「ご遠慮」の意味と敬語の種類、ビジネスに最適な使い方のすべてについて。
① 依頼「遠慮してください」は敬語でなんて言う?
② 断り・辞退「遠慮します!」と言いたいのだけど…
③ 希望・意思「遠慮したい!」ときの丁寧な敬語は?
④ 許可をえる or だすときの丁寧な敬語は?
メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職にはどんな敬語が好ましい?
…などなど。
ここでは敬語「ご遠慮」にまつわる疑問のすべてに答えを示していきます。
※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ。
“ご遠慮”の意味と敬語の種類
まずは「ご遠慮」のそもそもの意味と敬語の種類について。
“遠慮”の意味は「慎み控えること・辞退すること」
遠慮(えんりょ)の意味は・・・
- 人に対して、言葉や行動を慎み控えること。
【例文】車内での喫煙はご遠慮ください。
【例文】どうか遠慮なくお尋ねください。
「遠慮なくいただきます」「年長者への遠慮がある」「この部屋ではタバコは遠慮してください」 - 辞退すること。また、ある場所から引き下がること。
【例文】せっかくのお誘いではございますが、出張のため今回は遠慮させて頂きます
【例文】出席を遠慮します
ちなみに敬語は「遠慮」に尊敬語or謙譲語「お(ご)」で「ご遠慮」となります。
「自分がご遠慮する」あるいは相手に「ご遠慮いただく」のであれば謙譲語としての使い方。
上司・目上・取引先などの「相手がご遠慮くださる」のであれば尊敬語としての使い方。
というように2パターンあります。
敬語”お(ご)”の使い方
ややこしいので基本的な敬語の使い方についてくわしく解説を。
じつは尊敬語と謙譲語にはどちらも「お(ご)」の使い方があります。
謙譲語としての「お(ご)」の使い方はたとえば、
- 会議日程のご連絡
- 忘年会開催のお知らせ
- 販売状況のご報告
- 転勤のご挨拶
- 貴社ご訪問のお願い
こんな感じのフレーズがあります。よくビジネスメールの件名で目にする表現ですね。
ところが例文は自分が「ご連絡・お知らせ・ご報告・ご挨拶」するため「お(ご)」をつかうのはおかしいと感じるかたもいらっしゃることでしょう。
これは、
謙譲語「お(ご)」の使い方を知らないためにくる勘違いです。
尊敬語の「お(ご)」だと勘違いしているために間違い敬語と感じるのですが、実際にはどれも正しい敬語をつかっています。
いっぽうで尊敬語の「お(ご)」は「部長がお戻りになりました」などのようにして、相手の行為をうやまって使う敬語です。
“遠慮”の敬語①謙譲語
謙譲語の「お(ご)」は尊敬語の「お(ご)」と勘違いしやすい敬語です。
そこで「遠慮」とのセットで謙譲語となる形をまとめておきます。
①そもそも謙譲語とは…
敬語の一種であり、
謙譲語Ⅰ:自分側から相手側又は第三者に向かう行為・ものごとなどについて、その向かう先の人物を立てて述べるもの。
謙譲語Ⅱ:自分側の行為・ものごとなどを、話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。
の2種類あり。
- ご遠慮する
ご遠慮します
※意味は(自分が)遠慮する - 遠慮いたす
遠慮いたします
※意味は(自分が)遠慮する - ご遠慮いたす
ご遠慮いたします
※意味は(自分が)遠慮する - ご遠慮申し上げる
ご遠慮申し上げます
※意味は(自分が)遠慮する - ご遠慮いただく
ご遠慮いただきます
※意味は(自分が相手に)遠慮してもらう - 遠慮していただく
遠慮していただきます
※意味は(自分が相手に)遠慮してもらう - 遠慮させていただく
遠慮させていただきます
※意味は(自分が)遠慮させてもらう - ご遠慮させていただく
ご遠慮させていただきます
※意味は(自分が)遠慮させてもらう
※「させていただく」は日本語としておかしい表現になる時もあり、何でもかんでも使える訳ではありません。
※丁寧語「ます」とくみあわせて「〜します」「〜いたします」とするのが丁寧な使い方です。ご留意ください。
ちなみに、これは文化庁の「敬語の指針」においても解説されています。私のような頭の悪い人には難しいのですが、ご興味ありましたら以下のリンクよりどうぞ。
“遠慮”の敬語②尊敬語
つづいて「遠慮」とのセットで尊敬語となる形をまとめておきます。
②そもそも尊敬語とは…
敬語の一種であり、相手側又は第三者の行為・ものごと・状態などについて、その人物を立てて述べるもの。
- ご遠慮だ
