「保管いただきありがとうございます」の意味と使い方・例文

「保管いただきありがとうございます」の意味、敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方(メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)、注意点について。

ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。

意味

「保管いただきありがとうございます」は「保管してもらいありがとう」という意味。

なぜこのような意味になるのか?

そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。

“保管の意味は「保存・管理すること」

保管(ほかん)の意味は・・・

「物品を預かって、傷つけたり失ったりしないように保存・管理すること」

【例文】この資料は10年間保管しなければならない

【例文】保管していた忘れ物を廃棄する

保管いただき~の意味は「保管してもらい~」

「保管いただき~」の意味は「保管してもらい~」

※表記は平仮名ではなく漢字「保管頂き」としてもOK。

もとになる語「保管」に「~してもらう」の敬語(謙譲語)「お(ご)~いただく」をつかうと「保管いただく」という敬語になります。

したがって意味は「保管してもらい~」と解釈できます。

謙譲語「お(ご)~いただく」は他にもたとえば、

【例文】ご連絡いただく →「連絡してもらう」の意味

【例文】ご指導いただく →「指導してもらう」の意味

などのようにして使われますね。

上司・目上・ビジネスメールに使うフレーズとしてはとても丁寧で好感がもてます。

「ご保管いただく」だと気持ちわるいのでここでは「お(ご)」を省きました。

あわせると意味は「保管してもらい、ありがとう」

  1. 保管いただき =「保管してもらい」の意味の敬語(謙譲語)
  2. ありがとうございます = お礼

これらの単語を合体させて意味を考えます。

すると「保管いただきありがとうございます」の意味は…

「保管してもらい、ありがとう」

のように解釈できます。

敬語の種類

つづいて「保管いただきありがとうございます」の敬語の種類について。

この項目はかなりマニアックな敬語の解説になります。敬語について細かく学ぶ必要のないかたは読み飛ばしてください。

敬語”いただく”の使い方

つづいて後半部分「いただく(頂く)」の敬語について。

「保管いただく」にかぎらず・・・

「お(ご)〜いただく」は「〜してもらう」の敬語(謙譲語)

使い方はたとえば、

  1. 「保管いただく」であれば「(上司なり目上に)保管してもらう」の意味
  2. 「ご連絡いただく」であれば「(上司なり目上に)連絡してもらう」の意味
  3. 「ご指導いただく」であれば「(上司なり目上に)指導してもらう」の意味

というように使います。

あるいは単に「〜していただく」とし、

  1. 例文「保管していただく」
  2. 例文「連絡していただく」
  3. 例文「指導していただく」

のように使っても丁寧です。意味はどちらもまったく同じ。

ビジネスメールなど文書では「お(ご)〜いただく」をつかうとよりカチッとした文章になります。

いっぽうで会話や電話対応など堅苦しい敬語がもとめられないシーンでは「〜していただく」でも十分に丁寧ですね。

「ご保管いただく」だと気持ちわるいのでここでは「お(ご)」を省きました。

補足①そもそも謙譲語とは?

①そもそも謙譲語とは…

敬語の一種であり、

謙譲語Ⅰ:自分側から相手側又は第三者に向かう行為・ものごとなどについて、その向かう先の人物を立てて述べるもの。

謙譲語Ⅱ:自分側の行為・ものごとなどを、話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。

の2種類あり。

これだけだと何のことだか意味不明なので謙譲語の基本形をまとめておきます。

以下の使い方だけ覚えておけばビジネスシーンで困ることはありません。

  1. お(ご)〜する
    お(ご)〜します
  2. 〜いたす
    〜いたします
  3. お(ご)〜いたす
    お(ご)〜いたします
  4. お(ご)〜申し上げる
    お(ご)〜申し上げます
  5. お(ご)〜差し上げる
    お(ご)〜差し上げます
  6. 〜していただく
    〜していただきます
  7. お(ご)〜いただく
    お(ご)〜いただきます
  8. 〜させていただく
    〜させていただきます
  9. お(ご)〜させていただく
    お(ご)〜させていただきます

