、お願い致します」
意味は「引き取ってほしい、お願いします」 - 例文「お引取りいただけましたら幸いです」
※意味は「引き取ってもらえたら嬉しいです」 - 例文「お引取りいただけましたら幸甚に存じます」
※意味は「引き取ってもらえれば嬉しく思います」 - 例文「お引取りいただければ幸甚に存じます」
※意味は「引き取ってもらえれば嬉しく思います」 - 例文「お引取りいただけますと幸いです」
- 例文「お引取りいただけますと幸甚に存じます」
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+願望「~たい」
・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」
・幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
使い方②会話・電話での依頼は”お引取り頂けますか?”
お引取りの使い方。
つづいてビジネスメールではなく会話や電話対応シーンで「引き取ってほしい!」と言いたいときには…
「お引取りくださいますようお願い申し上げます」などは絶対につかいません。
長いうえに丁寧すぎて気持ち悪いですからね。
そこでビジネス会話・電話対応では…
- 【例文】お引取りいただけますか?
- 【例文】お引取りいただけますでしょうか?
- 【例文】お引取り願えますでしょうか?
※もちろん「お引取りください」「お引取りくださいませ」としても丁寧
といった質問フレーズをつかいましょう。
意味としては「引き取ってもらえますか?」であり、敬語をつかって丁寧な表現にしています。
『引き取って頂けますか?/頂けますでしょうか?』でもOK
あえて「お引取り」という敬語をつかわなくても…
会話や電話対応シーンであれば「引き取る」の敬語フレーズをつかってシンプルに、
- 【例文】引き取っていただけますか?
→ 意味は「引き取ってもらえますか?」 - 【例文】引き取っていただけますでしょうか?
→ 意味は「引き取ってもらえるでしょうか?」
としても丁寧です。
一般的に、会話や商談でカチッとした敬語をつかいすぎると、相手とのあいだに壁をつくってしまいます。ようは会話がスムーズに進まなくなってしまうのですよね。
そこで会話シーンではすこしカジュアルな敬語をつかうことをオススメします。
とくに「〜いただけますか?」サラッと言えるためビジネスシーンで重宝するフレーズです。
※「すでに引き取ってもらえましたか?」と催促・確認するときは過去形「お引取りいただけましたか?」「お引取りいただけましたでしょうか?」とすると丁寧。
敬語の解説
「お引取りいただけますか?」「お引取りいただけますでしょうか?」
の敬語の成り立ちとしては…
- “引き取る”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「お引取りいただく」
- 可能形にして「お引取りいただける」
- さらに丁寧語”ます”で「お引取りいただけます」
- 疑問形にして「お引取りいただけますか?」
“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「お引取りいただけますでしょうか?」
どちらも謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。
したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。
どちらかというと「〜いただけますでしょうか?」のほうが丁寧なのですが…
バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか?」でも構いません。
使い方③お礼「引き取ってくれてありがとう」の敬語
「お引取り」の使い方。
つづいてお礼の敬語フレーズ。
目上や社内上司・社外取引先に「引き取ってくれてありがとう」「お引取りありがとう」と言いたいときにも「お引取り」をつかいます。
ビジネスシーン(メール・電話・上司・社内目上・社外など)につかえる丁寧な例文は以降よりご紹介。
『お引取りいただきありがとうございます』
「お引取り」の使い方。
お礼・感謝「引き取ってくれてありがとう」と言いたいときの敬語フレーズ。
- 例文『お引取りいただきありがとうございます』
- 例文『お引取りいただきまして、ありがとうございます』
あるいはシンプルに、
- 例文『お引取りありがとうございます』
としてもまぁOKです。
意味はどれも『引き取ってもらいありがとう』
お礼・感謝の意をあらあわすフレーズとしてはもっともオーソドックスな敬語です。
会話シーンではもちろんのことビジネスメールにもつかえる丁寧なフレーズであり、社内上司・目上・取引先にも丁寧ですね。
【敬語の補足】
※「お(ご)〜いただく」は「〜してもらう」の敬語(謙譲語)
『お引取りくださいましてありがとうございます』