ご遠慮です
※意味は(目上なり上司が)遠慮する - ご遠慮になる
ご遠慮になります
※意味は(目上なり上司が)遠慮する - 遠慮される
遠慮されます
※意味は(目上なり上司が)遠慮する - 遠慮なさる
遠慮なさいます
※意味は(目上なり上司が)遠慮する - ご遠慮なさる
ご遠慮なさいます
※意味は(目上なり上司が)遠慮する - ご遠慮くださる
ご遠慮くださいます
※意味は(目上なり上司が)遠慮してくれる
※丁寧語「ます」とくみあわせて「〜します」「〜いたします」とするのが丁寧な使い方ですのでご留意ください。
“遠慮”の敬語③丁寧語
つづいて「遠慮」の丁寧語について。
③そもそも丁寧語とは…
敬語の一種であり、話や文章の相手に対して丁寧に述べるもの。いわゆる「です・ます」口調のこと。
- 遠慮します
※意味は(自分が)遠慮する
以上で基本事項のおさらいは終わり。
あとはビジネスシーンごとに使える敬語フレーズをまとめておきます。
依頼「遠慮してください」は敬語でなんて言う?
まずは依頼・お願いの敬語フレーズ。
目上や上司・取引先に「遠慮してください」「遠慮してほしい」と言いたいときに使える例文をご紹介。
これだけでもかなりのボリュームになるのですが…
『ご遠慮ください』
依頼・お願い「遠慮してください」と言いたいときの敬語フレーズ
- 例文「ご遠慮ください」
意味は『遠慮してください』
「遠慮して」というフレーズを尊敬語「ご遠慮」に言い換えているため丁寧レベルとしては「遠慮してください」よりもだいぶマトモ。
ただやはり「〜ください」という命令形である点において、強い口調に感じられてしまうケースあり。
時と場合によっては目上・上司・取引先に不快感をあたえてしまいます。
気になるかたは以降の例文をつかいましょう。
ちなみに”ご遠慮ください”の敬語は以下のようになりたちます。
- もとになる単語「遠慮」に尊敬語”お(ご)”で「ご遠慮」
- さらに「くれる」の尊敬語”くださる”で「ご遠慮くださる」
- さらに命令形にして”ご遠慮ください”
※ 漢字表記「下さい」vs ひらがな表記「ください」はどちらもOK
このようにして元になる語「遠慮する」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
『ご遠慮くださいませ』
依頼・お願い「遠慮してください」と言いたいときの敬語フレーズ
- 例文「ご遠慮くださいませ」
意味は『遠慮してください』
尊敬語「ご遠慮くださる」に丁寧語”ます”の命令形「ませ」をつかい丁寧な敬語フレーズにしています。
命令形である点において「遠慮してください」とたいして違いはありませんが、丁寧語「ませ」を添えることで、よりやわらかい印象となりますね。
「〜くださいませ」は女性がよくつかうフレーズであるため、女性敬語だと言われることもあります。
ただ実際には男性であろうと女性であろうと違和感なくつかえます。
『ご遠慮いただければと存じます』
依頼・お願い「遠慮してください」と言いたいときの敬語フレーズ
- 例文「ご遠慮いただければと存じます」
意味は『遠慮してもらえたらと思います』
「~してもらえたらと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」を可能形にして「お(ご)~いただける」とし、さらに仮定の「たら・れば」をくっつけています。
「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」
『ご遠慮いただきたく存じます』
依頼・お願い「遠慮してください」と言いたいときの敬語フレーズ
- 例文「ご遠慮いただきたく存じます」
意味は『遠慮してもらいたいと思います』
あるいはシンプルに、
- 例文「ご遠慮いただきたく、お願い致します」
- 例文「ご遠慮をお願い致します」
としても丁寧です。
「~してもらいたいと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
「いただきたく」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+願望の「~たい」
「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
『ご遠慮いただければ幸いです』
依頼・お願い「遠慮してください」と言いたいときの敬語フレーズ
- 例文「ご遠慮いただければ幸いです」
意味は『遠慮してもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ』
