「お立ち寄りくださいませ」の意味と使い方・ビジネスメール例文

「お立ち寄りくださいませ」の意味、ビジネスシーンにふさわしい使い方(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)、注意点について。

ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。

※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ

意味・敬語の解説

「お立ち寄りください」は「立ち寄ってほしい」という意味。

なぜこのような意味になるのか?

そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。

立ち寄るの意味は”ついでに行く”

立ち寄る(読み:たちよる)のそもそもの意味は…

  1. 近くに行く。近寄る
  2. 目的地へ行く途中、ついでに訪れる

たとえば、

【例文】エベレストに立ち寄る →「近くに行く」の意味

【例文】買い物の帰りにゲーセンに立ち寄る →「ついでに行く」の意味

【例文】お客さんのオフィスへ立ち寄る →「近くに行く」「ついでに行く」のどちらとも取れる

のようにして使います。

ちなみに敬語は「立ち寄る」に尊敬語or謙譲語「お(ご)」で「お立ち寄り」となります。

「自分がお立ち寄りする」のであれば謙譲語としての使い方。

上司・目上・取引先などの「相手がお立ち寄りくださる」のであれば尊敬語としての使い方。

というように2パターンあります。

“お立ち寄りくださいませ”の意味は「立ち寄ってください」

「お立ち寄りくださいませ」の意味は直訳すると「立ち寄ってくれ」となります。

ただし敬語をつかっているため実際にはもっと丁寧なニュアンス。

結局のところ、

立ち寄ってほしい」「立ち寄ってください」ということが言いたいのですね。

「ませ」ってどんな意味?

“お立ち寄りくださいませ”の「ませ」に深い意味はなく、丁寧語「ます」の命令形です。

ほとんどの場合は「お(ご)〜くださいませ」のワンセットで使われ、

〜してください」「〜してほしい」の意味になります。

敬語の種類

まとめとして「お立ち寄りくださいませ」の敬語の成り立ちを整理しておきます。

  • もとになる単語「立ち寄る」
  • 「〜してくれる」の尊敬語”お(ご)〜くださる”で「お立ち寄りくださる
  • 丁寧語”ます”の命令形「ませ」をくっつけて「お立ち寄りくださりませ
  • 楽に発音するため「り→い」にして「お立ち寄りくださいませ

※ 漢字表記「下さい」vs ひらがな表記「ください」はどちらもOK

※「くださませ → くださませ」への変化を「イ音便」といいます

※ 立ち寄る(たちよる)の意味は「①近くに行く。近寄る」「②目的地へ行く途中、ついでに訪れる」

このようにして元になる語「立ち寄る」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。

ちなみに敬語「お(ご)」は…

「自分がお立ち寄りする」のであれば謙譲語としての使い方。

上司・目上・取引先などの「相手がお立ち寄りくださる」のであれば尊敬語としての使い方。

というように2パターンあります。

“お立ち寄りください vs くださいませ”の違い

“お立ち寄りください vs くださいませ”の違い

もともと”お立ち寄りくださいませ”は「お立ち寄りください」という命令形。

ただ、

「お立ち寄りください」だとシーンによっては強い口調に感じられることがあり、目上・上司などに不快感をあたえる恐れがあります。

(実際には敬語なので決して失礼ということはないのですけど…)