「お引取り」の使い方。
お礼・感謝「引き取ってくれてありがとう」と言いたいときの敬語フレーズ。
- 例文『お引取りくださいましてありがとうございます』
あるいはシンプルに、
- 例文『お引取りくださり、ありがとうございます』
としても丁寧です。
意味はどれも『引き取ってくれてありがとう』
こちらもビジネスメールでよく目にする敬語フレーズですね。目上や上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語です。
ちなみに「お引取りくださいましてありがとう」よりも先ほどの例文「お引取りいただき〜」をつかう方が、よりやわらかい印象の敬語になります。
丁寧な対応を心がけたいときには「お引取りいただく」をオススメします。
【敬語の補足】
※「お(ご)〜くださる」は「〜してくれる」の敬語(尊敬語)
“ありがとう”だけじゃないお礼の敬語フレーズ
ここまではビジネスシーン(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)でオーソドックスに使えるお礼・感謝の敬語フレーズを紹介しました。
ただ、
お礼するときにいつも「ありがとうございます」を使っていてはビジネス敬語ビギナー。
ここからは「ありがとう」だけじゃないお礼・感謝の敬語フレーズを紹介します。
『感謝申し上げます』など
「ありがとう」だけじゃないお礼・感謝の敬語フレーズ
「感謝」をつかった例文を。
- 【例文】お引取りいただき感謝申し上げます
- 【例文】お引取りいただき感謝いたしております
- 【例文】お引取りいただき感謝いたします
※「お引取りくださり感謝〜」「お引取りくださいまして感謝〜」に言い換えても丁寧
※「お引取り賜り感謝〜」「お引取り賜りまして感謝〜」だとより丁寧
意味はどれも似たようなもの。
ようは「引き取ってもらいありがとう!」「引き取ってくれてありがとう!」と言いたいのですが…
丁寧な敬語をつかうとこんな風にややこしい表現になります。
【敬語の補足】
※「お(ご)~いただく」は「~してもらう」の敬語(謙譲語)
※「いたします」は「する」の謙譲語”いたす”+丁寧語”ます”
※「いたしております」は「する」の謙譲語”いたす”+「いる」の謙譲語”おる”+丁寧語”ます”
『深謝いたします』など
「ありがとう」だけじゃないお礼・感謝の敬語フレーズ
「深謝=深く感謝すること」をつかった例文を。
- 例文「お引取りいただき深謝いたしております」
- 例文「お引取りいただき深謝いたします」
※「お引取りくださり深謝〜」「お引取りくださいまして深謝〜」に言い換えても丁寧
※「お引取り賜り深謝〜」「お引取り賜りまして深謝〜」だとより丁寧
意味はどれも似たようなも。
ようは「引き取ってもらい本当にありがとう!」「引き取ってくれて本当にありがとう!」と言いたいのですが…
丁寧な敬語をつかうとこんな風にややこしい表現になります。
【敬語の補足】
※「いたします」は「する」の謙譲語”いたす”+丁寧語”ます”
※「いたしております」は「する」の謙譲語”いたす”+「いる」の謙譲語”おる”+丁寧語”ます”
『お礼申し上げます』など
「ありがとう」だけじゃないお礼・感謝の敬語フレーズ
「お礼申し上げます」をつかった例文を。
- 【例文】お引取りいただきお礼申し上げます
- 【例文】お引取りいただき厚くお礼申し上げます
※「お引取りくださり・お引取りくださいましてお礼〜」に言い換えても丁寧
※「お引取り賜り・お引取り賜りましてお礼〜」だとより丁寧
意味はどれも似たようなもの。
ようは「引き取ってもらいお礼します!」「引き取ってくれてお礼します!」と言いたいのですが…丁寧な敬語をつかうとこんな風にややこしい表現になります。
お礼フレーズ参考記事
使い方④断り「引き取ることはできません」の丁寧な敬語
「お引取り」の使い方。
断りのシーン、つまり目上や社内上司・社外取引先に「引き取ることはできません!」「引き取るのは無理です!」「お断りします!」と言いたいときにも使います。
ビジネスシーン(メール・電話・上司・社内目上・社外など)につかえる丁寧な例文は以降でご紹介。
『お引取りいたしかねます』
「お引取り」の使い方。
断り「お断りします!引き取ることはできません」と言いたいときにも使えます。
- 【例文】お引取りいたしかねます
意味は「引き取ることができません」
ようは「お断りします!」「引き取ることはできません!」ということなのですが、このままではあまりにストレートすぎて強い口調に感じられてしまいます。上司や目上・取引先につかうにはイマイチですね。
そこで、
「~いたしかねます」という敬語をつかうことで、より丁寧な断りのフレーズにしています。
ここで「〜いたしかねる(兼ねる)」は「~することができない」という意味の敬語。否定語であり「〜しかねる」の謙譲語です。
たとえば、
- 【例文】お受けいたしかねます