つまり『遠慮してもらえたら嬉しいです』
ようするに「遠慮してほしい!」「遠慮してください!」という依頼・お願いをあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。
そこで遠まわしに「遠慮してもらえたら嬉しいです」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。
「~いただければ幸いです」という敬語フレーズはお願い・依頼のビジネスメールでよく使います。
ほかにも似たような敬語には以下のようなフレーズもあります。
- 例文「ご遠慮いただけますと幸いです」
- 例文「ご遠慮いただけましたら幸いです」
- 例文「ご遠慮いただけますと幸甚に存じます」
- 例文「ご遠慮いただけましたら幸甚に存じます」
- 例文「ご遠慮いただければ幸甚に存じます」
- 例文「ご遠慮いただけますと幸いです」
- 例文「ご遠慮いただけますと幸甚に存じます」
補)幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
補)”幸いです”の意味は「嬉しいです、幸せです」
【敬語の補足】
※「お(ご)〜いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にし「いただける」として、さらに仮定「たら・れば」をくっつけた敬語
※「お(ご)〜いただけますと」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にし「いただける」として、さらに丁寧語”ます”をくっつけた敬語
※「お(ご)〜いただけましたら」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にし「いただける」として、さらに丁寧語”ます”をくっつけ、さらに仮定「たら・れば」をくっつけた敬語
『ご遠慮くださいますようお願い申し上げます』
依頼・お願い「遠慮してください」と言いたいときの敬語フレーズ
- 例文「ご遠慮くださいますようお願い申し上げます」
- 例文「ご遠慮くださいますようお願い致します」
意味は『遠慮してくれるようお願いします』
とくにビジネスメール結び・締めにつかわれる敬語です。
※「お願い申し上げます = お願い致します」に言い換えOK
ようするに「遠慮してほしい!」「遠慮してください!」という依頼・お願いをあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。
そこで遠まわしに「遠慮してくれるようにお願い!」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。
ちなみに「ますよう」は「①ます+②よう(様)」という2つの単語からなります。
まず前半部分の「ます」はシンプルに丁寧語の「ます」
つづいて後半の「よう(様)」の意味はいろいろありますが…
ここでは「婉曲 (えんきょく) な命令・希望の意を表す」言葉として使われます。
希望をあらわす「よう(様)」にはたとえば、
- 【例文】時間に遅れないよう、ご留意ください
- 【例文】部長に怒られないように気をつける
- 【例文】風邪などお召しになりませんように
などあり。
ちなみに「ように」でも「よう」でも正しい日本語ですが、「ご遠慮くださいますようにお願い申し上げます」はあまり一般的ではありません。
また表記は漢字「ます様に」でも平仮名「ますように」でも、どちらも正しい日本語です。
『ご遠慮いただきますよう・賜りますよう〜』
依頼・お願い「遠慮してください」と言いたいときの敬語フレーズ
- 【例文】ご遠慮いただきますようお願い申し上げます
- 【例文】ご遠慮賜りますようお願い申し上げます
→ 意味は『遠慮してもらうようお願いします』
あるいは可能形「いただける」をつかい、
- 【例文】ご遠慮いただけますようお願い申し上げます
→ 意味は『遠慮してもらえるようお願いします』
としても丁寧。
とくにビジネスメール結び・締めにつかわれる敬語です。
※「お願い申し上げます」は「お願い致します」に言い換えOK
「~いただきますよう」「~賜りますよう」の意味はどちらも「〜してもらうように」
ようするに「遠慮してほしい!」「遠慮してください!」という依頼・お願いをあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。
