頂く(いただく)は間違い敬語?おかしい謙譲語に感じる理由、使い方

「頂く(いただく)」は間違い敬語?謙譲語としておかしい?

とご心配のあなたへ。

謙譲語「頂く(いただく)」のビジネスシーン(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外取引先・目上・就活・転職)での使い方と例文を紹介します。

まずは要点のまとめから。

まずは基本として、

頂く(いただく)は「もらう」の謙譲語であり敬語としてはOK。ところが間違い敬語というか、おかしい敬語だと感じるケースもあり。

謙譲語「いただく」が間違い敬語であったり、おかしい敬語と感じる理由は…

たとえば以下の例文をご覧ください。

  • 例文①先日、社長からボーナスをいただきました
    原文「先日、社長からボーナスをもらった」
  • 例文②ご連絡いただければと存じます
    原文「連絡をもらえればと思う」
  • 例文③ご確認いただきますようお願いします
    原文「確認してもらうようお願い!」

例文①は純粋に「ボーナスをもらう」ということですから、自分の行為を低くして相手を高める謙譲語「いただく」をつかえばOK。

ところが例文②③は…
おかしい敬語とされるフレーズです。おかしい・間違いと感じる理由は以下のとおり。

連絡や確認するのは相手のはず。

それなのに自分の行為を低めるために使う謙譲語ではおかしい!

「相手が~する」ときに相手を高めるには尊敬語「くださる」をつかうべきだ!

こんな感じで、

謙譲語「~していただく」はおかしい敬語・間違い敬語のように感じてしまうのです。

ただ結論としては、

謙譲語「いただく」はそれほどおかしい敬語ではありませんし、100%間違い敬語というわけでもありません

「自分が連絡なり確認をしてもらう」と考えて謙譲語「ご連絡(を)いただく」「ご確認(を)いただく」としているからまぁOK。
ここで「お・ご~する」は謙譲語の基本形であるため「ご確認」「ご連絡」とします。「お・ご」には尊敬語じゃない使い方もあります。

ただし、

これまでの説明をくつがえしますが、

厳密にはおかしい敬語であることは否定できません。なぜなら原文「連絡をしてもらう」「確認をしてもらう」なんて、普段の生活シーンでは決してつかわないからです。

「連絡をくれる」の尊敬語「ご連絡くださる」が正しい使い方ではありますね。

ということで、

「いただく」はビジネスシーンでのみ使われる独特の敬語フレーズだと考えるべきかもしれません。もし違和感があるようでしたら尊敬語「くださる」をつかえばいいだけです。

でもでも。

「いただく」はビジネスシーンで何かを依頼するときにはすご〜く便利なフレーズです。よく使われる表現なので使い方をマスターした上で「おかしい・おかしくない」を論じるべきかと思います。

それでは具体的に、「いただく」のビジネスシーン(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外取引先・目上・就活・転職)にふさわしい使い方・メール例文を紹介していきます。

そもそも謙譲語と尊敬語ってなに?

念のため基本となる謙譲語・尊敬語とはなにか?について簡単に復習しておきます。

そもそも謙譲語とは?

  • 謙譲語Ⅰ = 自分を低めることで行為のおよぶ先を高めて敬意を表す敬語のこと。
    例文「お伝えします」「お土産をいただく」「貴社へ伺う」
  • 謙譲語Ⅱ = 聞き手に敬意を表す敬語のことで「もうす」「おる」「まいる」「いたす」などがある。
    例文「母に申します」「海へ参ります」

2種類ありややこしく感じるかもしれませんが「①自分側を低めて相手を高める」か「②話し手に敬意を示すために使う」だと理解しておきましょう。

【出典】文化庁「敬語の指針」

そもそも尊敬語とは?

尊敬語とは、相手を高めるときに使う敬語のことを言います。敬意を表したい相手の動作や行為を高めて使う敬語ですね。

注意点として、

社外のひとに社内のひとのことを話すときには尊敬語ではなく、謙譲語を使います。このシーンで尊敬語を使うと「社内のひと > 社外のひと」というようになってしまいますね。

社外の人の前で尊敬語「弊社の部長がおっしゃいました」ではおかしくって謙譲語「弊社の○○が申しておりました」とします。

高めるべき順番は「社外 > 社内」であり、この図式を守って使いましょう。

いただく の使い方・例文

まずは基本となる「頂く(いただく)」の使い方について簡単に復習します。冒頭で述べたとおり「いただく」は「もらう」の謙譲語です。

やんわりとしたフレーズを使い「丁寧な依頼・お願い」にする

頂く(いただく)のビジネスシーン(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外取引先・目上・就活・転職)にふさわしい使い方。

