「ご返信いただきますようお願い致します」の意味、敬語の種類、ビジネスシーンにふさわしい使い方、注意点について。
ビジネスメールの例文つきで誰よりも正しく解説する記事。
※長文になりますので「見出し」より目的部分へどうぞ
意味
「ご返信いただきますようお願い致します」は直訳すると「返信してもらうようお願いします」という意味。
ようは「返信してほしい!」「返信してください!」と言いたいわけなのですが…
なぜこのような意味になるのか?
そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。
“返信”の意味は「返事のメールや手紙を送ること」
「返信」の意味は・・・
「返事の手紙やメールを送ること。また、その手紙やメール。返書」
たとえば、
【例文】すみません…明日までに返信します。
【例文】飲み会の出欠を今週中にご返信ください。
のようにして使います。
“ご返信いただきますよう”の意味は「返信してもらうように」
「ご返信いただきますよう~」の意味は直訳すると「返信してもらうように」
「~してもらう」の敬語(謙譲語)「お(ご)~いただく」をつかい、
さらに丁寧語「ます」+「よう(様)」を組み合わせると「お(ご)~いただきますよう」という敬語になります。
「ますよう」ってどんな意味?
“ご返信いただきますよう”の「ますよう」は「(〜する)ように」の意味。
なぜこのような意味になるのでしょうか?
先ほども示しましたが「ますよう」は「①ます+②よう(様)」という2つの単語からなります。
まず前半部分の「ます」はシンプルに丁寧語の「ます」
つづいて後半の「よう(様)」の意味はいろいろありますが…
ここでは「婉曲 (えんきょく) な命令・希望の意を表す」言葉として使われます。
希望をあらわす「よう(様)」にはたとえば、
- 【例文】時間に遅れないよう、ご留意ください
- 【例文】部長に怒られないように気をつける
- 【例文】風邪などお召しになりませんように
などあり。
ちなみに「ように」でも「よう」でも正しい日本語ですが、「ご返信いただきますようにお願い致します」はあまり一般的ではありません。
※ なお表記は漢字「ます様に」でも平仮名「ますように」でも、どちらも正しい日本語です。
お願い致します は「お願いする」よりも丁寧な敬語
「お願い致します」の意味は「お願いする」
ただしよりカチッとした敬語「お(ご)~致します」をつかっているため実際にはもっと丁寧なニュアンス。
もととなる単語は「願う」であり、
謙譲語「お(ご)〜致す」を使い「お願い致す」とし、さらに丁寧語「ます」を使って敬語にしています。
「お願い致します」は「よろしくお願い致します」としてもOK。
さらに「どうか」という意味の「何卒(なにとぞ)」を使い「何卒よろしくお願い致します」としても丁寧。
あるいは「お願い申し上げます」に言い換えるとなお丁寧です。
※ なお表記は漢字表記「お願い致します」& ひらがな表記「お願いいたします」のどちらでも構いません。
あわせると意味は「返信してもらうよう、お願いします」
- ご返信いただく =「返信してもらう」の意味の敬語(謙譲語)
- ますよう =「(〜する)ように」の意味の敬語(丁寧語)
- お願い致します = 「お願いする」よりもかしこまった敬語
これらの単語を合体させて意味を考えます。
すると「ご返信いただきますようお願い致します」の意味は…
「返信してもらうように、お願いします」
のように解釈できます。
ようするに「返信してほしい!」「返信してください!」というあなたの希望をあらわしているのですが、このままではあまりにストレート過ぎて目上や上司に使うにはイマイチです。
そこで遠まわりに「~してもらうようにお願い!」として、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズにしています。
そんなに丁寧にお願いする必要あるの?って思うくらい。
目上・上司にはもちろんのこと社外取引先にもつかえる丁寧な敬語フレーズですね。
敬語の解説
「ご返信いただきますようお願い致します」の敬語の種類についても整理しておきます。
ややこしいので敬語について学ぶ必要のない方はスキップしてください。
- もとになる単語「返信」
- 「〜してもらう」の謙譲語”お(ご)〜いただく”で「ご返信いただく」
- 丁寧語”ます”をくっつけて「ご返信いただきます」
- 希望を表す”よう(様)”で「ご返信いただきますよう」
- 「お願いする」よりもかしこまった敬語「お願い致します」
→ あわせると「ご返信いただきますようお願い致します」という敬語の完成
上記のようにして元になる語「返信」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
補足
※ 漢字表記「頂きますよう」vs ひらがな表記「いただきますよう」はどちらも正しい
※ 漢字表記「ます様」vs ひらがな表記「ますよう」はどちらも正しい
※ 漢字表記「お願い致します」& ひらがな表記「お願いいたします」のどちらも正しい
ちなみに敬語「お(ご)」は…
- 「自分がご返信する」「相手にご返信いただく」のであれば謙譲語としての使い方。
- 上司・目上・取引先などの「相手がご返信くださる」のであれば尊敬語としての使い方。
というように2パターンあります。
“ご返信頂きますよう vs 頂けますよう”の違い
“ご返信いただきますようお願い致します”と似たような敬語には…
“ご返信いただけますようお願い致します”もあります。
これって何が違うのでしょうか?