※1〜5の意味は(自分が)〜する

※6・7の意味は(自分が相手に)〜してもらう

※8・9の意味は(自分が)〜させてもらう

「〜」の部分にイロイロな語がきて謙譲語になります。たとえば「了承」「教示」「承諾」「検討」「容赦」「査収」「取り計らい」など。

【注意事項】

・「させていただく」「申し上げる」「差し上げる」は日本語としておかしい表現になる時もあり、何でもかんでも使える訳ではありません。

・丁寧語「ます」とくみあわせて「〜します」「〜いたします」とするのが丁寧な使い方です。ご留意ください。

ちなみに、これは文化庁の「敬語の指針」においても解説されています。私のような頭の悪い人には難しいのですが、ご興味ありましたら以下のリンクよりどうぞ。

補足②そもそも尊敬語とは?

②そもそも尊敬語とは…

敬語の一種であり、相手側又は第三者の行為・ものごと・状態などについて、その人物を立てて述べるもの。

こちらもより分かりやすくするため、代表的な尊敬語の使い方をまとめておきます。

  1. お(ご)~だ
    お(ご)~です
  2. お(ご)~になる
    お(ご)~になります
  3. ~される
    ~されます
  4. ~なさる
    ~なさいます
  5. お(ご)~なさる
    お(ご)~なさいます
  6. ~してくださる
    ~してくださいます
  7. お(ご)~くださる
    お(ご)~くださいます

※1〜5の意味は(目上なり上司が)〜する

※6・7の意味は(目上なり上司が)〜してくれる

「〜」の部分にイロイロな語がきて尊敬語になります。たとえば「連絡」「指示」「利用」「報告」など。

【注意事項】

・「〜される」は受け身形との混同をまねくことがあるため要注意。

・丁寧語「です・ます」とくみあわせて「お(ご)〜です」「お(ご)〜になります」とするのが丁寧な使い方ですのでご留意ください。

使い方は”お礼”のビジネスシーン(メールetc)

つづいて「保管いただきありがとうございます」の使い方について。

文字どおり「保管してもらいありがとう」というお礼フレーズなので、そのようなビジネスシーン(メールなど)で使います。

上司・目上など社内にかぎらず社外にも使える丁寧な敬語フレーズですね。

保管くださいまして~としても丁寧

「保管いただきありがとうございます」の使い方

ところで「保管いただきありがとうございます」と似たようなフレーズには…

  • 例文「保管くださいまして誠にありがとうございます」
  • 例文「保管くださり、ありがとうございます」

※「お(ご)~くださる」は「~してくれる」の尊敬語

もあります。

あるいは単に「保管ありがとうございます」としてもまぁ問題はありません。

結論としてはどれを使っても丁寧な敬語です。

「保管くださいまして~」の「ください」は「くれる」の尊敬語「くださる」を使っています。どちらを使っても結局は同じことを述べています。

保管いただきまして~だとなお丁寧

「保管いただきありがとうございます」の使い方

「保管いただきありがとうございます」としても十分に丁寧ではありますが…

丁寧語”ます”の活用形「~まして」をくみあわせて、

  • 例文「保管いただきましてありがとうございます」

とするとなお丁寧な敬語になります。

まぁ「保管ありがとうございます」だけでも十分ではありますが…丁重なメールに仕上げたいときにどうぞ。

相手に著しく負担をかけた時は「恐縮」を使う

上司や目上などの相手にとんでもなく負担をかけてしまったときには…

「ありがとう」だとイマイチしっくりこないですね。

こんなときには申し訳なくおもう気持ちをしめすフレーズをもってくると丁寧です。

とくに上司・目上や取引先にいちじるしく負担をかけたときには以下の例文をつかうと好感度UP。

  • 保管+恐縮(申し訳なく思うこと)
    「保管いただき誠に恐縮です」
    「保管いただきまして誠に恐縮でございます」
    「保管くださいまして誠に恐縮でございます」
  • 保管+恐れ入る(申し訳なく思う)
    「保管いただき大変恐れ入ります」
    「保管いただきまして誠に恐れ入ります」
    「保管くださいまして誠に恐れ入ります」

こんな感じでつかうと丁寧なビジネスメールになります。

他にもある丁寧な「保管」の例文

お礼のシーンで「ありがとう」ばかりつかっていては敬語ビギナー。

お礼をしめすフレーズは他にもいろいろあります。

中級〜上級者むけですが、代表的な言い換え例文だけを紹介しておきます。

  • 例文「保管いただき感謝申し上げます」
  • 例文「保管頂きお礼申し上げます」
  • 例文「保管頂き深謝いたします」
  • 例文「保管いただき深謝いたしております」