意味は「引き受けることができません」 - 【例文】ご要望にはお応えいたしかねます
意味は「要望に応えることができません」 - 【例文】ご対応いたしかねます
意味は「対応することができません」
などのようにして使います。ビジネスメールでは例文のように丁寧語「ます」をくっつけて「〜いたしかねます」として使うのが一般的。
【敬語の補足】
※「お(ご)~いたしかねます」は「~する」の謙譲語「お(ご)~いたす」に否定語”~かねる”をくっつけ、さらに丁寧語”ます”をくっつけた敬語
『ご対応いたしかねます』
断り「お断りします!引き取ることはできません」と言いたいときに使える敬語フレーズ
- 【例文】ご対応いたしかねます
意味は「対応することができません」
ようは「お断りします!」「対応できません!」ということなのですが、このままではあまりにストレートすぎて強い口調に感じられてしまいます。上司や目上・取引先につかうにはイマイチですね。
そこで、
「~いたしかねます」という敬語をつかうことで、より丁寧な断りのフレーズにしています。
【敬語の補足】
※「お(ご)~いたしかねます」は「~する」の謙譲語「お(ご)~いたす」に否定語”~かねる”をくっつけ、さらに丁寧語”ます”をくっつけた敬語
『ご要望にお応えすることが叶いません』
断り「お断りします!引き取ることはできません」と言いたいときに使える敬語フレーズ
- 【例文】xxにより、ご要望にお応えすることが叶いません
- 【例文】xxのため、ご要望にお応えすることが大変困難な状況でございます
→ 意味は「要望に応えることができない or 難しい」
あるいは、
- 【例文】xxにより、お引取りすることが叶いません
- 【例文】xxのため、お引取りすることが大変困難な状況でございます
→ 意味は「引き取ることができない or 難しい」
※「叶いません」は「したいけどできない」のようなニュアンス
使い方は「お引取りいたしかねます」と似たようなもの。
ようは「お断りします!!」ということなのですが、このままだと上司や目上・取引先につかうにはあまりにストレートすぎます。「お断りします」は確実に失礼にあたりますので、二度と付き合いたくない相手にだけつかいましょう。
そこで、
「叶いません=したいけどできない」「大変困難な状況です=難しい」といった、遠まわしに断るフレーズをつかっています。
『ご要望に添いかねます』
断り「お断りします!引き取ることはできません」と言いたいときに使える敬語フレーズ
- 【例文】ご要望に添いかねます
意味は「要望に添うことができません」
使い方は「お引取りいたしかねます」と似たようなもの。
ようは「あなたの引き取ってほしいという要望には応えることができません!」ということなのですが、このままだと上司や目上・取引先につかうにはイマイチ。
そこで、
「~しかねます=~することができません」というフレーズをつかうことで、より丁寧な断りのフレーズにしています。
丁寧な断りのフレーズいろいろ
上司や目上・取引先につかえる丁寧な断りの敬語フレーズは他にもいろいろあり。
飲み会の誘いを断るのであれば「~は遠慮させていただきます」
仕事の依頼を断るのであれば「~を見送らせていただきます」
内定を辞退するのであれば「内定を辞退いたします」
・・・などなど
ビジネスシーンごとにふさわしいフレーズがあります。
以下の記事もご参考にどうぞ。
使い方⑤催促「引き取ってくれた?」の丁寧な敬語
「お引取り」の使い方。
つづいて催促・確認の敬語フレーズ。
目上や社内上司・社外取引先に「すでに引き取ってくれた?」「引き取ってもらった?」と言いたいとき。
ビジネスシーン(メール・電話・上司・社内目上・社外など)につかえる丁寧な例文を紹介します。
※かならずしも「お引取り」をつかう必要はなく、例文のように言い換えても丁寧
『その後いかがでしょうか?』
催促・確認「引き取ってくれたの?」と言いたいときに使える敬語フレーズ
「いかがでしょうか?」をつかって、
- 【例文】その後いかがでしょうか?
→ 意味は「その後どうでしょうか」
としても丁寧。
わざわざ「お引取り」という言葉を入れずとも「いかがでしょうか?」をつかって確認・催促できます。
「①いかが=どう」+「②でしょうか=だろうか」という2つの語からなるため「どうだろうか?」という意味になりますね。
ちなみに「いかがでしょうか?」はどんな状況であれ確認・催促するのにつかえる丁寧な敬語フレーズ。
目上・社内上司にかぎらず取引先にも丁寧ですし、ビジネスメール・会話シーンをとわず活躍します。
覚えておくとかならず役に立ちます。
【敬語の補足】
※ “でしょうか?”は「だろうか?」の丁寧語(敬語)
『ご状況いかがでしょうか?』
催促・確認「引き取ってくれたの?」と言いたいときに使える敬語フレーズ
わざわざ「お引取り」という言葉を入れずとも「いかがでしょうか?」をつかって確認・催促できます。
- 【例文】ご状況いかがでしょうか?