念のため「ご返信いただきますよう vs ご返信いただけますよう」の違いについて簡単に説明しておきます。
意味と敬語の違い
どちらも結局のところ「返信してほしい!」「返信してください!」という意味になるのですが…こまかくは以下のとおり意味と敬語の違いあり。
- 「ご返信いただきますよう」だと意味は「返信してもらうよう」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+丁寧語”ます”+希望”よう”
いっぽうで、
- 「ご返信いただけますよう」だと意味は「返信してもらえるよう」
→ 敬語は”お(ご)~いただく”+可能形+丁寧語”ます”+希望”よう”
となります。
謙譲語「いただく」に可能表現をつけくわえると「いただける」。
ということなので可能表現をつかうのか、そうでないかという点において違いますね。
可能の表現をつかうと意味としては「〜してもらえるよう」となります。
おなじような可能の表現にはたとえば、
「泳ぐ → 泳げる」
「書く → 書ける」
「聞く → 聞ける」
などあり。どれも「〜できる」という意味になりますね。
“ご返信頂けますよう~”のほうが丁寧
「ご返信いただきますよう vs ご返信いただけますよう」の違い
で結局どちらがより丁寧かというと…
「ご返信いただけますよう~」のほうがより丁寧な敬語になります。
可能の表現をつけくわえることによって「もしよかったら返信してもらえますか?」というようなニュアンスになるからですね。
よりやわらか~いお願い・依頼のフレーズと解釈できます。
本当に些細なことなので誰も気にしないとは思いますが…
ただ結論としては、
とにかくどちらも上司・社内の目上にかぎらず社外取引先にもつかえる丁寧な敬語です。
ご安心ください。
【使い方】ビジネスメールの結びetc…
つづいて「ご返信いただきますようお願い致します」の使い方について。
意味のとおりで何かしら「返信してほしい!」「返信してください!」と言いたいビジネスシーンに使います。
ただしビジネス会話や電話対応でつかわれることはほとんどなく、ほとんどの場合ビジネスメールで、とくに結び・締め・文末につかいます。
ビジネスメール結び・締め・文末につかう特有のフレーズとお考えください。
※もちろん結びでなくても使えないことはありませんが…
使い方①例文
「ご返信いただきますようお願い致します」はたとえば、
- 【例文】どうかご返信いただきますようお願い致します
- 【例文】何卒ご返信いただきますようお願い致します
- 【例文】大変恐れ入りますが、どうかご返信いただきますようお願い致します
のようにして使います。
ほとんどの場合ビジネスメールで、とくに結び・締め・文末としてつかいますね。
まぁようするに「返信してほしい!」「返信してください!」という意味なのですが丁寧な敬語にすると、こんな風にややこしい文章になります。
使い方②”ご返信頂きますようお願い申し上げます”だとなお丁寧
ところでビジネスシーンでは、
「ご返信いただきますようお願い致します」としても丁寧ではありますが…
「お願い致します」とおなじ意味の「お願い申し上げます」をつかい、
- 【例文】ご返信いただきますようお願い申し上げます
としても丁寧です。
「お願い申し上げます vs. お願い致します」の違いはというと・・・
「お願い申し上げます」は「お願い致します」よりも堅苦しい敬語フレーズとなりますので、とくにカチッとした敬語がもとめられるシーンでよく使います。
- 上司など社内の相手であれば「お願い致します」で十分。
- 社外の相手にはシーンにおうじて「お願い申し上げます」とすると丁寧度UP。
使い方③”どうか・何卒・宜しく”などを添えるとなお丁寧
すでに例文にはしましたが・・・
ビジネスメールを丁寧にするコツとして「どうか・何卒・宜しく」などの語を添えるとより丁寧というか、やわらかい印象のフレーズになります。