※「深謝」は「深く感謝すること」の意味

クッション言葉を添えるとなお丁寧

ビジネスメールのお礼をより丁寧にするためのコツ。

「保管」の前置きにはそえるクッション言葉や、相手を気づかうフレーズをもってくるとなお丁寧です。

たとえば「ご多忙にも関わらず」などと組み合わせ、以下例文のようにすると好感がもてますね。上司や目上にはもちろんのこと、取引先のメールにも使える丁寧な例文にしています。

  • ご多忙にも関わらず=忙しいにも関わらず
    「ご多忙にも関わらず保管いただき誠にありがとうございます」
  • ご多用にも関わらず=忙しいにも関わらず
    「ご多用にも関わらず保管いただき誠にありがとうございます」
  • 勝手を申し上げたにも関わらず=自分勝手を言ったにも関わらず
    「勝手を申し上げたにも関わらず保管〜」
  • ご無理申し上げたにも関わらず = 無理を言ったにも関わらず
    「ご無理申し上げたにも関わらず保管~」

【例文】ビジネスメール全文

つづいて「保管頂きありがとうございます」を使ったビジネスメールの例文を紹介します。

目上・上司にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズにしています。ご参考にどうぞ。

ビジネスメール例文①保管のお礼(社内)

メール件名:返信Re:データ保管のお願い

●● 部長(社内上司)

お疲れ様です。
人事部・ノマドです。

貴部署にてデータを保管いただけるとのこと、誠にありがとうございます。

それでは後日、データをまとめて社内便にて送付いたしますので、お取り計らい頂けますと幸いです。

よろしくお願い致します。

************
メール署名
************

ビジネスメール例文②保管のお礼(社外)

メール件名:返信Re:契約書保管のお願い

株式会社ビジネス
営業部 ●● 部長(社外取引先)

いつもお世話になっております。
(株)転職・ノマドです。

貴社にて保管いただけるとのこと、感謝申し上げます。

それでは後日、これまでの契約書をまとめて郵送いたしますので、お取り計らい頂けますと幸いです。

引き続きどうぞよろしくお願い致します。

************
メール署名
************

“保管+お礼”の敬語フレーズまとめ

いろいろ散らかってきたので、一旦まとめ。

これまで紹介した例文もつくめ”保管+お礼”の敬語フレーズを表にまとめておきます。

使い方に迷ったときのご参考にどうぞ。

保管+ありがとう

① 意 味 ② 例 文 ③ 敬語の種類
いただき
ありがとうございます
してもらい
ありがとう
保管いただき
ありがとうございます
“もらう”の
謙譲語”いただく”
いただきまして
ありがとう~
してもらいまして
ありがとう
保管頂きまして
ありがとうございます
いただく
+丁寧語”ます”
活用形
いただけるとのこと
ありがとう~
してもらえるとのこと
ありがとう
保管頂けるとのこと
ありがとうございます
 いただく
+可能”ける”
くださり
ありがとう~
してくれて
ありがとう
保管くださり
ありがとうございます
尊敬語”くださる”
くださいまして
ありがとう~
してくれまして
ありがとう
保管くださいまして
ありがとうございます
くださる
+丁寧語”ます”
活用形