「自分が~していただく」を使うことによって、やんわ~りとした依頼・お願いの敬語フレーズとなります。

たとえば、

以下のように「~してほしいと思う」「~してくれたら嬉しいなぁ」といった、やんわりフレーズを「いただく」と組み合わせてみましょう。

  1. いただく に「~してほしいと思う」を組み合わせて敬語にすると「~いただきたく存じます」
  2. さらに仮定形「~れば」を組み合わせると「~していただければと存じます」
  3. さらに「~してくれたら嬉しい」を組み合わせて敬語にすると「~いただければ幸いです」
  4. 後ろに文章を続けるなら接続詞「ますよう」を組み合わせて「~していただきますよう、」
  5. ~してもらえませんか? と相手に尋ねるには「~していただけますか?」「~していただけますでしょうか?」

こんな感じにすると素晴らしいお願いフレーズのできあがり。あとは「~」の部分に「ご連絡・ご承認・ご了承・ご容赦・ご教示・ご対応…」などの言葉をいれるだけでOKです。

ただし「例文③~していただきますよう」だけは尊敬語「~してくださいますよう」とした方がベター。

例文「依頼・お願いのビジネスシーン」

頂く(いただく)のビジネスシーン(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外取引先・目上・就活・転職)にふさわしい使い方。

たとえば上司や取引先に「確認してください」としたいときに…

  • 例文①ご確認いただければと存じます
    原文「確認してもらえたらと思う」
  • 例文②ご確認いただければ幸いです
    原文「確認してもらえたら幸い」
  • 例文③ご確認いただきますようお願いいたします
    原文「確認してもらうようお願い」
  • 例文④ご確認いただけますか? ご確認いただけますでしょうか?
    原文「確認してもらえますか?」
ただし「例文③~していただきますよう」だけは尊敬語「~してくださいますよう」とした方がベター。以降は省略。

などとして使います。

「ご確認」の部分にはホントにいろいろな語が使えます。

目上のヒトに「教えてください」としたいのであれば「ご教示いただければと存じます」と使えますし、「対応してください」としたいのであれば「ご対応いただければと存じます」と使えます。

他にも「ご連絡・ご承認・ご了承・ご容赦・ご教示・ご対応…」などの言葉がきます。

なぜ「くださる」ではなく「いただく」なのか?

何かを頼む・依頼するときの敬語フレーズに「いただく」を使うようになった背景は正直なところよくわかりません。

(相手が)~してくれる の尊敬語「~してくださる」をつかうのが本来あるべき姿です。

なんとな〜くの考察ですが、

「相手がしてくれる=してくださる」

だと、相手に頼むというよりも「相手が相手の意思でやってくれた」みたいなニュアンスになるからだと思われます。これでは頼みごとをする立場としてはなんともビミョ~な依頼のやり方になってしまいますね。

いっぽうで、

「自分がしてもらう=していただく」

とすれば「自分が相手に~してもらう」という意味であり、本来あるべき依頼の姿となります。

すみません…前置きが長くなりました…

謙譲語「いただく」の使い方・例文

頂く(いただく)のビジネスシーン(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)で使える敬語フレーズをまとめておきます。

①~いただければと存じます

頂く(いただく)のビジネスシーン(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)で使える敬語フレーズ。

  • 例文『~いただければと存じます』
意味は『~してもらえたらと思います』で、「~」のところに依頼や頼み事がはいります。

敬語は以下のように成り立ちます。

  • 「いただければ」は「もらう」の謙譲語「いただく」+仮定の「れば」
  • 「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」

使い方はたとえば、「ご承認いただければと存じます」とすれば「承認してもらえたらと思います」の意味になりますし、「ご連絡いただければと存じます」とすれば「連絡してもらえたらと思います」の意味になります。