どれも深い意味はありませんが、お願い・依頼の際に添える語としてよくつかいますね。
たとえば、
- +どうか
「どうかご返信頂きますようお願い致します」
「どうかご返信くださいますようお願い致します」
「どうかご返信の程お願い申し上げます」 - +何卒(なにとぞ)=どうか
「何卒ご返信頂きますようお願い致します」
「何卒ご返信くださいますようお願い致します」
「ご返信のほど何卒お願い申し上げます」 - +宜しく・よろしく
「ご返信頂きますよう宜しくお願い致します」
「ご返信くださいますよう宜しくお願い致します」
「ご返信のほど宜しくお願い申し上げます」 - +何卒/どうか & 宜しく・よろしく
「ご返信頂きますよう何卒よろしくお願い致します」
「ご返信くださいますよう何卒よろしくお願い致します」
「どうかご返信のほど宜しくお願い申し上げます」
のようにすると丁寧です。
なお「何卒・どうか・宜しく」は「何卒お願い致します」のようにお願いの部分にかけても、「何卒ご返信〜」のようにご返信の部分にかけても、どちらも丁寧です。
また表記は漢字・ひらがなのどちらでも構いませんが、文章のバランスを考えて読みやすいようにしましょう。
“ご返信くださいますようお願い致します”でも丁寧
「ご返信いただきますようお願い致します」の他にもビジネスメール結び・締め・文末によく使う敬語には、
- 【例文】ご返信くださいますようお願い致します
- 【例文】ご返信くださいますよう宜しくお願い致します
※意味はどちらも「返信してくれるようお願いします」
もあります。
「返信してください!」とストレートに言うのではなく遠回しに自分の意思や気持ちをつたえる、とても丁寧なフレーズですね。
ニュアンスとしては「返信してください、お願いします」みたいなイメージ。
意味と違い
「ご返信いただきますよう」vs「ご返信くださいますよう」の意味と違い。
どちらも言いたいことは結局のところ「返信してほしい」なのですが…
意味と敬語の使い方に違いあり。以下のような違いがあります。
- 「ご返信いただきますよう」だと意味は「返信してもらうよう」
→ 敬語は謙譲語”お(ご)~いただく”+丁寧語”ます”+希望”よう”
いっぽうで、
- 「ご返信くださいますよう」だと意味は「返信してくれるよう」
→ 敬語は尊敬語”お(ご)~くださる”+丁寧語”ます”+希望”よう”
※ 尊敬語「お(ご)~くださる」の意味は「~してくれる」
となります。
「ください」単体としての意味は「〜してくれ」「〜して欲しい」の丁寧な言いまわしと考えることができます。
が、
「ください」は敬語ではあるものの、結局のところ命令形であるために強い口調となります。
そこで「ますようにお願い」と続けることで「お願い」とすり替え、やんわ〜りとした表現にしています。とても丁寧な敬語フレーズと言えますね。
どちらも丁寧であり使い分けの必要なし
で、どちらが丁寧かという話。
結論としてはどちらも丁寧であり使い分けする必要はありません。
どちらかというとビジネスメールの結びには「~くださいますよう」をつかうことが多いのですが…
これは年代によって違いますし地域によっても差があるかと。
若い世代は「いただきますよう」を好み、私のようなおっさんは「くださいますよう」を好む傾向にあり。
ということで心底どちらをつかっても差し支えありません。
シンプルに”ご返信のほどお願い致します”でも丁寧
他にもビジネスメール結び・締め・文末によく使う敬語には「ご返信のほどお願い致します」もあります。
ビジネスメールではとかく「いただく」「くださる」ばかりになってしまい、文章が気持ち悪くなってしまうのですよね。
そこで活躍するのが「ご返信のほどお願い致します」です。
使い方にはたとえば
- 例文「ご返信のほどお願い致します」
- 例文「ご返信のほど宜しくお願い致します」
などあり。
“ご返信のほど”の「ほど」ってどんな意味?