※漢字表記「頂く」「下さる」をもちいてもOK

※過去形にしたければ「ありがとうございました」に言い換えする

保管+いろいろなお礼フレーズ

① 深謝 ② 感謝 ③ お礼申し上げる
保管いただき -深謝いたします

-深謝いたしております

-深謝申し上げます

-感謝いたします

-感謝いたしております

-感謝申し上げます

-お礼申し上げます
保管
いただきまして
保管
いただけるとのこと
保管くださり -深謝いたします

-深謝いたしております

-深謝申し上げます

-感謝いたします

-感謝いたしております

-感謝申し上げます

-お礼申し上げます
保管
くださいまして

※漢字表記「頂く」「下さる」をもちいてもOK

※強調するフレーズ「誠に」「大変」などをくわえてもOK

保管+申し訳なく思うフレーズ

① 恐縮 ② 恐れ入る
保管いただき -恐縮です

-恐縮でございます

-恐縮に存じます

-恐れ入ります
保管
いただきまして
保管
いただけるとのこと
保管くださり -恐縮です

-恐縮でございます

-恐縮に存じます

-恐れ入ります
保管
くださいまして

※漢字表記「頂く」「下さる」をもちいてもOK

※強調するフレーズ「誠に」「大変」などをくわえてもOK

クッション言葉+保管+お礼

ビジネスメールのお礼をより丁寧にするためのコツ。

「保管」の前置きにはそえるクッション言葉や、相手を気づかうフレーズをもってきても丁寧です。

たとえば「ご多忙にも関わらず」などと組み合わせ、以下例文のようにすると好感がもてますね。上司や目上にはもちろんのこと、取引先のメールにも使える丁寧な例文にしています。

  • ご多忙にも関わらず=忙しいにも関わらず
    「ご多忙にも関わらず保管いただき誠にありがとうございます」
  • ご多用にも関わらず=忙しいにも関わらず
    「ご多用にも関わらず保管いただき誠にありがとうございます」
  • 勝手を申し上げたにも関わらず=自分勝手を言ったにも関わらず
    「勝手を申し上げたにも関わらず保管〜」
  • ご無理申し上げたにも関わらず = 無理を言ったにも関わらず
    「ご無理申し上げたにも関わらず保管~」
  • 早速/早々に
    「早速保管いただきありがとうございます」
    「早々に保管〜」

“保管いただき vs 保管くださいまして”の違い

ここで少し横道にそれます。

保管いただきありがとうございます」と似たような表現には

保管くださいましてありがとうございます」

これって何が違うのでしょうか?

結論としてはどちらも上司や目上・取引先などに使える丁寧な敬語フレーズです。ここではその根拠について順を追って解説していきます。

敬語・意味の違い

まずは敬語と意味の違いについて。とくに色づけした部分についてよくご確認。

  • 保管いただきありがとうございます
    意味は「保管してもらいありがとう」
    敬語は「~してもらう」の謙譲語「お(ご)~いただく」を使用。
  • 保管くださいましてありがとうございます
    意味は「保管してくれてありがとう」
    敬語は「~してくれる」の尊敬語「お(ご)~くださる」を使用。
    「まして」の部分は丁寧語「ます」の活用形

色づけしたところが主に違います。

どちらも同じように使える

ということで、

「保管いただく=保管していただく」なのか「保管くださる=保管してくださる」なのか、という点において違いますが丁寧さとしてはまったく同じです。

また、

保管いただきありがとうございます」「保管くださいましてありがとうございます」はどちらも結局のところ、お礼を述べているわけであってどちらも同じように使います。

お礼では「保管いただき〜」が一般的

わたしの経験上ではお礼のビジネスシーンにおいては「お(ご)〜いただきありがとう」という敬語フレーズを使うことが多いです。

おっさん営業マンのたわごとですので無視してもらって構いませんけど…

本来はどちらも丁寧な敬語フレーズですので、あまり悩む必要はありません。

「いただく vs. くださる」の使い分け

せっかくですので「いただく」「くださる」の違いを例文で考えてみます。

たとえば結び・締めに使う「お願い」するときのシーンを考えましょう

すると…

「ご容赦くださいますようお願い致します」
「ご容赦いただきますようお願い致します」
「ご了承くださいますようお願い致します」
「ご了承いただきますようお願い致します」
「ご検討くださいますようお願い致します」
「ご検討いただきますようお願い致します」

こんな敬語フレーズをよく使います。

実はこれらは「くださる」を使うのが一般的です…
「いただく」としても丁寧ではありますが…

ところが、たとえば何かをもらった時のお礼のシーンを考えます。

「たいそうなお品をくださりありがとうございました」
「たいそうなお品をいただきありがとうございました」

もうひとつ、

ご利用くださりありがとうございます」
ご利用いただきありがとうございます」

上記の例文はどれも敬語としては正しい使い方。
ただ圧倒的に「いただき〜」とするほうが多いですね。

本来でしたらどれも丁寧な敬語であり同じように使えます。

参考記事