→ 意味は「状況はどうでしょうか」
使い方や敬語の種類は「その後いかがでしょうか」とおなじため省略。
催促・確認するとき、便利かつ丁寧なフレーズですので覚えておくと必ず役に立ちます。
『お引取り頂けましたか?/頂けましたでしょうか?』
「お引取り」の使い方。
催促・確認「引き取ってくれたの?」と言いたいときにも「お引取り」をつかいます。
- 【例文】お引取りいただけましたか?
→ 意味は「引き取ってもらえましたか」
あるいは「~でしょうか?」を付け足して、
- 【例文】お引取りいただけましたでしょうか?
→ 意味は「引き取ってもらえたでしょうか」
としても丁寧です。
ようするに「すでに引き取ってもらえたのか?」「もう引き取ってもらえたのか?」という催促や確認の意味をあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司・取引先に使うにはイマイチです。
そこで遠まわりに「~していただけましたか?=~してもらえましたか?」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。
そんなに丁寧に催促する必要あるの?って思うくらい。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
敬語について解説していると日がくれるため…
わかりやすく以下の例文をそれぞれ見比べてみましょう。
- 【例文】すでに返事したのか? vs. お返事いただけましたか?
- 【例文】すでに対応したのか? vs. ご対応いただけましたか?
- 【例文】すでに予約したのか? vs. ご予約いただけましたか?
どちらが丁寧に感じられるかは一目瞭然ですね。
ちなみに「お引取りいただけましたか」よりも「お引取りいただけましたでしょうか」のほうが丁寧。
ただし結局のところどちらも上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語です。
あまり気にせず、あなたのお好みでお使いください。
【敬語の補足】
※「お(ご)~いただけましたか?」は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にして「いただける」とし、丁寧語の過去疑問形”ましたか?”をくっつけた敬語。
※ “でしょうか?”は「だろうか?」の丁寧語(敬語)
※現在形「お(ご)~いただけますか?」をつかうと「~してもらえますか?」というお願い・依頼の敬語フレーズとなる。
※現在形「お(ご)~いただけますでしょうか?」をつかうと「~してもらえるだろうか?」というお願い・依頼の敬語フレーズとなる。
『引き取って頂けましたか?/頂けましたでしょうか?』
催促・確認「引き取ってくれたの?」と言いたいときに使える敬語フレーズ
- 【例文】引き取っていただけましたか?
→ 意味は「引き取ってもらえましたか」
あるいは、
- 【例文】引き取っていただけましたか?
→ 意味は「引き取ってもらえたでしょうか」
としても丁寧。
とくに会話や電話対応シーンでつかわれる敬語ですね。
ようするに「すでに引き取ってもらえたのか?」「もう引き取ってもらえたのか?」という催促や確認の意味をあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司・取引先に使うにはイマイチです。
そこで遠まわりに「~していただけましたか?=~してもらえましたか?」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。
ただ、
丁寧レベルとしては「お引取りいただけましたか?」「お引取りいただけましたでしょうか?」のほうが上。
カチッとしたビジネス敬語がもとめられるシーンではお気をつけください。
【敬語の補足】
※「~していただけましたか?」は「~してもらう」の謙譲語「~していただく」を可能形にして「〜していただける」とし、丁寧語の過去疑問形”ましたか?”をくっつけた敬語。さらに推量”だろうか”の丁寧語「でしょうか?」をくっつけると「〜していただけましたでしょうか?」という敬語になる。
※現在形「~していただけますか?」をつかうと「~してもらえますか?」というお願い・依頼の敬語フレーズとなる。
その他『お引取りくださいましたか』など
催促・確認「引き取ってくれたの?」と言いたいときに使える敬語フレーズ
他にはたとえば、
- 【例文】お引取りくださいましたか?
- 【例文】お引取りくださいましたでしょうか?
→ 意味は「引き取ってくれましたか?/引き取ってくれたでしょうか?」
あるいは、
- 【例文】お引取りいただきましたか?
- 【例文】お引取りいただきましたでしょうか?