そこで遠まわしに「遠慮してもらうようにお願い!」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。
目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なフレーズですね。
ちなみに、
賜る(たまわる)という敬語のほうがよりカチッとした表現になりますので、文書など公式なビジネスシーンではかならず「賜る」を使います。
普段のメールであれば「いただきますよう」でOK。
「くださいますよう」「いただきますよう・いただけますよう・賜りますよう」はニュアンスが違うものの、どれも結局のところ「~してほしい」と言いたいので同じです。
【敬語の補足】
※「お(ご)〜いただきますよう」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」+丁寧語”ます”+”ように(様に)”
※「お(ご)〜賜りますよう」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)~賜る」+丁寧語”ます”+”ように(様に)”
『ご遠慮のほどお願い申し上げます』
依頼・お願い「遠慮してください」と言いたいときの敬語フレーズ
- 例文「ご遠慮のほどお願い申し上げます」
- 例文「ご遠慮のほどお願い致します」
意味は「遠慮してくれるようお願いします」
とくにビジネスメール結び・締めにつかわれる敬語です。
※「お願い申し上げます」は「お願い致します」に言い換えOK
ここで「ご遠慮のほど」の「のほど」は限定を避ける言い方で、意味としては「〜してもらうよう」「〜してくれるよう」と考えることができます。
断定をさけて表現をやわらげるのに用いる語です。
たとえば、
- ご査収のほどお願い申し上げます
意味「よく中身を確認して受け取るよう、お願い」 - お取り計らいのほどお願い申し上げます
意味「物事をうまく進めてくれるよう、お願い」 - ご連絡のほどお願い申し上げます
意味「連絡してくれるよう、お願い」 - ご了承のほどお願い申し上げます
意味「納得してくれるよう、お願い」
などのようにして使います。
これらはもともと「●●してください」という命令形なのですが、「〜のほど」を使うことによって相手に強制しないやんわ〜りとした表現となっています。
ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。
先ほどとおなじく「お願い申し上げます」は「お願いいたします」「お願い致します」と言い換えできます。
その他いろいろな言い換え敬語
敬語の種類というのは本当にいろいろあります。
ほんの一例ですが他にもある使い方を例文にまとめておきます。
- 例文「ご遠慮をお願い致します」
※意味は「遠慮をお願いする」 - 例文「ご遠慮いただきたく、お願い致します」
意味は「遠慮してほしい、お願いします」 - 例文「ご遠慮いただけましたら幸いです」
※意味は「遠慮してもらえたら嬉しいです」 - 例文「ご遠慮いただけましたら幸甚に存じます」
※意味は「遠慮してもらえれば嬉しく思います」 - 例文「ご遠慮いただければ幸甚に存じます」
※意味は「遠慮してもらえれば嬉しく思います」 - 例文「ご遠慮いただけますと幸いです」
- 例文「ご遠慮いただけますと幸甚に存じます」
- 例文「ご遠慮賜りますと幸いです」
- 例文「ご遠慮賜りますと幸甚に存じます」
- 例文「ご遠慮賜れましたら幸いです」
- 例文「ご遠慮賜れましたら幸甚に存じます」
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+願望「~たい」
・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」
・幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」
会話・電話での依頼は”ご遠慮いただけますか?”
ビジネスメールではなく会話や電話対応シーンで「遠慮してほしい!」と言いたいときには…
「ご遠慮くださいますようお願い申し上げます」などは絶対につかいません。
長いうえに丁寧すぎて気持ち悪いですからね。
そこでビジネス会話・電話対応では…
- 【例文】ご遠慮いただけますか?
- 【例文】ご遠慮いただけますでしょうか?
- 【例文】ご遠慮願えますでしょうか?
あるいはシンプルに、
- 【例文】遠慮していただけますか?
- 【例文】遠慮していただけますでしょうか?