ここで「ご返信のほど」の「のほど」は限定を避ける言い方で、意味としては「〜してもらうよう」「〜してくれるよう」と考えることができます。
断定をさけて表現をやわらげるのに用いる語です。
もともと、とくに深い意味はありません。
ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。
ちなみに「ご返信の程」というように漢字をもちいてもOK。あなたのお好みでお使いください。
ビジネスメール例文(全文)
こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。
ここでは「ご返信いただきますようお願い致します」の使い方をビジネスメール例文でご紹介。
どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。
なおビジネスメールにおいては以下の敬語もオススメです。
① それなりに丁寧「ご返信くださいませ」「ご返信をお願い致します」
② 丁寧「ご返信いただければと存じます」
③ かなり丁寧「ご返信いただければ幸いです」
④ とくにビジネスメール結び/文末につかう
「ご返信いただきますようお願い致します」
「ご返信くださいますようお願い申し上げます」
「ご返信のほどお願い致します」
ビジネスメール例文①会議の出欠を返信してほしい
メール件名①: 返信Re:【日程変更】●●のお知らせ
メール件名②: 新規: ●●日程変更のお知らせ
営業部 各位 (社内)
大変申し訳ございません。
さて、先般ご案内しておりました●●の件、▲▲により以下のとおり日程を変更させていただきます。
たびたび恐れ入りますがご出欠につき、今週中にご返信いただけますと幸いです。
【変更前日程】
・11月3日 10:00-12:00
【変更後日程】
・11月5日 10:00-12:00
以上
日程調整いただいたにも関わらず、ご迷惑をおかけしますこと深くお詫び申し上げます。
ご了承の程よろしくお願いいたします。
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営業部 ノマド
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・▲▲の部分には「会場の都合」「会議室の都合」「部長の急用」「急遽出張予定が入り」などの理由がくる。理由は簡単なものでよく、くわしくは説明しなくてよい
ビジネスメール例文②飲み会の出欠を早く返信してほしい
【to社内・各位・上司など】
社内の催促メールで「飲み会の出欠確認を催促する」ときのビジネスメール例文。メールで案内をしていなければ新たに催促メールを作り、すでに案内済みのときには「転送Fw」「履歴付き返信Re」を使い、出欠の確認ができていない相手だけを宛先にする。催促するときには「●●はいかがでしょうか?」という敬語フレーズを使う。
メール件名①新規:懇親会・出欠のご確認
メール件名②転送Fw:【再送】懇親会・出欠のご確認
営業部 各位(社内)
お疲れ様です。
さて、先般お願いしておりました3月10日・懇親会の件、皆さまのご都合はいかがでしょうか。お忙しいところ大変恐れ入りますが、予約等の手配が必要なためあらかじめ人数を把握しておきたく、明日中にご返信いただけましたら幸いです。
なお、このメールは懇親会へのご出欠返信がまだの方へ送付しております。行き違いでご返信いただいておりましたら申し訳ありません。
以上
宜しくお願い致します。
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営業部 ノマド
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ビジネスメール例文③懇親会の出欠を早く返信してほしい
メール件名①新規:懇親会・出欠のご確認
メール件名②転送Fw:懇親会・出欠のご確認
●● 課長(社内上司)
お疲れ様です。たびたび申し訳ありません。
さて、先般お願いしておりました3月10日・懇親会の件、●●課長のご都合はいかがでしょうか。誠に勝手を申し上げますが、早めに予約等の手配を進めたく、明日中にご返信いただきますようお願い致します。
また、本メールと行き違いでご返信をいただいておりましたら申し訳ありません。
お忙しいところ大変恐れ入りますが、何卒宜しくお願い致します。
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営業部 ノマド
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