そこで、

「〜ください」に丁寧語の命令形「ませ」を添えることで、やんわ〜りとした依頼・お願いの敬語フレーズにしています。

“お立ち寄りくださいませ”のほうが丁寧

“お立ち寄りください vs くださいませ”の違い

命令形である点において「お立ち寄りください」とたいして違いはありませんが、「ませ」を添えることで、よりやわらかい印象となりますね。

ちなみに「〜くださいませ」は女性がよくつかうフレーズであるため、女性敬語だと言われることもあります。

ただ実際には男性であろうと女性であろうと違和感なくつかえます。

【使い方】立ち寄ってほしい!と伝えるビジネスシーン

つづいて「お立ち寄りくださいませ」の使い方について。

意味のとおりで何かしら「立ち寄ってほしい!」「立ち寄ってください!」と言いたいビジネスシーンに使います。

①電話対応・ビジネスメールどちらにも使える

「お立ち寄りくださいませ」の使い方

上司や社内の目上・社外取引先になにかしら「立ち寄ってほしい」とき。

電話対応・商談などの会話シーンでもつかえますし、ビジネスメールなど文章にもつかえる丁寧な敬語フレーズです。

お願いごとや依頼事項のたくさんあるビジネスメールではとかく「いただく」ばかりつかってしまい、文章や言い回しが気持ち悪くなるケースあり。

そんなとき、

「お立ち寄りくださいませ」にかぎらず「〜くださいませ」というフレーズはサラッとつかえてかつ、やわらかい印象になるので重宝しますね。

②例文

「お立ち寄りくださいませ」はたとえば、

  • 【例文】近くにお越しの際にはぜひお立ち寄りくださいませ
  • 【例文】帰りにコンビニへお立ち寄りくださいませ
  • 【例文】どうかお立ち寄りくださいませ

※ 立ち寄る(たちよる)の意味は「①近くに行く。近寄る」「②目的地へ行く途中、ついでに訪れる」

のようにして依頼・お願いをともなうビジネスシーン(会話・電話対応・メール)に使われます。

ようするに「立ち寄ってほしい!」という意味なのですが丁寧な敬語にすると、こんな風にややこしい文章になります。

“お立ち寄りいただく”に言い換えても丁寧

ビジネスシーンでは「お立ち寄りくださいませ」でも十分に丁寧ではありますが…

敬語「お立ち寄りいただく」をつかったフレーズに言い換えても丁寧です。

たとえば、

  • 【例文】お立ち寄りいただければと存じます
  • 【例文】お立ち寄りいただければ幸いです

などあり。

例文は後ろでまとめて紹介します。

違いと使い分け

「お立ち寄りいただく vs お立ち寄りくださる」の違いについて簡単に。

どちらも結局のところ言いたいことは同じ。

「立ち寄ってもらう・立ち寄ってくれる」

と言いたいわけですが…

  • “お立ち寄りいただく“だと意味は「立ち寄ってもらう」
    →敬語は謙譲語「お(ご)〜いただく」

vs.

  • “お立ち寄りくださる“だと意味は「立ち寄ってくれる」
    →敬語は尊敬語「お(ご)〜くださる」

というように意味と敬語の使い方が違います。

が、言いたいことは全く同じなわけです。

したがって、

敬語の使い方には違いはあれど、どちらもひとしく丁寧な敬語であり目上・上司・社外取引先につかえるフレーズです。

ただ少しニュアンスの違いというか敬語の使い方が違うよ、ということですね。

ちなみに「お立ち寄りいただく」をつかったほうが、やんわ~りとしたニュアンスになります。

が、だからといって「いただく」ばかり使っていては気持ち悪い文章になります。バランスを考えてつかいましょう。

【補足】敬語の種類(ざっくり復習)