としても丁寧です。
※もちろん「ご遠慮ください」「ご遠慮くださいませ」としても丁寧
といった質問フレーズをつかいましょう。
意味としては「遠慮してもらえますか?」であり、敬語をつかって丁寧な表現にしています。
一般的に、会話や商談でカチッとした敬語をつかいすぎると、相手とのあいだに壁をつくってしまいます。ようは会話がスムーズに進まなくなってしまうのですよね。
そこで会話シーンではすこしカジュアルな敬語をつかうことをオススメします。
とくに「〜いただけますか?」サラッと言えるためビジネスシーンで重宝するフレーズです。
※「すでに遠慮してもらえましたか?」と催促・確認するときは過去形「ご遠慮いただけましたか?」「ご遠慮いただけましたでしょうか?」とすると丁寧。
敬語の解説
「ご遠慮いただけますか?」「ご遠慮いただけますでしょうか?」
の敬語の成り立ちとしては…
- “遠慮”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「ご遠慮いただく」
- 可能形にして「ご遠慮いただける」
- さらに丁寧語”ます”で「ご遠慮いただけます」
- 疑問形にして「ご遠慮いただけますか?」
“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「ご遠慮いただけますでしょうか?」
どちらも謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。
したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。
どちらかというと「〜いただけますでしょうか?」のほうが丁寧なのですが…
バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか?」でも構いません。
断り「遠慮します!」は敬語でなんて言う?
つづいて断りの敬語フレーズ。
目上や社内上司・社外取引先に「遠慮します!」「お断りします!」と言いたいときに使える例文をご紹介。
『ご遠慮します/遠慮いたします』
断り「遠慮します」と言いたいときに使える敬語フレーズ
- 【例文】ご遠慮します
- 【例文】(ご)遠慮いたします
意味はどちらも「遠慮します」
※ひらがな表記「いたします」vs.漢字表記「致します」はどちらもOK
謙譲語の基本形「お(ご)~する」「お(ご)~いたす」に丁寧語”ます”をくっつけて敬語にしています。
ようするに「遠慮するよ!」という自分の行為をしめす敬語ですね。
どちらも目上・社内上司・社外取引先につかえるフレーズですが「ご遠慮します」よりも「(ご)遠慮いたします」のほうが丁寧な敬語となります。
また「ご遠慮いたします」は「お(ご)」をのぞいて「遠慮いたします」としても正しい敬語です。
【敬語の補足】
※「お(ご)~します」は謙譲語の基本形「お(ご)~する」に丁寧語”ます”をくっつけた敬語
※「お(ご)~いたします」は謙譲語の基本形「お(ご)~いたす」に丁寧語”ます”をくっつけた敬語。
返事するなら『承知しました』などが丁寧
あるいは…
目上や上司・取引先から「遠慮してくれますか?」と質問されたとき。
「わかりました!」「了解しました!」と返事をする場合は、
- 【例文】承知しました
- 【例文】承知いたしました
あるいは、
- 【例文】かしこまりました
- 【例文】承りました(うけたまわりました)
としても丁寧です。
意味はどれも「わかりました・了解しました」
※ひらがな表記「いたします」vs.漢字表記「致します」はどちらもOK
ちなみに「承知」の意味は…
- 目上の人の命令などをうけたまわること
- 相手の願い、要求などを聞き入れること
- わかること、知ること
承知=知る+承る(うけたまわる)でなりたちます。
その他『遠慮させて頂きます』など
断り「遠慮します!」と言いたいときに使える敬語フレーズ
他にはたとえば、
- 【例文】(ご)遠慮させていただきます
→ 意味は「遠慮させてもらいます」 - 【例文】(ご)遠慮させてください
→ 意味は「遠慮させてくれ」
あるいは、
- 【例文】ご遠慮申し上げます