→ 意味は「引き取ってもらいましたか?/引き取ってもらったでしょうか?」
としてもまぁOKです。
※ “でしょうか?”は「だろうか?」の丁寧語(敬語)
意味や使い方は「お引取りいただけましたか?」と似たようなものなので省略。
どれもまぁ上司・目上・社外取引先につかえる敬語です。
が、あまり一般的ではなくおとなしく「お引取りいただけましたか?」「お引取りいただけましたでしょうか?」のいずれかを使うことをオススメします。
【敬語の補足】
※「お(ご)~くださいましたか?」は「~してくれる」の尊敬語「お(ご)~くださる」に丁寧語の過去疑問形”ましたか?”をくっつけた敬語。さらに「だろうか」の丁寧語”でしょうか”をくっつけると「お(ご)~くださいましたでしょうか?」という敬語となる。
※「お(ご)~いただきましたか?」は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」に丁寧語の過去疑問形”ましたか?”をくっつけた敬語。さらに「だろうか」の丁寧語”でしょうか”をくっつけると「お(ご)~いただきましたでしょうか?」という敬語となる。
使い方⑥自分の行為「引き取ります!」の丁寧な敬語
「お引取り」の使い方。
自分が「引き取ります!」と言いたいビジネスシーンにも敬語「お引取り」をつかいます。
ビジネスシーン(メール・電話・上司・社内目上・社外など)につかえる丁寧な例文は以降でご紹介。
『お引取りします/お引取りいたします』
「お引取り」の使い方。
自分の行為「引き取ります」と言いたいときにも「お引取り」は使えます。
- 【例文】お引取りします
- 【例文】お引取りいたします
意味はどちらも「引き取ります」
※ひらがな表記「いたします」vs.漢字表記「致します」はどちらもOK
謙譲語の基本形「お(ご)~する」「お(ご)~いたす」に丁寧語”ます”をくっつけて敬語にしています。
ようするに「引き取るよ!」という自分の行為をしめす敬語ですね。
どちらも目上・社内上司・社外取引先につかえるフレーズですが「お引取りします」よりも「お引取りいたします」のほうが丁寧な敬語となります。
【敬語の補足】
※「お(ご)~します」は謙譲語の基本形「お(ご)~する」に丁寧語”ます”をくっつけた敬語
※「お(ご)~いたします」は謙譲語の基本形「お(ご)~いたす」に丁寧語”ます”をくっつけた敬語。
『お引取りしましょうか?/しますか?』
「お引取り」の使い方。
自分の行為「引き取ります」と言いたいときに使える敬語フレーズ
- 【例文】お引取りしましょうか?
→ 意味は「引き取りましょうか?」
あるいは、
- 【例文】お引取りしますか?
- 【例文】引き取りましょうか?
- 【例文】引き取りますか?
というように疑問文をつかっても丁寧です。
返事するなら『承知しました』などが丁寧
あるいは…
目上や上司・取引先から「引き取ってくれますか?」と質問されたとき。
「わかりました!」「了解しました!」と返事をする場合は、
- 【例文】承知しました
- 【例文】承知いたしました
あるいは、
- 【例文】かしこまりました
- 【例文】承りました(うけたまわりました)
としても丁寧です。
意味はどれも「わかりました・了解しました」
※ひらがな表記「いたします」vs.漢字表記「致します」はどちらもOK
ちなみに「承知」の意味は…
- 目上の人の命令などをうけたまわること
- 相手の願い、要求などを聞き入れること
- わかること、知ること
承知=知る+承る(うけたまわる)でなりたちます。
その他『引き取らせて頂きます』など
自分の行為「引き取ります!」と言いたいときに使える敬語フレーズ
他にはたとえば、
- 【例文】引き取らせていただきます
→ 意味は「引き取らせてもらいます」 - 【例文】引き取らせてください
→ 意味は「引き取らせてくれ」
あるいは、
- 【例文】お引取り申し上げます
→ 意味は「引き取ります」
なども丁寧です。
※ただし「させて頂く」「させて下さい」「申し上げる」はふさわしいシーンを考えて使うこと。なんでもかんでも使えば丁寧という訳ではない。
意味や使い方は「お引取りします/いたします」と似たようなものなので省略。
とくに「お(ご)~申し上げます」はビジネス文書や手紙・丁寧なビジネスメールにしたいときなど、カチッとした敬語がこのまれるシーンでよくつかわれます。
【敬語の補足】
※「お(ご)~申し上げます」は「~する」の謙譲語に丁寧語”ます”をくっつけた敬語。
※「お(ご)~させて頂きます」は「~させてもらう」の謙譲語「お(ご)~させて頂く」に丁寧語”ます”をくっつけた敬語。
※「お(ご)~させてください」は「~させてくれる」の尊敬語「お(ご)~させてくださる」を命令形にした敬語。