他にもビジネスシーンで使える例文は以下のとおり。

– 使い方・例文 –

  1. 何かを頼むときのビジネスメール結び
    ・例文『ご連絡(を)いただければと存じます』
    ・例文『ご確認(を)いただければと存じます』
    ・例文『ご教示(を)いただければと存じます』
    ・例文『ご意見(を)いただければと存じます』
    ・例文『ご指示(を)いただければと存じます』
    ・例文『お力添えを頂ければと存じます』
  2. 電話で取引先・上司に伝言を頼むときのビジネスシーン
    ・例文『○○様に外出から戻った旨、お伝えいただければと存じます』
    ・例文『○○様に転職会社・ノマドから電話があった旨、お伝えいただければと存じます』
    ・例文『○○様に~~とお伝えいただければと存じます』
(を)としたのは、日本語としては「連絡をもらう=ご連絡をいただく」という使い方が正しいから。でもビジネス敬語としては「ご連絡いただく」という使い方をするのが一般的です。以降はすべて省略します。

②~いただきたく存じます

頂く(いただく)のビジネスシーン(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)で使える敬語フレーズ。

  • 例文『~いただきたく存じます』
意味は『~してほしいと思います』で、「~」のところに依頼や頼み事がはいります。

敬語は以下のように成り立ちます。

  • 「いただきたく」は「もらう」の謙譲語「いただく」+願望の「~たい」
  • 「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」

使い方はたとえば、

「ご承認いただきたく存じます」とすれば「承認してもらいたいと思います」の意味になりますし、「ご連絡いただきたく存じます」とすれば「連絡してほしいと思います」の意味になります。

他にもビジネスシーンで使える例文は以下のとおり。

– 使い方・例文 –

  1. 何かを頼むときのビジネスメール結び
    例文『ご連絡いただきたく存じます』
    例文『ご確認いただきたく存じます』
    例文『ご教示いただきたく存じます』
    例文『ご意見いただきたく存じます』
    例文『ご指示いただきたく存じます』
    例文『お力添えをいただきたく存じます』
  2. 電話で取引先・上司に伝言を頼むときのビジネスシーン
    例文『○○様に外出から戻った旨、お伝えいただきたく存じます』
    例文『○○様に転職会社・ノマドから電話があった旨、お伝えいただきたく存じます』
    例文『○○様に~~とお伝えいただきたく存じます』

「いただければと存じます」との違いは、仮定「れば」をつかうか、願望「たい」をつかうかにありますが、ニュアンスとしては大差ありません。

どちらかと言うと「いただければと存じます」のほうが丁寧かもしれないですが、いずれにせよ、どちらを使っても丁寧な敬語です。

③~いただければ幸いです

頂く(いただく)のビジネスシーン(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)で使える敬語フレーズ。

  • 例文『~いただければ幸いです』
意味は『~してもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ』で、「~」のところに依頼や頼み事がはいります。

敬語は以下のように成り立ちます。

  • 「いただければ」は「もらう」の謙譲語「いただく」+仮定の「~れば」
  • 「幸いです」は「幸い」+丁寧語「です」

使い方はたとえば、

「ご承認いただければ幸いです」とすれば「承認してもらえれば嬉しいなぁ」の意味になりますし、「ご連絡いただければ幸いです」とすれば「連絡してもらえれば嬉しいなぁ」の意味になります。

お願いに使うフレーズとしてはもっとも丁寧な敬語です。

他にもビジネスシーンで使える例文は以下のとおり。

– 使い方・例文 –

  • 何かを頼むときのビジネスメール結び
    例文『ご連絡いただければ幸いです』
    例文『ご確認いただければ幸いです』
    例文『ご教示いただければ幸いです』
    例文『ご意見いただければ幸いです』
    例文『ご指示いただければ幸いです』
    例文『お力添えをいただければ幸いです』
  • 電話で取引先・上司に伝言を頼むときのビジネスシーン
    例文『○○様に外出から戻った旨、お伝えいただければ幸いです』
    例文『○○様に転職会社・ノマドから電話があった旨、お伝えいただければ幸いです』
    例文『○○様に~~とお伝えいただければ幸いです』

「いただければと存じます」「いただきたく存じます」との違いは、「幸いです」をつかうかどうかにあります。「いただければ幸いです」がもっとも丁寧な敬語となりますが、上司に使うにはちょっと大げさな表現かもしれません。

いずれにせよ、何を使っても丁寧な敬語です。

④~いただきますよう/~くださいますよう

頂く(いただく)のビジネスシーン(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外・目上・就活・転職)で使える敬語フレーズ。