→ 意味は「遠慮します」
なども丁寧です。
※ただし「させて頂く」「させて下さい」はふさわしいシーンを考えて使うこと。なんでもかんでも使えば丁寧という訳ではない。
意味や使い方は「ご遠慮します/いたします」と似たようなものなので省略。
とくに「お(ご)~申し上げます」はビジネス文書や手紙・丁寧なビジネスメールにしたいときなど、カチッとした敬語がこのまれるシーンでよくつかわれます。
また「ご遠慮させて頂きます/させて下さい」は「お(ご)」をのぞいて「遠慮させて頂きます」「遠慮させて下さい」としても正しい敬語です。
【敬語の補足】
※「お(ご)~申し上げます」は「~する」の謙譲語に丁寧語”ます”をくっつけた敬語。
※「お(ご)~させて頂きます」は「~させてもらう」の謙譲語「お(ご)~させて頂く」に丁寧語”ます”をくっつけた敬語。
※「お(ご)~させてください」は「~させてくれる」の尊敬語「お(ご)~させてくださる」を命令形にした敬語。
まとめ表
①基本 | ②+丁寧語”ます” | |
---|---|---|
現 在 | ご遠慮する ご遠慮いたす ご遠慮させて頂く ご遠慮申し上げる |
ご遠慮します (ご)遠慮いたします (ご)遠慮させて頂きます ご遠慮申し上げます |
過 去 | ご遠慮した (ご)遠慮いたした (ご)遠慮させて頂いた |
ご遠慮しました (ご)遠慮いたしました (ご)遠慮させて頂きました |
進行形 | ご遠慮している (ご)遠慮いたしている (ご)遠慮させて頂いている |
ご遠慮しています (ご)遠慮いたしています (ご)遠慮させて頂いています |
過去~現在 | ご遠慮していた (ご)遠慮いたしていた (ご)遠慮させて頂いていた |
ご遠慮していました (ご)遠慮いたしていました (ご)遠慮させて頂いていました |
※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります
※ 「致します」「いたします」は漢字でも平仮名でもOK
※「させて頂く」「させて下さい」「申し上げる」はふさわしいシーンとそうでないシーンあり。
※「しています」は「しております」としても丁寧
※(ご)としたフレーズは省略OK
丁寧な断りのフレーズいろいろ
上司や目上・取引先につかえる丁寧な断りの敬語フレーズは他にもいろいろあり。
飲み会の誘いを断るのであれば「~は遠慮させていただきます」
仕事の依頼を断るのであれば「~を見送らせていただきます」
内定を辞退するのであれば「内定を辞退いたします」
・・・などなど
ビジネスシーンごとにふさわしいフレーズがあります。
以下の記事もご参考にどうぞ。
希望「遠慮したい!」ときの丁寧な敬語
つづいてあなたの希望や意思・願望をあらわしたい時につかえる敬語フレーズ。
自分が「遠慮したい!」と言いたいときに使える例文をご紹介。
『ご遠慮したく存じます』
希望・意思・願望「遠慮したい!」と言いたいときに使える敬語フレーズ
- 【例文】ご遠慮したく存じます
あるいは、
- 【例文】ご遠慮したく思います
としてもまぁOK。
意味はどれも「遠慮したいと思います」
謙譲語の基本形「お(ご)~する」に希望の「~したい」をくっつけると「お(ご)~したく」という敬語になります。
また「存じます」は「思います!」という意味の敬語(謙譲語)。
すべてあわせると、
「遠慮したい!」という自分の意思や希望・願望をしめす敬語になりますね。
【敬語の補足】
※「お(ご)~したく」は謙譲語の基本形「お(ご)~する」に希望の”~したい”をくっつけた敬語
※「存じる」は「思う」という意味の敬語(謙譲語)。丁寧語”ます”をくっつけると「存じます」となる。
『(ご)遠慮いたしたく存じます』
希望・意思・願望「遠慮したい!」と言いたいときに使える敬語フレーズ
- 【例文】(ご)遠慮いたしたく存じます
あるいは、
- 【例文】(ご)遠慮いたしたく思います
としてもまぁOK。
意味はどれも「遠慮したいと思います」
※ひらがな表記「いたしたく」vs.漢字表記「致したく」はどちらもOK
謙譲語の基本形「お(ご)~いたす」に希望の「~したい」をくっつけると「お(ご)~いたしたく」という敬語になります。