使い方⑦禁止「引き取ってはダメです」の丁寧な敬語
「お引取り」の使い方。
つづいて禁止の敬語フレーズ。
つまり、
目上や社内上司・社外取引先に「引き取ってはいけません!」あるいは「引き取ってはダメです!」「引き取るは止めてください!」と言いたいとき。
こんなビジネスシーンにも「お引取り」をつかいます。
『お引取りいただけません』
「お引取り」の使い方。
禁止「引き取ってはダメです!」と言いたいときにも「お引取り」は使えます。
- 【例文】お引取りいただけません
意味は「引き取ってはダメです」
「~いただけません」は直訳すると「~してもらってはいけません」ですが…
ようは禁止「~してはいけません」という意味。
「引き取ってはいけません!」「引き取ってはダメだよ!」ということなのですが、このままではあまりにストレートすぎて強い口調に感じられてしまいます。
上司や目上・取引先につかうにはイマイチですね。
そこで「~いただけません」という敬語をつかうことで遠まわしに禁止の意味をあらわしているのです。
ビジネスシーンでは回りくどい敬語ほど丁寧にみられる傾向にあり。
そういう意味で丁寧といえます。
(本質的には間違っているのですが事実なので仕方ないです)
ちなみに「〜いただけません」はたとえば、
- 【例文】この車両はご利用いただけません
意味は「利用してはいけません」 - 【例文】このトイレはご使用いただけません
意味は「使用してはいけません」
などのようにして使います。
【敬語の補足】
※「お(ご)~いただけません」は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にして「いただける」とし、丁寧語の否定形”ません”をくっつけた敬語
『お引取りいただくことはできません』
禁止「引き取ってはダメです!」と言いたいときに使える敬語フレーズ
- 【例文】お引取りいただくことはできません
意味は「引き取ってはダメです」
使い方は「お引取りいただけません」と似たようなもの。
こちらのほうがよりダイレクトに禁止の意味をあらわすフレーズになります。
ビジネスシーンでは回りくどい敬語ほど丁寧にみられる傾向にあり。
(本質的には間違っているのですが事実なので仕方ないです)
したがって「お引取りいただけません」のほうが丁寧と言えます。
【敬語の補足】
※「お(ご)~いただく」は「~してもらう」の敬語(謙譲語)
『ご遠慮ください』
禁止「引き取ってはダメです!」と言いたいときに使える敬語フレーズ
以下のように「ご遠慮」をつかった敬語フレーズも丁寧です。
- 【例文】xxはご遠慮ください(ませ)
- 【例文】xxはご遠慮いただきたく存じます
- 【例文】xxはご遠慮いただければと存じます
- 【例文】xxはご遠慮いただけますと幸いです
- 【例文】xxはご遠慮くださいますようお願い申し上げます
→ 要はすべて「xxはやめてください」と言いたい。
あるいは電話対応や会話シーンであれば「いただけますか?」をつかい、
- 【例文】xxは遠慮していただけますか?
- 【例文】xxは遠慮していただけますでしょうか?
- 【例文】xxはご遠慮いただけますか?
- 【例文】xxはご遠慮いただけますでしょうか?
→ 要はすべて「xxはやめてもらえますか?」と言いたい。
としても丁寧です。
ようは「xxしてはダメだよ!」「xxしてはいけません!」という意味なのですが、このままではあまりにストレートすぎて上司や目上・取引先につかうにはイマイチですね。
そこで、
「ご遠慮=控える・やめる」をつかって、遠まわしにやんわ〜りと禁止の意をしめしています。
ビジネスシーンでは回りくどい敬語ほど丁寧にみられる傾向にあり。
(本質的には間違っているのですが事実なので仕方ないです)
ちなみに遠慮(えんりょ)の意味は…
-
人に対して、言葉や行動を慎み控えること。
-
辞退すること。また、ある場所から引き下がること。
ここでは「①慎み控える」の意味でつかっています。
【敬語の補足】
※「お(ご)~ください」は「~してくれる」の尊敬語「お(ご)~くださる」を命令形にした敬語
※「お(ご)~いただきたく」は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」に願望・希望の「〜したい」をくっつけた敬語
※「お(ご)~いただければ」は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にして「いただける」とし、仮定「たら・れば」をくっつけた敬語