① 尊敬語とは?
相手をうやまって使う敬語の一種。
相手の行為にたいして使い、自分の行為には使わないことが基本。

敬語の種類はほかに②謙譲語、③丁寧語がある

② 謙譲語とは?
自分をへりくだって下にすることで、相手への敬意をあらわす敬語。
自分の行為に使い、相手の行為には使わないことが基本(例外あり)。

③ 丁寧語とは?
いわゆる「です・ます」口調のこと。

ビジネスメールによく使う丁寧な言い換え

「立ち寄ってほしい」ときにつかえるビジネス敬語。

じつは…

「お立ち寄りくださいませ」だけではなく、もっと丁寧な(というか堅苦しい)敬語フレーズというのはたくさんあります。

ということで、

ここではとくにビジネスメールにおいて活躍する丁寧な敬語フレーズを紹介します。

①お立ち寄りいただければと存じます

「立ち寄ってほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語

  • 例文「お立ち寄りいただければと存じます」

意味は『立ち寄ってもらえたらと思います』

「~してもらえたらと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。

「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+可能形+仮定の「れば」

「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」

②お立ち寄りいただきたく存じます

「立ち寄ってほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語

  • 例文「お立ち寄りいただきたく存じます」

意味は『立ち寄ってもらいたいと思います』

「~してもらいたいと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。

「いただきたく」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+願望の「~たい」

「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」

というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。

③お立ち寄りいただければ幸いです

「立ち寄ってほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語

  • 例文「お立ち寄りいただければ幸いです」

意味は『立ち寄ってもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ』

つまり『立ち寄ってもらえたら嬉しいです』

相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズですね。

「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+可能形+仮定の「~れば」

「幸いです」は「幸い」+丁寧語「です」

というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。

「~いただければ幸いです」という敬語フレーズはお願い・依頼のビジネスメールでよく使います。以下の例文もご参考にどうぞ。

ほかにも似たような敬語には以下のようなフレーズもあります。

  • 例文「お立ち寄りいただけましたら幸いです」
  • 例文「お立ち寄りいただけましたら幸甚に存じます」
  • 例文「お立ち寄りいただければ幸甚に存じます」
  • 例文「お立ち寄りいただけますと幸いです」
  • 例文「お立ち寄りいただけますと幸甚に存じます」

補)幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

④お立ち寄りくださいますようお願い申し上げます

「立ち寄ってほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語

  • 例文「お立ち寄りくださいますようお願い申し上げます」
  • 例文「お立ち寄りくださいますようお願い致します」

意味は『立ち寄ってくれるようお願いします』

とくにビジネスメールの結び・締めによくつかうフレーズですね。

「ください」単体としての意味は「〜してくれ」「〜して欲しい」の丁寧な言いまわしと考えることができます。

が、

「ください」は敬語ではあるものの、結局のところ命令形であるために強い口調となります。

そこで「ますようにお願い」と続けることで「お願い」とすり替え、やんわ〜りとした表現にしています。とても丁寧な敬語フレーズと言えますね。

たとえば、

  1. ご査収くださいますようお願い申し上げます
    意味「よく中身を確認して受け取ってくれるようお願い!」
  2. ご検討くださいますようお願い申し上げます
    意味「検討してくれるようお願い!」
  3. ご確認くださいますようお願い申し上げます
    意味「確認してくれるようお願い!」
  4. ご了承くださいますようお願い申し上げます
    意味「納得してくれるようお願い!」

などのようにして使います。

これらはもともと「●●してください」という命令形なのですが、「●●くださいますようお願い〜」を使うことによって相手に強制しないやんわ〜りとした表現となっています。

ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。

⑤お立ち寄りいただきますようお願い致します

「立ち寄ってほしい」ときにつかえる丁寧なビジネス敬語

  • 例文①お立ち寄りいただきますようお願い申し上げます
  • 例文②お立ち寄りいただけますようお願い致します

意味は『①立ち寄ってもらうようお願いします』『②立ち寄ってもらえるようお願いします』

とくにビジネスメールの結び・締めによくつかうフレーズですね。

「いただきますよう」は”〜してもらう”の謙譲語「お(ご)〜いただく」+丁寧語”ます”+”ように”

「いただけますよう」は”〜してもらう”の謙譲語「お(ご)〜いただく」+可能形+丁寧語”ます”+”ように”

というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。

「くださいますよう」「いただきますよう・いただけますよう」はニュアンスが違うものの、どれも結局のところ「~してほしい」と言いたいので同じです。

⑥~その他いろいろな言い換え敬語

敬語の種類というのは本当にいろいろあります。

ほんの一例ですが他にもある使い方を例文にまとめておきます。なお下にある例文ほど丁寧なフレーズになります。

  • 例文「お立ち寄りいただきたく、お願い致します
    意味は「立ち寄ってほしい、お願いします」
  • 例文「お立ち寄りいただけますか?
    ※意味は「立ち寄ってもらえるか?」でとくに会話シーンで使われるフレーズ
  • 例文「お立ち寄りいただけますでしょうか?
    ※意味は「立ち寄ってもらえるだろうか?」でとくに会話シーンで使われるフレーズ
  • 例文「お立ち寄りいただけますと幸いです
    ※意味は「立ち寄ってもらえると嬉しいです」
  • 例文「お立ち寄りいただけましたら幸いです
    ※意味は「立ち寄ってもらえたら嬉しいです」
  • 例文「お立ち寄りいただければ幸甚に存じます
    ※意味は「立ち寄ってもらえれば、大変嬉しく思います」
  • 例文「お立ち寄りいただけますと幸甚に存じます
    ※意味は「立ち寄ってもらると、大変嬉しく思います」
  • 例文「お立ち寄りいただけましたら幸甚に存じます
    ※意味は「立ち寄ってもらえれば、大変嬉しく思います」

・「存じる」は「思う」の謙譲語

・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+願望「~たい」

・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」

・幸甚(こうじん)の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

ビジネスメール例文

こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。

ここでは「お立ち寄りくださいませ」の使い方をビジネスメール例文とともにご紹介。

なおビジネスメールにおいて「お立ち寄りくださいませ」としてもいいのですが、

「お立ち寄りいただきたく存じます」

「お立ち寄りいただければと存じます」

「お立ち寄りいただければ幸いです」

などの敬語もオススメです。

どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。

ビジネスメール例文:新居に立ち寄ってほしい

【to社内目上・先輩】
あなたの結婚にたいして社内の目上や先輩からお祝いをもらったとき。お祝いのお礼メールをする例文。親密度に応じてカジュアルにするかどうかを決めるべき。

メール件名:お礼

○○さん

お疲れ様です。
お祝いの品、ありがとうございます!お心遣いに感謝申し上げます。

先日、新居への引っ越しを完了し新婚生活をスタートしました。

おかげさまで毎朝おいしいコーヒーができて、夫婦ともども大変喜んでおります。

なお心ばかりの品を別便にてお贈りいたしました。ご笑納いただければ幸いです。

追伸:
新居の住所を記しておきます。
近くにお越しの際にはぜひお立ち寄りくださいませ。

新居住所:xxxx

*********
メール署名
*********

ビジネス会話・電話対応では”お立ち寄りください”で十分

ビジネスメールではなく会話や電話対応シーンであれば…

「お立ち寄りくださいますようお願い申し上げます」などは絶対につかいません。

長いうえに丁寧すぎて気持ち悪いですからね。

ビジネス会話・電話対応では「お立ち寄りください」だけでも十分に丁寧です。

あるいは、

  • 【例文】お立ち寄りいただけますか?
  • 【例文】お立ち寄りいただけますでしょうか?
  • 【例文】お立ち寄り願えますでしょうか?

といった質問フレーズをつかっても丁寧。

これらの意味としては「立ち寄ってもらえますか?」であり、敬語をつかって丁寧な表現にしています。

「〜いただけますか?」サラッと言えるためビジネスシーンで重宝するフレーズです。

敬語の解説

お立ち寄りいただけますか?」「お立ち寄りいただけますでしょうか?

の敬語の成り立ちとしては…

  • “立ち寄る”に「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」で「お立ち寄りいただく」
  • 可能形にして「お立ち寄りいただける」
  • さらに丁寧語”ます”で「お立ち寄りいただけます」
  • 疑問形にして「お立ち寄りいただけますか?」

“〜だろうか”の丁寧語「〜でしょうか」を使うと「お立ち寄りいただけますでしょうか?」

どちらの表現も謙譲語をうまくつかい、このうえなく丁寧な敬語フレーズとなっていることがわかります。

したがって上司・目上・社外取引先につかえる素晴らしい敬語、と言えるでしょう。

どちらかというと「〜いただけますでしょうか?」のほうが丁寧なのですが…バカ丁寧だという意見もあるため「〜いただけますか?」を使うのをオススメします。

参考記事

【まとめ】結局どれがもっとも丁寧?