また「存じます」は「思います!」という意味の敬語(謙譲語)。
すべてあわせると、
「遠慮したい!」という自分の意思や希望・願望をしめす敬語になりますね。
どれも目上・社内上司・社外取引先につかえるフレーズですが「ご遠慮したく存じます」よりも「(ご)遠慮いたしたく存じます」のほうが丁寧な敬語となります。
また「ご遠慮いたしたく」は「お(ご)」をのぞいて「遠慮いたしたく」としても正しい敬語です。
【敬語の補足】
※「お(ご)~いたしたく」は謙譲語の基本形「お(ご)~いたす」に希望の”~したい”をくっつけた敬語。
※「存じる」は「思う」という意味の敬語(謙譲語)。丁寧語”ます”をくっつけると「存じます」となる。
その他『遠慮させて頂きたく存じます』など
希望・意思・願望「遠慮したい!」と言いたいときに使える敬語フレーズ
- 【例文】(ご)遠慮させていただきたく存じます
→ 意味は「遠慮させてもらいたいと思います」
あるいは、
- 【例文】(ご)遠慮させてください
→ 意味は「遠慮させてくれ」
としてもまぁOK。
※ひらがな表記「いただきたく」vs.漢字表記「頂きたく」はどちらもOK
「ご遠慮させて頂きたく存じます」の意味は「遠慮させてもらいたいと思います」
「~させてもらう」の謙譲語「お(ご)~させていただく」に希望の「~したい」をくっつけると「お(ご)~させていただきたく」という敬語になります。
また「存じます」は「思います!」という意味の敬語(謙譲語)。
すべてあわせると、
「遠慮させてもらいたいと思います!」という自分の意思や希望・願望をしめす敬語になりますね。
また「ご遠慮させて頂く/下さい」は「お(ご)」をのぞいて「遠慮させて頂く/させて下さい」としても正しい敬語です。
ただし注意点として「させて頂く」「させて下さい」はふさわしいシーンを考えて使うこと。
あまりに使いすぎると目ざわりな表現ですので、
なんでもかんでも使えば丁寧という訳ではありません。
敬語ビギナーのうちは「ご遠慮したく存じます」「ご遠慮いたしたく存じます」をオススメします。
許可を得たい「遠慮してもいいか?」の丁寧な敬語
つづいて上司や社内目上・社外取引先に許可を得たいとき。
つまり「遠慮してもいいか?」と言いたいときに使える丁寧な敬語フレーズをご紹介。
『(ご)遠慮してもよろしいでしょうか?』
許可を得たい「遠慮してもいいか?」の丁寧な敬語フレーズ
- 【例文】(ご)遠慮してもよろしいでしょうか?
→ 意味は「遠慮してもいいでしょうか?」
あるいは、
- 【例文】(ご)遠慮してもよろしいですか?
→ 意味は「遠慮してもいいですか?」
としても丁寧。
「〜してもよろしいでしょうか?」の意味は「〜してもいいだろうか?」
「〜してもよろしいですか?」の意味は「〜してもいいですか?」
「よろしい」は「よい」の意味ですが、ビジネスシーンではより丁寧なフレーズ「よろしい」をつかうのが一般的。
【敬語の補足】
※「よろしい」の意味は「よい」。「よろしい」のほうが丁寧なフレーズ。
※「〜でしょうか」は推量「〜だろうか」の丁寧語
※「ご遠慮」の「ご」は省略してもOK
許可をだす「遠慮してもいいよ!」の丁寧な敬語
つづいて上司や社内目上・社外取引先に許可をだすとき。
つまり「遠慮してもいいよ!」と言いたいときに使える丁寧な敬語フレーズをご紹介。
『ご遠慮いただけます』
許可をだす「遠慮してもいいよ!」の丁寧な敬語フレーズ
- 【例文】ご遠慮いただけます
意味は「遠慮してもらうことができます」
ようは「遠慮してもいいよ!」ということなのですが、このままではカジュアルすぎて上司や目上・取引先につかうにはイマイチですね。
そこで、
「~いただけます=~してもらうことができます」という敬語をつかうことで、ものすご〜く回りくどいフレーズで許可をだしています。
ビジネスシーンでは回りくどい敬語ほど丁寧にみられる傾向にあり。
そういう意味で丁寧といえます。
(本質的には間違っているのですが事実なので仕方ないです)
【敬語の補足】
※「お(ご)~いただけます」は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を可能形にして「いただける」とし、丁寧語”ます”をくっつけた敬語