※「お(ご)~いただけますか」は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にして「いただける」とし、丁寧語の疑問形”ますか”をくっつけた敬語。さらに「〜だろうか」の丁寧語”でしょうか”をくっつけても丁寧。
その他『お控えください』など
禁止「引き取ってはダメです!」と言いたいときに使える敬語フレーズ
あとは「控える」をつかった言い換えもできます。
- 【例文】xxはお控えください(ませ)
- 【例文】xxはお控えいただきたく存じます
- 【例文】xxはお控えいただければと存じます
- 【例文】xxはお控えいただけますと幸いです
- 【例文】xxはお控えくださいますようお願い申し上げます
言いたいことは「控えてください・やめてください」
控える(ひかえる)の意味は…
- 待つ・待機する
- そばにいる
- 空間・時間が迫っている、近くに位置する、近くに予定される
- 度を越さないように、分量・度数などを少なめにおさえる。節制する
- 自制や配慮をして、それをやめておく。見合わせる
ここでは「⑤やめておく」の意味でつかっています。
使い方⑧希望「引き取りたい!」の敬語
「お引取り」の使い方。
つづいてあなたの希望や意思・願望をあらわしたい時につかえる敬語フレーズ。
つまり、
自分が「引き取りたい!」と言いたいとき。
こんなビジネスシーンにも「お引取り」をつかいます。
『お引取りしたく存じます』
「お引取り」の使い方:希望・意思・願望「引き取りたい!」と言いたいときに使える敬語フレーズ
- 【例文】お引取りしたく存じます
あるいは、
- 【例文】お引取りしたく思います
としてもまぁOK。
意味はどれも「引き取りたいと思います」
謙譲語の基本形「お(ご)~する」に希望の「~したい」をくっつけると「お(ご)~したく」という敬語になります。
また「存じます」は「思います!」という意味の敬語(謙譲語)。
すべてあわせると、
「引き取りたい!」という自分の意思や希望・願望をしめす敬語になりますね。
【敬語の補足】
※「お(ご)~したく」は謙譲語の基本形「お(ご)~する」に希望の”~したい”をくっつけた敬語
※「存じる」は「思う」という意味の敬語(謙譲語)。丁寧語”ます”をくっつけると「存じます」となる。
『お引取りいたしたく存じます』
希望・意思・願望「引き取りたい!」と言いたいときに使える敬語フレーズ
- 【例文】お引取りいたしたく存じます
あるいは、
- 【例文】お引取りいたしたく思います
としてもまぁOK。
意味はどれも「引き取りたいと思います」
※ひらがな表記「いたしたく」vs.漢字表記「致したく」はどちらもOK
謙譲語の基本形「お(ご)~いたす」に希望の「~したい」をくっつけると「お(ご)~いたしたく」という敬語になります。
また「存じます」は「思います!」という意味の敬語(謙譲語)。
すべてあわせると、
「引き取りたい!」という自分の意思や希望・願望をしめす敬語になりますね。
どれも目上・社内上司・社外取引先につかえるフレーズですが「お引取りしたく存じます」よりも「お引取りいたしたく存じます」のほうが丁寧な敬語となります。
【敬語の補足】
※「お(ご)~いたしたく」は謙譲語の基本形「お(ご)~いたす」に希望の”~したい”をくっつけた敬語。
※「存じる」は「思う」という意味の敬語(謙譲語)。丁寧語”ます”をくっつけると「存じます」となる。
使い方⑨許可を得る「引き取ってもいいか?」の敬語
「お引取り」の使い方
つづいて上司や社内目上・社外取引先に許可を得たいとき。
つまり「引き取ってもいいか?」と言いたいときに使える丁寧な敬語フレーズをご紹介。
『お引取りしてもよろしいでしょうか?』
「お引取り」の使い方。
許可を得たい「引き取ってもいいか?」の丁寧な敬語フレーズ
- 【例文】お引取りしてもよろしいでしょうか?
→ 意味は「引き取ってもいいでしょうか?」
あるいは、
- 【例文】お引取りしてもよろしいですか?
→ 意味は「引き取ってもいいですか?」
としても丁寧。
「〜してもよろしいでしょうか?」の意味は「〜してもいいだろうか?」
「〜してもよろしいですか?」の意味は「〜してもいいですか?」
「よろしい」は「よい」の意味ですが、ビジネスシーンではより丁寧なフレーズ「よろしい」をつかうのが一般的。
【敬語の補足】
※「お(ご)~する」は謙譲語の基本形
※「よろしい」の意味は「よい」。「よろしい」のほうが丁寧なフレーズ。
※「〜でしょうか」は推量「〜だろうか」の丁寧語
『引き取ってもよろしいでしょうか?』
許可を得たい「引き取ってもいいか?」の丁寧な敬語フレーズ
- 【例文】引き取ってもよろしいでしょうか?
→ 意味は「引き取ってもいいでしょうか?」
あるいは、
- 【例文】引き取ってもよろしいですか?