  • 例文『~いただきますよう』
  • 例文『~くださいますよう』
意味は『~してもらえるよう・~してくれるよう』で、「~」のところに依頼や頼み事がはいります。

それぞれの違いは以下のとおり。

  • 「いただく」の意味は「(自分が)もらう」であり、「もらう」の謙譲語
  • 「くださる」の意味は「(相手が)与える・くれる」であり、「くれる」の尊敬語

これ以上に語ると長くなるため省略しますが、ビジネス敬語としては謙譲語「いただく」をつかうのが一般的です。ただしホントは尊敬語「くださいますよう」が正しい使い方であるのは冒頭で述べたとおり。

どうしても気になる方は以下の参考記事をご確認くださいますよう、お願いいたします。

「いただく」「くださる」の違い、使い分け【ビジネス敬語】 

話が逸れましたが使い方は以下例文のとおりです。この表現にしっくりとこない方は、これまで紹介した別の敬語を使いましょう。

– 使い方・例文 –

  1. 何かを頼むときのビジネスメール結び
    例文『ご連絡いただきますよう、(何卒よろしく)お願いいたします』
    例文『ご確認いただきますよう、(何卒よろしく)お願いいたします』
    例文『ご教示いただきますよう、(何卒よろしく)お願いいたします』
    例文『ご意見いただきますよう、(何卒よろしく)お願いいたします』
    例文『ご指示いただきますよう、(何卒よろしく)お願いいたします』
    例文『お力添えをいただきますよう、(何卒よろしく)お願いいたします』
  2. 電話で取引先・上司に伝言を頼むときのビジネスシーン
    例文『○○様に外出から戻った旨、お伝えいただきますようお願いします』
    例文『○○様に転職会社・ノマドから電話があった旨、お伝えいただきますようお願いします』
    例文『○○様に~~とお伝えいただきますようお願いします』
【敬語の補足】
・お願いいたします は「お願い申し上げます」で言い換えできる
・いただきますよう は「くださいますよう」で言い換えできる

ビジネス会話・電話対応で「何かを頼む」ときに使える敬語フレーズ

ここまではビジネスメール・文書でよく使う依頼の敬語フレーズを紹介してきました。

ただ、これをそのまま会話で使うと堅苦しい敬語となってしまいます。

そこでビジネス会話で何かを頼む・依頼するときのフレーズもまとめておきます。

⑤~していただけますか?

ビジネス会話や電話で「頂く(いただく)」を使って何かを頼む・依頼するときの敬語。

  • 例文「~していただけますか?」
意味は「~してもらえますか?」。「もらう」の謙譲語「いただく」を使って敬語にしています。

使い方はたとえば、上司に何かをしてもらいたいとき。「顧客Aにご同行いただけますか?」とすれば「顧客Aの訪問に同行してほしい」という意味の丁寧な敬語となります。

ほかにもたとえば、以下のような使い方をします。

– 使い方・例文 –

  1. 商談で取引先に「〜してもらえますか?」と質問する
    例文「よろしければ、価格改定を打ち出す背景につきご教示いただけますか?」
    例文「よろしければ、お手元の資料をいただけますか?」
    例文「○○様に~~の旨お伝えいただけますか?」
  2. 電話で取引先・上司に伝言を頼むときのビジネスシーン
    例文『○○様に外出から戻った旨、お伝えいただけますか?』
    例文『○○様に転職会社・ノマドから電話があった旨、お伝えいただけますか?』
    例文『○○様に~~とお伝えいただけますか?』
【敬語の補足】
・いただけますか? は「いただけますでしょうか?」とするとより丁寧。ただしバカ丁寧となるリスクあり。
・お伝え願えますか? も伝言する際によく使われる。

⑥~していただけますでしょうか?

ビジネス会話や電話で「頂く(いただく)」を使って何かを頼む・依頼するときの敬語。

  • 例文「~していただけますでしょうか?」

「~していただけますか?」とおなじ意味ですが、こちらのほうがよりかしこまった敬語となります。使い方もおなじため省略します。

⑦~してください

ビジネス会話や電話で「いただく」を使って何かを頼む・依頼するときの敬語。

  • 例文「~してください」

としてもまぁOKです。

〜してください は「〜してくれる」の尊敬語「〜してくださる」の命令形です。命令形は強い口調になるため、ビジネスシーンではできるだけ避ける方が丁寧ではあります。

が、

ビジネス会話や電話であれば使ってもよいでしょう。

ただし、

ビジネスメールや手紙・文書などではかしこまった敬語フレーズが好まれます。そんなときにはこれまで紹介してきた例文をご使用ください。

依頼を丁寧にするクッション言葉まとめ