返事するなら『承知しました』などが丁寧
許可をだす「遠慮してもいいよ!」の丁寧な敬語フレーズ
上司や社内目上・社外取引先から質問されたとき。
「わかりました!」「了解しました!」と返事をする場合は、
- 【例文】承知しました
- 【例文】承知いたしました
あるいは、
- 【例文】かしこまりました
- 【例文】承りました(うけたまわりました)
としても丁寧です。
意味はどれも「わかりました・了解しました」
※ひらがな表記「いたします」vs.漢字表記「致します」はどちらもOK
ちなみに「承知」の意味は…
- 目上の人の命令などをうけたまわること
- 相手の願い、要求などを聞き入れること
- わかること、知ること
承知=知る+承る(うけたまわる)でなりたちます。
“ご遠慮いただく vs ご遠慮くださる”の使い方
ややこしいので「ご遠慮いただく vs ご遠慮くださる」の使い方について。
代表的なパターンを表にまとめておきます。
こまかく解説していくとそれだけで記事がおわってしまいますので、目的にあわせてお使いください。
“ご遠慮いただく”の使い方まとめ(すべて敬語)
①基本 | ②+丁寧語”ます” | ③その他 | |
---|---|---|---|
現 在 | ご遠慮いただく | ご遠慮いただきます | -頂くよう -頂きますよう |
過 去 | ご遠慮いただいた | ご遠慮いただきました | × |
進行形 | ご遠慮いただいている | ご遠慮いただいています | -頂いております |
過去~現在 | ご遠慮いただいていた | ご遠慮いただいていました | -頂いておりました |
希 望 依 頼 |
ご遠慮いただきたい ご遠慮いただきたく ご遠慮いただくよう ご遠慮いただけるよう |
ご遠慮いただきたいです × ご遠慮いただきますよう ご遠慮いただけますよう |
-頂きたく思います -頂きたくお願いします -頂きたく存じます -頂ければと存じます |
可 能 | ご遠慮いただける | ご遠慮いただけます | -頂けるよう -頂けますよう |
①仮定 ②仮定+可能 |
①ご遠慮いただいたら ②ご遠慮いただければ |
①ご遠慮いただきましたら ②ご遠慮いただけましたら |
× |
①疑問+過去 ②疑問+可能 ③疑+可+過 |
①ご遠慮いただいたか? ②ご遠慮いただけるか? ③ご遠慮いただけたか? |
ご遠慮いただきましたか? ご遠慮いただけますか? ご遠慮いただけましたか? |
-頂きましたでしょうか -頂けますでしょうか -頂けましたでしょうか |
禁 止 | ご遠慮いただけない | ご遠慮いただけません | × |
命 令 | × | × | × |
※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります。
※ 「頂く」「いただく」は漢字でも平仮名でもOK
※「×」としたのは一般的につかわない
“ご遠慮くださる”の使い方まとめ(すべて敬語)
①基本 | ②+丁寧語”ます” | ③その他 | |
---|---|---|---|
現 在 | ご遠慮くださる | ご遠慮くださいます | -くださるよう -くださいますよう |
過 去 | ご遠慮くださった | ご遠慮くださいました | × |
進行形 | ご遠慮くださっている | ご遠慮くださっています | -くださっております |
過去~現在 | ご遠慮くださっていた | ご遠慮くださっていました | -くださっておりました |
希 望 |
ご遠慮くださるよう | ご遠慮くださいますよう | × |
可 能 | × | × | × |
仮 定 | × | × | × |
疑 問 | ご遠慮くださるか? | ご遠慮くださいますか? | × |
否 定 | ご遠慮くださらない | ご遠慮くださいません | × |
命 令 | ご遠慮ください | ご遠慮くださいませ | × |
※ ②+丁寧語”ます”をつかうとより丁寧な敬語になります
※ 「下さる」「くださる」は漢字でも平仮名でもOK
※「×」としたのは一般的につかわない