→ 意味は「引き取ってもいいですか?」
としても丁寧。
意味や使い方は「お引取りしてもよろしいですか/よろしいでしょうか」とおなじため省略。
「お引取りしてもよろしいですか/よろしいでしょうか」のほうが、より丁寧な敬語ではありますが…
どちらをつかっても差し支えありません。
【敬語の補足】
※「よろしい」の意味は「よい」。「よろしい」のほうが丁寧なフレーズ。
※「〜でしょうか」は推量「〜だろうか」の丁寧語
使い方⑩許可をだす「引き取ってもいいよ!」の敬語
「お引取り」の使い方。
つづいて上司や社内目上・社外取引先に許可をだすとき。
つまり「引き取ってもいいよ!」と言いたいときに使える丁寧な敬語フレーズをご紹介。
『お引取りいただけます/お引取りいただけます』
許可をだす「引き取ってもいいよ!」の丁寧な敬語フレーズ
- 【例文】お引取りいただけます
- 【例文】お引取りいただけます
意味は「引き取ってもらうことができます」
ようは「引き取ってもいいよ!」ということなのですが、このままではカジュアルすぎて上司や目上・取引先につかうにはイマイチですね。
そこで、
「~いただけます=~してもらうことができます」という敬語をつかうことで、ものすご〜く回りくどいフレーズで許可をだしています。
ビジネスシーンでは回りくどい敬語ほど丁寧にみられる傾向にあり。
そういう意味で丁寧といえます。
(本質的には間違っているのですが事実なので仕方ないです)
【敬語の補足】
※「お(ご)~いただけます」は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にして「いただける」とし、丁寧語”ます”をくっつけた敬語
返事するなら『承知しました』などが丁寧
許可をだす「引き取ってもいいよ!」の丁寧な敬語フレーズ
上司や社内目上・社外取引先から質問されたとき。
「わかりました!」「了解しました!」と返事をする場合は、
- 【例文】承知しました
- 【例文】承知いたしました
あるいは、
- 【例文】かしこまりました
- 【例文】承りました(うけたまわりました)
としても丁寧です。
意味はどれも「わかりました・了解しました」
※ひらがな表記「いたします」vs.漢字表記「致します」はどちらもOK
ちなみに「承知」の意味は…
- 目上の人の命令などをうけたまわること
- 相手の願い、要求などを聞き入れること
- わかること、知ること
承知=知る+承る(うけたまわる)でなりたちます。
“お引取りいただく vs お引取りくださる”の使い方
ややこしいので「お引取りいただく vs お引取りくださる」の使い方について。
代表的なパターンを表にまとめておきます。
こまかく解説していくとそれだけで記事がおわってしまいますので、目的にあわせてお使いください。
“お引取りいただく”の使い方まとめ(すべて敬語)
①基本 | ②+丁寧語”ます” | ③その他 | |
---|---|---|---|
現 在 | お引取りいただく | お引取り頂きます | -頂くよう -頂きますよう |
過 去 | お引取りいただいた | お引取り頂きました | × |
進行形 | お引取りいただいている | お引取り頂いています | -頂いております |
過去~現在 | お引取りいただいていた | お引取り頂いていました | -頂いておりました |
希 望 依 頼 |
お引取りいただきたい お引取りいただきたく お引取りいただくよう お引取りいただけるよう |
お引取り頂きたいです × お引取り頂きますよう お引取り頂けますよう |
-頂きたく思います -頂きたくお願いします -頂きたく存じます -頂ければと存じます |
可 能 | お引取りいただける | お引取り頂けます | -頂けるよう -頂けますよう |
①仮定 ②仮定+可能 |
①お引取りいただいたら ②お引取りいただければ |
お引取り頂きましたら お引取り頂きましたら |
× |
①疑問+過去 ②疑問+可能 ③疑+可+過 |
①お引取りいただいたか? ②お引取りいただけるか? ③お引取りいただけたか? |
お引取り頂きましたか? お引取り頂けますか? お引取り頂けましたか? |
-頂きましたでしょうか -頂けますでしょうか -頂けましたでしょうか |
禁 止 | お引取りいただけない | お引取り頂けません | × |
命 令 | × | × | × |
※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。
※ 「頂く」「いただく」は漢字でも平仮名でもOK
※「×」としたのは一般的につかわない
“お引取りくださる”の使い方まとめ(すべて敬語)
①基本 | ②+丁寧語”ます” | ③その他 | |
---|---|---|---|
現 在 | お引取りくださる | お引取りくださいます | -くださるよう -くださいますよう |
過 去 | お引取りくださった | お引取りくださいました | × |
進行形 | お引取りくださっている | お引取りくださっています | -くださっております |
過去~現在 | お引取りくださっていた | お引取りくださっていました | -くださっておりました |
希 望 |
お引取りくださるよう | お引取りくださいますよう | × |
可 能 | × | × | × |
仮 定 | × | × | × |
疑 問 | お引取りくださるか? | お引取りくださいますか? | × |
否 定 | お引取りくださらない | お引取りくださいません | × |
命 令 | お引取りください | お引取りくださいませ | × |
※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります
※ 「下さる」「くださる」は漢字でも平仮名でもOK
※「×」としたのは一般的につかわない